自身主催の野外フェスティバルで地元・長崎を盛り上げるパンクロックバンドSHANK(シャンク)。同じ町で生まれ育った3人が鳴らすまっすぐな音で我が道を切り開くSHANKの魅力をご紹介します。
成功を夢見て花の大都会・東京に進出して行くバンドは数あれど、それとは逆に慣れ親しんだ地元を拠点として全国規模の活動をおこなっているバンドも存在します。
今回ご紹介するSHANK(シャンク)は後者に当たり、2004年の結成以来、長崎県長崎市に拠点を置いて活動を続けているバンドです。
多い年には年間200本近くのライヴに出演したという生粋のライヴバンドである彼らは、地元である長崎市内で自主イベント「BLAZE UP NAGASAKI」を開催するなど、自身がもっとも得意とするライヴ活動を通じて地元の活性化に貢献しています。
王道のメロディック・ハードコアを基調としつつ、スカやレゲエのリズムを巧みに取り入れ、硬軟の絶妙なバランスが光るパンク・サウンドを鳴らすスリーピース・バンドSHANKについてご紹介していきます。
目次
SHANK / シャンク
- 庵原 将平 (いおはら しょうへい) / ヴォーカル、ベース
- 松崎 兵太 (まつざき ひょうた) / ギター、コーラス
- 池本 雄季 (いけもと ゆうき) / ドラム、コーラス
SHANK(シャンク)・メンバー
長崎港にほど近い港町、神ノ島町に住む幼馴染み3人組によって結成されたSHANKは、2004年の結成以来、不動のラインナップで活動を続けています。
神ノ島はその名の示す通り、元々は離島でしたが、戦後に埋め立てられて地続きになりました。
庵原 将平 (いおはら しょうへい) / ヴォーカル、ベース
- 氏名:庵原 将平 (いおはら しょうへい)
- 生年月日:1988年3月4日
- 出身地:長崎県長崎市
ヴォーカルとベースを兼任する庵原将平は、SHANKの楽曲の作詞を手掛けています。
前身バンドではヴォーカルとトランペットを担当していましたが、ベーシストが部活動を優先するために脱退してしまい、やむを得ずベースを弾くようになりました。
Hi-STANDARDやBRAHMANなどのパンクバンドをきっかけにロックを好んで聴くようになった庵原は、KEMURIやPOTSHOTといったホーンセクションを擁するスカコア・バンドにのめり込んでいきます。
影響を受けた海外バンドとして、Mad Caddies、Sublimeを挙げています。
Mad Caddiesはアメリカのスカパンク・バンドで、彼らが2007年にリリースしたアルバム『Keep It Going』収録の”Backyard”は、SHANKの登場SEとしてファンにはお馴染みです。
松崎 兵太 (まつざき ひょうた) / ギター、コーラス
- 氏名:松崎 兵太 (まつざき ひょうた)
- 生年月日:1987年7月1日
- 出身地:長崎県長崎市
ステージ上手で激しくギターをかき鳴らしながら楽曲に厚みを与えるコーラスを加える松崎兵太はヴォーカルの庵原と同級生で、SHANKの前身バンドから活動を共にしています。
父親の影響で小学5年生からギターを始めた松崎は、初心者にとって最大の難関として知られるFコードの前に一度は挫折したものの、庵原があっさりFコードを鳴らしたのを見て一念発起し、中学生で再びギターを手にすることになりました。
生まれて初めて買ったCDは、地元・長崎出身の伝説的ロックバンド横道坊主の作品だったと語っています。
SHANKの作曲プロセスは松崎のギターリフやフレーズからスタートしているものが多く、創作面でも重要な役割を果たしているメンバーです。
2016年にPIZZA OF DEATH RECORDS主催のフェスティバル「SATANIC CARNIVAL」に出演した際、客席にパンツの中身をポロリと披露した松崎。
同フェスティバルから出禁になるかと思いきや、翌年はなぜかメインステージでの出演になるというミラクルを起こしました。
池本 雄季 (いけもと ゆうき) / ドラム、コーラス
- 氏名:池本 雄季 (いけもと ゆうき)
- 生年月日:1988年4月26日
- 出身地:長崎県長崎市
他のメンバーよりも学年がひとつ下の池本雄季ですが、実は1988年3月生まれの庵原とは1ヶ月強しか誕生日が離れていません。
バンドを結成する際、ヴォーカルを希望していましたが、和太鼓をやっていたこともあり、先輩である庵原と松崎に強引にドラム担当にされてしまったという経緯があります。
EXILEなど流行りの音楽を聴いていたという池本でしたが、松崎の家でGreen DayやGood Charlotteといった海外のパンクバンドの映像を繰り返し見せられた結果、ロックに興味を抱くようになりました。
