帰ろう – 藤井風 | 死生観を問いかける名曲を徹底解説! 歌詞とMVに秘められた想いとは…?

帰ろう – 藤井風 | 死生観を問いかける名曲を徹底解説! 歌詞とMVに秘められた想いとは…?

MVから紐解く「帰ろう」

想像力を刺激する歌詞が特徴的な「帰ろう」ですが、公開されたMVにも様々な要素が隠されています。楽曲と共にメッセージ性が強く、その解釈は人によって実に様々です。

それはまるで映画のワンシーンのようで、楽曲はそれの主題歌や挿入歌のように思えます。ここからも筆者独自の解釈や気付いた点をご紹介するので、気になる方はぜひご覧ください。

矢印の向こう側


MVのロケ地は「茨城県神栖市」。その市内のとある製造所内で撮影が行われました。冒頭で路面に描かれた一つの矢印。その矢印の示す先に向かってソファを押す、藤井風とエキストラの面々。

ただ、この矢印が折れていることに気付いたでしょうか。まるで線引をしているかのようにも見えます。歌詞の解説でも紹介しましたが、ここから先は三途の川であるというサインなのかもしれません。

この楽曲のテーマが細々と描かれている


イントロで密集していた人々が徐々に離れ、ソファから荷物が転がり落ちるシーン。車、風船、手、旅行鞄、松葉杖など、ありとあらゆるものが人々の手から離れていく。そのどれもが「手放す」に通じる内容となっています。

それぞれが手放しながらもどこか達成感や安堵にも似た表情。彼らにとって捨てることは悲観することではなく、むしろ幸せの一つであると語っているようにも見えます。

「生」と「死」を描きながら、ではどのように生きればいいのか。藤井風は制作の中でそのように自問自答したそうです。

解説の中でも述べましたが、捨てることができるのは与えられる必要があります。映像の中で手放していく彼らの行動は、幸せを享受した証でもあり、それは新たな一歩を踏み出す前準備であるのかもしれません。手放すが幸せの証であるならば、彼らのラストの表情には納得できるでしょう。

意味深な女子高生


このMVで一つ不可解な点があります。それが「女子高生」の存在です。彼女も周囲の人と同じく道を歩くのですが、ラストシーンでは彼女がポツンと立ち尽くしています。そして冒頭部分では彼女だけが意図的にカメラ目線でこちらを見ています。

気付いた方の中にはゾッとした人もいるのではないでしょうか。そして他のエキストラが次々と荷物を手放していく中、彼女だけがずっと鞄を持ち続けています。筆者独自の解釈としては、彼女はまだ迷っている最中なのかもしれません。

また、彼女と同じ年代と思えるエキストラは一人もいません。子供は好奇心のままに走り去り、大人達は経験と知識から荷物を手放していきます。しかし、子供でも大人でもない、思春期真っ只中の彼女は、どうすればいいのかと悩んでいるのでしょう。

そう考えると彼女の気になる行動の数々は、私達へのメッセージなのかもしれません。藤井風が自問自答したように「幸せな死を得るために、あなたはどう生きますか?」と、問いかけているようにも思えます。

繰り返すことで味が出る楽曲

藤井風の「帰ろう」を掘り下げて解説しましたが、皆さんはどのように感じたでしょうか。

今回ご紹介したものが正解というわけではありません。人によって解釈もそれぞれでしょう。

また、今回ご紹介していない中にも気になる点は多数あります。何度も繰り返し見ることでわかることもあります。

ぜひ様々な角度から楽曲の良さ、MVの演出の仕方に着目してみてください。

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