【月間ボカロ曲解説】2022年1月の名ボカロ曲15選を徹底解説

【月間ボカロ曲解説】2022年1月の名ボカロ曲15選を徹底解説

2021年、世間から多くの注目を集めたボカロ音楽。
2022年は、一体どんな盛り上がりで私達を魅了してくれるのでしょうか。

そこで今回は、2022年1月に公開されたボカロ曲達の紹介を行ってみようと思います。

全てを紹介するのは難しい為、1月に話題になった楽曲を中心に全15曲に絞り、紹介していきます。

なお、本記事では可不やIAといった、厳密にはボカロではないソフトを使用した楽曲達も、ボカロPが作った楽曲=ボカロ曲として記載いたします。
その点を踏まえた上でお読みくださると幸いです。

はたして、2022年1月はどんなボカロ曲達が公開されたのか。
ボカロ好きな方は、ぜひ振り返りの意味も含めて読んでみてください!

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2022年1月公開のボカロ曲紹介15選

フクロウさん / すりぃ

ボカロP すりぃによる楽曲。
公開日は1月3日と、2022年のボカロ音楽の中でも非常に早い時期に公開された1作です。

歌唱ソフトは鏡音レン
「不苦労様」というコメント共に公開された本作は、その言葉通り「不苦労」つまりは苦労をした事がない人について歌った楽曲となっています。

「苦労」を美徳に捉えがちな社会を風刺する楽曲となっており、その鋭い内容で新年早々多くのボカロファンを掴んでいきました。
エッジの効いたバンドサウンドに、シンセなどの電子音による人を小馬鹿にするような軽やかな装飾が鳴り響く賑やかな曲調も、非常に耳馴染みやすく、社会風刺ソングでありながらとっつきやすい1作ともなっています。

現代の日本社会を生きる者に刺さる1曲です。

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消えろ / じん(自然の敵P)

ボカロP じん(自然の敵P)の楽曲。
公開日は1月21日です。

歌唱ソフトは可不
昨年末に公開され話題となった楽曲「GURU」に続く、2作目となるじんの可不曲です。
であると同時に、アレンジ担当の1人としてボカロP Kemuの名でも活躍している音楽家・堀江晶太が迎えられている等ボカロファンには見逃せないメンバーで作られた1作ともなっています。

じん曰く「死にたい時、頭の中の自分に邪魔をされることがあって、そんな気持ち悪さを曲にしました。」という本作。
生々しい程に感情的な歌詞に、アコギとピアノをメインに作られた叙情的な旋律が耳に残る1作となっており、聴いているだけで胸が締め付けられる感覚に襲われます。

じん自身の想いが詰め込まれているからこそ生まれる、深い切なさに涙する1作です。

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地獄に落ちる / カンザキイオリ

ボカロP カンザキイオリによる楽曲。
公開日は1月23日です。

歌唱ソフトは可不
元は2021年8月に発売された、アルバム「不器用な男」に収録されていた楽曲です。
こちらのアルバムはカンザキイオリ自身が歌唱した楽曲を収録したものとなっており、本作もカンザキイオリ歌唱版での収録が行われています。

今回公開されたのは、その可不版です。
カンザキイオリのボカロ曲といえば、感情的な歌詞を機械的なボカロの声が歌うという、アンバランスさ故の皮肉的な世界観が魅力ですが、本作はこれまでとは異なり、感情的な調教が行われた可不が魅力の作品となっています。

その歌声は、まるで本当に生きているかのような力強さがあると同時に、今にも泣き出しそうな震えも感じる声音となっており、その矛盾性が聴く者の心を揺さぶる魅力となっています。

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Nightmare / Azari

ボカロP Azariによる楽曲。
公開日は1月21日です。

Azaraiは昨年デビューしたばかりの新人Pですが、その人気は高く、投稿した楽曲の全てが殿堂入りを達成しているという驚異の実力保持者でもあります。

本作はそんなAzaraiの3作目にあたる楽曲です。
「Nightmare(悪夢)」というタイトルに相応しい、背筋がゾッとするようなダークな1曲となっており独特なのある旋律や歌詞の世界観には思わず気を呑まれてしまいそうな勢いがあります
留守電を連想させる電子音から始まるイントロを聴いたら最後、きっと誰もがこの奇妙な「Nightmare」の世界に惹き込まれてしまう事でしょう。

