京都で結成され、現在では日本だけではなく海外でも評価を受けている3ピースバンド、モーモールルギャバンを紹介。ドラムがボーカルを担当するという意外性やジャンルレスで幅広い音楽が、様々な層に支持されています。
目次
モーモールルギャバンって、どんなバンド?
モーモールルギャバンは、2005年に活動開始。結成当初は5人編成で活動していましたが、現在はゲイリー・ビッチェ(Drums&Vocal)、T- マルガリータ(Bass)、 ユッカ(Key, Vo&銅鑼)からなる 3 ピースバンドとして活動しています。
モーモールルギャバンというバンド名は、100くらいのバンド名を考えた結果「モーモールルギャバン」という名前が輝いて見えたからだそう。
彼らの音楽はパンクやジャズ、ファンクなど様々なジャンルを融合した音楽が魅力です。何色にも染まらないモーモールルギャバンにしか出せない唯一無二の音楽は、ファンだけではなく音楽業界やアーティストにも好評で、その人気は海外にも届きました。
ユキちゃんとパンティー
モーモールルギャバンの楽曲は、様々な音が1曲に込められており、一言では言い表せない世界観を作り出しています。彼らの楽曲の中で度々登場するのが「ユキちゃん」と「パンティー」というキーワード。
ゲイリー・ビッチェ曰く、ユキちゃんは「叶わぬ片思いの相手の象徴」で、モーモールルギャバンには「ユキちゃん」「ユキちゃんに振られた」「ユキちゃんの遺伝子」という三部作が存在しています。
また、パンティーに関しては「好きな物」と話しており、こちらも「パンティー泥棒の唄」「パンティくわえたドラ猫の唄」「Dr.PANTY」といった楽曲がラインナップ。
さらに「サイケな恋人」という楽曲では、曲の途中と終わりにメンバーと観客が「パンティー」のコール&レスポンスをするのが定番となっており、今ではモーモールルギャバンのライブでは欠かせないものになっています。
最初は悪ふざけから始まったというパンティーのコール&レスポンスですが、最大で2万人が同時にパンティコールをしたこともあるほどで、ファンからも「パンティー連呼楽しかった」「モーモールルギャバンのライブ行ってパンティーコールしたい」との声があがっていました。
モーモールルギャバン結成
モーモールルギャバンの始まりは、ゲイリー・ビッチェ自身が音楽の壁にぶつかったことでした。音楽を辞めようとまで考えており「どうせ辞めるなら、すごく楽しくて、底抜けに笑顔になれて、でも音楽はオシャレでカッコ良くて」と理想を突き詰めていった結果、モーモールルギャバンの原型が完成しました。
バンド名に関しては、以前ゲイリー・ビッチェが組んでいたバンド名がモーモールルギャバンだったことから、新しいバンドにその名前を使う予定はありませんでした。しかし、新たに考えた名前がことごとくダサかったため、以前使用していたモーモールルギャバンでいいじゃん!という流れになり、現在に至ります。
3ピースバンドとして出発
5人体制で活動していたモーモールルギャバンでしたが、ギターとドラムが就職のためにバンドを脱退。その後、ホワイトとずーみーという新しいギターメンバーが加入しましたが2人とも現在はバンドを脱退しています。また、ドラム担当が見つからなかったことから、ギター・ボーカルを担当していたゲイリー・ビッチェが、ボーカル・ドラムを担当することになりました。
ずーみーは現在、ゲイリー・ビッチェのソロプロジェクト、ヤジマX KYOTOで共に活動しています。
当初は、バンドのフロントマンがドラムとボーカルを担当することや、ギターがいない状態でライブをすることに迷いがあったそうですが、ライブが目前に迫っており、半ばヤケクソで3人編成で挑むことに。
その結果、ドラムが歌うという斬新な発想が受け、高評価をもらう結果になったのです。この偶然がなければ3ピースバンドとしての出発は実現しなかったかもしれません。
待望のメジャーデビュー
モーモールルギャバン結成後は自主制作でCDを作り、ライブ会場で手売りをするなど地道にアピールを続けていた彼らですが、2009年3月にFM802が主催した「MUSIC CHALLENGE 2008」でグランプリを受賞。
また、東京ではモーモールルギャバンのようなバンドが珍しかったこともあり、ライブハウスの関係者が彼らを応援する側になってくれて、彼らの知名度は徐々に広がりを見せていきました。その結果、2009年11月にはアルバム「野口、久津川で爆死」が全国で発売され、インディーズでありながら3,000枚を販売するほどの反響を受けています。
