出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化するために始まった現役ドラフトは、2022年の初開催から数えて今年で5回目を迎えます。2026年の開催日は12月9日(水)に決まりました。
本記事では、セ・パ12球団の補強ポイントとリストアップされそうな候補選手を、2026年の成績をもとに予想します。今年から変わった対象選手のルールや、移籍先で飛躍した過去の成功事例も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
現役ドラフトとは?
まずは現役ドラフトの概要について解説します。
「選手の出場機会創出」を目的とした施策
現役ドラフトの一番の狙いは、所属球団で一軍の出番が限られている選手に、別の球団で試合に出るチャンスを与えることです。各球団は他球団の名簿から最低1人を指名するため、毎年12人以上が移籍し、応援する球団にも新しい選手が加わります。
対象選手のルールと指名順の仕組み
各球団は2人以上の支配下選手を名簿に載せます。なお、次の9項目に当てはまる選手は対象外です。
- 外国人選手
- 複数年契約選手
- 来季年俸5,000万円以上の選手(1人は5,000万円以上1億円未満も可)
- FA権を行使したことのある選手
- FA資格選手
- 育成選手
- 前年の現役ドラフトにより獲得した選手
- 現役ドラフト開催年の年度連盟選手権試合終了の翌日以降に、選手契約譲渡により獲得した選手
- 現役ドラフト開催年の年度連盟選手権試合終了の翌日以降に、育成から支配下契約に切り替えられた選手
対象かどうかは来季の年俸で判断されるため、後述の表で推定年俸が5,000万円未満でも、契約更改しだいで対象から外れる場合があります。
指名は、自球団の名簿に載せた選手が他球団から集めた票の合計が最も多い球団から始まり、以降は選手を指名された球団が次の指名を行います。2巡目は、希望した球団のみが指名できる仕組みです。
今年は8番目の項目にある、トレードなどで獲得した選手の扱いが変わり、前年10月から、シーズン中のトレード期限である7月31日までに加わった選手も名簿に載せられるようになりました。
開催概要
2026年の現役ドラフトは以下のとおり実施されます。
| 項目 | 内容 |
| 開催日 | 2026年12月9日(水) |
| 実施方法 | 非公開で行い、終了後に結果を発表 |
| 今年の主な変更点 | 前年10月から今年7月31日までにトレードなどで獲得した選手も、名簿に掲載可能 |
【セ・リーグ】現役ドラフト候補と補強ポイント
ここでは、セ・リーグ6球団の補強ポイントと、名簿に載る可能性がある候補を2人ずつ予想します。
阪神タイガース
| 氏名 | ポジション | 年齢 | 2026年推定年俸 |
| 岡留英貴 | 投手 | 26歳 | 1,900万円 |
| 小野寺暖 | 外野手 | 28歳 | 1,500万円 |
阪神タイガースは防御率がリーグ1位、得点が2位と大きな穴はなく、補強ポイントは、外野の一角と、30代が中心となっている捕手陣の後継者と考えられます。
岡留英貴は一軍13試合で防御率0.69と、好成績を残しながらも、登板機会は限られました。試合終盤の救援を補いたい北海道日本ハムファイターズのような球団に合うでしょう。
小野寺暖は2026年、一軍では19打席にとどまりましたが、2023年に打率.347(75打数)を残した打撃は、非常に魅力的です。
読売ジャイアンツ
| 氏名 | ポジション | 年齢 | 2026年推定年俸 |
| 平内龍太 | 投手 | 28歳 | 2,700万円 |
| 又木鉄平 | 投手 | 27歳 | 970万円 |
読売ジャイアンツは打線に厚みを加えられる野手を補強したいところです。2026年シーズンはチーム打率.234、本塁打103本がいずれもリーグ4位と、打撃面に課題が残りました。
平内龍太は2026年シーズン、一軍で8回2/3を投げて防御率1.04と短いイニングではあるものの結果を残しています。投手の補強を急務としている東京ヤクルトスワローズのような球団なら、試す価値はあるでしょう。
