バレーボールは男女ともに1964年の東京五輪から正式競技になり、初代オリンピック女王となった全日本女子は「東洋の魔女」と呼ばれました。
全日本女子は1976年のモントリオール五輪で2度目の金メダル、男子も1972年のミュンヘン五輪で金メダルを獲得しています。
2009年に全日本チームの愛称が一般公募され、全日本男子チームは「龍神NIPPON」、全日本女子チーム「火の鳥NIPPON」という愛称で親しまれるようになりました。
今回は、そんなバレーボールのルールや見どころ、注目選手をご紹介します。
目次
バレーボールのルールと見どころは?
バレーボールは2チームがネット越しにボールを打ち合い、得点を競う競技です。
もともとは1895年に、女性や子ども、高齢者が気軽に楽しめるスポーツとしてアメリカで始まり、1940年代からスポーツとして世界的に普及しました。
18メートル×9メートルの広さのコートで行われ、コートを二分するネットの高さは男子が2.43メートル、女子が2.24メートル。
1チームから一度に6人が出場できます。
試合は25点先取の5セットマッチで行われ、先に3セット獲得したチームの勝利です!
攻撃は、毎回片方のチームが自陣の後方からボールを打ち込むサーブで始まり、1回の攻撃でボールを触れられるのは3回までで、その間に相手コートに返球しなければいけません。
相手のサーブをレシーブし、落とさないようにトスを上げ、相手コートにボールを強く打ち込むスパイクが攻撃の基本的な流れです。
この一連の流れをラリーと呼び、ラリーを制したチームに1点とサーブ権が与えられます。
サーブ権の度に時計回りにポジションをローテーションします。
また、選手のポジションは前衛と後衛に分かれ、前衛の選手はスパイクで攻撃、ブロックで守ります。
そして、6人の中に1人だけユニフォームの色が違うリベロと呼ばれる守備のスペシャリストがいます。
リベロはスパイクやサーブなどの攻撃に参加することができないため、基本的には後衛でコート全体を見回し、ディフェンスに特化しているのです。
バレーボールの見どころは、なんといっても選手が高くジャンプしてスパイクを打ち込むところです。
ネットの上から繰り出される打点の高いスパイクの音、高速のスパイクに飛び込む選手の気迫も迫力満点です。
男子は高さ、速さ、パワーがありネット際の激しいせめぎ合いや、時速120キロにもなるサーブに圧巻されること間違いなし。
女子は男子よりもラリーが続く傾向があり、諦めずボールに飛び込む選手の粘り強い守備や攻撃には手に汗を握るはずです。
出場する6人で攻撃と守備を行うため、戦術の理解やチームワークが勝負のカギになります。
東京五輪代表選考の方法と出場する国は?
オリンピックには男女ともに12か国が出場可能で、日本はすでに開催国枠で出場権を獲得しています。
これまで、オリンピックの前年に行われるワールドカップの上位2か国、大陸予選、世界最終予選の3段階で出場権を懸けた予選が行われてきました。
しかし東京五輪から予選の方式が変更になり、世界ランキング上位24か国で大陸間予選と大陸予選の2段階で出場権が争われることに。
大陸間予選に出場したチームは6つに分けられ、各組の勝者が出場権を獲得できます。
各大陸予選では5チームの出場権が決まります。
すでに全ての予選が終わっており、オリンピックに出場する国は決定しています。
- 日本
- ブラジル
- アメリカ
- イタリア
- ポーランド
- ロシア
- アルゼンチン
- チュニジア
- フランス
- ベネズエラ
- イラン
- カナダ
- 日本
- セルビア
- 中国
- アメリカ
- ブラジル
- ロシア
- イタリア
- ケニア
- トルコ
- アルゼンチン
- 韓国
- ドミニカ共和国
コロナウイルスの影響により、2020年3月24日に東京五輪の延期が決定しました。
オリンピックは2021年7月23日、パラリンピックは2021年8月24日に開幕予定。
代表選手の選考についても変更があるかもしれません。
全日本男子注目選手
全日本男子は2008年北京五輪以来3大会ぶりの出場になります。
2019年ワールドカップでは20年ぶりに4位に入り、勢いをつけて本大会の準備をしている最中。
東京五輪に出場する全日本男子メンバーは、これから本大会までのサバイバルレースを経て最終的に最大12人が選ばれますが、すでに代表候補選手は27人に絞られています。
ここからは、東京五輪代表入りが注目される選手を紹介していきます。
