マハラージャン – 洗練されたファンク・サウンドでリスナーを揺らす脱サラミュージシャンとは?

マハラージャン – 洗練されたファンク・サウンドでリスナーを揺らす脱サラミュージシャンとは?

2021年3月にメジャーデビューし、ターバンにスーツ姿という独特なビジュアルからは想像できないシニカルな歌詞と、洗練されたサウンドで注目を集める謎の男マハラージャン

社会人になって抱いていた劣等感や理不尽な仕打ちを、オリジナルなリリックと心地よいグルーヴで表現する「スパイス×ダンスミュージック」というスタイルを武器に、主要音楽配信サービスで注目アーティストとして紹介され、話題になっています。

今回は、そんなマハラージャンについて紹介していきます。

マハラージャンという名前の由来とは?


マハラージャンという名前の由来は、所属している「油田LLC」という作家のマネージメント事務所からミュージシャンとして表に出て活動したいというきっかけから生まれています。

作品をリリースするためのプロジェクト名を考えることとなり、事務所名の「油田」からインスピレーションを受けて「マハラジャ」というフレーズが浮かび上がったことが由来です。

では、「ラージャン」の部分はどこからきたかというと、モンハンのラージャンという敵モンスターが好きで、「マハラジャ」「ラージャン」の両方をつなぎ合わせて「マハラージャン」となったそうです。

このラージャンは、高い戦闘能力を持ち「超攻撃的生物」などと呼ばれ「猛き狂王」の異名を持っているモンスターで、ラージャ(ン)はサンスクリット語で王を意味します。

マハラージャンのシニカルで、時に辛口な物事の心理を突くリリックは、たしかに攻撃的なイメージを醸し出していますよね。

また、「Maha: 偉大なrajan:王」であることを自身のTwitterでも明かしています。

マハラージャンの生い立ちと経歴

ピアノを弾いていた母親のお腹の中にいたときから、モーツァルトを聞いていたマハラージャンは幼少期にバイオリンを習いたいと懇願するもなぜか断られ、ぜんそくを治すために剣道を始めます。

その後、家にあった父親のトランペットを見つけ小4からトランペットを習い始めました。

中学に入学したマハラージャンは吹奏楽部に入部して、3年生を送る会で「テキーラ」という曲を演奏します。

その際にトランペットのソロをアドリブで吹いたところ、体育館の後ろの方に座っていた生徒たちも立ち上がるほどの大盛況だったそうです。

このとき「自分はこういうことが得意なんだ」と音楽を意識し始めることになり、これがその後の大成功を生むきっかけになった最初のエピソードといえるでしょう。

その後、高校を卒業して音楽系の大学に進学することを夢見るも、ピアノが弾けなかったため理系の大学に入学します。

そして、もともとダンスミュージックに憧れのあったマハラージャンは大学内で見たダンスサークルのパフォーマンスに魅了され1年間ダンスを経験。

ファンクをベースにしたロック・ダンスを経験したことで、「踊れるものがいい」という感覚が形になり、体が動くグルーヴやリズムにこだわるという現在のスタイルの素地となる部分を形成します。

また、どうしても音楽をやりたいことが諦めきれず、音大に通う先輩に相談したところ「とにかくたくさん聴け」というアドバイスを受けて、民族音楽からクラシック、ジャズなど様々なジャンルの音楽を吸収していったのもこの時期だそうです。

大学時代には他に、映画についても勉強をしていて、2年で300本もの映画を観るうちに隠喩を用いた表現方法について興味を持つようになります。

作品中に散りばめられたメタファー(隠喩表現)から、物語に込められたメッセージとは何かを考えながら映画を観たことが音楽にも活きていると語っています。

独特な言い回しと語彙を用いた歌詞が踊るマハラージャンの世界観は、まさに映画のような隠喩表現にあるといえます。

マハラージャンは大学卒業後にCM制作会社に就職しますが、「目が死んでいる」といわれたほど過酷な勤労体験をし、その後WEB広告代理店に転職します。

幸か不幸か、CM制作会社に在籍していたときに感じた劣等感や耐え難い苦悩、理不尽な仕打ちが形となって「スパイス×ダンスミュージック」という現在のスタイルができあがりました。

転職したWEB広告代理店では心のゆとりが生まれ、大好きな音楽制作に没頭するうちにマハラージャンの未来への明るい兆しが見え始めます。

ここからは、マハラージャンがメジャーデビューを果たすまでの道のりを紹介していきます。

星野源が中の人?

まず、マハラージャンと検索すれば必ず出てくるのが「星野源」の文字。

もしかして、マハラージャンの中の人って星野源なの?と思った人もいるのではないでしょうか。

答えはすぐにわかりますが、マハラージャンは星野源のラジオ番組である「星野源のオールナイトニッポン」「はがき職人」として、はがきを送る人だったのです。

CM制作会社からWEB広告代理店に転職し、心にゆとりを得た2018年頃から毎週聞いていた「星野源のオールナイトニッポン」の「ジングル」を募集するコーナーに応募し続け、「星野源アワード 2018」では最優秀ジングル賞を受賞しています。

各コーナーの切り替わるときや、CMに入るときなど番組の節目に挿入される短い音楽や効果音をジングルといいます。

マハラージャンは「星野源のオールナイトニッポン」に21回の応募で12回採用されました。

そして、前述の「星野源アワード 2018」で「ねぇ、ねぶって」という楽曲が最優秀賞に選ばれる快挙を成し遂げます。

番組に投稿していたときのラジオネームが「モエチュウ」で番組の制作スタッフやリスナーから高い評価を受けていました。

ちなみに「モエチュウ」とは「燃える中途採用」の略で、WEB広告代理店に転職したときに、やる気をアピールするため「燃える中途採用こと、モエチュウです。よろしくお願いいたします!」とスタッフに挨拶したのがきっかけとのこと。

ということで、マハラージャンの中の人は星野源ではなく、モエチュウがマハラージャンの中の人だということがわかりましたね。

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ハマオカモトが本名?

