最果テルーティン – 萩山百花・ロングインタビュー | その原点から名曲誕生秘話まで

最果テルーティン – 萩山百花・ロングインタビュー | その原点から名曲誕生秘話まで

メンバー脱退~サポートメンバーへの想い

—— 次は今の体制になった経緯についてお伺いします。
2020年10月、萩山さん以外のメンバーが脱退するという危機が訪れましたね。
当時の心境やバンドをひとりで継続しようと思った理由について教えてください。


萩山:結構急に脱退が決まっちゃったっていうのあって……。
それまでにRO(『RO JACK for COUNTDOWN JAPAN 20/21』)も決まっていたし、(10ヶ月連続)リリックビデオをやるって言うのも決まってたし、ライブももう決まってて…。



—— ファンだけではなく、萩山さんにとっても急な展開だったんですね。

萩山:その時もコロナ禍で、やっとなんか持ち直してきたっていうか…(メンバーが脱退した)10月って去年の4月よりかはライヴをしやすい環境だったのに…。
なんかこう…自分勝手じゃないですか。「もうバンド辞めてライヴも出ません」みたいなのって。



—— たしかに。残された側がそういう気持ちになるのは当然ですね。

萩山:わたしがすごくお世話になったライブハウスとかに対して申し訳ないなっていう気持ちがすごくあって…。
本当に急に決まったんですよ、辞めるっていうのが。だったんで、10月のライブは「わたし一人だけでも出る!」って。申し訳ないし、自分はまだバンドしたいと思ってたので。ここで辞めたらしばらくの間はバンドも出来ないし歌も歌えないな、って思ったんですよ。それがすごく嫌だったし、だからやるって決めてやりましたね。



—— 「ここで辞めちゃダメだ」という感覚があったんですね?

萩山:バンド自体がめちゃくちゃいい波に乗ってたんで、自分が今最果テルーティンを辞めて新しいバンドをやるメンタルより、続けるほうがいいなっていう風にはなりましたね。
7月から始めてまだ3ヶ月しか経ってなくて、そこで「もう解散します」っていうのは…。ROをきっかけに最果テルーティンの曲を聴いて好きになってくれた人もいらっしゃったので、今辞めるべきではないなっていう結論に至りましたね。



—— メンバーの脱退後、すぐにベース・たいきさん、ドラム・ハマザキさんをサポートに迎えて活動を再開させました。
お二人はサポートメンバーというポジションになると思いますが、新しく発表されたアーティスト写真にもしっかりと登場されていますね。
萩山さんから見たたいきさんとハマザキさんはどういう存在ですか?


萩山:たいきくんはずっと仲良くさせてもらってて、バンドメンバーが辞めるってなった時にも真っ先に連絡くれた人です。TwitterのDMだったんですけど、「いつでもやるから言うてな。ベースやるから」からって言ってくれて。
その時すごい救われたというか…。本当にいろんなサポートもしてくれて、スタジオに入っててもわたしより率先して進めてくれるし。
最果テのことを3人で…スタッフがいるんで4人なんですけど、これからどうしていくかっていうの会議したりするんですけど、その時もやっぱり率先して意見を言ってくれるんです。その中でもわたしの意見を尊重してくれたりとかもして、一番大人だなーっていう感じ。



—— お話を聞いているだけでも“いい人感”が伝わってきますね。
ドラムのハマザキさんについてはいかがでしょうか?


萩山:ハマザキくんは二つ上なんですけど、友達に近いというか…。
人からの紹介でサポートメンバーとして入ってきたので、お互いよく知らなかったんです。1回対バンしたことあるぐらいだったけど、今はすごい仲良くなりましたね。
だから二人ともすごくわたしは頼りにしてるっていうか、違った位置で助けてくれる(存在)。



—— 二人とも味方だけどそれぞれ役割が違うというイメージですね。

萩山:ハマザキくんは、個人的な話を聞いて相談に乗ってくれる。たいきくんはちゃんとしたアドバイスくれるし、スタッフの人はやっぱり「こうした方がいい」って核心的なことを突いてくれるし、だからなんか3人とも違う位置で私を助けてくれてますね。



—— 信頼関係があるんですね、正直なところ、正規やサポートの線引きはあまり無い感じですか?