石川 祐希(いしかわ ゆうき)
・生年月日:1995年12月11日
・出身地:愛知県岡崎市
・所属:パッラヴォーロ・パドヴァ(イタリア1部)
・ポジション:ウィングスパイカー
石川選手は、愛知県の星城高校のエースとして高校総体、国体、春高の高校3冠を2年連続で達成する史上初の快挙を成し遂げている選手です。
中央大学に進学し、2014年から全日本入り。
大学在学中にイタリア1部のパッラヴォーロ・モデナでプレーした経験があり、卒業後は国内のVリーグには所属せず、プロのバレーボール選手として海外でプレーしています。
10年に1度の逸材と呼ばれ、高い打点から放たれるスパイクと狙ったコースに打ち分ける技術に長けており、全日本男子を引っ張ります。
柳田 将洋(やなぎだ まさひろ)
・生年月日:1992年7月6日
・出身地:東京都江戸川区
・所属:ユナイテッド・バレーズ(ドイツ1部)
・ポジション:アウトサイドヒッター
バレーの強豪の東洋高校で主将として春高を優勝した経験があり、慶応大学在学中に全日本入りした柳田選手。
2017年にドイツに移籍しプロ選手となり、2018年から全日本の主将を務めます。
ヨーロッパで培ってきた経験で、東京五輪でもチームを勝利に導く活躍が期待されています。
西田 有志(にしだ ゆうじ)
・生年月日:2000年1月30日
・出身地:三重県いなべ市
・所属:ジェイテクト
・ポジション:オポジット
西田選手は5歳でバレーボールを始め、高校3年生の時に史上最年少の17歳でVリーグの公式戦にデビューを果たしました。
2018年に全日本に初選出された、今後の活躍が期待される新星です。
福沢 達哉(ふくざわ たつや)
・生年月日:1986年7月1日
・出身地:京都府京都市
・所属:パリ・バレー(フランス1部)
・ポジション:アウトサイドヒッター
福沢選手は、中央大学4年生の時に北京五輪に出場。
2015年にブラジル1部のチームに移籍した経験があるベテラン選手です。
一度は引退を決意したものの、もう一度海外挑戦をしたいとの思いから2019-2020シーズンをフランスでプレーしており、2度目のオリンピック代表入りを目指します。
清水 邦広(しみず くにひろ)
・生年月日:1986年8月11日
・出身地:福井県福井市
・所属:パナソニック
・ポジション:オポジット
清水選手は、東海大学4年生の時に北京五輪に出場。
大学卒業にパナソニックに入団し、これまでVリーグで数々の賞を受賞してきました。
「ゴリ」の愛称で親しまれ、相手コートに力強く叩きつけるスパイクが持ち味。
2018年に右前十字靭帯損傷の大けがを負いましたが、復活して2度目のオリンピック出場と活躍を見せてくれることを期待したいです。
全日本女子注目選手
女子は開催国枠で東京五輪の出場が決まっており、2004年アテネ五輪から5大会連続の出場になります。
2012年ロンドン五輪では銅メダル、前回リオ五輪では5位の結果を残している全日本女子。
監督は全日本女子のメンバーとして1984年ロサンゼルス五輪で銅メダルを獲得している、中田久美さんが務めます。
国際大会でも確実な経験と実績を積んでいる選手が代表候補にいる女子は、誰が選ばれるかわからない熾烈な代表争いが続きます。
バレーボールが正式採用された1964年東京五輪で金メダルを獲得しているだけに、今回の東京五輪でも活躍に期待したいです。
ここからは、東京五輪全日本女子入りが注目される選手を紹介していきます。
黒後 愛(くろご あい)
・生年月日:1998年6月14日
・出身地:栃木県宇都宮市
・所属:東レ・アローズ
・ポジション:アウトサイドヒッター
高校バレーの強豪である下北沢成徳高校在学中には、春高バレー2連覇などチームを数多くの大会で上位に導く活躍を見せた黒後選手。
高校卒業後に東レ・アローズに入団し、全日本にも選出されました。
元全日本女子のエース木村沙織さんと高校、実業団も同じで「ポスト木村」の期待がかる新世代のエース候補は、東京五輪でも日本の得点源となる活躍が期待されています。
古賀 紗理那(こが さりな)
・生年月日:1996年5月21日
・出身地:佐賀県神崎郡
・所属:NEC
・ポジション:アウトサイドヒッター
古賀選手は、攻撃力が持ち味の全日本女子のエース。
熊本信愛女学院高校在学中に全日本に初招集されるも、2016年リオ五輪では守備重視のチーム戦略によってメンバーから落選しました。
東京五輪では自身初のオリンピック出場とメダル獲得を目指します。
