最果テルーティン – 「終わらせなければ始まらない」 “奇跡の声”萩山百花率いるスリーピースバンド

最果テルーティン – 「終わらせなければ始まらない」 “奇跡の声”萩山百花率いるスリーピースバンド

「終わらせなければ始まらない」

そんな文学的な香りが漂うキャッチフレーズを掲げ、大阪を中心に活動するスリーピース・ロックバンド、最果テルーティン

もっとも遠い場所を表す「最果て」と日課を意味する「ルーティン」という接点の無さそうな単語を組み合わせたバンド名も実に意味深です。

バンドの核を成すのはヴォーカル&ギターの萩山百花(はぎやま ももか)。

エモーショナルなバンドサウンドをさらに増幅させる感情剥き出しの声は、一度聴いたら絶対に忘れることができない特別な響きを帯びています。

凛と背筋を伸ばして歌い上げているかと思えば、次の瞬間には千切れてバラバラになりそうな感情をなんとか繋ぎ留めながら、涙混じりの絶叫を必死に絞り出す彼女。

胸の奥底をざわつかせるようなその歌声は、眠れない夜を過ごしている人達にこそ聴かれるべきものでしょう。

今回は、感情の塊にして天性のシンガー・萩山百花率いる最果テルーティンをご紹介します。

萩山百花・ロングインタビュー

最果テルーティン・メンバー

2020年3月のメンバー脱退により、萩山百花のひとり体制となってしまった最果テルーティン。

現在は信頼のおけるサポートメンバーが加入し、スリーピースバンドとして安定的に活動しています。

萩山百花 / ヴォーカル、ギター

  • 氏名:萩山 百花(はぎやま ももか)
  • 生年月日:1999年5月23日(22歳)
  • 出身地:愛媛県伊予市

ヴォーカルとギターを担当する萩山百花は、大阪市内の音楽大学で音楽制作を学ぶ22歳。

バンドの創設者にして唯一のオリジナルメンバーです。

最果テルーティンでの活動と並行し、ソロ名義で『オールドラブストーリー/冬になったら』『夕日の中で』を発表。

また、RaKeyの“愛に溺れて口ずさむ”、PIKASONICの“花束”など外部アーティストの楽曲でもその声を聴くことができます。

たいき / ベース

前任ベーシスト・たかだしおりの脱退を受け、2020年11月15日のライヴからサポートメンバーとして加入。

「たいきはべーしすと」という実にわかりやすいTwitterのアカウント名の持ち主です。

ハマザキ / ドラム


前任ドラマー・まきし。の脱退を受け、2020年11月15日のライヴからサポートメンバーとして加入。

音楽関連の話題と並び、ウルトラマンや仮面ライダー、戦隊モノやゲーム関連のツイートが多いメンバーです。

最果テルーティン・経歴

結成~4人編成時代

2018年11月、大阪市内の音楽大学の同級生4人が集まって結成された最果テルーティン。

結成当初はガラパゴス名義で活動していました。

最果テルーティンの公式YouTubeチャンネルの概要欄に残る「全員作家の音大生4ピースバンド」のフレーズに4人編成時代の名残を見つけることができます。

そのキャッチフレーズ通り、メンバー全員が作詞・作曲できることがバンドとしての“売り”のひとつ。

結成当初のメンバーは

萩山百花 / ヴォーカル、ギター
So:ta / ギター
たかだしおり / ベース
まきし。 / ドラム

結成翌月には早くもYouTube上で“黒い酸素”のMVを公開しています。

2019年4月からは名古屋テレビで放送のドラマ「his ~恋するつもりなんてなかった~」の挿入歌に“黒い酸素”が抜擢され、結成わずか数か月にして、その作曲能力の高さを証明してみせました。

