めまぐるしく進化していくボカロの世界では、2024年もまた新たな名曲が生み出され、ユニークな感性を持つ期待のクリエイターが注目を集めました。
この記事では、2024年におすすめしたいボカロの人気曲を、メロディーや歌詞など様々な点に着目して厳選し、徹底解説していきます。
目次
人気ボカロPの話題曲
Dec. / Kanaria
最初に紹介するのは、過去に「酔いどれ知らず」や「KING」などの話題曲を多数発表している人気ボカロPのKanariaが、2024年4月に投稿した「Dec.」(ディセンバー)です。
Kanariaが制作する曲はどれも、メロディーが非常にスタイリッシュで、それぞれの曲調にマッチしたMVも印象に残ります。YouTubeのショート動画やTikTokなどでBGMとして利用されるケースも多いため、「曲のタイトルはわからなくても聴いたことがある」という人がいるかもしれません。
中毒性の高いメロディーに加えて、ストーリー性に富んで考察しがいのある歌詞がファンの間でたびたび話題になっています。
ここで紹介する「Dec.」も例外ではなく歌詞が非常に抽象的で、聴く人によって解釈が分かれることも珍しくありません。
Kanariaの曲を考察する際により深く楽しむポイントは、1つの曲だけに着目するのではなく、複数の曲に隠されたつながりを見つけ出してストーリーへの理解を深めることにあります。
1曲を聴いただけでは制作者の意図がわからない場合、ほかの曲にもじっくりと耳を傾けてみて、その中にKanariaからの密かなメッセージを読み取ることでぱっと視界が開け、同時に、巨大な沼にずぶずぶとはまり込むかもしれません。
嘘ミーム / ピノキオピー
これまで「神っぽいな」をはじめとする様々な名曲でブレイクしている人気ボカロP・ピノキオピーが、2024年にリリースした曲。
タイトルにもある通り、この曲のテーマはずばり「嘘」です。
まず、曲の前半では『「本当」って残酷で容赦ない』『「本当」って冷たくてたまに痛い』ものであることを踏まえて、真実という猛毒に冒されないように、多くの人が身の回りを嘘で満たしながら必死に生きている社会のありさまを描いています。
歌詞の中で、嘘とはくだらないもの、あるいは悲しいものと明言されていますが、自分のダサい部分を隠して切り捨てる行為そのものを間違ったものとは断言していません。
嘘みたいな本当の幸せを追い求めるために、誰もが躍起になっているのではないでしょうか。繰り返し聴けば聴くほど、様々なことを深く考えさせられる非常に中毒性の高いナンバーです。
ドーナツホール 2024 / ハチ(米津玄師)
「ドーナツホール 2024」は、人気ボカロPのハチ(米津玄師)が、2013年にリリースした名曲を、2024年バージョンとしてMVをリニューアルしたものです。
2013年10月にYouTubeに投稿されたオリジナル版の動画は、2024年11月時点で6400万回を突破。これだけでも驚くべき数字ですが、2024年9月に「ドーナツホール 2024」として投稿されたリニューアル版は、早くも1500万回を突破しています。
楽曲の制作はもちろん、MVに登場するキャラクターのデザインやストーリーの原案など総合的なプロデュースを米津玄師が自ら行い、株式会社プロダクション・アイジー(Production I.G)とタッグを組んで、非常にクオリティーの高い映像作品を完成させています。
米津玄師のファンはもちろん、原曲をなんとなく聴いたことがあるという人も必見です。
たびのまえ、たびのあと / いよわ
2021年8月に公開した「きゅうくらりん」で大ブレイクを果たした人気ボカロP・いよわが、「ポケットモンスター」と「初音ミク」の公式コラボ企画「Project VOLTAGE」に参加し、2024年にリリースした曲です。
歌詞の中にポケモン関係の専門用語はほとんど出てこないにもかかわらず、ポケモンに対する愛情やリスナーへの思いやりがあふれんばかりに詰まっているところが、この曲のすごいところ。
誰かに「おすそわけ」された素敵な冒険に感銘を受け、自分も新しいことにチャレンジしたいという気持ちになることは、多くの人にとって共感しやすいのではないでしょうか。
抑えきれない気持ちを胸に秘め、「ママも パパも 止めないで!」と力強く宣言して旅立つ我が子に、「いつか遠くへ行ったって 離れてても愛してる」といって優しく送り出す両親。温かい親子の関係に思わず涙を誘われます。
ハートフルな曲はもちろん、いよわが自ら手掛けた素敵なイラストや動画も要チェックです。