楽曲が持つ独特な世界観に酔いしれる事間違いなしの1作です。

アイデンティティ / Kanaria

ボカロP Kanariaによる楽曲。
公開日は1月9日です。

歌唱ソフトはGUMI初音ミク
人気ボカロ音楽ゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」(通称:プロセカ)と日清食品カップヌードルによるコラボ企画「カップヌードル×プロジェクトセカイ」への提供楽曲として制作されました。

カップヌードルのスタンダードな味であるしょうゆ味(正式名称:カップヌードル)のテーマソングとして制作された本作。
「アイデンティティ」を題材とした歌詞の内容は、一見すると本来のテーマと何も関連がないように見えますが、決して他のカップ食品では再現できない唯一無二の味であるカップヌードル味について歌っていると捉えれば、これ以上に見合う題材はないと言えるでしょう。

激しい盛り上がりどころや疾走感がある楽曲というわけではありませんが、それ故に生まれる絶対的王者としての風格も感じられ、正にカップヌードルの始まりの味に相応しい空気を持っています。

ボカロP Kanariaの高い音楽センスが光る1作です。

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コスモスパイス / ピノキオピー

ボカロP ピノキオピーによる楽曲。
公開日は1月26日です。

歌唱ソフトは鏡音リン・レンと初音ミクです。
先に紹介した「アイデンティティ」と同じく、「カップヌードル×プロジェクトセカイ」への提供楽曲として制作されました。

カレー味欧風チーズカレー味をテーマに制作された1作となっており、歌詞はもちろんの事そのMVの中身もカレー&チーズを連想させる独特な内容に仕上がっています
壮大でありながら民謡的な空気も持った混沌とした音使いのエレクトロサウンドも、まるでスパイスの効いたカレーを食べた時に感じる刺激に似たエッジさがあり、一度聴いたら忘れられないものがあります。

しかし同時に、どこか思わず顔が綻ぶ暖かさも兼ね備えた楽曲となっており、聴き終わる頃には穏やかな気持ちになっている事間違いなしの楽曲です。

ポテトがSしか売ってない / シカクドット

ボカロP シカクドットによる楽曲。
公開日は1月16日です。

歌唱ソフトは音街ウナ
名は体を表すというように、正に曲名の内容をそのまま歌にした楽曲です

本作が公開された当時、世間ではコロナ禍による影響から物流網に問題が起きており、その結果マクドナルドでのポテトの販売がSサイズのみになってしまうという事態が発生していました。
本作はそんな時事ネタを用いた楽曲となっており、Sサイズのみになってしまった事に嘆く人達の心に刺さる1作となっています。

誰もが1度は耳にした事がある、ポテトが揚がった時のSE音をモチーフに作られたリズミカルな歌詞も非常に頭に残るものとなっており、思わず口ずさみたくなる強い洗脳力がそこにはあります。

1分29秒と非常に短い楽曲ですが、だからこそ簡潔に伝えたい事だけをシンプルにまとめられた内容が聴く者の心にストレートに伝わってきているともいえるでしょう。

今のような社会情勢だったからこそ誕生する事ができた、名曲ならぬ迷曲です。

paint the world / 芳田

ボカロP 芳田による楽曲。
公開日は1月25日です。

歌唱は初音ミク
プロセカにて定期的に開催される楽曲コンテスト「プロセカNEXT」、その第8回目に応募作として制作されました。

歌声の調整技術の高さに定評がある、芳田。
そのあまりのハイクオリティに、ニコニコ動画にて人気になった楽曲達には「魂実装済」というタグがつけられている程です。

本作でもその作風は健在。
高い透明度を持ちながらも、まるで本物の人間のような柔らかい声質の歌声が紡ぐ爽やかな1作となっています。

また爽やかポップな印象を受ける本作ですが、その裏ではテクノを連想する電子音も多用されており、コンテストテーマである「EDM」にしっかりと沿った作りともなっています。
芳田自身の持ち味を活かしつつ、コンテストテーマにも沿った非常に高い音楽センスで作られた1作だといえるでしょう。

