春野 – アジア圏でもチャートイン! Lo-fi Hip Hopシーンの大注目アーティストとは?

春野 – アジア圏でもチャートイン! Lo-fi Hip Hopシーンの大注目アーティストとは?

ここ数年、日本の音楽界でブームになりつつある「Lo-fi Hip Hop(ローファイ・ヒップホップ)」

今風な言葉で説明すると“チルな感じのヒップホップ”、もう少し噛み砕いて説明すると“リラックスした雰囲気のヒップホップ”のことを指します。

そんなLo-fi Hip Hopシーンで注目を浴びているのが「春野(はるの)」というシンガーシングライター。

作詞作曲のみならずミックスやマスタリングまで自ら行い、その上人気アーティストのサウンドプロデュースまでこなすなど、マルチに活躍する次世代型アーティストです。

一体どんな人物なのか、「春野」のプロフィールや経歴、人気曲を紹介します。

春野のプロフィール

「春野(はるの)」は1996年5月15日生まれ、東京都出身のアーティスト。

どっぷりと浸りたくなるようなリラックス感に富んだ楽曲が魅力的です。

インタビュー等では自身のことを「シンガーソングライター」と語っていますが、彼が行なっているのは作詞作曲だけではありません。

トラックメイキング、ミックス、マスタリングまで器用にこなしています。

さらに、「ずっと真夜中でいいのに。」「空音」のサウンドプロデュース、「大塚愛」「東京女子流」の楽曲リミックスを手がけるという一面も。

そのため近頃は「トラックメイカー」と表記されることも増えてきました。

さらに、彼は台湾で楽曲をリリースしたり、シンガポールのアーティストとコラボレーションしたりとワールドワイドに活躍中。

リリースした楽曲はインドネシアや台湾、香港などの音楽チャートにもランクインしており、アジアを中心に世界からも注目されつつあるアーティストなのです。

MEMO

「春野」の正しい発音は「は↓る↑の↑」であるとtwitter上で本人が語っています。
天才感あふれる人物ですが、twitterでは素朴でかわいらしい一面を覗くことができるので要チェックです。

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春野の経歴

春野はシンガーソングライターとして活動する前、ボーカロイドプロデューサーとして活動していた経歴があります。
その時代も含め、彼が音楽に触れ始めた時から現在に至るまでの経歴を追ってみましょう。