つぎに、マハラージャンと検索すると今度は「ハマオカモト」という名前も出てきます。

マハラージャンの中の人がモエチュウということは、モエチュウの本名は「ハマオカモト」ってことでしょ?と思った人のために次は「ハマオカモト」について紹介します。

ベーシストのハマオカモトは、オルタナティブ・ロックバンドOKAMOTO’S(2009年加入)のメンバーでダウンタウンの浜田雅功と女優の小川菜摘の長男として知られています。

ハマオカモトは2021年3月に発表された、マハラージャンのメジャーデビュー曲である「セーラ☆ムン太郎」ベースを担当し、230万再生で話題となったファーストテイク出演のときは「セーラ☆ムン太郎」のバンド・アレンジでもベースとして演奏しました。

音楽関係者からの評価も高いハマオカモトは、なんと星野源とも交流があるそうで、2012年頃からレコーディングやライブに参加しています。

何やら不思議な縁を感じるエピソードですね。

「セーラ☆ムン太郎」収録時には、マハラージャンに要望されてベースの弦を引っ張りながら弾く「スラップ」奏法でのプレイを披露しています。

ファンキーなベースラインが強調されている「セーラ☆ムン太郎」の、初見(聴)でも感じる強烈なインパクトの源はベーシストのハマオカモトのプレイにあるといえるでしょう。

ハマオカモトとマハラージャンの関係が見えてきたところで、2人が共演したファーストテイク(THE FIRST TAKE)についても紹介したいと思います。

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ファーストテイク(THE FIRST TAKE)への出演

一発撮りのパフォーマンスからあふれる独特のライブ感や緊張感と、4Kに対応した圧倒的な音や映像のクオリティなど、独自の表現方法で登録者数が450万人を超える人気You Tubeチャンネル「THE FIRST TAKE」です。

マハラージャンは、2021年6月に公開されたファーストテイクの第128回にハマオカモトらと共演し、メジャーデビューEPの「セーラ☆ムン太郎」をバンド・アレンジで披露しました。

ファーストテイクへのオファーがきた当初、現実離れしすぎて状況が理解できなかったと感じながらも、裸の自分をぶつけるように魂を込めた演奏を心掛けたというマハラージャン。

その様子が多くの視聴者の反響を呼び、マハラージャンが出演した第128回ファーストテイクの公開VTRは230万再生と話題になりました。

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マハラージャンのおすすめ3曲

セーラ☆ムン太郎

初見だと人質として出てくる美女がインパクトありすぎて、歌詞が「セーラ―ムーンたろー♪」以外頭に入ってこないという衝撃のMV。

筋肉ムキムキ美女の中の人は、CGではなくフィジーク競技者の「みさ」という人で、フィジークとは主に美しさを鍛えた体で表現し競い合う競技のことです。

ホントは目の前の敵なんか簡単に倒すことだってできるけど、「それでも『いつか』に備えている」彼女にとって、目の前の大人たちが繰り広げる茶番なんてどうでもいいといった感じのウインクなのでしょうか。

ちなみに、エリック・クラプトンを連想させる(連想というかまんま)ギターリフは、「つい手癖でああなった」といっています。

かなりクセが強いようです。

いいことがしたい

「人生初の最高傑作のトラックで歌詞には「ダメな自分」をそのまま詰め込んだ」というこの曲。

ハンパないキレのダンスを踊るサラリーマンの中の人は「KUMA」という人で、ダンスコンテストで日本一に輝いたり、世界大会で準優勝したりと素晴らしい経歴をお持ちのダンサーさんであります。

空ノムコウ

 

パンチの効いた映像が印象的な上述の2作と打って変わって、こちらはマハラージャン直筆のシュールなイラストの「誰か」がいるだけのシンプルな内容となったMV。

その分歌詞の世界に入り込みやすく、この曲を聴いていると背景の夜空を眺めながら、どこか気持ちを解放していくような感覚に浸れる気がします。

劣等感や理不尽な仕打ちから解放されて、気負わず力み過ぎずにありのままの自分を表現しようというマハラージャンの心境の変化が表れているかのような歌詞です。

最新情報

デジタル・シングルを3ヶ月連続でリリース決定

マハラージャンが、2022年1月から3ヶ月連続でデジタル・シングルをリリースすることが発表されました。

3部作のタイトルは「先に言って欲しかった」「比べてもしょうがない」「持たざる者」だということも明かされており、1作目となる「先に言って欲しかった」のリリース日1月15日が待ちきれません!

マハラージャンのまとめ

独特なビジュアルからは想像できない洗練された楽曲を次々とリリースするマハラージャン。

現状には全く満足せず、大好きなダフト・パンク(2021年解散)に「一緒にやろうよ」といわれるところまで上り詰めることが目標であると語っています。

「それでも『いつか』に備えて、ありふれた日常と戦い、たまにミラクルを起こしながら、デカいビジョンを描いてる」マハラージャンに今後も期待しましょう。

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