【舞台レポ】朗読劇『ハロルドとモード』2025年公演を徹底レポート

【舞台レポ】朗読劇『ハロルドとモード』2025年公演を徹底レポート

1971年にアメリカで公開された映画を原作とした朗読劇『ハロルドとモード』が、2025年で6度目の上演を迎えました。
世代や立場を超えて“生きる意味”を問いかける本作は、毎回新たなキャストと演出で話題を集めています。

本記事では、10月6日に東京・EX THEATER ROPPONGIでおこなわれた公演の様子をレポートします。

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朗読劇『ハロルドとモード』とは?

朗読劇『ハロルドとモード』は、1971年に公開されたアメリカ映画『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』を原作とし、朗読と演技で再構成された舞台作品です。
日本では2020年に初演され、毎年上演を重ねてきました。

モード役を務める黒柳徹子にとっては“ライフワーク”ともいえる代表作であり、彼女の人生観やあたたかなユーモアが作品に深みを与えています。

また、ハロルド役には毎年STARTO ENTERTAINMENT所属の俳優やアイドルが出演しており、その時々の世代を象徴する存在として新たな解釈をもたらしています。

作品のテーマ

本作は、死に取り憑かれた青年ハロルドが、自由に生きる老女モードと出会い、生きる喜びを見いだしていく物語です。
“命は限りあるもの”。その現実を受け止めながらも、今をどう生きるかを優しく問いかけます。

シリアスな題材でありながら、軽やかな会話やユーモアを通して、人生のあたたかさをそっと伝えていました。
朗読劇という形式を通して、セリフの抑揚や間の取り方、静寂を生かした演出が感情をいっそう深く響かせています。

2025年公演の出演キャスト

朗読劇『ハロルドとモード』の2025年公演では、以下のキャストが出演しました。


黒柳徹子
七五三掛龍也(Travis Japan)
森迫永依
前野朋哉
松尾貴史
和久井映見

さらに、ステージ上では荻野清子によるピアノの生演奏が朗読に寄り添う演出も見どころ。登場人物の感情に呼応するような繊細な旋律が、作品の世界観をより深く彩っています。

歴代ハロルド

歴代のハロルド役は、STARTO ENTERTAINMENT所属の俳優・アイドルが務めています。
※初演でハロルド役を務めた生田斗真は、2023年に事務所を退所しています。

上演年 名前
2020年 生田斗真
2021年 藤井流星(WEST.)
2022年 佐藤勝利(timelesz)
2023年 向井康二(Snow Man)
2024年 松島総(timelesz)
2025年 七五三掛龍也(Travis Japan)

2025年公演では、歴代ママ(ハロルドの母親役)を務めた女優陣が観劇に訪れ、黒柳徹子を囲んで“奇跡の再集結”を果たしたことも話題となりました。

朗読劇『ハロルドとモード』日程・会場・アクセス

朗読劇『ハロルドとモード』2025年公演は、東京と大阪の2会場での上演となっています。それぞれの日程・会場・アクセスは以下のとおりです。

【東京都】EX THEATER ROPPONGI

日程 会場 開場/開演時間
2025年9月30日(火)~10月10日(金) EX THEATER ROPPONGI 開場13:15/開演14:00
アクセス

  • 東京メトロ日比谷線・都営地下鉄大江戸線 六本木駅2番出口から徒歩5分
  • 東京メトロ千代田線 乃木坂駅5番出口から徒歩8分
  • 東京メトロ南北線 麻布十番駅7番出口から徒歩11分
  • 都営バス 渋谷⇔新橋 都01系統 『EXシアター前』すぐ

【大阪府】森ノ宮ピロティホール

日程 会場 開場/開演時間
2025年10月16日(木)〜10月19日(日) 森ノ宮ピロティホール 開場13:15/開演14:00

※10月17日(金)は休演日

アクセス

  • JR大阪環状線 森ノ宮駅北口から徒歩5分
  • Osaka Metro中央線・長堀鶴見緑地線 森ノ宮駅2番出口から徒歩2分

劇場の様子


東京会場・EX THEATER ROPPONGIでは、開演を前に漂う静かな緊張感と高揚感が印象的でした。
当日券と事前チケットで入場列が分かれており、チケットを見せるとパンフレットが配布されて座席へ向かうシステムとなっていました。