幼少期〜ボカロP

春野が音楽をはじめたのは4歳のころ。

自らの意思でピアノを始め、ピアニストを目指し約12年ほど続けていたそう。

その後ピアノは辞めてしまうものの、音楽への興味は継続。

当時一緒にバンドを組む友達がいなかったこともあり、自分一人での活動を模索し始めます。

しかし、自らの声に対するコンプレックスが強かった春野。

当時自分が歌うことは想定していなかったため、ボーカルを使う楽曲ではボーカロイドを使用するようになりました。

MEMO

春野は声が原因でいじめを受けていたことがあったそう。
女性の声への憧れが強かったこともあり、ボーカロイドは「初音ミク」など女性ボーカルを使用していました。

彼が頭角を現しはじめたのは2017年、ニコニコ動画上でのこと。

1月に「ルーム」、3月に「プリムラの食べ方」、6月に「スコール」という楽曲を発表すると、美しいメロディや独特な世界観がじわじわと話題になりはじめます。

そして9月に投稿した4作目「深昏睡」で、早くも自身初となる殿堂入りを達成。

これを機に春野の認知度が高まり、次の作品を待ちわびるファンが増えました。

MEMO

ニコニコ動画に投稿した楽曲のうち、「スコール」「深昏睡」「楽園」「nuit」の4曲が殿堂入り。
その後はYouTubeをメインに活動するようになりました。

自分の声での活動スタート

ボーカロイドプロデューサーとしての認知度が高まる中、春野にある転機が訪れます。

そのきっかけとなったのが、フランスのアーティスト「FJK」「Skyline」という楽曲。

これまでは女性の声に強い憧れを持っていた春野ですが、同曲ではじめて男性ボーカルに魅力を感じたのです。

「深昏睡」を自身で歌った動画が好評だったこともあり、ここでもう一度自分の音楽スタイルや表現したいものについて見つめ直し始めます。

そして様々な模索を続ける中、2018年はインストゥルメンタルアルバム「The Quiet」「sigh.」を発表。

同時に少しずつ自分自身で歌うスタイルにシフトし、同年12月にはこれまでの人気曲のセルフカバーを含む1stフルアルバム「FILIA」をリリースしました。

MEMO

この頃には楽曲の制作依頼を受けるような存在に。
アーティストとコラボした楽曲「umbrella(feat.lasah)」等もリリースしています。

2019年になると、彼の人気曲である「ターミナルセンター」やEP「Love Is a Flower」など様々な作品を立て続けに発表。

活動の幅をYouTubeや音楽ストリーミングサービスなどに広げたこともあり、次第にLo-fi Hip Hop好きの間で話題になり始めます。

そして7月にはEP「CULT」をタワーレコード限定でリリース。

のちに同EPを配信リリースするとAppleMusicのランキング上位にチャートインし、さらに注目される存在に。

これを機に様々なメディアが春野を取り上げはじめ、一躍Lo-fi Hip Hopシーンをにぎわす存在となりました。

2020年以降

2020年は人気ラッパー「空音」の1stアルバム「Fantasy club」に参加するなど、トラックメイカーとしても大活躍。

シングル「Kidding Me」「Drawl」、EP「IS SHE ANYBODY?」など自身の作品も積極的にリリースし続け、さらに人気を拡大します。

2021年にはシンガソングライター「大塚愛」のリメイクアルバムに参加、ダンス&ボーカルグループ「東京女子流」の楽曲リミックスを担当。

そして6月、人気アーティストが多数所属する「ビクターエンターテイメント」から配信限定シングル「Angels」をリリースしました。

翌年2022年には、ファンであることを公言していたシンガポールのアーティスト「brb」と念願のコラボレーションが実現。

翌月にリリースした配信限定アルバム「25」では現在大人気アーティスト「yama」ともコラボレーションするなど、活躍の幅を広げ続けています。

春野の人気曲

自分の体験を元に楽曲を制作するという春野。
そのためチルなサウンドだけでなく、情緒に富んだ歌詞も非常に魅力的です。
ボーカロイドプロデューサーとして活躍していた時代の楽曲も含め、春野の人気曲をご紹介します。

深昏睡

「深昏睡(しんこんすい)」は春野が2017年に発表した楽曲。

当初は「初音ミク」バージョンを投稿しましたが、のちにセルフカバーしたものを公開し話題になりました。

活動し始めの頃の楽曲でありながら、どこかに深く沈んでいくようなメロウなメロディは春野らしさ全開。

しかし、サウンドのやさしさに反して歌詞は非常に難解です。

ちなみに、タイトルである「深昏睡」とは意識も呼吸もない状態を指す言葉。

そのため深刻な状況が歌われているのかと思いきや、<世界はあなたを救わないから/それなら此処で安心してもいい>と歌詞もどこかやさしげ。

死を迎え、現実世界から離れる瞬間を歌っているのでしょうか?

<最後まで離さないでいて/もう心はないけれど>というフレーズも、楽曲の主人公がすでに現実世界にはいない様子を連想させますね。

ぜひ楽曲の世界観に浸りつつ、ご自身の考察を楽しんでみてください。

Kidding Me

「Kidding Me」は2020年にリリースした2ndEP「IS SHE ANYBODY?」に収録されている楽曲。

同曲では“愛されたい”という欲望と、気持ちの強さ故に空回りしてしまう様子が歌われています。

<心が燃え盛ってる/喉元が焼けてく/愛されたいだけなのに>という歌詞を見ると過激な印象を受けますが、楽曲を聴くとイメージは一転。

ゆったりとしたサウンド、春野のささやくような歌声が相まって、切なさがグッと強まります。

特に性別を指し示すような一人称は使われていないため、誰でも楽曲の世界観に浸ることができるのがポイント。

恋人とのすれ違いに悩む夜、どっぷり聴き込みたくなります。

ターミナルセンター

「ターミナルセンター」は2019年4月に配信されたシングル。

同年7月にリリースされたEP「CULT」にも収録されました。

同曲はSpotifyのプレイリスト「Next Up」に選出、iTunes Storeの「R&B/ソウル」で50位にランクインするなど、春野の知名度を高めた一曲でもあります。

そんな「ターミナルセンター」で歌われているのも、やや悲しげな心情。

YouTubeの説明欄にも<あんとき嘘つかなきゃよかったよ>という一文が綴られており、別れを迎えた男女の心情を歌っているように思われます。

<雨を降らすので/うやむやに攫っていいよ>という歌詞のせいか、それとも気だるげなサウンドのせいなのか、雨の日や気持ちが沈んでいるときにぴったり。

浮かない日に聴いてみてください。

Cinnaber

「Cinnaber」も2020年にリリースした2ndEP「IS SHE ANEBODY?」に収録されている楽曲。

YouTubeの動画解説欄に<恋してたきっとあの頃>というメッセージが綴られているように、同曲では過去の恋を思う気持ちが歌われています。

といってもサビの<わたし恋をしてたみたい>という歌詞から感じられるのは、恋が終わったばかりの切ない雰囲気。

動画の解説欄と歌詞の時系列にはやや差があるのかもしれませんね。

一曲を通して一つの恋に対する未練が歌われていますが、特に切ないのが<もう過ぎて痕は消え行くだけ/本当に思い残してない>というフレーズ。

本当にそうであればいいのですが、続く歌詞では<笑み装って雨上がりこの街に/消える呼吸>と、笑顔の裏で息が詰まるような苦しさを抱えている様子が歌われているのです。

辛い失恋を経験したことがある人は共感できるかもしれませんね。

美しすぎるアニメーションMVも合わせてチェックしてみてください。

D(evil) feat.yama

「D(evil) feat.yama」は、2022年2月にリリースしたアルバム「25」に収録されている楽曲。

人気アーティスト「yama」をゲストボーカルに迎えたことでも話題になっています。

同曲はいい意味で春野らしくない疾走感のあるナンバー。

歌詞も哀愁漂う感じではなく、どちらかといえばアクティブに恋を楽しむ様子が印象的。

<君とdance dance/踊ろうよ/息も忘れて/まだ恋してたいんだ>というフレーズは、これまでの春野にない軽快さを感じさせます。

春野のマイルドな歌声とyamaの凛とした歌声が生み出す絶妙なハーモニーも注目のポイント。

ぜひ「D(evil) feat.yama」で春野の新たな一面を感じてみてください。

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春野のまとめ

ネットが生み出した次世代アーティスト「春野」。

自身の作品だけでなく他アーティストの作品も数多く手がけていることから、今後ますますその名を轟かせていくことでしょう。

さらに「D(evil) feat.yama」に代表されるように、Lo-fi Hip Hopとはまた違った新たな魅力も見せはじめています。

次はどんな楽曲で私たちを魅了してくれるのか、次の活躍を楽しみに待ちましょう。

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