MLBへの挑戦を支える重要な制度であるポスティングシステム。
これまで、田中将大、ダルビッシュ有などのスター選手がポスティングシステムを活用してMLBへ移籍しています。
また、大谷翔平がMLBに挑戦した際に話題となった「25歳ルール」が佐々木朗希(現:千葉ロッテマリーンズ)の移籍報道をきっかけに再び注目を集めているのです。
本記事では、そんなポスティングシステムや25歳ルールについて徹底解説します。
これまでの日本人選手の移籍例も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ポスティングシステムとは
まず、ポスティングシステムの仕組みと制度の変遷について解説します。
海外移籍するためのポスティングシステムとはどんな制度で、時代に合わせてどのように変化したのかチェックしていきましょう。
ポスティングシステムの概要
ポスティングシステムとは、海外FA権を持たない選手が、海外リーグへの挑戦を希望した際に所属球団の承認を得て移籍するシステムです。
移籍交渉が成立した場合は、移籍先の球団から移籍元の球団に移籍金が支払われます。
この制度により、移籍元の球団は移籍金を受け取ることができ、移籍金を資金源にチームの戦力アップを図れるのです。
このように、ポスティングシステムは選手が海外移籍を実現するための手段として機能しています。
ポスティングシステムの変遷
1998年に調印された「日米間選手契約に関する協定」によりNPBとMLBの間でポスティングシステムが導入されています。
制度発足当初は、金額非公開で入札を行い、最高額を提示した球団が交渉権を得る「封印入札方式」を採用していました。
封印入札方式では、選手は1つの球団としか交渉することができないというデメリットがあったのです。
2013年には、入札制度が廃止され、獲得を希望するすべての球団が選手と交渉できるようになりました。
この改正により交渉の自由度や透明性が高まったのです。
25歳ルールとは
次に、大谷翔平がMLBへ挑戦する際に話題となった25歳ルールの仕組みや選手に与える影響について解説します。
25歳ルールの概要
25歳ルールとは、MLBと大リーグ選手会との労使協定に示されているルールです。
ルールの適用を受けると、25歳未満の海外選手との契約に使える契約金や年俸が年間500万ドル程度に制限されるほか、移籍した選手はマイナーリーグからのスタートとなります。
この25歳ルールはMLB全体の「戦力均衡の維持」「米国の若手選手の保護」「育成の充実」などを目的に設定されており、健全な球団経営、リーグ運営に寄与しているのです。
25歳ルールが選手のキャリアに与える影響
25歳ルールは、選手のキャリア設計に大きな影響を与えます。
MLBへの挑戦を目指す若手選手にとっては、どのタイミングでポスティングシステムを利用するかが重要です。
例えば、大谷翔平は早い段階でMLBへ挑戦することを選び、MLBで実績を残しました。
一方で、田中将大やダルビッシュ有は25歳になるまでNPBで活躍し、好条件で契約を結ぶことを選択したのです。
このように、25歳ルールは選手のキャリア設計に大きな影響を及ぼすため、慎重な判断が求められます。
25歳ルールと日本人選手の活躍
ポスティングシステムと25歳ルールは、日本人選手がMLBに挑戦する際の大きな懸念材料といえるでしょう。
それぞれの制度が選手のキャリアにどのように影響を与えたか、実例を用いて解説します。
25歳以上での挑戦例
ダルビッシュ有や田中将大は25歳を超えてからポスティングシステムを利用し、MLBへの移籍を実現させました。
ダルビッシュ有は2011年オフにポスティングシステムを行使し、移籍金5,170万3,411ドル、年俸は6年総額6,000万ドルの大型契約を果たしています。
また、田中将大は移籍金2,000万ドル、年俸は7年総額1億5,500万ドルという超大型契約を手にしているのです。
両投手ともNPBで圧倒的な実績を残してからポスティングシステムを利用したことにより、破格の契約を手にしています。
25歳未満での挑戦例
大谷翔平は25歳ルールの制限のため、移籍金231万5,000ドル、年俸54万5,000ドルという条件での契約を結んでいます。
大谷翔平は好条件の契約よりも、プロ野球選手としての全盛期をMLBで過ごすことを選んだのです。
結果として、MLBで二刀流を体現し、MLB屈指の選手として地位を確立しました。
2023年オフには、ロサンゼルス・ドジャースとプロスポーツ選手史上最高額となる10年総額7億ドルの契約を結んだのです。
佐々木朗希(現:千葉ロッテマリーンズ)のMLB挑戦が実現するとなれば25歳ルールの適用を受けることになります。
所属球団である千葉ロッテマリーンズは佐々木朗希のMLB挑戦を容認しているため、佐々木朗希のポテンシャルをもってすればMLBへの移籍が実現する可能性は高いでしょう。
各球団の動向から目が離せません。
ポスティング利用のベストなタイミングとは?
ポスティングを利用する最適なタイミングは、年齢や実績によって異なります。
25歳未満の選手は、早期にメジャーへ挑戦することで海外での環境に適応しやすくなるというメリットがありますが、一方で、契約金額が低く抑えられる経済的リスクを負うことになります。
また、成熟した選手であれば、大型契約を手にする可能性が高まるものの、キャリアのピークを過ぎてしまい、MLBで長くプレーできなかったり、納得のいく成績を残せなかったりする可能性が高まるのです。
このように、ポスティングシステムを行使する時期によって、メリットとデメリットが存在します。
選手たちは自身の目標とリスクを天秤にかけて決断を下す必要があるのです。