【オーストリア・ウィーン編】芸術の本場ヨーロッパから日本で観れる作品

【オーストリア・ウィーン編】芸術の本場ヨーロッパから日本で観れる作品

日本でも人気のあるウィーンミュージカル。

その多くを手がけているのが、作詞・脚本家のミヒャエル・クンツェと作曲家のシルヴェスター・リーヴァイです。

この記事では、その二人が手がけた日本で上演されている人気ミュージカルを2つご紹介します。

エリザベート


美しきオーストリア皇后エリザベートの波乱に満ちた半生を、黄泉の帝王トート閣下という死の概念を擬人化した創作キャラクターとの関係性という形で描いたダーク・ファンタジーです。

日本では宝塚と東宝で何度も再演を繰り返されている人気作品で、2020年に東宝版エリザベートは20周年を迎えます。

エリザベートを暗殺したルイジ・ルキーニの語りによって展開される本作の特徴は、何と言ってもトート閣下という存在でしょう。

ポイント

基本的には史実に沿った展開の中に差し込まれる「死」そのものというファンタジーな存在は、ルキーニの妄想とも、あるいは登場人物の心の中にある死のイメージとも、観る人によって様々に解釈されますが、非常に印象的な存在です。

銀の長髪に裾の長い黒い衣装、黒天使のようなトート・ダンサーたちを引き連れて登場し、死の口づけを与えるという耽美な設定は刺さる人には大変刺さるのではないでしょうか。

そして主人公であるエリザベート、愛称シシィは幼い頃の臨死体験によってトート閣下に見初められ、事あるごとに求愛(という名の死への誘い)を受けます。

しかし彼女は死の誘惑を徹底して拒絶し「私の人生は私のもの」と高らかに歌います。

皇太后ゾフィが説くハプスブルク家の厳しいしきたりにも従わず、家庭も顧みずに自由を求めて旅に出る、ルキーニにエゴイストと嘲られるほど奔放に自分の意思を貫く姿は痛快でもあり、そうとしか生きられない痛ましさも感じさせます。

自由を愛し、強い皇后を演じながらも、孤独を抱えて生きたエリザベートの生き方は、現代の女性にも通ずるものがあるのではないでしょうか。

また、1幕で登場する10代の少女時代のシシィから、2幕最後の年老いた姿までを同じ役者が演じます。

歌声から仕草ひとつひとつに到るまで、年齢を重ねていく見事な演技に注目してください。

ポイント

エリザベートの肖像画をモチーフにしたドレスをはじめとする煌びやかな衣装や、豪華絢爛なセットも魅力です。

楽曲の素晴らしさは言わずもがなです。

オープニングナンバーの「我ら息絶えし者ども」はエリザベートとトート以外のメインキャストが亡者として総登場し、一気に物語に引き込みます。

有名なナンバーとしては、宮廷生活に翻弄されるエリザベートが私の人生は私のもの、という決意をする「私だけに」や、ミルク缶を叩きながら皇室への怒りを露わにする民衆のナンバー「ミルク」などがあります。

MEMO

エリザベートの息子の皇太子ルドルフが、帝国の危機を憂いながらトートに革命を唆されるデュエットナンバー「闇が広がる」はFNS歌謡祭でもお馴染みです。

モーツァルト!


かの有名な音楽家ヴォルフガング・モーツァルトの生涯を描いた作品、通称「M!」です。

2002年の初演から数年おきに定期的に再演を繰り返されています。

モーツァルトといえば、音楽の教科書に載っている肖像画をイメージする人が多いかもしれません。

そんな人にとって、本作の主人公であるヴォルフガングの描かれ方は衝撃的かもしれません。

ポイント

幼少期から「奇跡の子」と呼ばれた天才であったヴォルフガングですが、周囲の人々の策略に振り回され困窮したり、逆に成功を手にすると才能に傲り、家族とすれ違ったり、浪費して生活を破綻させるなど、非常に人間的な存在として描かれています。

一方で、本作の特徴として、子役が演じる天才と賞賛されていた頃の少年モーツァルト(アマデ)が、ヴォルフガングの側に常に寄り添います。

アマデは人間としてのヴォルフガングの描かれ方とは対照的に、音楽的才能の象徴として描かれます。

天才ゆえの孤独、苦悩など、歴史的人物としてではなく、リアルな人間としてのモーツァルトに出会うことができます。

衣装は史実をベースにしたドレスや燕尾服などだけではなく、ジーンズなど現代的でポップな衣装も取り入れられており、華やかなビジュアルも見どころです。

MEMO

有名なナンバーとしては、キャッチコピーにもある「僕こそミュージック」の一節がある名曲ヴォルフガングの「僕こそ音楽」や、ヴォルフガングの妻コンスタンツェの「ダンスはやめられない」、ヴァルトシュテッテン男爵夫人の「星から降る金」などがあります。

以上、日本でも観られるウィーン発の人気ミュージカルをご紹介してきました。

この他にも、ダンス・オブ・ヴァンパイアやレディ・ベスなど、面白いウィーンミュージカルはたくさんあるので、是非劇場に足を運んでみてくださいね。

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