【インタビュー】クボタカイ – 音楽との出会いから「来光」。その後まで。

【インタビュー】クボタカイ – 音楽との出会いから「来光」。その後まで。

気怠く心地良いラップと、都会的でオシャレなトラックがクセになるクボタカイ。

文学的なリリックも彼の人気の一つですが、今回カルチャのインタビューに応じてくれました!

4月に発表されたアルバム「来光」の制作秘話から、音楽との出会いまでを詳しく語って頂きました。

それでは、早速その時の様子をお伝えします!

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クボタカイインタビュー!音楽との出会いから「来光」。その後まで。

—— 本日はカルチャのためにお時間をいただきありがとうございます。カルチャ初登場ということで、まずは簡単に自己紹介をお願いしてよろしいでしょうか?

クボタカイ、ラッパー、トラックメーカー、シンガーもかな…やってます。
22歳の男です。よろしくお願いします。


—— よろしくお願いします。ご自身としてはシンガーというよりはラッパーという認識が強いのでしょうか?

クボタ:もうね〜、わかんないです(笑)
ラップから入ったからラッパーと名乗ってはいましたけど、いろんな音楽に意図的にトライしてるんで、ラッパーの時もあるし、シンガーの時もあるし、ミックスさせてる時もある。全部名乗っとこうかなと。


—— なるほど。そんな音楽活動の開始の動機や経緯からお伺いしていきたいんです。
フリースタイルラップに触れて音楽を始められたと聞きましたが、詳しく教えていただけますか?

クボタ:福岡でフリースタイルラップを始めました。
近所の公園でラップしてるらしいぞ〜と聞いて、初心者だったけど、ちょっと行ってみて、そこからハマってフリースタイルを始めた感じです。


—— サイファーみたいな形ですかね?

クボタ:そうですそうです。お風呂場で一人で韻踏んでたりとかしてたんですけど…
そういう意味では別にネットラップ出身とかでもないかも。


—— その当時影響を受けたアーティストと言うと誰になるんでしょうか?

クボタ:フリースタイルだと…誰だろうな~。
フリースタイルダンジョンめちゃめちゃ見てたので、あの中で言うなら、初期のダンジョンで焚巻さんが、他のチャレンジャーに比べたら名前はまだ知られてなかったのに、ズバズバ倒して、最後のラスボス戦、般若対焚巻は今だにクラシックですね〜


—— あれは熱かったです!

クボタ:焚巻さんの言葉がすごい好きで「ボコボコにへこまされるよ毎夜毎晩でも磨いた牙コイツが信じたいじゃん」っていう。
葛藤とか自分への叱責とかあって、でも俺はこのラップに自信を持って出てて、この牙を信じるぜ、みたいなラインが刺さって…。そういう直接的な男気系のメッセージ、普段はあんまりなんですけど、それはもうぐわーんてきて。


—— そんな形で音楽を始められたクボタカイさんですが、活動開始から一年半でEP を出されています。
そのスピード感で作品を完成させられる人は、なかなかいないと思うのですが、自分の楽曲を作るようになった経緯を教えていただけますか?

クボタ:最初サイファーの、フリースタイルの友達がポツポツ曲を作り始めてて、なんとなく周りも作ってるし曲作らないとなぁという意識があった中で…ある時失恋をしまして。
その失恋のバイブスっていうかどこにも行けない気持ちを今ぶつけて曲にしてみようじゃないかということで、失恋したその日にバーって書いて、「Nakasu night.」という曲を作ったのが一番最初でしたね。


—— なるほど…苦い体験が新たな道を切り拓いたんですね。作詞作曲までご自分でされたのでしょうか?

クボタ:後ろのトラックとかは僕が作ったわけじゃないんですけど。メロディーというか…フローとかリリックを全面にぶつけたのが最初ですね。


—— ビートメイカーの面についてお伺いします。そういったものの勉強、習得はどうやってされていたんでしょうか?

クボタ:正直ね、今まさに勉強中でと言うか…。
デモを自分で作ったり後、アレンジャーに投げて編曲をしてもらったりとか、そういうのが多いんですけど…編曲なしでトラックを完全に自分で作れるように、トラックメーカーの友達の家に何泊か修行しに行ったりしてます。


—— 合宿みたいな感じですね

クボタ:そう。この間もShun Marunoっていうトラックメーカーの家に行ってきたところです、ちょうど。


—— 「来光」の中にもShun Marunoさんが作られた曲ありましたよね

クボタ:「せいかつ」とか「春に微熱」とかその辺りですね。柔らかい音が彼は上手で。


—— トラックメイクを始めてみてどうですか?