又木鉄平は、二軍で103回2/3を投げて防御率1.82を記録しながら一軍の登板はわずか5試合でした。長いイニングを投げられるサウスポーを求めている球団は多いと予想されます。
横浜DeNAベイスターズ
| 氏名 | ポジション | 年齢 | 2026年推定年俸 |
| 梶原昂希 | 外野手 | 27歳 | 2,600万円 |
| 井上朋也 | 内野手・外野手 | 23歳 | 930万円 |
横浜DeNAベイスターズの補強ポイントは、制球が安定し、イニングを任せられる投手と考えられます。
2026年シーズンにおいて、得点はリーグ最多を記録するなど攻撃面は安定していました。一方、与四球446がリーグ最多で、投手陣の制球が課題といえるでしょう。
梶原昂希は2024年に一軍で打率.292・16盗塁を残しましたが、2026年は一軍で打率.203にとどまりました。打って走れる外野手は、つなぐ野手を求める中日ドラゴンズのような球団に向いています。
井上朋也は2020年ドラフト1位でソフトバンクに入団し、今季途中のトレードでDeNAに加わった内野手です。2026年は一軍22試合で打率.205、2本塁打にとどまりました。
今年からシーズン中のトレードで獲得した選手も名簿に載せられるようになったため、ルール変更の影響を受ける候補の一人といえます。長打力を求める広島東洋カープのような球団とマッチするでしょう。
広島東洋カープ
| 氏名 | ポジション | 年齢 | 2026年推定年俸 |
| アドゥワ誠 | 投手 | 28歳 | 2,900万円 |
| 林晃汰 | 内野手 | 25歳 | 1,200万円 |
広島東洋カープの補強ポイントは長打を打てる野手といえるでしょう。チーム打率.223、431得点、長打率.322はいずれもリーグ最下位で改善は急務です。
アドゥワ誠は二軍で防御率2.50を残しながら、一軍では6試合で防御率6.62と結果を残せていません。長身から投げ下ろすスタイルの投球は非常に魅力的であるため、オリックス・バファローズのような投手を補強したい球団にマッチするでしょう。
林晃汰は2021年に一軍で10本塁打を放ち、2026年は二軍で打率.308を残すなど打撃には定評があります。リストアップされれば、長打力を求める埼玉西武ライオンズのような球団が獲得に動くかもしれません。
東京ヤクルトスワローズ
| 氏名 | ポジション | 年齢 | 2026年推定年俸 |
| 澤井廉 | 外野手 | 26歳 | 1,000万円 |
| 北村恵吾 | 内野手 | 25歳 | 1,300万円 |
東京ヤクルトスワローズの補強ポイントは安定感のある投手です。2026年シーズンは防御率3.68、568失点がいずれもリーグワーストでした。
澤井廉は二軍で10本塁打を放ちましたが、一軍は51打席で打率.191でした。ポテンシャルの高い選手なので、長距離砲を求める球団とマッチするでしょう。
北村恵吾は2025年シーズン、一軍で46試合に出場し、出塁率.364を記録しました。長打力と高い出塁率を兼ね備えているため、打撃面を補強ポイントとしている球団が獲得するかもしれません。
中日ドラゴンズ
| 氏名 | ポジション | 年齢 | 2026年推定年俸 |
| 勝野昌慶 | 投手 | 29歳 | 3,300万円 |
| 近藤廉 | 投手 | 28歳 | 900万円 |
中日ドラゴンズの補強ポイントは、安打でつないで得点を増やせる野手と考えられます。2026年シーズンは、チーム全体で121本塁打を放ちリーグ3位を記録しました。しかし、チーム打率.228とリーグ5位に沈んでいます。
勝野昌慶は2023年に一軍50試合で防御率2.01を記録しましたが、2026年は一軍で7試合に登板し、防御率9.53と苦しみました。一軍での経験も豊富なため、投手陣の再建を目指す球団にとっては魅力的な選手といえるでしょう。
近藤廉は二軍で防御率1.52を記録した一方、一軍の登板は4試合にとどまりました。左のリリーフを補強したい北海道日本ハムファイターズなどが獲得に乗り出すかもしれません。
