宝塚歌劇団の各組の頂点に君臨するトップスター。
その存在感で舞台を掌握する宝塚の花形ですが、その地位を経験できるのはごく一握りの男役だけです。
当記事では、未来の宝塚を背負って立つであろう“未来のスター候補”を徹底解説します。
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目次
宝塚のスター候補とは
宝塚のスター候補とは、花・月・雪・星・宙それぞれのトップに立つ男役(トップスター)の候補のことを指します。
5組のいずれかに配属されたタカラジェンヌは、時に他組への異動も経験しながら、男役3番手・男役2番手・トップスターと昇格していきます。
トップスターになるためには、最低でも新人公演の主演とバウホール公演の主演、東上公演の主演の3つを経験する必要があります。
首席入団や突出したスキル等で、入団時から注目されてスター候補となる場合もありますが、多くの舞台を経験することで芸を磨き、路線にのし上がるパターンもあります。
トップスターになるまでに10年以上かかるため、誰がトップスターに就任するのかを予想するのも、宝塚の楽しみ方の一つと言えるでしょう。
本公演と同じ演目を、入団7年目(研7)までの新人や若手で演じる公演。
兵庫県の宝塚大劇場と東京都の東京宝塚大劇場で、それぞれ1回ずつ上演されます。
公演回数の少なさと若手発掘が好きなファンで賑わうため、チケット入手は非常に困難です。
若手スターを主演に、兵庫県の宝塚大劇場の隣にある宝塚バウホールで行われる公演。
若手スターの登竜門で、バウホール公演の主演を経験するとスター候補の中でも頭一つ抜けた状態と目されます。
宝塚所属の演出家にとっても登竜門となる公演であり、バウホール公演を担当しないと大劇場公演を任せてもらうことが出来ません。
そのため、バウホール公演は実験的な作品の上演が多いことでも知られています。
バウホールや梅田芸術劇場等の関西にある劇場に加えて、日本青年館ホールや東京国際フォーラム、TBS赤坂ACTシアター、KAAT神奈川芸術劇場等の関東の劇場でも行われる公演。
トップスターになるに相応しい責任感や統率力、集客力、技術力、人間力等を持ち合わせているか総合的に判断する材料となる公演のため、各組の番手が任されることが多い重要な公演です。
花組のスター候補
天城 れいん(あましろ れいん)
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愛称:れいん、あまね
身長:172cm
宝塚入団:2018年(104期生)
天城れいんは、花組の若手の中で最も番手入りが近いと言われるダンサータイプの男役です。
キュートで甘い顔立ちと172cmの長身、キラキラした華やかさで注目を集めて、2023年の「鴛鴦歌合戦」を始め、新人公演主演に2回抜擢されています。
向上心が高く勉強熱心な彼女にとって、ターニングポイントとなったのは「殉情」の千吉役と「うたかたの恋」新人公演のジャン・サルヴァドル役。
千吉役では多くの挑戦によって自分で役を作り出していく楽しさを、ジャン役では自分の未熟さに悩みながらも本公演で同役を演じた水美舞斗(元花組・現専科)からの教えを受けて、舞台役者として多くを学んだと語っています。
オフの時も舞台研究への熱意を怠らず、最近の趣味は「字幕付きのドラマを見ること」。
テレビでの芝居を見ながら、「自分がこの役を演じるとしたら、どうやって表現するのか」を考えながら視聴しているそうです。
近いうちのバウホール主演も期待される注目の男役です。
侑輝 大弥(ゆき だいや)
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愛称:だいや、だいちゃん、ゆめ
身長:173cm
宝塚入団:2016年(102期生)
侑輝大弥は、173cmの恵まれた体格と男らしい色気、惹きつける強い眼差しが魅力の「ザ・宝塚」な正統派男役です。
近年、演技力の深みが増しており、2019年の「A Fairy Tale -青い薔薇の精-」新人公演のニック役では、表に出る分かりやすい魅力ではなく、深い愛情を感じさせる内なる魅力を持った人物を表現し大きく成長しています。
2022年に、新人公演に出演できる最後の入団7年目で「巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜」の主演に抜擢されました。
稽古中には硬くなりすぎて、元花組トップスターの柚香光から「もっと自然に。呼吸を大切に」と励まされたと語っていますが、本番では落ち着いた歌と演技によって自身の存在をアピールし、次代を担う一員として活躍中です。
月組のスター候補
彩海 せら(あやみ せら)
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愛称:あみ
身長:169cm
宝塚入団:2016年(102期生)
彩海せらは、102期生の中で最初に新人公演主演に抜擢された期待のスター候補です。
小柄で瑞々しい魅力をたたえた顔立ちにキュートな笑顔が魅力で、歌・ダンス・演技と揃っていますが、特に歌唱力の高さで知られています。
雪組の水夏希主演の「ベルサイユのばら -オスカル編-」を観劇したことで宝塚に憧れるようになり、同じスクールに通っていた天飛華音(星組)と共に高校の時に宝塚音楽学校を受験し合格しました。
入団当初は雪組に配属され、2019年「壬生義士伝」で新人公演初主演、2022年に月組に組替えし、同年に2度目の新人公演主演を経験しています。
2024年の「Golden Dead Schiele」で、初のバウホール公演主演。
宝塚随一の歌唱力と言われた元雪組トップスター望海風斗や、月組人気の立役者として知られた元月組トップスター月城かなとの下で学んだこともあり、聞き取りやすく人を惹きつける歌声と繊細な演技で孤高の天才画家の人生という難役を務め、大きな期待が寄せられています。
七城 雅(ななしろ みやび)
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愛称:きど、キッド、ななぴー
身長:172cm
宝塚入団:2019年(105期生)
七城雅は、105期生の中で最初に新人公演主演に抜擢された「芝居の月組」らしい男役です。
歌唱力やダンスも安定していますが、異なるキャラクターを演じ分けられる演技力で特に高い評価を得ています。
2022年の「グレート・ギャツビー」新人公演でのトム・ブキャナン役で男役の奥深さを改めて認識したことをきっかけに、自身のなりたい男役像をより具体的に描くようになり、そのかいもあって2023年の「応天の門」で新人公演初主演に抜擢され注目を集めました。
彼女の演技を観た人の感想の中に「暁千星(元月組・現星組)を感じさせる」という声が散見されますが、それは七城の理想の男役が暁だからでしょう。
暁の持つ圧倒的なスターオーラや温かい態度に魅力を感じ、彼女のようなスターを目指して活躍中です。