クボタ:実際のトラックに落とし込む作業って結構な鍛錬が必要で、それは正直センスだけではちょっとというか。例えばドラムの拍の取り方とか、三連符のハイハットをここに配置したらここのグルーヴが生まれるとか。

作詞作曲って僕らは基本的に言語を使ったり、鼻歌を歌ったりある程度のことができるからセンスだけでできるけど。それはもう行ったことのない領域だから努力ありきのセンスかなと思ってます。


—— トラックメイクを学ぶことで、これまでセンスでやってきたことが変わったり、作詞作曲の際、メロディーを出す際に与えられた影響もありますか?

クボタ:そうですね。変なコード使いたいなって思うようになりました。コードの裏切りって気持ち良いものじゃないですか。特に、音楽をしていけばいくほど。
広義で言えばコードの変更だろうけど、僕の場合ボーカルのメロディーで裏切りたいというか。例えばaikoさんの楽曲って、どこで音程が落ちるかわからないハラハラがあるじゃないですか。「そんなメロディー使うんだ」とか「そんな落とし方するんだ」みたいな。その辺りをより取り入れなきゃなって。


—— ありますね。幸せな雰囲気の中に、悲しみの要素が顔を出すというか…

クボタ:ちょっと話変わるけど、僕は「なんか良い音楽だね」っていうのが元々すごい好きで。
「なんか良い」それが「心地良い」ってことなんだろうけど、もう僕はそこだけじゃなくて。「なんか良いね。だけどこれやばいね!」に心のどっかで憧れてる部分があるんですよね。

衝撃と心地良さって、ベクトル的にはまた別のものじゃないですか。なのでこれから作る作品は「何か良いね」「心地良いね」っていうのがベースでありつつ、「あれ?よくよく聞いてみたらここのメロディーの落ち気持ち悪いぐらいやばいな」とかそういう曲作りをしていきたいなと思ってます。


—— 先日Instagramで「耳を振り向かせるのがメロディで、心を掴むのが詩」という投稿もされていましたが、実体験としてご自身が耳を掴まれたメロディ、または心を掴まれた歌詞があれば教えていただきたいです。

クボタ:そうですね~。まぁそれこそaikoさんとか。
アーティストの能力グラフって、僕なんかが言ったら失礼だけど、五角形のグラフだったとしたら全部どかーん!て出てるじゃないですか。まず、歌詞が良いしメロディーも変則的でヤバいし、歌が上手なのももちろんですけど…一声でaikoさんって分かる個性とか。
最初にメロディーでは何これと思いながら聴いてたら、歌詞もやばいなって気づいたり。


—— 確かに…。

クボタ:あと誰だろうなあ。eillさんっていうアーティストさんがいて、eillさんの「片っぽ」とかね。
結構静かなメロディーで入って、サビでどかーん!てくるんですけど。メロディーだけでもヤバいのに歌詞でもくるし。実は一番、二番の関連性とか。そういうところにどんどん深いところまで知ってしまうような曲ですね。


—— 4月にリリースされたアルバム「来光」ではいろんなトラックメーカーの方やアレンジャーさんを迎えてコライトされたと思います。その時の作曲方法を教えていただけますか?

クボタ:そうだなあ。色んなやり方があって…。
例えば「アフターパーティー」とか「僕が死んでしまっても」は自分がギターでコード作って。だからある程度もうコードと歌はある状態で、トラックメイカーさんとかアレンジャーさんにお願いするという形をしてて。

他は、例えばトラックがボンと来て、こういうので乗っけてみないかっていうのを、僕がその上にボーカルを乗っけるっていう。それは「Youth love」とかですね。


—— なるほど。

クボタ:で、もう一つは、頭の中に「こういう曲を作るぞ」っていうアイデアがあって、そのアイデアをトラックメーカーさんと共有して、そっからその頭のイメージに向かって組み立てていくやり方。
それが例えば「MIDNIGHT DANCING」とか「ベッドタイムキャンディー2号」とかですね。


—— 3つめのやり方は、最初から自分の中で音像というか、完成形があるんですか?

