雛人形の顔を制作する頭師(かしらし)である祖父の影響で雛人形職人を目指す男子高校生とコスプレ好きのオタク美少女ギャルが、コスプレの衣装作りを通して、それぞれの“好きなもの”を追求して仲を深めていく青春物語が原作のTVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』。
2022年にTVアニメ化し、2025年7月から待望のシーズン2が放送を開始します。本記事では、自分の好きなことに夢中になるキラメキ、恋するトキメキを表現したTVアニメのOP・EDテーマを紹介します。
目次
TVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』
概要
「ヤングガンガン」(スクウェア・エニックス)にて2018年から2025年まで連載された福田晋一の漫画が原作のTVアニメ『その着せ替え人形は恋をする(そのビスク・ドールはこいをする』(略称:着せ恋)。実家が「五条人形店」を営み、雛人形の顔を制作する頭師である祖父の影響で小さい頃から雛人形職人を目指す地味な男子高校生とコスプレ好きで活発なオタク美少女ギャルが、コスプレの衣装作りを通して、それぞれの“好きなもの”を追求して仲を深めていく学園青春物語。2022年にTVアニメ化し、2024年にはTVドラマ化も実現しています。
原作漫画の本編とは別に、2024年からは「ヤングガンガン」にてちょぼらうにょぽみの作画による公式スピンオフ漫画『着せ替え人形でchu♡』連載中。2025年7月からTVアニメシーズン2の放送も決定し、原作が完結してもいまだに人気を集めている作品です。
TVアニメの監督は『ぼっち・ざ・ろっく!』の演出に携わった篠原啓輔、シリーズ構成・脚本は『逃げ上手の若君」を担当した冨田頼子、アニメーション制作は『約束のネバーランド』や『SPY×FAMILY』などの数々の作品を生みだしたCloverWorksが担当。
本作品の主人公である「五条人形店」の男子高校生は、埼玉県さいたま市岩槻区に実在する人形工房「鈴木人形」の3代目をモデルとし、鈴木人形は物語の監修にも携わり、後に「着せ恋オリジナルの雛人形」も製作しています。
原作漫画もアニメも、コスプレ・人形製作の様子・職人の情熱を丁寧かつリアルに描き、テンポもよく、原作ファンの期待を裏切らないように随所に制作陣のこだわりが散りばめられています。
原作漫画は、2019年「次にくるマンガ大賞」コミックス部門で6位となり、2020年「電子コミック大賞」男性部門賞を受賞、同年「全国書店員が選んだおすすめコミック(第3位)」と「第4回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞(6位)」にランクイン。アニメ放送後に原作漫画は発行部数を伸ばし、2025年6月時点で(スピンオフ漫画を除く)累計発行部数は1300万部を突破しています。
あらすじ
主人公は、実家が「五条人形店」を営み、子どもの頃に祖父が作った雛人形に一目ぼれして以来、雛人形職人を目指している高校1年生の五条新菜(ごじょう わかな)。「男が女の人形を好きなのか」と言われたことで自分に自信が持てずに人と馴染めず過ごしている新菜は、ある日、学校の被服室で雛人形の衣装を作っていたところを、読者モデルでクラスの人気者の美人ギャル喜多川海夢(きたがわ まりん)に見られてしまいます。
この日を境に、アニメや漫画が好きでコスプレに憧れる海夢のコスプレ衣装を新菜は作ることに。地味で繊細な新菜と大胆で元気な海夢という真逆の世界に住む2人が衣装作りを通じて距離を縮め、それぞれの「好きなもの」に情熱を注いでいく学園青春物語です。
男女の恋心を描くポップさだけでなく、雛人形やコスプレ衣装の知識も深まる内容なのも本作品の魅力。「人の好きなものをバカにしない」「自分の気持ちは自分のために言わなきゃダメ」という自己表現も丁寧に紡がれています。
五条新菜(石毛翔弥)、五条新菜の幼少期(高柳知葉)、喜多川海夢(直田姫奈)、乾紗寿叶(種﨑敦美)、乾心寿(羊宮妃那)、五条薫(斧アツシ)、菅谷乃羽(武田羅梨沙多胡)、大空(雨宮夕夏)、瑠音(関根明良)、のんちゃん(菅野真衣)など。
*( )内は声優名。
シーズン1『その着せ替え人形は恋をする』OP・ED
OP:「燦々デイズ」スピラ・スピカ
2022年1月から3月まで放送されたシーズン1のOPテーマは、奈良で結成した3人組バンドスピラ・スピカが担当しました(2022年9月から幹葉(Vo)のソロプロジェクトとして始動)。新菜と海夢の生き生きとした表情をイメージさせる曲調で、タイトルの通り、太陽が燦々と降り注ぐような元気ハツラツとしたポップソングです。