ここでは、会場の雰囲気やロビーの様子など、当日の劇場の様子をレポートします。

花で飾られたロビー


入場すると、左手には黒柳徹子や七五三掛龍也宛て、突き当たりにはそのほか出演者宛てのスタンド花がずらりと並んでいました。
関係者や共演者、出演番組などから贈られた花には名札が添えられ、ロビー全体が華やかな雰囲気に包まれていました。

多くの観客が写真を撮ったり、名前を探したりしながら、開演前のひとときを楽しんでいました。

TOTTO-CHAN SHOPグッズの販売

『ハロルドとモード』の専用グッズはありませんが、黒柳徹子による公式ショップ『TOTTO-CHAN SHOP』のアイテムがB1Fで販売されていました。
トートバッグやTシャツなど、観客が立ち寄って手に取る姿も多く見られ、開演前のロビーをにぎわせていました。

インターネットでも『TOTTO-CHAN SHOP』のグッズが購入できるため、チェックしてみてください。

劇場はほぼ満席

開演15分前には約8割が着席。開演直前にはほぼ満席の状態となっていました。男女比は1:9ほどで、年齢層は幅広い印象。

10月6日公演では、歴代ハロルドの藤井流星(WEST.)向井康二(Snow Man)をはじめ、Travis Japanメンバーの川島如恵留松倉海斗の姿も客席に見られました。
舞台を通して代々受け継がれるつながりと、メンバーを見守るあたたかな絆が感じられる一幕でした。

 

 

ステージレポート|朗読劇の世界を体感する100分

静寂と音が交錯する約100分。朗読と演技が融合し、観客の想像力を刺激するステージでした。
ここでは、ストーリーや演出の工夫、キャストの演技から感じた舞台の魅力を振り返ります。

モードとの出会いが生きる力を呼び覚ますストーリー

本作は、死を身近に感じながら生きる青年ハロルドが、自由に人生を謳歌する老女モードと出会い、次第に“生きる意味”を見つけていく物語です。
モードの奔放な言葉や行動を通じて、ハロルドの視線が少しずつ“死”から“生”へと移り変わっていく過程が丁寧に描かれました。

物語の中盤、ハロルドがギターを手にモードと歌う場面では、2人の間に生まれる穏やかな幸福感が印象的でした。
そしてラストシーンで、同曲を1人で歌う場面では、声の震えや表情の変化が繊細に描かれ、彼の心の成長を象徴していました。

また、モードの腕の内側に刻まれたタトゥーにハロルドが気付いた描写も印象に残ったシーンの1つ。
舞台上ではその背景に触れられませんでしたが、原作では彼女がナチスの強制収容所を生き抜いた過去を持つことが明かされています。

明るく生きるモードの姿の裏に抑圧された過去があり、彼女の軽やかな言葉の奥には深い悲しみがあることを知ったハロルド。
その瞬間に、“だからこんなにも彼女は自分の人生を生きようとしている”ということを理解したのかもしれません。

そして、物語終盤。ハロルドが霊柩車を崖から落とすシーンでは、モードが投げた“名前入りのコイン”のエピソードが重なります。
彼女の「こうすればなくさない」という言葉を受けて、モードとの思い出を永遠に手放さないために、あの霊柩車を落としたのではないかと感じました。

モードの言葉と笑顔は、観客の心にも“生きる力”をそっと残していったようでした。

朗読だけで情景が浮かぶ繊細な演出

演出を手がけたのは、初演から本作に携わるG2。朗読劇という形式のなかで、静けさや間の美しさを生かしながら、音や光で物語を立ち上げていく繊細な演出が印象的でした。

ステージには机と椅子が整然と並び、登場人物たちはその場に座ったまま朗読を中心に物語を進めていきます。
一方で、ハロルドが机の上に上がるなど、最小限の動作で感情を表現する場面もあり、静と動のバランスが絶妙でした。

照明の変化やピアノの旋律がその心情に寄り添い、観客の想像を自然と物語のなかへ引き込んでいきます。

特に、ハロルドがモードの誕生日に贈ったひまわりが舞台後方から現れるシーンは印象的。
シンプルな舞台のなかでその花々が唯一の彩りとして際立ち、まるで観客自身が祝福を受けているような、あたたかな幸福感に包まれました。