【パ・リーグ】現役ドラフト候補と補強ポイント
続いて、パ・リーグの各球団を予想します。
福岡ソフトバンクホークス
| 氏名 | ポジション | 年齢 | 2026年推定年俸 |
| 前田純 | 投手 | 26歳 | 1,800万円 |
| 石塚綜一郎 | 捕手 | 25歳 | 900万円 |
福岡ソフトバンクホークスは投打に大きな穴がありません。そのため、選手のポテンシャルを重視した補強になるのではないかと予想されます。
前田純は二軍で88回を投げて防御率3.07を記録し、一軍の登板は4試合でした。ボールのキレには定評があり、直球で空振りを奪える投手です。年齢も26歳と若いため、まだまだこれからの選手といえるでしょう。
石塚綜一郎は、2026年シーズンに二軍で8本塁打を放つなど、成長を続けています。打てる捕手は需要があるため、出場機会が増えれば一気に花開くかもしれません。
埼玉西武ライオンズ
| 氏名 | ポジション | 年齢 | 2026年推定年俸 |
| 糸川亮太 | 投手 | 28歳 | 1,150万円 |
| 児玉亮涼 | 内野手 | 28歳 | 1,400万円 |
埼玉西武ライオンズは長打力のある野手を獲得したいところです。防御率はリーグ1位で安定した試合運びが特徴でした。しかしながら、得点力は上位チームに及びませんでした。
糸川亮太は二軍の27回で29三振を奪い、四球は4つしか与えていません。安定感のある投手を獲得したい球団は多いでしょう。
児玉亮涼は一軍で3打席にとどまったものの、二軍では打率.315(130打数)を記録しました。本来、守備が持ち味の選手なので、打撃が開花すれば攻守両方で活躍が期待できるでしょう。
北海道日本ハムファイターズ
| 氏名 | ポジション | 年齢 | 2026年推定年俸 |
| 今川優馬 | 外野手 | 29歳 | 1,600万円 |
| 淺間大基 | 外野手 | 30歳 | 2,800万円 |
北海道日本ハムファイターズの補強ポイントは、試合終盤を任せられる投手です。特に、長年チームを支えている宮西尚生の後継者を獲得したいところでしょう。
今川優馬は2022年に一軍で10本塁打、2026年も一軍50打席で4本塁打を放つなど、一軍での経験は十分で勝負強さも魅力です。
淺間大基は二軍で打率.356を残しながら、一軍では49打数で.163と結果を残せていません。阪神タイガースのように外野手の層を厚くしたい球団とマッチするでしょう。
オリックス・バファローズ
| 氏名 | ポジション | 年齢 | 2026年推定年俸 |
| 佐藤一磨 | 投手 | 25歳 | 800万円 |
| 古田島成龍 | 投手 | 27歳 | 2,700万円 |
オリックス・バファローズの補強ポイントは投手陣の底上げと長打を打てる野手の獲得です。2026年シーズンは、防御率3.96、605失点とリーグで最も悪く、本塁打も96本とリーグ最少でした。
佐藤一磨は二軍で75回を投げた一方、一軍の登板は7試合にとどまりました。長身を活かした投球スタイルが魅力で非常に高いポテンシャルを秘めています。
古田島成龍は1年目の2024年に一軍50試合で防御率0.79を記録するなどブレイク。しかし、2026年は10登板で防御率6.00と本来の力を発揮できませんでした。2024年に活躍した実績があるだけに、獲得に乗り出す球団は多いかもしれません。
千葉ロッテマリーンズ
| 氏名 | ポジション | 年齢 | 2026年推定年俸 |
| 廣畑敦也 | 投手 | 28歳 | 1,300万円 |
| 和田康士朗 | 外野手 | 27歳 | 2,000万円 |
千葉ロッテマリーンズは投手の底上げと出塁率の高い野手の獲得が急務です。防御率はリーグ5位、出塁率.295はリーグ最下位と投打に課題があるといえます。
廣畑敦也は1年目の2022年に一軍30試合に登板しましたが、2026年は一軍4試合で防御率9.00と結果を残せていません。最速154km/hの直球と多彩な変化球を操るパワーのある投手だけに、きっかけ次第では覚醒するかもしれません。
