竹内まりや – 「元気を出して」「プラスティック・ラブ」「人生の扉」 時を超えて愛される名曲7選

竹内まりや –  「元気を出して」「プラスティック・ラブ」「人生の扉」 時を超えて愛される名曲7選

1978年にデビューし、シンガーソングライターとして活躍する竹内まりや

Plastic Love」「いのちの歌」「」など、数えきれないくらいのヒット曲で知られています。

そんな竹内まりやですが、代表曲「元気を出して」が、2021年7月に「アサヒ生ビール」のCMに起用されたこと、ご存知ですか?
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「元気を出して」がリリースされたのは1988年と、30年以上も前のことです。数十年の時を経ても人気を誇る竹内まりやの魅力とは、一体どこにあるのでしょうか?

今回は、竹内まりやの代表曲7曲を紹介します!

竹内まりやのプロフィール

竹内まりや

    生年月日:1955年3月20日
    出 身 地:島根県出雲市大社町
    1978年にシングル「戻っておいで・私の時間」アルバム「BEGINNIG」でデビュー
    1979年の3rdシングル「SEPTEMBER」で日本レコード大賞 新人賞を受賞
    1981年に活動を休止し、1982年に山下達郎と結婚
    その後は、家庭を優先しながらも作詞・作曲家として楽曲提供しながらアルバムをリリースするなど、「シンガー・ソング・専業主婦」として活躍中

竹内まりやは、1955年3月に、島根県出雲市大社町で生まれました。名前の通り、出雲市大社町は出雲大社がある町で、観光客がたくさん訪れる町です。そんな神秘的な場所で、彼女は旅館の娘として生を受けました。

高校時代にアメリカ留学を経験し、1974年には慶應義塾大学 文学部 英文学科に入学します。音楽サークル「リアルマッコイズ」に所属し、「ウイスキーが、お好きでしょ」の作曲者として知られる杉真理と出会います。

1978年11月にシングル「戻っておいで・私の時間」、アルバム「BEGINNING」でデビューを飾ります。当時竹内まりやは23歳。その美貌から、初期は歌手としてよりもアイドル・竹内まりやとして売り出されることが多かったそうです。

デビュー前に思い描いていた歌手としての夢と、アイドルとしての自分が求められる現実とのギャップに、竹内まりやは“このままでいいのだろうか?”と悩み始めます。そんな時、親身に話を聞き、彼女を支えたのが山下達郎でした。

休養のため活動休止を挟みながらも、1982年に山下達郎と結婚します。結婚後は家庭を優先しているため、メディアの露出やライブ活動など表立った活動は減っているものの、「駅」「シングル・アゲイン」などヒット作を生み出し続けています。

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2018年にはデビュー40周年を迎え、2019年には「いのちの歌」で第70回紅白歌合戦に初出場を果たしました。現在も日本を牽引するアーティストの1人として活躍中です。

竹内まりやの魅力が光る名曲7選

竹内まりやは非常にヒット曲が多いアーティストです。今回はその中でも、より彼女の魅力が光る名曲7曲について紹介します。

「プラスティック・ラブ」洗練された雰囲気とノスタルジーのギャップ

YouTubeを中心とした動画投稿サイト、ストリーミングサービスの急速な普及により、時代や地域を超えた音楽に、簡単に出会うことができるようになりました。

そんな中、海外で注目を集めているのが“シティ・ポップ”。日本にもともとあったヨナ抜き音階やこぶしを使った音楽とは異なり、より都会的に洗練されたJ-POPの形態を指しています。

竹内まりやが作詞・作曲した、「プラスティック・ラブ」も、シティ・ポップに代表される楽曲の1つです。この曲は1984年にリリースされた6枚目のアルバム「VARIETY」の1曲で、いまやシティ・ポップの代名詞と言われるほど、海外を中心に多くのファンに愛されています。

この曲では、思わず身体が動いてしまうようなグルーブ感に、同じ旋律やリズムパターンが何度も繰り返されるループ構造が印象的です。そのシンプルでスタイリッシュな雰囲気は、数十年も前の曲とは思えません。

一方で、どこか切なさや懐かしさが感じられるのもこの曲の魅力。 “孤独な友だち”という歌詞に絡まる切なげな電子ピアノの音色、間奏途中であらわれる夫・山下達郎のエレキギターの旋律が、ノスタルジックな演出に一役買っています。

また「プラスティック・ラブ」は、2021年春から、下着や香水で有名なメーカー・Calvin Klein(カルバンクライン)のCMに起用されています。

リリースから30年の時を超えた今も、多くの人に愛されている理由は、その洗練された雰囲気と、どこか醸し出されるノスタルジーさギャップにあるのかもしれませんね!