クボタ:曲によりけりですけど、割とはっきりはしてると思います。
例えば「MIDNIGHT DANCING」なんかは、声ネタを使ったディスコミュージックをしたいなって思ってました。
いろんなところから引っ張り込んできただろうなっていう雑多感を、「リズムで誤魔化して、勢いで押し切ってんな。。。あれ?でも歌詞聞いてみたらコアなこと言ってんなこいつ、ミドルテンポで歌わなくていいの?」っていうようなやつを作りました。


—— ご自身でコードなど、最初の基盤を作った2曲「僕が死んでしまっても」と「アフターパーティー」をアルバムの最初と最後に入れたのは意図的だったりするんでしょうか?

クボタ:う~ん、それは必然的にというか。
一番最初に「僕が死んでしまっても」をやりたかったのは、単純に一番聞いてほしい歌っていうのと、自分の中でジャンルの壁をどうすり抜けるかっていうのがサブテーマだったので。
だから1曲目から裏切ってやろうって。「1曲目からめちゃめちゃロックサウンドじゃん」って思わせようと思って1曲目にしたっていうのが最初にした理由です。


—— 確かに。驚かされました。

クボタ:「アフターパーティー」を最後にしたのは、「せいかつ」のアンサーソングじゃないけど…その後の歌なので、「せいかつ」の後にして含みを持たせて終わろうと思いました。


—— 今後の活動について聞かせてください。kojikojiさんとの「パジャマ記念日」とか、みゆなさんと出された「あのねこの話」のように、これまでいろんなコラボをされてきたと思います。今後この人と一緒にやってみたいという人がいれば教えて頂きたいです。

クボタ:目標じゃなくて、割と人生の中での夢じゃないけど…。
高校生の時から自分の部屋にポスター貼ってるぐらい、僕はクリープハイプさんがめちゃめちゃ大好きなので、生きてるうちに一曲できたらなーっていうのがひとつ夢であります。


—— クリープハイプさんやaikoさんなど少し意外な名前が出てきて興味深いです。ラップを始める前に聞いてた音楽は今の活動や自分の思考、思想に影響していたりしますか?

クボタ:もちろん影響しますね。そもそもギターを買ったのは高校生の時で、それこそそういう音楽を聴いていたし。


—— そうなんですね!ではラップを始める前にも音楽はされていて…

クボタ:音楽っていうか、文化祭に出るために友達とギターを、って感じでした。本当に音楽やってるなんて言えないぐらいの遊びだったんで。でもそのきっかけは確かにもらったから。
当時はサカナクションさんとか、フラワーカンパニーズさんとか、ゲスの極み乙女さんが出てきた時は結構ガッツリ聞いてましたね。


—— 結構J-Rockだったんですね。

クボタ:そう。四つ打ちで。ダンダンダンって。


—— ありがとうございます!コラボのお話に戻るんですが、ラッパーだとどなたになりますか?

クボタ:そうですね…例えばサイプレス上野さんとロベルト吉野さんとか、実はしたいんですよね。


—— うわ、それは想像つかないというか…表現が正しいか分からないですけど、陰と陽がぶつかる感じというか、是非聞いてみたいです。

クボタ:あのごちゃついたトラックで乗せたいというか、それに俺も乗る感じでごちゃつくのか、それとも一歩引いてメロディを乗せるのか…とか想像膨らみますけどね。


—— ぜひ、実現して頂きたいと思います。
—— 次回リリースの予定や告知など、何かあれば今言える範囲で教えて頂けますか?

クボタ:そうですね。詳しくはまだ言えないんですけど、フィーチャリングも含めて、これから色々計画してて、既に制作に取り掛かってるものもあります。

あとは、Rin音のツアーに全公演帯同するのでそれも楽しみにしてほしいですね。


—— ありがとうございます。最後にカルチャの読者へメッセージをお願いします。

クボタ:読んでいただいてありがとうございます。クボタカイです。
こんな僕と出会ってくれてありがたいなぁと思ってます。今後「あ、クボタカイね」ってみんな分かるようになった時に、私この頃から知ってたんだぜってニコニコしてもらえるように頑張ります。


—— 今日はお忙しい中本当にありがとうございました!

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