和田康士朗は2021年に24盗塁を記録し盗塁王を獲得しています。一軍経験も豊富で守備には定評があるので外野を強化したい球団にはもってこいの選手といえるでしょう。
東北楽天ゴールデンイーグルス
| 氏名 | ポジション | 年齢 | 2026年推定年俸 |
| 渡辺翔太 | 投手 | 25歳 | 3,600万円 |
| 伊藤裕季也 | 内野手 | 30歳 | 1,900万円 |
東北楽天ゴールデンイーグルスは投打ともに補強が必要です。打撃面では、473得点、長打率.352はいずれもリーグ最下位でした。防御率もリーグ4位に終わっています。
渡辺翔太は1年目の2023年に一軍51試合で防御率2.40を記録しましたが、2026年はわずか6試合の登板にとどまりました。一軍での実績もある投手なので、再起が期待されます。
伊藤裕季也は横浜DeNAベイスターズから2022年途中に東北楽天ゴールデンイーグルスへ移籍した内野手です。一軍では通算240試合に出場しており、経験も豊富です。打撃面が開花すればチームを牽引する存在となるでしょう。
過去の成功例から見る現役ドラフトの重要性
現役ドラフトをきっかけに躍進した選手は少なくありません。大竹耕太郎(現:阪神タイガース)や細川成也(現:中日ドラゴンズ)はその代表例です。ここからは、現役ドラフトをきっかけにチャンスを掴んだ3選手を紹介します。
辰見鴻之介(現:広島東洋カープ)
- 氏名:辰見鴻之介(たつみこうのすけ)
- 出身地:福岡県
- 生年月日(年齢):2000年11月24日(25歳)
- 身長:176cm
- 体重:67kg
- 投打:右投右打
- ポジション:内野手・外野手
- 経歴:香住丘高-西南学院大-東北楽天ゴールデンイーグルス-広島東洋カープ
辰見鴻之介は東北楽天ゴールデンイーグルスでの一軍出場が2024年の2試合だけでしたが、2025年の現役ドラフトで楽天から広島東洋カープへ移ると、2026年は代走の切り札として28盗塁を記録しました。
シーズンの代走盗塁の日本記録も、47年ぶりに更新しています。アジアプロ野球チャンピオンシップの侍ジャパンにも選出されるなど、足のスペシャリストとしての評価が急上昇中の選手です。
田中瑛斗(現:読売ジャイアンツ)
- 氏名:田中瑛斗(たなかえいと)
- 出身地:大分県
- 生年月日(年齢):1999年7月13日(27歳)
- 身長:184cm
- 体重:84kg
- 投打:右投左打
- ポジション:投手
- 経歴:柳ヶ浦高-北海道日本ハムファイターズ-読売ジャイアンツ
田中瑛斗は北海道日本ハムファイターズでの7年間で一軍の登板が10試合でしたが、2024年の現役ドラフトで日本ハムから読売ジャイアンツへ移ると、2026年は61試合に登板し、42ホールド・防御率1.52を記録しました。
今季、自身初のタイトルとなる最優秀中継ぎ投手を獲得しており、ジャイアンツの投手陣において、なくてはならない存在となっています。
平沢大河(現:埼玉西武ライオンズ)
- 氏名:平沢大河(ひらさわたいが)
- 出身地:宮城県
- 生年月日(年齢):1997年12月24日(28歳)
- 身長:176cm
- 体重:80kg
- 投打:右投左打
- ポジション:内野手・外野手
- 経歴:仙台育英高-千葉ロッテマリーンズ-埼玉西武ライオンズ
平沢大河は一軍出場がなかった2024年のオフ、現役ドラフトで千葉ロッテマリーンズから埼玉西武ライオンズへ移籍しています。移籍2年目の2026年は91試合で打率.250を記録。71安打は自己最多をマークしています。クライマックスシリーズでは先制本塁打を放つなど、躍進を遂げました。
まとめ
現役ドラフトは、出場機会を求める選手と、戦力を補いたい球団が出会う機会です。移籍先の起用法やポジション争いを考えると、候補選手の活躍を想像する楽しみも広がります。
現役ドラフトでどんな移籍が実現するのか。結果発表を楽しみにしながら、新天地で来季の飛躍を目指す選手たちにも目を向けてみてください。
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