ううううううううううううう…
失恋した…。もうこの世の終わりだ…
うわ。風の噂では聞いていたけど…
想像以上の落ち込みぶりですね、これは…
ううううううううううううう…
僕より不幸な生き物なんてこの世にいないんだ…
思い詰め方がすごい…
キミを遥かに超える失恋マスターをご紹介しますよ。
付き合っていた女の子に「私、好きな人ができたの」と告白され、目の前が真っ白になってしまった実体験を歌った失恋ソング“ホワイトアウト”で一躍脚光を浴びた大阪発のスリーピース・ロックバンドreGretGirl(リグレットガール)。
人気アプリTikTokに楽曲が使用されたことでreGretGirlの知名度は若者の間で飛躍的に高まっており、2019年のツアーは全公演ソールドアウトとなる大盛況となりました。
失恋ソングを得意とするアーティストは数あれど、reGretGirlが他のアーティストと趣を異にするのは、彼らが失恋ソング“だけ”に特化したバンドという点に尽きます。
作詞・作曲を手掛ける平部雅洋が歌うのは、ふられた彼女についての歌だけなのです。
失恋という極めて個人的な喪失だけに特化し、自分に傷口をえぐるかのように彼女との日々を歌うreGretGirlの楽曲は、同じような経験をした多くのファンから共感を得ています。
アメリカのロックバンドWeezerが「泣き虫ロック」と評されたことがありましたが、reGretGirlはまさに泣き虫ロック日本代表だと言えるでしょう。
2020年にブレイク必至の大注目バンドreGretGirlの魅力をご紹介します。
目次
reGretGirl(リグレットガール)
2020.3/25 0:00
「スプリング」MV公開 pic.twitter.com/i5Fh2aBFxS
— reGretGirl(リグレットガール) (@rgg_official) March 23, 2020
- 平部 雅洋 / ヴォーカル、ギター
- 十九川宗裕 / ベース
- 前田将司 / ドラム
2014年にヴォーカル・ギター担当の平部雅洋によって結成されたreGretGirlは、結成当初は現在とは違うラインナップで活動をしていましたが、大学の先輩であるベーシストの十九川宗裕、他のバンドでドラムを叩いていた前田将司が加入し、2015年に現在の体制となりました。
平部が失恋ソングを書くようになったきっかけは、彼女にふられた時期に聴いていたback numberの楽曲に心を打たれ、「自分もこういうラヴソングを歌うバンドをやりたい」と思ったことだと語っています。
実体験が元となった楽曲はほぼ全てが平部自身からの目線で描かれており、男性からの支持が圧倒的かと思いきや、男性だけでなく女性からの共感の声も多いバンドです。
reGretGirl(リグレットガール)・メンバー
新しいTシャツとキャップはこんな感じ
TシャツのサイズはL pic.twitter.com/jOXwBy2FiC— reGretGirlなヒラベ (@mizkan_ajipon) July 6, 2019
平部 雅洋 / ヴォーカル、ギター
氏名:平部 雅洋
誕生日:1993年12月29日
自身の失恋体験から生み出される極上の失恋ソングで“失恋ソングのカリスマ”となりつつある平部雅洋は、すべての楽曲の作詞・作曲を手掛けるバンドのメインソングライターです。
大学の軽音楽部でバンド活動を行っていた平部でしたが、彼女にふられたことが原因となり、学校にも行かずにひきこもっていた時期があったことを告白しています。
影響を受けたバンドとして、失恋ソングを書くきっかけとなったback numberのほか、My Hair is Bad、クリープハイプなどを挙げています。
日本を代表する文豪・谷崎潤一郎の著作にハマっており、谷崎の作風がreGretGirlの「悲観的、退廃的」な歌詞世界に通じるものがあると語っています。
十九川 宗裕 / ベース
氏名:十九川宗裕
誕生日:4月9日
平部の大学の先輩である十九川 宗裕は、Twitterのプロフィール欄に「ゲームが好き。」と記載するほどのゲーマーとして知られています。
尊敬するベーシストとしてGLAYのJIRO、syrup16gやホフディランのバックバンドBIG3などで活動するキタダマキを挙げています。
動きの多い十九川のベースラインはキタダマキの影響を大いに感じられるもので、「ギターなのかな?って思うくらい動く」と評されるほどです。
前田 将司 / ドラム
今日は最近特に何もしてないのに7キロぐらい痩せたでお馴染み
まさしの誕生日ですまさしは髪を切ったら絶対気づいてくれます
ちなみにとっくんは全然気づいてくれません pic.twitter.com/sbBq1UHVQL— reGretGirlなヒラベ (@mizkan_ajipon) January 22, 2019
氏名:前田将司
誕生日:1月23日
ドラムの前田 将司はメンバーの中で唯一(少なくとも公式には)SNSアカウントを開設しておらず、誕生日には平部に「あいつはTwitterやってないから祝わなくていい」などと愛あるいじられ方をしています。
一番好きなバンドはTHEラブ人間で、「歌詞が良いバンドが好き」と語っています。
reGretGirl(リグレットガール)・バンド名の由来
アーティスト写真がなければ「ガールズバンドかな?」と思ってしまいそうなバンド名を持つreGretGirl。
彼らの楽曲のすべてがヴォーカル平部の失恋が原動力になっているのと同じく、バンド名の由来も彼の失恋が大きく関係しています。
彼女にふられた平部は、「いつかバンドで有名になって彼女(Girl)を後悔(Regret)させてやる」と心に誓い、reGretGirlというバンド名を思いついたと語っています。
