結成20年を超えた今も多くのファンから愛され続けるロックバンド「STRAIGHTENER」(ストレイテナー)。バンドとして理想的な歩みを続ける彼らの歴史やオススメ曲をご紹介します。
ロックファンからは“テナー”の愛称で親しまれている4人組ロックバンド、STRAIGHTENER(ストレイテナー)。
すでに結成20年以上の歴史を持つストレイテナーは、ギター&ヴォーカルのホリエアツシとドラムのナカヤマシンペイによるツーピースバンドというロックバンドとしては非常に珍しい編成で産声を上げました。
海外ではThe White StripeやThe Black Keysなどがストレイテナーと同じ編成で大成功を収めていますが、日本の成功したロックバンドとしては異例の編成だと言えるでしょう。
ロックバンドにはメンバーチェンジや脱退がつきものですが、ストレイテナーはそのようなネガティヴな人事とは無縁なバンドで、むしろベーシストとギタリストの途中加入により、結成当初と比べてメンバーが倍に増えるというポジティヴな変化を経て現在に至っています。
解散や活動休止期間もなく、実に幸せなキャリアを歩んでいるロックバンド、ストレイテナーをご紹介していきます。
目次
STRAIGHTENER / ストレイテナー
- ホリエアツシ / ヴォーカル、ギター、キーボード
- ナカヤマシンペイ / ドラム、コーラス
- 日向秀和(ひなた ひでかず) / ベース
- 大山純(おおやま じゅん) / ギター、コーラス
STRAIGHTENER(ストレイテナー)・メンバー
冒頭でもご紹介した通り、2人組ロックバンドとしてスタートしたストレイテナーですが、現在は上記の4人で活動しています。
ホリエアツシ / ヴォーカル、ギター、キーボード
- 氏名:ホリエアツシ
- 生年月日:1978年7月8日
- 出身地:長崎県長崎市
バンドのメインソングライターであるホリエアツシは、高校卒業後に中学からの同級生であるナカヤマシンペイと共に上京し、ストレイテナーを結成したオリジナルメンバーです。
高校生の頃に洋楽を聴き始め、90年代後期にブリットポップブームが終焉を迎えた頃のBlurやRadioheadなどの作風に影響を受けたと語っています。
ストレイテナーのベーシストである日向とインストゥルメンタル・バンドFULLARMORを結成して活動するほか、ソロプロジェクトであるentでもアルバムをリリースするなど、非常に多作なアーティストです。
また、2008年からは同郷のナカヤマシンペイと共に長崎市の観光大使に就任し、長崎市の魅力を伝える楽曲“LOVERS IN NAGASAKI”を書き下ろすなど精力的に活動しています。
ナカヤマシンペイ / ドラム、コーラス
- 氏名:ナカヤマシンペイ
- 生年月日:1978年5月9日
- 出身地:長崎県長崎市
ドラムとコーラスを担当するナカヤマシンペイは、ホリエアツシと共にストレイテナーを結成したオリジナルメンバーです。
ホリエとは中学校からの友人で、ストレイテナーを結成する前から一緒に音楽活動をおこなっていました。
ストレイテナー以外の課外活動にも積極的で、the pillowsの山中さわお、GLAYのJIROと結成したTHE PREDATORSをはじめ、ストレイテナーのギタリスト大山純らと立ち上げたanother sunnyday、元0.8秒と衝撃。(2017年に解散)の塔山忠臣らと結成したZantöなど複数のプロジェクトに携わっています。
イラストレーションに長けており、ストレイテナーの作品のアートワークを手掛けるなど音楽以外の才能も持ち合わせた多彩なアーティストでもあります。
書籍化や映像化をされた人気漫画『やさぐれぱんだ』の作者“山賊”の正体が実はナカヤマであったことを2018年に本人自らTwitterで明かして世間を驚かせました。
人気ミュージシャンと人気漫画家という二足の草鞋は多忙を極め、THE PREDATORSの活動に割ける時間の捻出が困難となったため、2010年3月に同バンドを脱退しています。
日向秀和(ひなた ひでかず) / ベース
- 氏名:日向秀和(ひなた ひでかず)
