堀江晶太 【超詳細解説】ボカロP・kemu、ロックバンド・PENGUINRESEARCHとしても活躍!鬼才コンポーザーを徹底解説

堀江晶太 【超詳細解説】ボカロP・kemu、ロックバンド・PENGUINRESEARCHとしても活躍!鬼才コンポーザーを徹底解説

コンポーザーやバンドのベーシストなど、さまざまな立場から音楽を生み出している堀江晶太(ほりえしょうた)

2017年には、自身が「六兆年と一夜物語」などで絶大な人気を誇るボカロP・kemuと同一人物であることを明かし注目を集めました。

この記事では、そんな堀江晶太(kemu)の経歴や代表作を紹介しながら彼の魅力に迫ります。

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堀江晶太のプロフィール・経歴


名前:堀江晶太
誕生日:5月31日
血液型:AB型
出身地:岐阜県

空想の世界を楽曲にするKEMU VOXXの結成

10代の頃からコンポーザーとして活動していた堀江晶太は、母親の影響もあり松任谷由美やEaglesを聴いて育ちました。彼らの音楽に共存している哀愁と温かさは当時の堀江の心を掴み、重要な音楽のルーツとなっています。

また他にも、ゲームやバンド活動に熱中し青春の全てを捧げました。ゲームにおいては、物語の世界観やキャラクターの心理を表現した美しい音楽をよく聴いていたのだとか。

音楽浸けの学生生活を終えて上京した堀江は音楽制作会社に入社し、知識や経験をより深めていきました。この時に得た知識や経験がkemu、あるいは堀江晶太として生み出す音楽の一部になっていることは間違いありません。

そして2011年、ボカロP・kemuとしてクリエイティブチーム・KEMU VOXXを結成。イラストレーターの八ツ子、動画クリエイターのke-sanβ、アドバイザーのスズムらと共に楽曲制作を行い、動画サイトへの投稿を始めました。

KEMU VOXXが生み出す音楽の特徴は、空想の世界をテーマにしていること。さらに、ボカロ曲ならではの「打ち込みでつくれる音楽」という特色を最大限に活かし、人間が楽器で弾けない、もしくは歌えないような表現を徹底的に追求しています。「六兆年と一夜物語」や「地球最後の告白を」などの代表曲を聴いてみても、一切妥協をせず、耳で聴いて格好良い音を取り入れたいというチャレンジ精神が伝わってきます。

また、シリーズとして投稿されている楽曲はいずれも、どこか謎を残したストーリー性豊かな歌詞が魅力です。堀江は「星新一さんのショートショートが大好き」と語っており、短編小説を書くようにして、リスナーの考察や妄想力をかき立てるようなストーリーを仕上げているのだとか。

ボカロPの活動を一時休止、ロックバンド・PENGUINRESEARCH結成

2013年5月に「敗北の少年」を投稿した堀江は、ボカロP・kemuとしての活動を一時休止。その後暫くはコンポーザー、PENGUIN RESEARCHのベーシストという2本の柱を立てて活動していきます。

PENGUIN RESEARCHは、ボーカル・生田鷹司(いくたようじ)、ベース・堀江晶太、ギター・神田ジョン、ドラム・新保恵太(しんぽけいた)、キーボード・柴崎洋輔(しばざきようすけ)の5人からなるロックバンド。2016年にアニメ「デュラララ!!×2 結」のエンディングテーマ「ジョーカーに宜しく」でメジャーデビューを果たしました。

フィクションの世界を楽曲にするKEMU VOXXに対し、PENGUIN RESEARCHでは現実世界をテーマにしています。「両者で全く違うものを書きたい」という堀江のこだわりから生まれた線引きです。

メジャーデビュー後、爽やかでポップな曲を多く発表していたPENGUIN RESEARCHですが、2017年3月にリリースされた1stフルアルバム「敗者復活戦自由形」で大きく方向転換します。

それまでの楽曲とは対照的にヘヴィなハードロックを基調とし、腹の底に溜めた怒りや鬱憤を叫ぶような楽曲が揃っています。

同アルバムは以前までの「PENGUIN RESEARCHらしさ」を良い意味で無視し、コンセプトやルールも決めずに作られました。それまでドロップチューニング(通常のチューニングよりも音を低く設定すること)をしないと決めていた堀江でしたが、自分のルールに囚われずやりたいことを思いきりやろうと考え解禁。守りに入らない、攻めたサウンドが心に刺さります。