「シングル・アゲイン」別れた恋人との“本当のさよなら”を噛みしめる

1989年にリリースされた、竹内まりや18枚目のシングル「シングル・アゲイン」。「火曜サスペンス劇場」の8代目主題歌ということもあり、他の竹内まりや作品に比べ、暗めのコードで進行するメロドラマのような印象を受けます。

歌詞に“あなたを連れ去る あの女性(ひと)の影に 怯えて暮らした”、“彼女を選んだ理由(わけ)さえ聞けずに”、“見失った約束”とあることから、交際中の彼が他の女性と結婚してしまったことが分かります。

しかし、そんな彼の人生は順風満帆ではありませんでした。曲のタイトルは「シングル・アゲイン」と言いますが、シングルは“独身”のこと、アゲインは“再び”という意味をもちます。歌詞に“また独りに返ったと 風の便りに聞いてから”とある通り、彼の方は破局してしまったようです。

“私と同じ痛みを あなたも感じてるなら 電話ぐらいくれてもいいのに”という歌詞から、主人公は復縁を望んでいるのかと想像してしまいますが、実はそうではありません

最後に“あなたも悔やんでるなら やっと本当のさよならできる”という歌詞があります。自分と交際していたにも関わらず、別の女性のもとに行ってしまった彼。一番憤りを感じたのは、捨てられた側の気持ちを分かってくれないことだったのかもしれません。

今更でもいいから、せめて彼が申し訳なさを感じてくれたなら、過去に傷付いた自分の気持ちに決着を着けられるのに。
そんな女心が、ひしひしと感じられるような1曲です。

「すてきなホリデイ」20年以上愛されるクリスマス・ソング

毎年クリスマスが近づくと、テレビCMなどあちこちで流れる“クリスマスが今年もやってくる”というフレーズ。このフレーズに、胸を高鳴らせた方は少なくないでしょう。

このフレーズは、竹内まりや31枚目のシングル「すてきなホリデイ」のサビで、2000年から20年以上もケンタッキー・フライド・チキンのCMに使われています。

当初ケンタッキー・フライド・チキンには、別の楽曲が起用されていたのですが、“ファミリー向けの曲調で”と依頼があり、2000年に書き下ろされました。

冒頭の“近づいている 冬の足音 耳を澄ませば 聞こえる鈴の音…”は、まだクリスマス前の夜、眠気の残るまどろみの中で歌っているかのよう。

しかし徐々に鈴の音が鳴りだして、クリスマスが近づいてくることが分かります。管楽器の豊かな音色、明るい曲調にワクワクが止まりません

また、この曲の素敵なところは、“クリスマスは誰にもやって来る もしひとりぼっちでも 淋しがらずに 心に住むサンタに呼びかけて”という歌詞にあるでしょう。

家族・友人・恋人と過ごす人も、1人で過ごす人も、全員含めて楽しんでほしい!という竹内まりやの思いが伝わります。

木村拓哉の甘いセリフを堪能!「今夜はHearty Party」

実は、竹内まりやとケンタッキー・フライド・チキンの歴史は長く、初めてタッグを組んだのは1995年に遡ります。当初は若者向けのダンスミュージック「今夜はHearty Party」が使用されていました。

聴くと踊りだしたくなるようなビート感、ディスコにいるかのようなキラキラしたシンセサイザーの音色に、テンションが上がります。その上、曲の冒頭から“ねぇ、パーティにおいでよ!”、ラストには“愛してる”という、甘い囁き声も聞き逃せません。

なんと、この囁き声の正体は、SMAPの元メンバー・木村拓哉

“私の良さがわからない なんて不幸なヤツだろう”と強気な歌詞ですが、最後に“今度こそ本当の素敵な恋つかまえよう キムタクさえもかすむような男”と木村拓哉の名前が使われています。その縁があって、囁き声やコーラスに木村拓哉が参加しているのです。

キムタクの声にときめきながら、ダンス・ミュージックを楽しみたい方におすすめです!