- 生年月日:1976年12月4日
- 出身地:東京都町田市
“ひなっち”の愛称で知られる日向秀和は、卓越したベーステクニックとアグレッシヴなステージパフォーマンスでファンから愛されるスーパーベーシストです。
2003年7月からストレイテナーにサポートとして参加し、2004年に正式メンバーとなっています。
加入した当初はART-SCHOOL、ZAZEN BOYSのメンバーだったため(のちに両方とも脱退)、日向のスケジュールが合わない時は従来のツーピースでライヴをおこなっていたストレイテナーでしたが、2004年にホリエが「ひなっち抜きのライヴはやらない」と宣言し、正式加入することになりました。
ホリエとのFULLARMORをはじめ、元BLANKEY JET CITYの中村達也らと結成したEOR(Entity Of Rudeから改名)、ART-SCHOOLの木下理樹とのkilling Boyなど数多くの音楽プロジェクトに関わっており、ELLEGARDENの生形真一とのNothing’s Carved In Stoneでは日本武道館公演を開催するなど大きな成功を収めています。
大山純(おおやま じゅん) / ギター、コーラス
- 氏名:大山純(おおやま じゅん)
- 生年月日:1978年5月11日
- 出身地:群馬県
“OJ”こと大山純は、2008年にストレイテナーに加入した一番新しいメンバーです。
2003年12月に日向とふたりでART-SCHOOLを脱退した後は、音楽から離れて地元の群馬で生活していましたが、ストレイテナーがアルバム『LINEAR』に伴うツアーで群馬を訪れた際にメンバーと旧交を温め、加入が決定しました。
加入当時はギターを1本も所有しておらず、初めてスタジオ入りする際に安いギターを購入して持って行った、と語っています。
サイドプロジェクトとしてanother sunnydayで活動するほか、元TOTALFATのギタリストKubotyの発案でスタートした下北沢ギタリスト会にも関与するなど課外活動にも積極的です。
イラストレーションの才能もあり、ストレイテナーの作品のアートワークの一部を手掛けているほか、自身のInstagramにもイラストを多数投稿しています。
STRAIGHTENER(ストレイテナー)・バンド名の由来
ストレイテナーは直訳すると「まっすぐにする人」という意味になります。
ひねくれた音楽を聴きすぎたことによって精神的にも影響が出てしまったホリエが、「もうちょっとまっすぐな音楽をやろう」と反省し、ストレイテナーと名付けられました。
「聴いた人の心をまっすぐにしたい」ではなく、ひねくれてしまった自分の心をまっすぐにするために付けられたバンド名というわけです。
STRAIGHTENER(ストレイテナー)・経歴
1998年に結成されたストレイテナーは、現在までに活動休止期間もなく、10枚を超えるスタジオアルバムを発表するなど順調に活動を続けているバンドです。
20年以上の歴史を持つ彼らの経歴をご紹介します。
2人編成時代
1998年、前年に長崎から上京してきたホリエアツシとナカヤマシンペイによって結成されたバンドがストレイテナーです。
ホリエとナカヤマは八王子でスリーピースのバンドをやっていましたが、ベースが脱退して解散してしまったため、ベースレスの2人組として活動を開始しました。
ギターとドラムだけという特異な編成になったのは、ベースレスバンドとして知られるアメリカのThe Jon Spencer Blues Explosionから刺激を受けたことがその一因です。
結成当初は、都内を中心にライヴ活動をおこない、BUMP OF CHICKENらを輩出した下北沢のハイラインレコードでデモ音源を販売するなど地道な活動を続けていました。
2000年6月にはインディーズレーベルLD&K Recordsから初のシングル『戦士の屍のマーチ』をリリース。
同年にはミニアルバム『STRAIGHTEN IT UP』、シングル『ANOTHER DIMENSIONAL e.p』も発表しています。