新しいチャレンジを詰め込んだアルバム「敗者復活戦自由形」を経て、自分達のバンドはこうだ、という正解を押し付けないスタンスをより強めていったPENGUIN RESEARCH。ライブやSNSでのファンとの対話を大切にする彼らが、今後どのような音楽を世に送り出すのか期待が高まります。

新曲投稿と共に「kemu=堀江晶太である」と公表

ボカロP・kemuとしての活動を一時休止し、楽曲提供とバンド活動を並行して始めてから暫くの間、堀江は「kemu=堀江晶太である」と明かしていませんでした。

しかし、2017年5月31日にいよいよその事実を公表。同時にkemu名義としては4年ぶりとなる新曲「拝啓ドッペルゲンガー」をニコニコ動画・YouTubeへ投稿し、大きな反響を呼びました。kemu作品のファンから「おかえりなさい」「待ってた」と喜びのコメントが怒涛の勢いで寄せられ、投稿から1週間でニコニコ動画での再生回数が50万回弱まで増加。彼の生み出す音楽がどれだけ多くのファンを魅了してきたかが窺えます。

「拝啓ドッペルゲンガー」は「理不尽な世界を代わりに生きてくれる分身が欲しい」と思っていた主人公のもとへドッペルゲンガーが現れるが、いつしか自分の居場所が浸食され、本当の自分が何なのか分からなくなってしまう……という楽曲。

kemuの楽曲はどれもハイスピードで激しいサウンドが特徴でしたが、同曲は特に、PENGUIN RESEARCHのアルバム「敗者復活戦自由形」で取り入れられているようなメタル調の仕上がり。デスボイスのような掛け声が入ったり、ギターが凄まじいスピードでかき鳴らされたりと非常にヘヴィです。堀江自身も、バンドで生み出した音楽の要素が少なからず影響を与えていると語っています。

さまざまなフィールドで音楽を作っている堀江ですが、何か1つの活動のせいで他への熱量が失われることは全く無く、全てに100%の力を注いでいます。新たなチャレンジをすることで得た知識や感覚をしっかりと自分の物にし、それをまた別の分野へ活かす姿勢に脱帽です。

ボカロP・じんと共にTHE IDOLM@STER楽曲へ参加

コンポーザーとして、LiSA、ベイビーレイズJAPAN、茅原実里など数多くのアーティストに楽曲を提供している堀江。その中でも、アイドル育成ゲーム界で絶大な人気を誇る「THE IDOLM@STER」(通称アイマス)への楽曲提供や演奏への参加は、コラボ相手の豪華さも相まって毎回高い評価を得ています。

堀江は、2017年11月に「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」ゲーム内楽曲「Raise the FLAG」でアイマス楽曲へ初参加。その後も「FairyTaleじゃいられない」「UNION!!」「LEADER!!」などたて続けに作編曲・ベース演奏などを担当し、アイマスファン・堀江ファン双方を魅了してきました。

そして2019年6月、堀江は「アイドルマスター ミリオンライブ!」の公式コミカライズ作品「Blooming Clover」5巻限定盤に収録されている「Clover Days」で編曲・ギター演奏を担当しました。

作曲を担当したのはなんと「カゲロウプロジェクト」で有名なボカロP・じん。堀江とは何度も共同で楽曲を作っており、音楽家として互いにリスペクトしあう関係です。2人のTwitterを覗いてみると、非常に仲の良い様子が伝わってきます。

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「Clover Days」の歌詞を綴ったのは、堀江が幾度も楽曲提供を行ったベイビーレイズJAPANの元メンバー・渡邊璃王。同曲へは、作家活動を行う際の別名義・工藤了で参加しています。堀江がコンポーザーとして共に仕事をした2人が揃い、ひとつの楽曲を生み出すという胸熱エピソードに多くのファンが胸打たれました。

同曲は、インディーズデビュー直後のPENGUIN RESEARCHを彷彿とさせるような爽やかでポップなサウンドが魅力。美しいピアノの音色や、それに寄り添うような堀江のギター、間奏部分でベースが奏でるソロなど聴きどころが盛りだくさんです。

アイマスを知らない人、知ってはいたが楽曲を聴いたことがないという人にも是非聴いてほしい名曲です。

歌い手・まふまふの10周年記念トリビュートアルバムに参加

2022年3月23日、圧倒的な歌唱力とハイトーンで人気の歌い手・まふまふの活動10周年を記念して「まふまふ トリビュートアルバム ~転生~」が発売され、ボカロ・歌い手ファンを中心に大きな話題を呼びました。