新鍋 理沙(しんなべ りさ)
・生年月日:1990年7月11日
・出身地:鹿児島県姶良郡
・所属:久光製薬
・ポジション:アウトサイドヒッター
新鍋選手は、2012年のロンドン五輪で銅メダルを獲得した時のメンバーであり、ここぞという場面で頼れる存在。
前回のリオ五輪はケガのため、チームエントリーを自ら辞退しました。
2017年から代表復帰し、アジア選手権ではチーム10年ぶりの優勝の原動力となり、大会MVPも受賞する活躍を見せました。
石井 優希(いしい ゆき)
・生年月日:1991年5月8日
・出身地:岡山県倉敷市
・所属:久光製薬
・ポジション:アウトサイドヒッター
石井選手は中田久美監督が久光製薬を指揮していた時に、ともに4度V・プレミアリーグを優勝した経験があります。
サーブ、スパイクどちらからも得点を奪うことができる万能型アタッカー。
持ち前の攻撃力で、チームを11大会ぶりの金メダル獲得に導くことができるか期待されています。
荒木 絵里香(あらき えりか)
・生年月日:1984年8月3日
・出身地:岡山県倉敷市
・所属:トヨタ車体
・ポジション:ミドルブロッカー
銅メダルを獲得したロンドン五輪で主将も務めた、チーム最長年長のベテラン選手。
相手の強烈なスパイクを跳ね返すブロックに定評があり、6年連続でV・プレミアリーグのブロック賞に輝いています。
イタリア1部リーグでプレーした経験もあり、長年全日本女子で活躍してきた経験でチームを引っ張ります。
東京五輪の予選ラウンド組分けとメダル候補は?
2020年1月31日に、国際バレーボール連盟は東京五輪の男女予選ラウンドの組分けを発表しました。
予選ラウンドはA組とB組に分けられ、1組6チームが総当たりで対戦し、上位4チームが決勝トーナメントに進出します。
A組:日本、ポーランド、イタリア、カナダ、イラン、ベネズエラ
B組:ブラジル、アメリカ、ロシア、アルゼンチン、フランス、チュニジア
A組:日本、セルビア、ブラジル、韓国、ドミニカ共和国、ケニア
B組:中国、アメリカ、ロシア、イタリア、アルゼンチン、トルコ
そして男子の優勝候補は、世界ランキング1位のブラジルです。
リオ五輪では金メダルを獲得しており、2019年ワールドカップでMVPを受賞した25歳のアラン・ソウザ選手や、33歳の経験豊富なミドルブロッカー、ルーカス・サートカンプ選手など年齢のバランスも良く、2連覇を狙います。
他にも、2019年ワールドカップで大活躍した26歳のウィルフレド・レオン選手率いるポーランドや、世界ランキング2位のアメリカ、前回準優勝のイタリアも優勝候補に挙げられます。
女子では、世界ランキング1位の中国が他のチームを抑え優勝候補筆頭にいます。
中国は2019年ワールドカップでも優勝し、選手個々の強さが光ります。
世界ランキング上位のアメリカやセルビア、ブラジルも優勝できる力を持っています。
また、男子並みのジャンプ力を持ち得点力のある21歳のパオラ・エゴヌ選手擁するイタリアにも注目していきたいです。
競技日程は?
男子
7月25日~8月2日 予選ラウンド
8月4日 準々決勝
8月6日 準決勝
8月8日 決勝・3位決定戦
会場 有明アリーナ
女子
7月26日~8月3日 予選ラウンド
8月5日 準々決勝
8月7日 準決勝
8月9日 決勝・3位決定戦
会場 有明アリーナ
通常であれば上記の日程で行われるはずでしたが、東京五輪の延期が決定したため詳しい競技日程は後日発表予定です。
まとめ
ここまで東京五輪バレーボールの見どころ、ルールや注目選手などを紹介してきました。
男子はブラジル、女子は中国とどちらも世界ランキング1位のチームが一歩抜け出している状況です。
他にもアメリカやヨーロッパの国々がメダル獲得の有力候補となっています。
バレーボールが正式種目に採用された1964年東京五輪で女子は金メダル、男子は銅メダルを獲得しているだけに、メモリアルな大会で活躍が期待されます。
全ての出場チームと大会の組み合わせはすでに決定しており、ここから選手の代表メンバーへのサバイバルレースが続きます。
若手選手の台頭も目覚ましく、経験のある中堅選手、ベテラン選手との融合によって全日本チームがどこまで強くなるかが楽しみです。
コロナウイルスの影響で東京五輪の延期が決定しましたが、全日本男子「龍神NIPPON」の12大会ぶりとなる金メダルと、全日本女子「火の鳥NIPPON」の11大会ぶりとなる金メダル獲得を期待して、応援しましょう!