作詞を担当した幹葉は「“好き”に真っ直ぐ一生懸命な彼らと、この作品にあっという間に恋をした。君が君らしく、ありのままの自分でいられるようにと想いを込めて作った」とコメント。メンバー全員が作品のファンということで、作品への愛情がたっぷり詰まっています。
歌詞では、昼間に煌めく海、夕方の美しい夕陽、夜空に輝く花火など、物語とリンクしたキラキラ光るものを散りばめているのも印象的。それはまるで、宝箱を覗いているようなトキメキを聴き手にプレゼントしてくれているかのよう。相手の一挙手一投足が愛おしいと想える恋心や、未来へ期待する前向きなエネルギーに溢れています。
本曲は2022年「令和4年アニソン大賞」にて作曲賞を受賞し、全世界で2,500万ストリーミングを突破。幹葉の天真爛漫な歌声とキャッチーなメロディーが世界中の人々を元気にした1曲となりました。
ED:「恋ノ行方」あかせあかり
2022年1月から3月まで放送されたシーズン1のEDテーマは、コスプレイヤー、TikToker、女優などマルチに活動するあかせあかりが抜擢され、本曲をもってメジャーデビューを飾りました。自身も元々作品のファンであり「何度もギリギリまで原作漫画を読み返して気持ちを高めて挑んだ」とコメント。ピュア度100%の恋する気持ちを歌い、ポチョンと雫が落ちる音がキュンと心がトキメク瞬間をイメージさせるゆるふわなポップソングです。
歌詞では〈好きすぎて どうしよう〉〈こぼれそう この想い〉〈キレイになってく私を 近くで見てて〉といったフレーズで、言葉にできないほど大好きな愛情を真っ直ぐに表現しています。〈フワフワ〉〈きゅんきゅん〉〈クラクラ〉〈ニマニマ〉といったオノマトペを多彩に使いこなして、“恋愛”にも“好きなことに夢中になっている姿”にもとれる初々しい感情を描いているのもポイント。ほのぼのとした世界観で、キュートで柔らかく、恋する乙女の等身大の姿を表現しています。
あかせが海夢など作中のキャラクターにコスプレしたMV映像は、その完成度の高さが原作通りと絶賛されました。2022年1月9日の公開から67日間で500万回再生を突破し、2025年6月時点で1,623万回生を記録。シーズン2の放送を機に、さらに再生回数を伸ばしていく予感がします。
シーズン2『その着せ替え人形は恋をする』OP・ED
OP:「アオとキラメキ」スピラ・スピカ
2025年7月から放送されるシーズン2のOPテーマは、ファンが熱望した通り、シーズン1のOPテーマに続きスピラ・スピカが担当しました。幹葉は「それぞれの“好き”をぎゅっと抱き締めて、さらに一歩踏み込んだ世界へ。可能性は無限大! 皆で歌い、笑顔でハイタッチしたくなる曲を作った」と喜びを語っています。
YouTubeで公開された楽曲を使用したPV映像で聴けるワンフレーズは太陽のように明るく弾けたキャッチーなサウンドで、ハッピーな幹葉の歌声が空高く突き抜けて爽快な雰囲気が伝わってきます。「今この瞬間」を謳歌する青春の煌めきや、夢に向かって突き進む情熱に満ちて、数秒聴いただけで心がワクワクしてきます。
楽曲を使用したPV映像は、2025年5月10日の公開から1ヶ月で160万回再生を突破し、放送前からファンのテンションを上げている模様。本放送とフルサイズの公開が楽しみでなりません。
ED:未発表
2025年6月時点で、2025年7月から放送されるシーズン2のEDテーマは未発表。シーズン1からあかせあかりが続投するのか、新アーティストが起用されて新たな扉が開くのか、続報が待ち遠しいところです。
TVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』まとめ
TVアニメの放送を機に、物語の舞台である埼玉県さいたま市岩槻区は2024年度「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」にてアニメ聖地の1つに選定され、2025年ニューヨーク・タイムズ紙が選ぶ「この夏観るべき30作品」にて、ドラマ・映画・アニメなど数々の作品群から本作品が選出されました。
日本の伝統文化「雛人形」と、2次元作品などのキャラクターになりきるポップカルチャー「コスプレ」という美を追求する共通点を題材にした物語『その着せ替え人形は恋をする』。キラメキとトキメキを表現した主題歌が、さらに世界中のアニメファンを魅了してゆくことでしょう。