「人生の扉」年を重ねる喜びと希望を胸に

1978年に竹内まりやがデビューした当時、彼女は22歳。いつまでも可愛らしい少女のままかと思いきや、いつの間にかデビューから数十年もの時が経ちました。

52歳を迎えた竹内まりやが、2007年にリリースしたのが35枚目のシングル「チャンスの前髪/人生の扉」です。

幼い頃は誕生日があれだけ嬉しかったのに、気付けば年を重ねることにネガティブなイメージをもってしまったこと、ありませんか?竹内まりやの「人生の扉」には、そんな方々に向けた、熱いメッセージが込められています。

“And they say it’s lovely to be 40. But I feel it’s nice to be 50.”
これは日本語訳すると“みんな「40歳になるのは素晴らしいこと」と言うけれど、わたしは「50歳になるのも悪くない」と思うわ”という意味になります。また、なんといっても、“君のデニムの青が 褪せてゆくほど 味わい増すように 長い旅路の果てに 輝く何かが 誰にでもあるさ”という歌詞の奥深さに驚嘆します。

竹内まりやにとって、年を重ねることは、決して焦ることでも気が滅入ることでもないのです。目尻に刻まれた笑いジワのように、培った経験はわたしたちの人生に深みを与えてくれるはず。温かく支えてくれるようなこの歌詞は、この先も多くの人に生きる喜びと希望を与えていくことでしょう。

真逆の解釈?!「駅」中森明菜版と竹内まりや版

1986年、中森明菜がリリースしたアルバム「CRIMSON」中の1曲「」。リリースされた当時、中森明菜は21歳であり、アルバムのコンセプトも“20歳すぎの女性が誰でも経験しそうな物語”でした。

そのコンセプトを受け、作詞・作曲したのが竹内まりや。メロドラマさながらの音楽をバックに、電車で偶然見かけた以前の恋人への気持ちをたっぷりと歌い上げています。

中森明菜版では、今にも消えてしまいそうな、つぶやくような歌い方が印象的です。
“懐かしさの一歩手前で こみあげる 苦い思い出に 言葉がとても見つからないわ”
という歌詞が、まだ恋人への未練を消化しきれていないかのように胸に迫ります。
全体的に哀愁たっぷりに、痛々しくも切なく歌われています。

ところが、山下達郎は中森明菜の「駅」に納得がいかず、苦言を呈したことがありました。中森明菜本人に対してではなく、そのような歌い方を指示したスタッフに対してだとも言われています。

山下達郎は、より納得のいく形でこの曲をアレンジをしたかったのでしょう。竹内まりやにセルフカバーを勧め、中森明菜版がリリースされた翌年の1987年、アルバム「REQUEST」に収録されました。

中森明菜版では未練たっぷりに聞こえた“言葉がとても見つからないわ”も、竹内まりや版では、彼の“うつむく横顔”に対し、どこか憐れみが感じられます。

また、中森明菜版よりも、ダイナミックさの増した歌い方が胸を打ちます。愛し合っていた頃に思いを馳せているというよりも、彼女の中で彼は清算された過去の男で、愛していた過去の自分にはもう戻れないのだという気持ちが伝わります。

解釈は人それぞれなので、どちらが正解・不正解ということはないでしょう。
2つを改めて聞き比べてみると、新たな発見があるかもしれませんね!

「元気を出して」失恋した友人の背中を押す歌

1984年にリリースされた、薬師丸ひろ子の1stアルバム『古今集』の1曲、「元気を出して」。竹内まりやが作詞・作曲を務め、薬師丸ひろ子に楽曲提供をしました。

“彼だけが 男じゃないことに気付いて”、“人生はあなたが思うほど悪くない”と、失恋した女友達を慰める歌詞になっています。薬師丸ひろ子の透明感あふれる歌声に、前向きな気持ちを取り戻した方も多いのではないのでしょうか。

1988年には、竹内まりや自身によるセルフカバーもされています。薬師丸ひろ子版に比べ、より爽やかさ快活さが際立ち、ポジティブな印象です。

特に竹内まりやらしさが発揮されているのは、“少しやせたそのからだに 似合う服を探して 街へ飛び出せばほら みんな振り返る”の部分でしょう。どこか楽し気な歌い方に、失恋の傷みに寄り添いつつ笑い飛ばしてくれるような、頼もしい女性像が浮かび上がります。

また、竹内まりや版のバックコーラスには薬師丸ひろ子が参加しています。竹内まりやの力強い声に透明感のある歌声が合わさることで、楽曲に深みが増しています。

まとめ

デビューから数十年経っても、人々の心を楽しませ、慰め、活力を与える曲を生み出し続ける竹内まりや。彼女のもつ普遍的な魅力は、世代を超え、今後もますます愛され続けていくことでしょう。

今回紹介した曲のほとんどは、彼女のベストアルバム「Expresssions」に収録されています。今回取り上げた曲、また紹介しきれなかった数多くの名曲を、ぜひ探してみてくださいね!

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