メンバーは当時を振り返り、「2000年頃はインディーズのブームだったのに、自分たちはあまり注目されなかった」と語っています。
2001年初頭には早くも2枚目のミニアルバム『ERROR』をリリース。
すでにメジャーデビューを果たしていた先輩バンドthe PeteBestに見い出され、スプリット盤『DRAGORUM』をリリースし、ツアーもおこなうなど少しずつ活動が軌道に乗っていきます。
翌2002年には、のちにストレイテナーに加入することになる日向と大山が所属していたART-SCHOOLとのスプリットカセットを発売。
ART-SCHOOLについてホリエは、「同世代であそこまでファンになったバンドは初めてだった」と共感を口にしています。
同年10月にリリースしたシングル『SILVER RECORD』に伴うツアーでは、初のワンマンライヴを開催するなどシーンの中で存在感を増してきた時期です。
2003年4月、インディーズとして最後の作品となる『Silent Film Soundtrack』を発表。
7月31日にはベーシストに日向秀和を迎えたトリオ編成で初のライヴをおこない、バンドとして新しいフェーズに突入しました。
日向はストレイテナーについて「憧れの存在だった」と語っています。
10月にはシングル『TRAVELING GARGOYLE』でメジャーデビューを果たしたストレイテナーは、ここから一気に知名度を高めていくことになります。
3人編成時代
2004年には、サポートベーシストだった日向が正式加入し、スリーピースバンドとなります。
この変化について、一部の関係者からは「2人組だからかっこいい」という意見も出ましたが、ホリエとナカヤマには2人編成にこだわる気持ちはありませんでした。
1月21日には初のフルアルバム『LOST WORLD’S ANTHOLOGY』がリリースされ、オリコンチャート最高58位とまずまずの結果を残します。
ツアーの規模も大きくなっていく中でリリースされたシングル『KILLER TUNE / PLAY THE STAR GUITAR』はまさにキラーチューンで、ライヴでは絶大な盛り上がりを見せる一曲です。
勢いに乗った彼らは、2005年のセカンドアルバム『TITLE』、2006年のサードアルバム『Dear Deadman』と傑作を連発。
音楽性も次第に変化していき、ピアノを導入した楽曲があったりと、初期ストレイテナーとは明らかに異なる要素が増えてきた時期でもあります。
2007年のアルバム『LINEAR』は打ち込みを導入するなど音楽的に冒険した作風で、戸惑ったファンも少なからずいましたが、オリコンチャート最高7位という成功を収めました。
その反動として制作されたミニアルバム『Immortal』では、『LINEAR』の作風からガラリと変わり、生身の3人で演奏することに焦点を当てた作品になっています。
『Immortal』という作品に関しては、「スリーピースバンドとしての完成形だった」という発言が残されており、3人編成時代の集大成だったと言えるでしょう。
この時期はツアーの動員もうなぎのぼりで、53か所に及ぶ大規模な全国ツアーを敢行したほか、自身最大規模となる幕張メッセでのワンマンライヴも開催しています。
4人編成時代
バンド結成10年目の節目となる2008年、元ART-SCHOOLの大山純を新ギタリストとして迎え、ストレイテナーは4人組バンドとして新しいスタートを切りました。
音楽性が広がっていくにつれ、3人編成ではライヴでの再現性に限界があることがわかり、メンバーと旧知の大山がバンドに招かれることになりました。
バンドの10周年に加入した大山ですが、ストレイテナーは現在も不動の4人編成で活動を続けており、もはや大山加入後の方が歴史が長くなっています。
2009年には4人編成となって初のアルバム『Nexus』を発表。
「このメンバーでずっと一緒にやってきたのかな?」と思ってしまうほど自然なサウンドが聴けるアルバムで、前作『LINEAR』を上回るオリコンチャート最高5位を記録するヒットとなっています。