複数の作家・歌い手がまふまふへのリスペクトをもって制作した同アルバムでは、なんといってもその豪華すぎるメンバーに注目が集まっています。

Adoの大ヒット曲「うっせぇわ」を手がけたsyudou、人気音楽ユニットYOASOBIのコンポーザー・Ayaseなど、日本の音楽シーンを牽引する名だたるメンバー達がまふまふのオリジナル曲をリアレンジ。堀江もアルバム制作へ参加し、疾走感溢れる激しいサウンドが魅力の「輪廻転生」をメタル要素たっぷりに表現しました。

「輪廻転生」でボーカルを務めたのは、爽やかな歌声と人柄でファンから愛されている歌い手・天月-あまつき-。堀江が得意とするメタル全開のサウンドに負けることなく、最初から最後までエネルギッシュに歌い上げています。

ちなみに天月は、まふまふが作詞・作曲、堀江が編曲を務めた「ヒロイックシンドローム」を歌唱したことがあります。3人それぞれがもつ魅力が相互に作用した楽曲を是非聴いてみてください。

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kemuワールドに魅了されること間違いなし!おすすめ曲2選

コンポーザーやベーシストとしての活動はもちろん、ボカロP・kemuとしても伝説的な名曲を数多く発表している堀江晶太。

続いては、発表から長い時を経て今なお愛され続けているkemuの代表曲から、特に人気の高い2曲を紹介します。

六兆年と一夜物語 – kemu

2012年4月にニコニコ動画へ、2013年1月にYouTubeへ投稿された楽曲。アニメソング「鳥の詩」などで有名な歌手・Liaの声を元に作られたボーカロイド・IAが歌っています。

「六兆年と一夜物語」は投稿されると同時に怒涛の勢いで再生回数が伸びていき、ボカロP・kemuの代表曲として不動の地位を築き上げました。発表から10年が経った現在(2022年時点)においても、投稿サイトへはファンからの絶賛コメントが寄せられ続けています。

kemu自身によって「少年は人になりたかった」とサブタイトル的なフレーズが添えられている通り、楽曲の主人公は人ならざる存在の男の子。忌み子と呼ばれ、周囲の人間から迫害を受けながら、普通の子どもが過ごすことのできる「温かな生活」への叶わぬ憧れを抱いています。2番から登場する女の子(歌詞では「君」と表現されている)も、少年と同じ孤独を抱えた存在です。

人間達から酷い仕打ちを受け、特異な体質ゆえに死ぬこともできず苦しい日々を生きる少年の叫びが、叩きつけるようなドラムや激しいギターに乗せて歌われています。イントロや間奏で特徴的に繰り返される和風テイストなメロディーも、リスナーの耳と心を惹きつける大きな要素です。

悲劇的な色が強い物語を、kemu十八番の超特急テンポやメタル調のサウンドで表現されており、問答無用で楽曲の世界へ引き込まれてしまいます。

地球最後の告白を – kemu

2012年6月にニコニコ動画へ、2014年4月にYouTubeへ投稿されたGUMIのための楽曲。kemuの代表曲としては勿論、ボーカロイド史に残る伝説的な人気曲として今も多くのファンに愛されています。

ダークでヘヴィな楽曲をメインに制作していたKEMU VOXXとしては珍しく、爽やかで明るい曲調が印象的です。GUMIのボーカルも高音が非常に美しく、kemuの絶妙な調声で「人間が歌っているのか?」と錯覚させられてしまいます。

歌詞に注目してみると、爽やかなサウンドとは裏腹に切なすぎるラブソングであることが分かります。運命の悪戯で不老不死の身体を手に入れた「僕」が、密かな想いを寄せる相手(=君)に対し素直になれないまま気の遠くなるような時間を過ごし、やがて地球は最後の日を迎えてしまう……という壮大なストーリーは1本の映画を観ているかのよう。

最後の最後で「僕」はようやく本当の想いを口にすることができますが、それは既に「何もかもが手遅れの灰になった後」であるのが切なさをいっそう増加させています。

最後に

ボカロPとベーシスト、そしてコンポーザーという3つの顔をもつ堀江晶太は、音楽への飽くなき探求心を忘れることなく現在も活動を続けています。

「音楽家にゴールはない」と語る彼が、今後どのような音楽を私達に届けてくれるのか期待が高まりますね。

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