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ヒット曲が生まれた矢先のコロナ禍。バンドのモチベーションは…
-2019年に2枚目のミニアルバム『無限遠点』をリリースして、そこから“遠くまで行く君に”という代表曲が生まれました。バンドに大きな追い風が吹いた矢先、新型コロナウイルスの登場によって音楽業界は大きな打撃を受けてしまいます。かなりフラストレーションの溜まる状況だったのではないかと思いますが、コロナ禍はAbsolute areaにとってどのような時期でしたか?
萩原:(Absolute areaとして)史上初の東阪ワンマンを発表して、これからというタイミングで全て中止になり、大好きだったライヴができなくなって……。当時はかなり落ち込みましたが、ベースという楽器に真剣に向き合うきっかけになりました。
-コロナ禍に自分の楽器をあらためて学び直した、というミュージシャンも少なくないと聞きますね。
萩原:宅録などに力を入れ始めたのもそこからで、メンバーから送られてきたデモにベースを入れて送り返したり、他にも宅録やサポートのお仕事をいただいたり、この期間でミュージシャンとしても大きく成長できたなと思うし、それが作品にも反映できています。全てではないけど結果的にはプラスに持って行けた期間だったと思います。
山口:SNSの大事さをより感じた期間でした。“SNS上にいない=存在しないのと同じ“みたいに感じましたし、少し寂しかったですね。でも、コロナ禍でも僕らの音楽を聴いてくれたり、忘れないでいてくれた人たちもいて、そんな人たちに恩返しできるようにひたすら曲を作ってました。だから個人的にはモチベーションはそんなに下がらなかった気がしてます!
髙橋:やっぱりライヴなどはほとんどが中止や延期になり、Absolute areaとしてのワンマンライヴも一度白紙になってしまいました。そうした背景もあって、メンバー間のコミュニケーションを以前よりも取るようになったと思います。今現在はこういう形であらためてバンドに向き合って考える事ができるようになったので、Absolute areaとしては必要な時期だったと考えています。
2曲同時リリースされた新曲、“mirroring”と“まだ名のない歌”
-5月18日に2曲同時デジタルリリースされた新曲、“mirroring”と“まだ名のない歌”に話題を移しましょう。まず、2曲同時に発表した理由について教えてください。
山口:“mirroring”は新しい曲なのに対して、“まだ名のない歌”は高校2年生のときに書いた曲だったので、「過去のアブソの音楽」と「これからのアブソの音楽」をしっかりと提示できたかなと思います。「アブソのファンはどっちの音楽が聴きたいんだろう?」っていう疑問があったんですけど、結果的には僕の嬉しい方向に動いてくれました。
-“mirroring”はU2を想起させるようなフレーズが印象的で、まさにスタジアムなどの大会場にふさわしいスケール感のある楽曲です。楽曲が生まれた経緯について教えてください。
山口:楽曲のスケール感は常に意識してました。高校生の時に書いていた曲では、ここまでのスケール感はないと思うし。やっぱり僕が思い描いている未来像はスタジアムやアリーナで演奏することなんです。ライヴハウスで演奏するときも頭の中ではそういった大会場を常に思い描きながら歌ってます(笑)
-「人は鏡」というテーマで曲を書く場合、「自分が変われば世界が変わる!さあ、変わろう!」のような内容になりがちですが、“mirroring”はそういった楽曲とは少し温度感が異なりますね。最後に<君はそのままの姿でいいよ>と肯定して終わるのが特に印象的でした。もしかしたら山口さんの人付き合いの距離感などを反映しているのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
山口:僕は曲を書くとき、「君」を「僕」に置き換えて、僕自身に向けて歌を書いていることが多いんです。コロナ禍の中、本当に思い描いている未来が来るのかと不安になって焦っていたときに、僕が誰かに掛けてもらいたかった言葉が“mirroring”の歌詞なんだと思います。
-曲を書くという行為が一種のセラピーのようですね。
山口:それでできた節が<そんなに焦らないでいいよ / ゆっくり僕の方へおいでよ>だったんだ、と(気付きました)。<ゆっくり僕の方へおいでよ>の「僕」は鏡越しに思い描いた「未来の自分」で、未来の自分が今の自分に向けて歌っているという感じです。
-“mirroring”のアートワークも素晴らしいですね。道路に水たまりがあれば、下を向いていても空の青さを感じることができるわけです。誰かに「上を見なよ」と言うよりも、そっと空を映しているだけの水たまりのような存在になりたいと思いました。すでにライヴでも演奏している楽曲ですが、ファンからはどのような反応がありましたか?
山口:すごく良いコメントをありがとうございます。ファンの皆さんも良い反応をくれています! ジャケットに関して説明すると、同時リリースの“まだ名のない歌”のジャケットは飛んでいる鳥の写真ですよね? その鳥の姿が“mirroring”のジャケットの水たまりに写り込んでいるという仕組みになってるんです。高校生の時に描いた“まだ名のない歌”は、無我夢中で自由に青空を飛ぶ鳥。今描く“mirroring”は、水たまりというフィルター越しに映る俯瞰的に見た鳥、という(メタファーです)。実はそんなメッセージもこっそりと入れています。
-“まだ名のない歌”はロックバンド然としたサウンドが印象的な楽曲です。自主制作盤に収録されていた楽曲とのことですが、どのような経緯で今回リメイクすることになったのでしょうか。
山口:今回、日本工学院ミュージックカレッジ音響芸術科の生徒の皆さんのご協力のもとでレコーディングすることになったので、どうせなら過去の曲をやってみようか、という話になったのがきっかけでした。
-なるほど。MVで使われているのはそのときの模様なんですね。“まだ名のない歌”というタイトルを目にしてふと思ったのですが、もしかしてMr.Childrenの“名もなき詩”のオマージュなのでしょうか。
山口:高校生のときに書いたのではっきりとは覚えてないですが、それもあったかもしれません(笑)
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