千本桜 – ボカロ文化を代表する超名曲! その10年の歴史と関連情報を徹底解説

千本桜 – ボカロ文化を代表する超名曲! その10年の歴史と関連情報を徹底解説

YouTubeでの再生回数は300万回、ニコニコ動画での再生回数は1000万回を超える、大人気ボカロ曲「千本桜」

2011年の公開から10年が経った今もなお、多くのボカロファンから聴かれ続ける超人気曲であり、小説化漫画化、さらには舞台化や有名な施設とのコラボ企画も多く行われる等、ボカロ文化の発展にも大きく貢献してきた、名実ともにボカロを代表する名ソングとなっています。

この記事では、そんなボカロを代表する名ソングについて徹底解説します

一体どのような経緯で人気になったのか、どんな魅力が人々を惹きつける理由となったのか、一体どんな発展をボカロ界にもたらしたのか。
「千本桜」の10年間に迫ります!

「千本桜」とは

「千本桜」はボカロP 黒うさPが作った、初音ミク歌唱のボカロ曲です。

公開日は2011年9月17日
ニコニコ動画にて、MVの公開が行われました。

公開直後から爆発的な速度で再生回数を伸ばし続け、41日後にミリオンを達成
このミリオン達成速度は、当時のニコニコ動画において歴代7位にあたる速さでした。

さらに翌年1月7日にはダブルミリオンも達成。
この時、黒うさPには「千本桜」以外にも2曲、ミリオンを達成した楽曲がありました。
ですがダブルミリオンを達成した事で、「千本桜」はそのどちらもを凌駕し、黒うさP最大の人気楽曲へと躍り出る事となります。

以降も再生回数を伸ばし続け、同年4月8日にトリプルミリオンを、8月12日にクアドラプルミリオンを達成。
さらに2013年1月13日に、クインティプルミリオンを達成します。

また同年、トヨタ自動車「アクア」のCMソングピアニストとして弾いてみたの投稿活動を行っていたまらしぃによる「千本桜」の弾いてみたが採用され、「千本桜」のメロディーがお茶の間に流される出来事も起こりました。

その他にも驚異の人気から、本作を原作にした小説漫画の発売、「音楽劇」と称したミュージカルも上演され、「千本桜」は更に多くのボカロ好きの人々の目に留まるようになります。

さらには、カラオケにも収録が行われ、2012年度カラオケランキングにて、ボカロ史上初となる総合3位を獲得
その後も2013年度、2014年度と連続で3位を獲得し、JOYSOUNDのカラオケランキングでも2位を獲得と、驚きの快挙を成し遂げていきます。

動画の再生回数も落ちる事なく伸び続け、公開から約5年後の2016年2月11日、ついに1000万再生を達成

当時、ニコニコ動画で1000万回を達成しているボカロ曲は2つしかなく、「千本桜」はその記念すべき3曲目として、ボカロ史に名を刻む事に。
1000万再生を達成した動画に与えられる貴重な称号「VOCALOID神話入り」も、動画ページにタグ付けされ、「千本桜」は誰もが知るボカロ名ソングとなったのです。

「千本桜」の魅力

大正浪漫を感じさせる作風と風刺的な歌詞

「千本桜」の最大の魅力は、その独特な世界観にあります。

疾走感溢れるギターとピアノが合わさって生まれた、「大正浪漫」を感じさせる和ロックテイストの曲調。
そして、大正時代を思わせる言い回しや言葉を使いつつも、現代を風刺するような暗喩的な歌詞

さらにはイラストレーター・一斗まると、PV作家・三重の人が作り出した歌劇風MVが、作品全体の世界観にさらなる統一感を与えより一層の没入感を生み出す事に。
一筋縄ではいかない、深い作風に引き込まれる人々が続出する事となります。

なお、黒うさP曰く、実は制作初期の時点では「千本桜」というキーワードは決まっていたものの、大正時代をモチーフにする事は決まっていなかったといいます。

このテーマが決まったのは、一斗まるが描いたイラストを目にした時の事だそうです。
他の歌詞も一斗まるの描いたイラストを見ながら作り上げた事が明かされています。

「千本桜」が魅せる、強い没入感は、こうした制作の経緯があったからこそ、生まれたものなのかもしれません。

歌ってみたや踊ってみたなどの派生動画の数は1500越え!

人気ボカロ曲になった「千本桜」には、当然ながら歌ってみた踊ってみたといった派生作品が多く存在しています。

その数はニコニコに動画で確認できるだけですでに1500を越えているといわれており、原曲を聴く時は「千本桜 本家」と検索しなければ見つからない程となっています。

その中にはもちろん、トヨタ自動車のCMに採用されたまらしぃの動画もあります。
替え歌「音MAD」と呼ばれる動画作品も多く作られており、ボカロという枠を越え、様々な動画ジャンルで愛される楽曲となっているようです。

また2015年には、動画サイトの枠を越え地上波で「千本桜」が演奏されるという大事件も起こりました!
2015年4月3日に放送されたテレビ朝日「ミュージックステーション」に出演した和楽器バンドが、「千本桜」を演奏したのです!

和楽器バンドによる「千本桜」は、YouTubeにてMVが公開されており、2021年10月現在では再生回数が1億回を超える大人気MVとなっています。

さらに同年に放送された第66回NHK紅白歌合戦にて、特別枠として出演した小林幸子が「千本桜」を歌唱!

国民的有名歌手が「千本桜」を、それも紅白歌合戦で歌ったという事で、「千本桜」はボカロファンだけではなく、様々な層の人々から注目を集めました。

ボカロやネットの枠を超え、幅広いクリエイター・アーティスト達にカバーされる名曲です!