4月に1stシングル『黒い酸素』、7月にEP『音楽のとなりで。』と快調なペースで作品をリリースし、2019年を無事に駆け抜けた彼らに最初の転機が訪れます。

2020年3月に2ndシングル『あなたに会いたくなったら』をリリースしたガラパゴス。

シングルの発売記念ライヴとなった3月25日のShangri-La公演を最後にギターのSo:taが脱退、以降はスリーピースとして活動していくことに。

また、バンド名を最果テルーティンに改めることも発表され、新体制での再スタートとなりました。

最果テルーティン活動開始

メンバー脱退と活動名義の変更という大きな転機を経験した最果テルーティン。

約3ヶ月ほどの活動休止期間を挟んだ2020年7月、改名後初となるデモ音源集『水中歌』を発表。

ライヴでの重要なレパートリーとなった“季節”を含む『水中歌』は、全3曲というボリュームながら、今後の飛躍を予感させる充実した内容に仕上がっています。

さらに翌8月には、ロッキング・オンが主催する若手アーティストを対象としたオーディションイベント『RO JACK for COUNTDOWN JAPAN 20/21』の月間入選アーティストに選出。



最終的に優勝は逃しましたが、数多くのバンドがしのぎを削る最前線のシーンで互角以上に渡り合える力があることを示してみせました。

メンバー全員がソングライターである強みを生かし、9月12日からは10ヶ月連続でリリックビデオをリリースすることを宣言。

その第1弾となった約100秒間の酔いどれダンスロックチューン“ALC9%”は、翌月以降のビデオへの期待が高まるクオリティを備えていました。
(撮影時間は深夜2時、音が出ないようにフライパンをそっと戻す姿が可愛い!)

メンバー脱退~萩山ひとり体制へ

オーディション企画での入選、10ヶ月連続でリリックビデオ発表宣言など順調な活動ぶりに思われた最果テルーティン。

しかし、ここで再びバンドに大きな変化が訪れます。

2020年10月10日、前身バンド・ガラパゴスから行動を共にしてきた盟友、たかだしおりまきし。のふたりが「将来を考える時間を作りたい」として脱退を発表。

メンバーが学生ということもあり、卒業が近付くにつれ将来について思いを巡らせる時間が増えるのは当然のこと。バンド側からも「前向きな脱退」と発表されています。

最果テルーティンとして再スタートを切ってから約半年、「メンバー全員作家」のコンセプトは崩壊し、萩山百花ひとりがバンドに残されるという危機的状況。

普通なら解散や長期活動休止に陥ってもおかしくない状況でしたが、萩山は歩みを止めませんでした。

直近のライヴはワンポイントのサポートメンバーの助けを借りて出演。

そして、11月15日のライヴからはベース・たいき、ドラム・ハマザキをサポートメンバーに迎え、再々スタートを切ったのです。

その直後、11月25日に発表された“ひとりぽっち!”のリリックビデオは、当時の萩山の心境を表現したものでしょうか。

「ひとりぼっちは怖いけど、泣いていたってなにも変わらない」

ストレートなバンドサウンドに乗せ、そんな心境が迷いの無いまっすぐな声で歌われています。

12月15日には2枚目となるデモCD『四温』をリリース。

脱退したまきし。のペンによるヒットポテンシャル満載のロックチューン“パステルカラー”を含む全3曲は「このバンドのライヴを観たい!」を思わせるのに十分な説得力を持っています。

特に萩山の作詞・作曲による“僕らは21”は、彼女が何故ひとりぼっちになってもバンドをやめなかったのか、その答えとなるような1曲だと言えるでしょう。

短期間で改名やメンバーチェンジ、さらにはコロナ禍による環境の激変などあまりにも多くを体験した最果テルーティン。

しかし、サポートメンバーのたいき、ハマザキのふたりが合流してからは順調な活動を続けることが出来ています。

2021年5月27日からは、リリックビデオとして発表した楽曲を含む音源集『音楽家になりたかった』の販売を開始。

リリース当日におこなわれたレコ発ライヴでも披露された新曲“音楽家”は、今後重要なレパートリーになっていくことが予想される名曲です。

リリックビデオ10ヶ月連続リリースという当初の公約は果たせなかったものの、バラエティに富んだ全6曲を堪能できる音源集となっています。

最果テルーティン・オススメ曲

2020年10月までは「メンバー全員がソングライター」として活動していた最果テルーティン。

これまでに実に様々なタイプの楽曲を世に送り出しています。

その中からカルチャ的オススメ曲をご紹介していきましょう。

卒業

萩山の歯切れのいいギターがぐいぐいと曲を牽引するギターロックチューン“卒業”