その勢いは止まらず、2010年6月にはアルバム「クロなら結構です」がビクターエンタテインメントの社内レーベルGetting Betterから発売されることになり、このアルバムがモーモールルギャバンにとってのメジャーデビューアルバムとなりました。
「クロなら結構です」の収録曲「悲しみは地下鉄で」は短編映画化され、俳優としても活躍している永野宗典がメガホンをとっています。
無期限活動休止からの復活
2012年には、第4回CDショップ大賞のライブパフォーマンス賞を受賞するなど認知度も高まり、Zepp Tokyoでのワンマンライブを成功させるほどの人気を獲得していたモーモールルギャバンでしたが「もっと濃いモーモールルギャバンを見せたい」ということから、2014年5月17日のライブをもって無期限活動休止を発表しました。
今後の予定に関しては「全く白紙の状態」と発表され、公式サイトにはメンバーからのコメント動画が公開されています。
モーモールルギャバンが再び歩き始めたのは2015年のことでした。3月から京都や東京、愛知を回る「蘇る無茶と野獣ツアー2015」を開催。さらに同年6月に、フルアルバムとしては前作「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」以来3年3ヶ月ぶりとなる6枚目のアルバム「シャンゼリゼ」をリリースし、本格復帰を果たしたのです。
日本を飛び出し海外へ
以前から独特な世界観でファンを魅了してきたモーモールルギャバンですが、2017年になると所属事務所を退所し、これまでの枠を超えた活動を展開していきました。
印象的だったのが、海外のバンドとの交流です。2018年に開催された「外タレまみれツアー2018」では、アメリカ、韓国、オーストリアの3ヶ国から参加したバンドと対バンし、国境や音楽ジャンルにとらわれない音楽を発信しています。
モーモールルギャバンは、このツアーの仙台と名古屋に参加。ツアーを盛り上げるだけではなく、自分自身も他のバンドから刺激を受けるという機会に恵まれました。
ゲイリー・ビッチェはインタビューで「利益とか、そういうことを度外視して面白いと思ったことは積極的にやらせてもらおうという気持ちになった」と話しており、ベテランの域に達した今だからこそ、若者たちと共に音楽を奏でることを選んだのです。
また、2018年2月にインドのプリーで開催された音楽フェス「ODISHA JAPAN FESTIVAL」にも出演。言葉が通じなくてもモーモールルギャバンの音楽を楽しむ現地の人々の姿を見て、改めて音楽の持つ力に気づきました。
セルフプロデュース作品完成
それらの経験を経て完成したのが、2018年9月に発売された9枚目のアルバム「IMPERIAL BLUE」です。このアルバムでは初のセルフプロデュースを行っており、バンド結成当時に自主制作でアルバムを作っていたときの気持ちを思い出しながら制作にあたったそう。
また、自分たちの感性だけにこだわらず、SNSを駆使して言葉や表現力を軌道修正し、年齢を重ねてきた今だからこそ発信できる世界観や言葉を繋ぎ、楽曲を完成させていきました。
空白期間を経て活動再開
モーモールルギャバンは2020年に開催された「つよし生誕祭」以降、ライブ活動を休止しています。その間、ゲイリー・ビッチェとT-マルガリータはソロ活動を、ユッカは第一子を出産しました。2023年3月、ユッカが自身のSNSで出産をファンに報告すると、ゲイリー・ビッチェが「こんな父ですが。今後ともよろしくお願いします!」とコメント。2人の結婚はこれまで公にされていなかったため、ファンからも驚きのコメントがあがっています。
そして、2023年12月に東京・下北沢にて「それから~つよし生誕祭~」を開催することを発表。このライブは東京の他に、京都と愛知でも開催が決定し、京都は「それから~深夜鏡月 vol.12~」、愛知はクリスマスイブの開催だったため「それから~つよしこの夜~」というタイトルが付けられています。
今回のライブツアーは、モーモールルギャバンの他にゲイリー・ビッチェのソロプロジェクト「ヤジマX KYOTO」も参加し、2マン体制で行いました。久しぶりに彼らの音楽が聞けることもあり、前売りチケットは全会場売り切れになったほど。
愛知でのライブはユッカの出演が難しくなったため、ゲイリー・ビッチェとT-マルガリータが「ふぞろいのモーモールルギャバン」として登場しました。
活動開始後の初ワンマン決定!