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小説に漫画、舞台、様々なボカロ文化への貢献を行ってきた名曲

2013年、「千本桜」をもとにした小説「小説 千本桜」が発売されました。

全5巻の長編となった本作は、発売が開始された2013年春にオリコンの文芸部門ランキングにおいて1位を獲得するという快挙を成し遂げる事となります。
4巻が発売された2015年時点には、累計売上数35万を突破。最早ヒット作と呼んでも過言ではない売上数でしょう。

またこの小説をもとにした漫画「千本桜」の連載も行われました。
一度は終わりを迎えるも、その後続編となる漫画「千本桜 -大正百年帝都桜京-」の連載がヤングガンガンにて開始。「千本桜」の人気を改めて世間に知らしめる事となりました。

この他にも、「太鼓の達人」「maimai」といった有名音楽ゲームへの楽曲収録、楽曲を原作とした音楽劇(ミュージカル)の公演、ビッグエコー大江戸温泉物語等の有名娯楽施設とのコラボと、「千本桜」はボカロを代表する名曲として、様々な企画を行っています。

なかでも、2016年4月に行われた「ニコニコ超会議2016」にて公演された「千本桜」を原作とした歌舞伎「今昔饗宴千本桜」その代表格といえるでしょう。

NTTの最新技術を使い、中村獅童を筆頭としたリアルの歌舞伎役者と初音ミクを共演させるという新たな手法が取られ、ボカロだけではなく歌舞伎界も震撼させる舞台となりました。

「超歌舞伎」という新たなジャンルとして、ニコニコ超会議にて定期的に開催が行われる様になった他、公演後は京都にある劇場「南座」でも公演が行われ、ニコニコ動画やテレビを通した時とはまた異なる幅広いユーザー層にボカロの存在を知らしめる事となりました。

まさしく、ボカロの文化としての発展に大きな貢献を行ってきた楽曲だといえるでしょう。

音楽劇を通して誕生した「千本桜」の派生楽曲「上弦の月」

その人気から、小説化や漫画化等、色々な成果を成してきた「千本桜」。

実はその成果の中で新しく生まれた楽曲が存在するのを、ご存知でしたか?

それが、KAITO歌唱のボカロ曲「上弦の月」です。

本作は音楽劇「千本桜」の劇中歌として、黒うさPが制作した楽曲となっています。

KAITOをモデルに制作された音楽劇「千本桜」の登場人物・靑音海斗(せいね かいと)の為に制作された楽曲となっており、舞台では海斗役を務めた加藤和樹が歌唱を務めました。

その後、2013年7月15日にニコニコ動画にて、2014年12月2日にYouTubeにて、KAITO歌唱版が公開されました。

文明の流れを感じる騒がしく賑やかな空気があった「千本桜」とは真逆に、本作の作風は静かで落ち着いたどこか物悲しい雰囲気を感じられるバラードとなっています。

歌詞も「千本桜」にあった暗喩的なものとは異なり、情景が鮮やかに想像できる言葉並びのものに仕上げられています。
きっと何も知らずにこの楽曲を聴いたのならば、靑音海斗が登場するMVを見ない限り、本作が「千本桜」に繋がっている事には気づけないかもしれません。

だからといって、楽曲そのものの評価が低いわけではありません
コメント欄には、「こんな綺麗な曲は聴いたことがない」「儚げで素敵な曲」と、多くの高評価コメントが寄せられています。
歌詞内の情景描写の緻密さが、舞台の内容を知らなくとも楽曲に込められた物語が想像しやすい、という事もまた、本作が様々な人に聴かれ続けている理由の1つだと思われます。

「千本桜」しか知らない方は、ぜひ一度、「上弦の月」も聴いてみてください。

最新情報

「千本桜」の公開から10周年を迎えた2021年、10月現在。
「千本桜」の誕生10周年を祝う音楽フェス「千本桜10th Anniversary Festival 大胆不敵なハイカラ革命!」が開催される事が発表されています。

開催日は11月21日。場所は、千葉の舞浜アンフィシアターです。
黒うさPが総合プロデュサーを務め、「千本桜」に関わりがあるアーティスト達を迎えたフェスにする事が明かされています。

まらしぃ亜沙(和楽器バンド Ba)、小林幸子といった、この記事でも紹介させて貰ったアーティスト達も、フェスに参加するようです。

その他にも、+α/あるふぁきゅん。うみくんと、ボカロ・歌い手好きであれば、名前を知らない者はいないであろう有名人達が参加!
YOASOBIのコンポーザーとして大活躍中のボカロP / アーティストのAyaseも参加する事が決まっており、ボカロ音楽が好きな人には注目必須のメンバー揃いとなっています。

MCを務めるのは、プロ司会者の百花繚乱(ひゃっかりょうらん)と声優の藤田咲(ふじた さき)の2人。

百花繚乱はニコニコ動画出身のタレントであり藤田咲は初音ミクのボイスの音源提供者である人物です。
彼等もまた、ニコニコ動画、そしてボカロと共に育ってきた「千本桜」ファンには、注目すべきメンバーだといえるでしょう。

正に「千本桜」の為の、「千本桜」尽くしの音楽フェス!
大人気楽曲の10年間の軌跡を感じられる大きなフェスになる事、間違いなしでしょう!

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千本桜・まとめ

10年経っても、多くの人々から支持され続ける「千本桜」。
今後もきっと、ボカロを代表する名曲として人々に聴き継がれていく事でしょう。

廃れる事のない、伝説級の名ボカロソングです!

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