2015年に行われた「第8回ラグビーワールドカップ」で日本代表は、優勝候補の強豪・南アフリカと対決し、逆転勝利を収めました。
そして2019年、日本で開催された「第9回ラグビーワールドカップ」では、日本代表が過去最高の8強進出を果たし、大会を通じて日本中がラグビーの熱気に包まれました。
これらの快挙により、日本のラグビーは国内外で注目を集め、その人気と競技人口も大きく増加しています。
今回は、そんなラグビーの基本ルールや反則、ポジションを、初心者向けにわかりやすく解説します。
目次
ラグビーとは?
ラグビーの精神
ラグビーは、楕円形のボールを敵の陣地に運び、得点を獲得していく陣取りゲームです。屈強な肉体を持った選手たちが、ボールを奪い合うために激しく体をぶつけ合います。
非常に危険を伴うスポーツであることから、ラグビーに関わるすべての人に対して共通の価値観として、「ラグビー憲章」を掲げています。
ラグビー憲章には、「品位・情熱・結束・規律・尊重」の5つの言葉があり、これをもとにルールが決められているのです。
プレーヤーの人数
ラグビーは、「15人制」と「7人制(セブンズ)」の2種類があります。
15人制では、各チームが15名のプレーヤーで構成され、交代は最大で8人まで可能です。、また、脳震とうの疑いがある場合や出血が発生した場合には、一時的な交代が認められます。
脳震とうの疑いがある選手は「HIA(頭部外傷評価)」を受け、その結果、脳震とうではないと診断されれば試合に復帰できますが、脳震とうと診断された場合は復帰できません。
一方、7人制ラグビーは各チーム7名で構成され、試合時間やルールに一部違いがあります。
試合時間
試合時間は、前半・後半でそれぞれ40分の合計80分です。ただし、プレーが中断した場合はその分ロスタイムが加算されます。
ハーフタイムは15分以内と決められています。
また、人数や時間以外にも、試合で使用するボールやグラウンド上のラインについても細かくルールがあります。
ラグビーボールは楕円形で、皮もしくは合成皮革素材の4枚張り。長さは280〜300mm、縦の周囲は740〜770㎜、横の周囲は580〜620mm、重さは410〜460gです。
グラウンドは長方形で、長さは94〜100m、幅は68〜70m、インゴールラインの幅は6〜22m。特徴的なH型のゴールポストが2本立っています。
ラグビーの基本プレー
タックル
タックルは守備側の選手が、ボールを持つ選手の動きを止めて倒すプレーです。タックルが成立するのは、ボール保持者の膝が地面についたとき、または明確に地面に倒れたときです。
タックルが決まったら、ボールを持っていた選手は、ボールを放さなければいけません。
スクラム
スクラムは、軽い反則や試合再開時に行われるセットプレーです。
各チーム8名のフォワード選手が参加し、最前列に3人(プロップ2名とフッカー1名)、2列目に4人(ロック2名とフランカー2名)、最後尾に1人(ナンバーエイト)の編成で組まれます。
レフェリーの「クラウチ(腰を落とす)」「バインド(相手をつかむ)」「セット(組み合う)」という掛け声で始まります。
ボールはスクラムハーフによってスクラムの中央に投入され、各チームは足を使ってボールを自陣側にコントロールし、後方からボールを出して次のプレーにつなげます。
タッチ
グラウンドの両サイドに引いてある線はタッチラインと呼ばれていて、タッチラインからボールが外に出るとタッチとなります。
タッチはボールが転がって出ても、ボールを持った選手がタッチラインを踏んでも対象です。
ラグビーはチームでボールを運ぶのが基本プレーですが、うまく前に進めないときやピンチに陥ったときには、あえてボールを外に出すプレー(タッチキック)をして、エリアを進めていきます。
ここで重要になるのが、ゴールラインから22mのところに平行で引かれている22mラインです。
ゴールラインから22mラインのエリアは守備に有利なルールとなっているため、この22mラインの蹴った位置によって、エリアを進められるかが決まります。
自陣の22mラインの外側からキックして、ノーバウンドでタッチになった場合 |
※陣地を進めることができないため、タッチキックとしては失敗 |
自陣の22mラインの外側からキックして、バウンドしてからタッチになった場合 |
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自陣の22mラインの内側からキックして、タッチになった場合 |
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自陣(ハーフウェイラインより手前)からキックして、ボールが相手陣の22mラインを越えてバウンドしてからタッチになった場合(50:22) |
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ラインアウト
ラインアウトはボールがタッチラインの外に出た際に試合を再開させるプレーです。両チームの選手が2〜7人並び、その列の真ん中にボールを投げ入れます。このとき、投げ入れたボールが斜めになると反則となります。
並ぶ人数は、ボールを投げ入れるチームが決められますが、相手チームは同じ人数またはそれ以下の人数を並べる必要があります。
このとき、ジャンプしてボールをキャッチするために、両サイドの選手が持ち上げることができます。
モール
モールは、立った状態でボールを奪い合うプレーで、ボールを持った選手と両チームから1名ずつ選手が組み合うことで成立します。
ボールを持っているチームの前進が、2度止まってしまった場合は5秒以内にボールを外に出さなくてはいけません。また、モールが5秒以上前進せず、ボールが出てこない場合は、相手ボールのスクラムで再開となります。
ラック
ラックは地面にあるボールを奪い合うプレー。両チームから少なくとも1名ずつ選手が加わり、立った状態でボールの上で組み合うことで成立します。
ラックに参加する選手は、頭と肩を腰より低くしてはいけません。
ラグビーの基本ルール
プレーの原則
ラグビーには、プレーの原則として次の4つがあります。
- 相手陣地の奥にあるインゴールにボールを置くと、得点が入る。
- 立ったまま、正々堂々とプレーする。
- 攻撃側は、ボールを持った人が先頭。
- 守備側は、ボールを持つ人にしかタックルできない。
ラグビーの得点
トライ
相手陣地のインゴールにボールを置くことで5点を獲得します。 トライが成立するためには、ボールを保持している手や腕を使ってしっかりと地面に接触させる必要があります。
コンバージョンゴール
トライした後に与えられるキックで、ゴールポストとバーの上の間を越えると追加で2点獲得できます。
ペナルティトライ
ペナルティトライは相手チームの反則がなければ、間違いなくトライになっていたと認められた場合に与えられるものです。
トライ後のキックはする必要がなく、自動的に7点獲得します。
ペナルティゴール
重い反則があった場合に与えられるペナルティキックで、ゴールポストとバーの上の間を越えると3点獲得します。
ドロップゴール
プレー中にボールをワンバウンドさせてゴールを成功させると、3点獲得できます。