宝塚歌劇団は、2024年で創設110周年を迎えた、主に女性から高い人気を誇る歌劇団です。
しかし、「観てみたいけど、敷居が高い気がして踏み出せない」と感じる方が多いことも否めません。
そこで今回は、宝塚初心者の方に向けて、舞台の魅力やマナー・ルール、独自の文化について、徹底解説していきます。
目次
宝塚歌劇団とは?
概要
宝塚歌劇団は、関西の大手私鉄グループである阪急阪神東宝グループが運営する、エンターテイメント・コミュニケーション事業をメインとする事業部です(2025年7月から法人化)。
1914年に、グループの創業者である小林一三の「清く正しく美しく」の言葉を元に、兵庫県宝塚市に本拠地を置いています。
「老若男女誰もが楽しめる国民劇」をコンセプトに、未婚の女性だけで構成され、かつ日本で初めてレヴューを上演した劇団として人気を博しました。
宝塚に所属する俳優は「タカラジェンヌ」、略して「ジェンヌ」と呼ばれ、宝塚歌劇団自体は「ヅカ」の愛称で親しまれています。
また、天海祐希、真矢みき、黒木瞳、檀れい、大地真央、花總まり、七海ひろき、望海風斗等、現在もテレビや舞台、映画等で活躍する、有名なOGも数多く輩出しています。
組構成
創設順に、花・月・雪・星・宙の5組が存在します。
「男役の花組」「芝居の月組」「和物の雪組」「コスチュームの星組」「コーラスの宙組」とそれぞれ独自の特徴を持っていますが、「組替え」と呼ばれる異動が頻繁に行われ、またその時のメンバーによって雰囲気も大きく変わるため、一概に特徴通りとは言えません。
5つの組には、ピンク、黄色、緑、青、紫の組独自の色が決まっています。
公式から発売される組ごとのグッズも、組カラーに従ったものが発売されるため、推し組の色を身に着けて観劇に向かうファンが多く見られます。
公演日はいつ?
公演は、主に宝塚大劇場と東京宝塚劇場で、ほぼ毎日行われています。
開演時間は、「マチネ」と呼ばれる主に11時から上演される午前の部と、「ソワレ」と呼ばれる主に18時から上演される午後の部に分かれますが、現在は働き方改革により、1日に1度だけの公演となっていることも珍しくありません。
上演劇場はどこ?
ホームステージは、兵庫県にある宝塚大劇場と東京都にある東京宝塚劇場の2カ所です。
その他にも、宝塚バウホール、梅田芸術劇場、御園座、博多座、東京建物 Brillia HALL等が使用され、全国の主要都市で特別公演や全国ツアーが行われています。
また、チケットが取れなかった場合、主にトップスターが出演する舞台に限り、ライブビューイングや配信が行われることも多く、誰でも気軽に楽しむことが出来ます。
宝塚の舞台の種類は?
公演の形式は?
花・月・雪・星・宙の5組のうちのどれかが、常に上演されています。
2025年の春を例に取ると、宝塚大劇場では4月19日から6月1日まで星組公演、東京宝塚劇場では3月15日から4月27日まで宙組公演、5月3日から6月22日までは雪組公演が行われています。
本公演と新人公演
主にトップスターとトップ娘役が主演を務める「本公演」と、それを入団7年目(研7)までの新人だけで上演する「新人公演」が存在します。
毎日公演が行われるのは、本公演の方です。
新人公演は、新人が経験を積む場として、宝塚大劇場と東京宝塚劇場でそれぞれ1回ずつ上演されており、この新人公演の主演に抜擢されたタカラジェンヌの中から、将来のトップが誕生します。
バウホール公演
若手スターを主演に、宝塚大劇場の隣にある宝塚バウホールで行われる公演。
若手スターの登竜門であり、主演に抜擢されるとスター候補として有力視されるようになります。
宝塚所属の演出家にとっても、バウホール公演を担当することで大劇場公演を任せてもらえるので重要な公演です。
そのため、実験的な作品の上演が多いのが特徴です。
東上公演
バウホールや梅田芸術劇場等の関西にある劇場に加えて、日本青年館ホールや東京国際フォーラム等の関東の劇場でも行われる公演。
東上公演の主役抜擢は、トップスターへの最終試験のような意味合いを持っており、トップスターに求められる責任感や統率力、集客力、技術力、人間力等を持ち合わせているか総合的に判断する材料となるため、各組の2番手や3番手が任される重要な公演です。
お披露目公演
新トップコンビが誕生した時に行われる公演。
「お披露目公演」と「大劇場お披露目公演」と2種類があり、それぞれ異なる演目が上演されます。
比較的収容人数の小さい劇場でお披露目公演が行われた後に、大人数が収容出来る宝塚大劇場と東京宝塚劇場で大劇場お披露目公演が行われます。
退団公演
トップスターが退団する時のみ行われる公演。
宝塚大劇場と東京宝塚劇場で上演され、千秋楽には演目終了後に1時間近いサヨナラショーも行われます。
トップスター以外が退団する際には、舞台最後に経歴紹介と同期からのお花渡し、観客への挨拶のみが行われます。
非常にチケットの取りにくい公演であり、ライブビューイングでもほぼ満席ということが珍しくありません。
上演される演目は?
宝塚最大のヒット作であり少女漫画を原作とした「ベルサイユのばら」や、外部でもよく上演される伝統的な大作「エリザベート」、大ヒットインド映画のリメイク「RRR × TAKA”R”AZUKA ~√Bheem~」やLDHとのコラボ作品「HiGH&LOW -THE PREQUEL-」といった流行もの、浅田次郎原作の「蒼穹の昴」や「壬生義士伝」といった歴史物や和物等、様々な作品が上演されています。
「神々の土地」や「星逢一夜」等の完全オリジナル作品も多く上演されており、自分の好みに合わせた作品を選べるのも、宝塚の良さの一つでしょう。
演目数や上演時間は?
退団公演を除き、基本的に90分のミュージカルと60分のショーの2本立てで、休憩時間も含め約3時間で上演されるのが定番となっています。
また、一本立てと呼ばれるミュージカルだけの公演が行われることもあり、その際も3時間程度で終了します。
延々とカーテンコールが行われることは、退団公演の時以外はありません。
演奏は全て生オーケストラで行われており、音楽にこだわりのあるファンも楽しめます。
観劇時にあると便利な物は?ルール・マナーは?
観劇時に必要・便利な物は?
チケット
観劇時に必須のアイテムです。
忘れないように、必ず前日までに手元に準備しておきましょう。
オペラグラス
贔屓の細かい演技や表情を確認するためには、必須のグッズです。
劇場内で貸し出しも行われています。
派織物
劇場内は席によっては寒いと感じることもあるため、特に夏場は用意しておきましょう。
ハンカチ
汗や涙を拭く時に必要になります。
注意すべきルール・マナーは?
観劇中の禁止行為
基本的に、映画鑑賞時のルールと変わりません。
上演中の会話や飲食、前の席を蹴ったり、前のめりになる、スマートフォンの利用等の行為は禁止です。
観劇時の服装
ドレスコードに関する規定はないため、自由な服装で構いません。
退団公演時のみ、私設ファンクラブがお揃いの白衣装を着用してくるため、白い服だけは避ける方が無難でしょう。