本格的に活動を再開したモーモールルギャバンは、2024年9月25日に東京・渋谷でワンマンライブを開催することを発表しました。ライブタイトルは「T-マルガリータ44th生誕ルルギャバンdeワンマン」で、メンバーのT-マルガリータ44歳の誕生日を祝おうというもの。
それぞれ個人の活動を経て、パワーアップしたモーモールルギャバンの姿が堪能できるライブとなるでしょう。ライブの詳細は下記の通りです!
- 【出演】モーモールルギャバン
- 【日程】2024年9月25日(水)
- 【会場】東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- 【時間】OPEN 18:30 / START 19;30
- 【料金】Adv. 4,400- / Door 4,900- (共に別途1ドリンク)
モーモールルギャバン・メンバー紹介
ゲイリー・ビッチェ
- 生年月日:1980年12月9日
- 出身地:群馬県
- 血液型:A型
モーモールルギャバン結成前から様々なバンドでドラムとして活動しており、サポートドラマーとしても5つくらいのバンドを掛け持ちしながら忙しい日々を送っていました。
現在はモーモールルギャバンと、自身のソロプロジェクトであるヤジマXを並行して活動しており、ソロとしては2022年にはコロナ禍という大変な時期の中、年間100本以上のライブに参加するなど精力的な活動を見せています。
新しい学校のリーダーズへの歌詞提供も行うなど、彼にしか表現できない音楽を日々追求しています。
T-マルガリータ
- 生年月日:1980年9月25日
- 出身地:群馬県
- 血液型:O型
4歳の頃にピアノを習い始め、初めてバンドを組んだのは中学2年生のときだそう。当時はギターとキーボードを担当していましたが、ベース担当のメンバーが抜けたため、そこから本格的にベースを始めました。
モーモールルギャバンでは、多彩な音楽の土台を支える役割を担っており、バンド活動以外には「内田俊輔とほにゅうルイ」や、その他のバンドでもサポートとして参加しています。
ユッカ
- 生年月日:1982年2月24日
- 出身地:奈良県
- 血液型:B型
ゲイリー・ビッチェとT-マルガリータが大学時代に結成したバンドにサポートとして参加、後に正式加入しています。加入当時からユコ=カティという名前で活動していましたが、2018年にユッカに改名しました。
ユッカは音楽の他にツアーグッズやCDジャケットのデザインを担当しており、音楽以外でもモーモールルギャバンの活動を支えています。
おすすめ曲紹介
7秒
ゲイリー・ビッチェは「永遠の愛は、この世には成立しないものだと思っている」と語っており、人生において自分のことを見て愛してくれるのは「7秒」で十分だという考えから、このタイトルが付けられました。
MV撮影にあたり、映像ディレクターである山辺真美を監督に迎えました。
消えて
ゲイリー・ビッチェが単身でインドに渡った際、インドの火葬場を見る機会があり、彼らの日常から受けた感情を歌詞にした楽曲です。
パンティーと叫んだり奇抜な衣装に身を纏ったりと、陽の印象が強いモーモールルギャバンですが、「悲しみは地下鉄で」のような陰の部分を支持するファンも多く、改めて音楽の幅広さを感じた1曲。