理由は後述しましが、SHANKというバンド名の名付け親でもあります。
SHANK(シャンク)・バンド名の由来
“Shank”という英単語を調べてみると、「(人・動物の脚の)すね」など様々な意味が出てきますが、そのいずれもバンド名の由来とは一切関係がありません。
敬愛するKEMURIやPOTSHOTのようなスカパンクをやりたかった庵原は、「SKA + PUNK」をひとつにした「SKANK(スカンク)」というバンド名を考案していました。
しかし、その字面を見た池本がアルファベットのKとHを読み間違えて「SHANK」と言ったことから、そちらがバンド名として採用されることになりました。
SHANK(シャンク)・経歴
2008年にインディーズ・レーベルTHE NINTH APOLLOからシングル『RESTART』をリリースしてデビューを果たしたSHANKは、現在までにフルアルバム4枚、ミニアルバム4枚、シングル3枚をリリースしています。
長崎の港町でスタートした高校生バンドだった彼らの経歴をご紹介します。
2004年4月、庵原と松崎が在籍していた前身バンドにふたりの後輩である池本がドラマーとして加入し、スリーピースバンドSHANKは結成されました。
リハーサルスタジオで腕を磨いた彼らは、地元のホールをレンタルして初ライヴをいきなりワンマン形式で敢行。
なんと170名ほどの観客を集めるという上々のスタートを切ります。
高校卒業後はバンド活動と仕事を両立させながら活動を継続し、地元のライヴハウス界隈で名を馳せるまでになったSHANK。
しかし、長崎での活動だけでは新規の客層が増えないことに限界を感じた彼らは、メンバーで出し合っていたバンド運営費の一部を東京でのライヴ費用に充てるなど、バンドを次の段階に進めるための道を探る日々を送ります。
そんな模索の日々の中、インディーズレーベルTHE NINTH APOLLOを紹介され、オムニバスCDに参加したことがSHANKの運命を変えました。
2008年10月にTHE NINTH APOLLOから初のシングル『RESTART』でデビューを飾ると、同年12月には間髪入れずにミニアルバム『From tiny square room』をリリース。
『From tiny square room』はインディーズ・チャートで3位の好セールスを記録したほか、同作に伴うツアーも100公演以上組まれるなど、彼らの名前をシーンに知らしめる名刺代わりの一枚となりました。
以後はレコーディングとライヴに明け暮れる日々を送り、2015年に自主レーベルを立ち上げるまでの約7年間、フルアルバム3枚、ミニアルバム2枚、シングル3枚をTHE NINTH APOLLOからリリースしています。
2013年にリリースしたサードアルバム『BAiTFiSH Attitude』がオリコンチャート最高26位を記録するなど、人気バンドへの階段を着々と上っていったTHE NINTH APOLLO在籍時のSHANKでしたが、過密すぎるスケジュールにメンバーが疲弊してしまうなど試練の時期でもありました。
約200本のライヴに出演した年は、1年のうち300日ほどをメンバーと機材車などで過ごさなければならず、お互いに顔を見るのも嫌になった時期があったと回想しています。
結成10周年となる2014年にはフジロックフェスティバルに初出演を果たすなど活動の規模をますます拡大していったSHANKは、翌2015年に長年在籍したTHE NINTH APOLLOを離れ、エイベックス内に自主レーベル、「BAiTFiSH RECORDS」を立ち上げるという大きな決断を下しました。
“Bait fish”は「大きな魚を釣るための餌となる小魚」を意味する釣り用語で、自主レーベルを「BAiTFiSH RECORDS」にした理由として、
・Bait fishがいるところには魚(=人)が集まって来て楽しそうだから。
・“雑魚”という意味もあるため、「雑魚でもやる時はやるぞ!」という意思表示。
の2点を挙げています。
SHANKの主催イベント「BLZE UP NAGASAKI」は大手であるエイベックスのイベント運営ノウハウが生かされる場となり、屋内から野外へステージを移すなど、スケールアップに成功しています。
レーベル移籍後に発表した作品も好評で、2017年のアルバム『Honesty』はオリコンチャート最高18位、2018年のミニアルバム『WANDERSOUL』は最高13位と10位圏内が目前というところまでやってきました。
2020年もライヴバンドとしての勢いは衰えず、自身のツアー『KEEP ON CASTiNG TOUR 2020』で全国津々浦々を回るほか、音楽フェスティバルや他バンドの対バンとして数多くのライヴに出演が予定されています。