この曲で2020年8月度「RO JACK for COUNTDOWN JAPAN 20/21」に入選を果たしています。

どこを切っても“スリーピース”としか言いようのないストレートなサウンドが鳴り響く中、突如として登場する後半の美しいコーラスパートが絶品。

過去の思い出も、思い出にへばりついた自分の気持ちもすべて置き去りにして、<まだ迷っていたいけど><もう迷っていないから>に塗り替えていく。

失恋ソングとして多くの共感を獲得しそうなこの曲が、バラードではなくロックチューンであるところも個人的には大好きなポイントだったりします。

ひとりぽっち!(demo)

2020年10月のメンバー脱退から約1ヶ月後に発表されたリリックビデオ“ひとりぽっち!”

当時の萩山百花の状況を過不足なく言い表したタイトルだと言えるでしょう。

脱退発表でバンドの将来を心配したファンも、ビデオ冒頭に映し出される「1人でもロックンロールを歌いたい女」というパワーワードには思わず笑ってしまったはず。

筆者もそのひとりで「あ、思ったよりも元気だわ」と安心させられました。

ここで歌われるのはひとりになった恨み節でもなければ、バンドの先行きに対する不安でもなければ、やみくもにポジティブなメッセージでもありません。

そこにあるのは「泣いても喚いても現実はなにひとつ変わらないんだなあ」という超ニュートラルな現状認識。

ひとりになってもやることは変わらない。ただギターを手にして歌うだけ。

萩山百花のそんな声が聴こえてくるシンプルなロックンロールは、長年愛用した毛布のような安心感で耳を包んでくれます。

いなくなったもの

2020年3月発表の2ndシングル『あなたに会いたくなったら』に収録されている“いなくなったもの”

2021年3月27日に新宿LOFTで開催されたイベント『MASH HUNT LIVE Vol.4』のライヴ映像をご紹介します。

筆者も会場に足を運んだこの日のライヴは、オーディションイベントということもあって僅か15分の持ち時間でしたが、演奏を聴いて鳥肌が立つという感覚を久々に味わったことをよく覚えています。

「コロナ禍によって何人もの仲間たちが夢を諦めていった」という萩山百花のMCに続いて演奏されたのが、この“いなくなったもの”でした。

淡々と刻まれる三拍子に乗せ、いなくなってしまった人、消えてしまったメロディへの鎮魂歌の如く紡ぎ出される静謐な歌。

<正しい音で / 正しいリズムで / 刻み続けて>

祈りのような歌に変化が生じるのは、楽曲の中盤を過ぎたころ。

曲が始まった時の静謐さは消え失せ、乱れに乱れた感情が剥き出しになった歌声。

自分を置いて去って行った夢を語り合った仲間たちへの怒りか、はたまたすべてを変えてしまったコロナへの恨みなのか。

その感情の正体がなんであれ、不規則に揺れ動く感情すらも音楽にしてしまう萩山百花というアーティストの才能には空恐ろしいものすら感じました。

最後に「ありがとう、歌わせてくれて!」と叫んだ萩山。

その叫び声の向こう側に、ステージに立つことを諦めなくてはならなかった多くの若者の涙を見たような気がしました。

名演という言葉がふさわしいステージだったのではないでしょうか。

最果テルーティン・まとめ

大阪を中心に活動するスリーピースバンド・最果テルーティンをご紹介しました。

2020年5月現在でTwitterのフォロワー数1,000人ちょっとと知名度はまだまだのバンドです。

しかし、ヴォーカル&ギターの萩山百花の歌声が持つポテンシャルは無限大。

これからさらに多くの音楽ファンに聴かれていくべきバンドだと断言できます。

まずはサブスクやYouTubeで音源に触れてみてください。

きっと筆者の言わんとするところがご理解いただけるはずです。

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