「ガールをリグレットさせてやるよ!」と叫ぶルー大柴の姿が脳裏に浮かんだのは筆者だけでしょうか。
名付け親である平部は、reGretGirlというバンド名が失恋した直後のテンションで命名した初期衝動的なものであることを認めた上で、「バンド名を重荷に感じる必要はない」と失恋や昔の彼女以外のテーマも歌う可能性があることを示唆しています。
reGretGirl(リグレットガール)・魅力
1993年生まれの平部 雅洋がメインソングライターを務めるreGretGirlは、彼が聴いて育ったであろうRADWIMPSやback number、クリープハイプなどからの影響が感じられるメロディアスな楽曲を演奏するバンドです。
疾走感のあるロックチューン、切なさに身悶えする珠玉のバラード、哀愁を帯びたミディアムテンポのナンバー、各種取り揃えており、そのサウンドに悪印象を抱く人はほとんどいないでしょう。
平部の歌唱は高音やファルセットを使う場面が見られるものの、キンキンとした高音ではなく心地よい音域で歌っており、スリーピースらしいスッキリとしたバンドアンサンブルも実に耳馴染みの良いものです。
しかし、冒頭で「失恋ソングに特化したバンド」とご紹介した通り、reGretGirlの最大のセールスポイントは平部が経験した過去の失恋に徹底的にフォーカスしている部分だと言えるでしょう。
彼らがこれまで発表した3枚のミニアルバム『my』、『take』、『soon』について、平部が「9割は同じ彼女のことを歌っている」と語るなど、ほぼひとりの女性に対する想いを綴った作品であることが明らかになっています。
作品を3枚も作れるほどの恋をした彼を少し羨ましく感じるのと同時に、ひとつのテーマから数多くの楽曲を生み出すことのできるストーリーテラーとしての稀有な才能に驚嘆せざるを得ません。
元カレが自分についての曲を書き続けていることについて、歌われている本人はさぞ迷惑なのではないかと思いましたが、平部がその女の子と再会した際には「全部知ってるよ」とあっけらかんと言われたそうです。
社会的・政治的でもなければ、哲学的なテーマでもなく、失恋というごくごくパーソナルな単位の痛みを、誰もが共感することのできる普遍的なフォーマットに落とし込むこともせず、自分の実体験を垂れ流しにするようなreGretGirlの曲が、なぜこれほどまでに多くの人の心に響くのでしょうか。
普通のアーティストであれば、作品3枚を費やしてふられた彼女をことを歌ったりはしません。
他に歌いたいテーマもあるでしょうし、なによりも“ダサい”ことだからやらないのです。
ごくごく稀に失恋や離婚をテーマにアルバム1枚作ってしまう大物アーティストもいますが、だいたいすぐに新しい彼女や奥さんができて黒歴史になったりしています。
そして大抵の人は、失恋で死ぬほど落ち込んでいる時でも、この絶望のどん底のようなテンションがそう長くは続かないことを知っています。
今は食事も喉を通らないけれど、あと数週間もすれば友達と死ぬほど飲み食いした帰り道に牛丼屋に立ち寄ってしまうくらいの食欲が戻ってくることを知っています。
失恋の痛手が消えることがわかっているから、多くのアーティストは「失恋して辛かったよ」という日記のようなバラードを1曲か2曲書いて終わりにするのです。
それに対し、reGretGirlは1~2曲どころか失恋三部作をリリースするなど、まったく立ち直る気配がありません。
しかし、だからこそ彼らの曲は、失恋に打ちのめされてどん底にいる自分と同じテンションで泣いてくれる友達のように優しく響くのではないでしょうか。
reGretGirl(リグレットガール)・オススメ曲
ホワイトアウト
2017年に公開されたMVが大きな反響を呼び、reGretGirlを全国区に押し上げるきっかけとなった代表曲“ホワイトアウト”は、2017年発表のミニアルバム『my』に収録されています。
「私、好きな人ができたの」という衝撃的なフレーズで頭が真っ白になってしまった平部の混乱した思考に胸が痛くなる失恋ソングです。
キツイ歌詞とは裏腹に疾走感のあるロックチューンに仕上がっています。
ピアス
“ホワイトアウト”の流れを汲むロックチューン“ピアス”は、失恋三部作の中編となる『take』に収録されています。
彼女と片耳ずつ付けていたピアスについての楽曲で、部屋でひとり左耳にぶらさがったピアスを弄びながら、去って行った彼女に想いを馳せるという内容になっています。
「驚くほど痛くなかった」とピアス穴を空けるシーンを回想する歌詞は、心に空いた穴の痛みを逆説的に想像させるもので、聴いてるこちらの胸が痛くなるほど。
デイドリーム
“デイドリーム”は2017年発表のミニアルバム『my』に収録された珠玉のパワーバラードです。
彼女がいなくなってしまった部屋で、まだ彼女の香りが残る枕に顔を埋めながら「悪い夢なら早く覚めて」と無気力な時を過ごす様子が歌われています。
近い将来、自分とは違う誰かと付き合うであろう彼女に対しての嫉妬を延々と吐露する後半部分を聴いて、wacciの名曲“別の人の彼女になったよ”を思い出してしまいました。
reGretGirl(リグレットガール)・まとめ
日本のロックシーンに颯爽と登場した失恋ソングの達人reGretGirlをご紹介しました。
失恋して落ち込んでいるけど誰かに話を聞いてもらいたい気分でもない、という夜にはreGretGirlの音楽がそっと寄り添ってくれるはずです。
2020年4月には失恋三部作の完結後初となるシングル『スプリング』のリリースを予定している彼らの活躍に今後も目が離せません。