感情を声と表情で描くキャストの演技

朗読劇のなかでもっとも重要な部分ともいえるのが、キャストの演技です。

七五三掛龍也は、19歳の青年らしい不安定さを繊細に表現。実年齢の30歳を感じさせないほどのあどけなさと純粋さで、死を見つめていたハロルドが“生”に目を向けていく心の変化を繊細に演じていました。

黒柳徹子は、天真爛漫な少女のようなかわいらしさと力強い声が印象的で、明るさのなかに深いあたたかみを感じさせました。 2人の対比が、物語の軸をより鮮明に浮かび上がらせています。

森迫永依はお見合い相手3人を、前野朋哉は医者や警察官など複数の役を演じ、共演者全員がそれぞれの場面で確かな存在感を放っていました。

カーテンコールは2回あり、出演者と観客が手を振り合いながら穏やかな余韻で幕を閉じました。

観劇マナーと注意点

東京公演での注意点を踏まえて、観劇マナーや気をつけたいポイントを紹介します。
これから大阪公演を観に行く人も、ぜひ参考にしてください。

サイネージ撮影は入場前のみ


東京・EX THEATER ROPPONGIの外に設置されているサイネージには、『ハロルドとモード』のメインビジュアルと出演者名をあしらったデジタルポスターが表示されていました。

開演前のみ撮影可能で、観劇後には表示されず撮影できない仕様でした。

一方、大阪・森ノ宮ピロティホールでは、会場外にサイネージが設置されていない可能性が高いです。
例年、『森ノ宮ピロティホール』の文字などを背景に写真を撮るファンの姿が多く見られます。

観劇中のグッズ使用は控える

ペンライトやうちわなどの応援グッズを使用するのは控えましょう。
舞台公演では、照明演出や役者の動きの妨げになるほか、他の観客の視界をさえぎってしまう可能性があります。

また、出演者は複数のファン層を持つ場合が多く、特定の出演者を応援するアイテムは場の一体感を損ねることにもつながります。
会場のルールを守り、観劇を楽しんでください。

客席での飲食はNG

東京・EX THEATER ROPPONGIでは、場内アナウンスで客席での飲食は禁止と明確に案内されていました。

開場が13:15、開演が14:00のため、食事を取らずに入場すると観劇に集中しづらくなる可能性があります。
開演前に軽く食事を済ませ、水分補給もしておくと安心です。

スマートフォンの電源を切っておく

上演中はスマートフォンの電源を切り、操作を控えましょう。
マナーモードにしていても音が鳴ったり、画面の光が目立ったりすることがあります。

周囲の観客と一緒に、作品に集中できる環境を保つのがマナーです。

終演後の混雑に注意

終演後は、出口やロビー周辺が混み合うため、慌てずに移動してください。

東京公演では、出口付近のエスカレーターに人が集中し、すぐに外へ出られない時間帯もありました。
大阪公演でも同様に、会場から出るまでに時間がかかる可能性があります。

終演後に予定がある人は、時間に余裕を持って予定を組んでおくと安心です。

朗読劇『ハロルドとモード』チケット情報

チケットは、ファンクラブ先行抽選・一般発売・当日券の3段階で販売されました。
東京公演に続き、大阪公演でも当日券の販売が決定しています。

会場 席種 料金(税込)
東京 S席/注釈付きS席 10,800円
A席 9,000円
大阪 全席指定席 10,800円
立見席 9,000円

大阪公演の当日券は、会場付近の混雑を避けるため事前抽選制で販売されます。

当日券の申し込み方法(大阪公演)

  • 申し込み期間:各公演日の前日9:00~13:59
  • 申し込み方法:専用フォームから申し込み(1人1枚まで)
  • 当選結果発表:前日16:00~21:00にメールで当落通知あり(@cnplayguide.com)
  • 引き取り方法:開演60分前~45分前の間に劇場チケット窓口で受け取り(現金のみ)

チケット引き取りの際に本人確認書類が必要で、家族や友人含む譲渡はできません。

詳細は『ハロルドとモード』公式サイトをチェックしてください。

まとめ

朗読劇『ハロルドとモード』2025年公演は、朗読と演技の境界を越えた深い表現で、観客に“生きる意味”を問いかける舞台でした。
静かななかにもあたたかさがあり、七五三掛龍也と黒柳徹子の対話が心に残ります。

今回観られなかった人も、今後の再演や新たなキャストによる上演情報をチェックしてみてください。

 

 

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