SHANK(シャンク)・BLAZE UP NAGASAKI
「BLAZE UP NAGASAKI」は地元・長崎の活性化を目的として2011年から開催されているSHANKの主催イベントです。
2011年から2013年までは屋内イベントとして開催され、2011年と2012年は長崎NCC&スタジオ、2013年は長崎Studio Do!を舞台に数多くの出演者が熱演を繰り広げました。
基本的に単日開催のイベントですが、2013年のみ2日間に渡って開催されています。
2014年は開催されなかったものの、「BAiTFiSH RECORDS」に移籍を果たした翌2015年からは、エイベックスの協力も得られたこともあり会場を野外に移し、規模をスケールアップして開催されることになりました。
2015年と2016年は神の島公園、2018年からは長崎の一大観光スポットであるハウステンボスに舞台を移し、「in HUIS TEN BOSCH」という副題のもとで開催されています。
2014年と2017年は開催見送りとなっていますが、メンバー自身は「毎年やるとは言っていない」と語っており、ツアーなどが組まれている時はそちらを最優先する姿勢を明確にしています。
2019年の「BLAZE UP NAGASAKI 2019 in HUIS TEN BOSCH」では会場内に釣りブースが設置されるというロックフェスティバルらしからぬ光景が見られました。
これはメンバー全員が釣り好きで、松崎がかつて釣り雑誌に連載を持っていたことが縁となって実現したものです。
メンバーの釣り好きは生半可なものではなく、ツアー先で釣りを楽しみたいという気持ちが強すぎるあまり、釣りをしやすい時期までアルバムのリリースを延ばしたことがあります。
SHANK(シャンク)・オススメ曲
メロディック・ハードコアをベースとしつつも、凡百のメロコアバンドとは一線を画すメロディセンスでパンクキッズを悶絶させてきたSHANK。
今も各地のライヴ会場に集まったファンを汗だくにさせ続けている名曲の中から厳選したオススメ曲をご紹介します。
Set the fire
2013年のシングル『Summer time in the country』収録曲。
静かな立ち上がりから曲が走り出すところは「これぞ王道!」と叫びたくなるかっこよさで、モッシュやクラウドサーフの嵐が巻き起こるのが容易に想像できるほどです。
高いキーで歌うバンドも少なくない中、聴き疲れしない音域で歌う庵原のヴォーカルが心に沁み渡ります。
Smash The Babylon
2018年のミニアルバム『WANDERSOUL』収録曲。
ハードロック風のグルーヴィーなギターリフが印象的で、サビではもちろんSHANK印のメロディアスでスピーディーなメロディが登場します。
後半ではスカ風のギターカッティングが聴かれるなど曲調が一転し、ひと粒で二度美味しい楽曲だと言えるでしょう。
Honesty
2017年のアルバム『Honesty』のタイトルトラック。
自分の夢が何気ない日々に埋没していきそうなことに対する恐れを抱きながらも、それでもなんとか夢に近付く道を探していくんだ、という決意が歌われています。
派手な展開やビッグなコーラスなどはありませんが、逆にそれが歌詞とマッチしている優しい楽曲です。
Cigar Store
2010年のアルバム『Loving our small days』の冒頭を飾るファストチューン。
この曲に関してはもう何も言うことがないのではないかと思うほど完璧なメロディック・ハードコアの名曲です。
シンバルカウントが鳴った瞬間、もう轟音の中に飛び込む準備は出来ているはず。
ライヴハウスでもみくちゃになりながらサビを合唱したい一曲です。
SHANK(シャンク)・まとめ
長崎を拠点に精力的な活動を続けるパンクバンドSHANKをご紹介してきました。
ロックフェスティバル「BLAZE UP NAGASAKI」を主催するほか、“Knockin’ on the door”という楽曲では長崎に伝わるわらべ歌のフレーズを導入するなど郷土愛に溢れたバンドです。
地方から都会に出て成功する、というのも夢のある話ですが、地元に留まって活動を続けることにパンク魂を感じてしまうのは僕だけでしょうか。
この記事を通してSHANKの音楽に触れるだけではなく、お住まいの地域の音楽シーンに目を向ける方がひとりでも増えれば非常に嬉しく思います。
![カルチャ[Cal-cha]](https://ticketjam.jp/magazine/wp-content/uploads/2021/04/logo-v2.png)