萩山:サポートメンバーって言ってるけど正規メンバーとしての意識と同じだし、大切にしているところではありますね。会議とかも全員出ますし、だから正規メンバーとかサポートメンバーとかの差はあんまりない。

作曲について~ステージ上での自分

—— 次は音楽についてお伺いします。
ライヴではストレートなギターロックを演奏している最果テルーティンですが、音源には色々なタイプの楽曲が収録されていますね。
現在のスリーピース体制ではライヴで再現することが難しい楽曲もあると思うのですが、作曲する際に意識していることはありますか?


萩山:今はすごいライブ意識ですね。スリーピースのギターロックでどれだけ出来るかって。
ギターとベースとドラムでどれだけ出来るかって考えると、ライヴでのアレンジ(の幅)が狭まってくるじゃないですか、
だからそこを考えてやらないと駄目になっちゃうっていうか、難しくなるというか、そのスリーピースでのアレンジっていうのが。



—— どうしても制約が生まれてきますよね。

萩山:ギターだけ弾いてたらいいわけじゃないので、イントロにどういう仕掛けをするかとかベースラインとかがやっぱり重要になってくるので、今はそこを考えて作ってますね。



—— 「今は」とおっしゃいましたが、以前は違ったということですか?

萩山:ガラパゴスは同期(音源)をゴリゴリ使ってたバンドだったんで、その時は本当に何も考えずに作ってたというか。
“黒い酸素”も“ラストサマー”も同期でピアノとかゴリゴリ入ってたんで、そこは何も考えてなかったです。自分たちの好きなものを好きなように作ってたのがガラパゴスの時。



—— 割と最近の曲ですが、リリックビデオにもなった“ALC9%”はいわゆるギターロックというサウンドではないですよね?

萩山:リリックビデオの時は、最初からライヴでやらないっていうのを決めて作ってたんですよ。“ALC9%”とかはそれ前提だったんで、どっちかと言うと売り出すというか、流行るっていうか、バズる寄りの曲を作ろうっていう。



—— より広い層にバンド知ってもらうための曲?

萩山:そうですそうです。そんな感じだったんで、本当はもっと早くTikTokとかも始める予定だったんですけど、忙しくてまだ始めてない(苦笑)
そういうのを目的とした曲作りだったので、最果テルーティンとして(有名になりたいという気持ち)はあるけど、結局は“卒業”(のリリックビデオ)を見てもらうための“ALC9%”だったりしましたね。そういう作り方でした。



—— 今年の3月に最果テルーティンのライヴを観させていただきました。
ステージで演奏している時の姿と出番を終えた後の様子にギャップがあって非常に驚いたのを覚えています。
ステージに上がると自然とスイッチが入るのでしょうか? それともオンとオフを切り替えるために何かやっていることがありますか?


萩山:ステージの上でだけは強気でいたいっていう…。
降りた時の自分が本当に弱いっていうか、かっこいいことが言えないんですよ、そもそもが。最近やっと言えるようになってきたんですけど、ライヴする時は強くありたい、強くある自分でいたいので、スイッチが変わりますね、豹変するって言われます(笑)



—— ステージに上がる前に必ずやるルーティンみたいなものはありますか?

萩山:特にはないんですけど、何だろうな…なんかまだまだですね。
ステージに上がっても、まだまだ自己満足でやってる部分が結構あるから、自分の中で。もっともっと強くならなきゃいけないので…まだです。まだ全然何もやってないけど、ステージの上だけでも人から憧れる存在になりたいって感じです。

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