以後も2010年の『CREATURES』、2011年の『STRAIGHTENER』など末永く聴き続けられる質の高いアルバムをコンスタントにリリースし、結成10周年を超えても高い創造性を維持していることを証明しました。
ファンのみならず同業のバンドマンからも愛されているストレイテナーは、2017年にトリビュート盤『PAUSE 〜STRAIGHTENER Tribute Album〜』を発表しています。
同世代のACIDMANやTHE BACK HORN、後輩のback numberや9mm Parabellum Bullet、大先輩のthe pillowsら多彩な顔触れが参加した1枚となっており、これをきっかけにストレイテナーの音楽に触れた人も多かったのではないでしょうか。
また、結成20周年となる2018年には、ファン投票による選曲のベストアルバム『BEST of U –side DAY-』、『BEST of U -side NIGHT-』の2枚が同時リリースされています。
結成20年の節目をあっさり乗り越えて活動を続けるストレイテナーは、2020年4月に最新シングル『Graffiti』のリリースを予定しています。
大舞台映えするスケール感のあるサウンドでファンを魅了し続ける彼らから今後も目が離せません。
STRAIGHTENER(ストレイテナー)・オススメ曲
日本ロック史に残る名曲をいくつも残してきたストレイテナー。
そんな彼らの名曲の中から厳選したオススメ曲をご紹介します。
Melodic Storm
2006年のアルバム『Dear Deadman』に収録されているシングル曲です。
ファンの間でも人気の高いアンセムで「ストレイテナーといえばコレ!」という人も多いでしょう。
3人時代のストレートなロック曲で、弦を激しくヒットする日向のベース音のインパクトも絶大です。
Lightning
2009年のアルバム『Nexus』に収録されているシングル曲です。
先ほどの“Melodic Storm”からガラリと雰囲気が変わり、かなりアーティスティックなサウンドを持っています。
4人編成となったストレイテナーがその利点を最大限に生かし、ギター、ベース、ピアノ、ドラムで織りなす音世界の美しさは絶品です。
KILLER TUNE
2005年のアルバム『TITLE』に収録されているシングル曲で、アルバムには [Natural Born Killer Tune Mix]が収められています。
“踊れるグランジ”とでも評したくなるサウンドは強烈で、ライヴでも大きな盛り上がりを見せる“キラーチューン”です。
変わったことは何ひとつやっていないのにカッコいい、というロックバンドとして理想的な仕上がりになっています。
ナンセンスでチープな作りのMVはバンドの遊び心によるものでしょう。
SIX DAY WONDER
2007年のアルバム『LINEAR』に収録されているシングル曲です。
この曲を紹介せずに終わるわけにはいかない大大大名曲です。
美しいピアノのコードに美しい歌、眼を閉じて静かに曲の世界観に浸りたくなってしまいます。
ソングライティング、演奏、アレンジ、すべてが完璧な傑作だと断言します。
最新情報
FM802春の”ACCESS!”キャンペーンに参加!
今年は、作詞作曲を川谷絵音が務めたFM802春の”ACCESS!”キャンペーンに ホリエアツシも参加しています。
キャンペーン・ソングである「春は溶けて」は、現在各サブスクリプション・サービスにて期間限定で配信されています。
『20201217+2021Applause TOUR』ジャケ写&ティーザー映像公開
6月9日にリリースされる映像作品『20201217+2021Applause TOUR』のジャケット写真とティーザー映像が公開されました。
STRAIGHTENER(ストレイテナー)・まとめ
結成から20年以上の長きに渡り、一度も歩みを止めることなく自身の音楽道を貫き続けるバンド、ストレイテナーをご紹介してきました。
「名前はよく目にするけど聴いたことがなかった」という方が、この記事をきっかけに彼らの世界に足を踏み入れてくださったら嬉しく思います。
まずはベスト盤あたりから聴いてみるというのはいかがでしょうか。