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くうになる / MIMI

ボカロP MIMIの楽曲。
公開日は1月15日です。

歌唱ソフトは初音ミク可不
ボカロを代表するソフトと今多くのボカロPから人気を集めているソフトを使用した、デュエット曲となっています。

ふわっとした可愛らしい音使いの本作。
柔らかいタッチのイラストやフォントが使用されたMVも、本作が持つ暖かい雰囲気を盛り上げている要素だといえるでしょう。

そんな本作の最大の魅力は初音ミクと可不の美しいハモりです。

全く異なる声質のソフト達が重なり生まれる、一種の化学反応のような歌声は、デュエットソングの醍醐味だと言ってもよい筈。
2ソフト分の確かな声の厚みを感じさせながらも、楽曲が持つ雰囲気を壊す事のない軽やかで澄んだハモリからはMIMIの高い調整技術を感じざるを得ません。

特にサビに入った途端に見せる盛り上がり具合は注目必須の1点です。いつまでも聴いていたくなる不思議な魅力があります。

エイス / ユギカ

ボカロP ユギカの楽曲。
公開日は1月30日です。

歌唱ソフトは鳴花ミコト
ダミ声にも取れる独特な調整が行われた鳴花ミコトの声は、ユギカの作風ともいうべきものであり、ユギカの楽曲でしか聴けない特別な雰囲気を持ったものとなっています。
1度聴いたら忘れられない力強さがある事はもちろん、まるで鳴花ミコトの元のボイスの概念を壊すようなその声質には、本ソフトが持つ表現力への無限大の可能性も感じられます

そして、そんな歌声で紡がれる本作は、切なくもどこか情熱的な恋心を歌った楽曲です。

想い人への気持ちに溺れていくさまをポーカーの役で表現する歌詞は、お洒落でありながらも実に感情的な内容になっておりそこに鳴花ミコトの印象深い歌声が合わさる事で聴く者の中に強く残る1作となっています

独特な声が生み出す、高い表現力に心揺さぶられるラブソングです。

ゴーストタウン / 沫尾

ボカロP 沫尾(まつび)による楽曲。
公開日は1月29日です。

本作は歌い手としてYouTubeやニコニコ動画で活動している沫尾による初のボカロ作となっています。
プロセカの楽曲コンテスト「プロセカNEXT」の第8回目に応募作として制作されました。

使用ボカロはKAITO
コンテストテーマ「EDM」に沿ったダークな空気を持つお洒落なEDMに仕上げられており、KAITOの優しく澄んだ歌声も、本楽曲のシャープさに磨きをかけている要素だといえるでしょう。
処女作とは思えない高いクオリティで、公開から日が経った今もプロセカファンから注目を集め続けています。

ボカロ好きプロセカ好きでまだこの楽曲を聴いてない方は、ぜひ聴いてほしい楽曲です。

MUTEKI / むみそ

ボカロP むみそによる楽曲。
公開日は1月30日です。

歌唱ソフトはIA
むみそ曰く、IAの誕生10周年を祝う為に制作した楽曲との事で、MVに使用されているイラストもIAを強調したものとなっています。

本作の特徴は、その独特なリズムにあります。
ジャズスカを彷彿とさせるリズムを持った作品となっており、ゆったりとしたテンポでありながら非常にノリの良いお洒落な1作に仕上がっています。
またバンドサウンドにプラスして、ブラスやピアノなど様々な楽器が使用されている事もまた、本作を賑やかで明るい1作に感じさせている点でしょう。

それでいながら、歌詞の内容は荒々しく、どこか捻くれた雰囲気も併せ持っている点も、本作の魅力の1つ。
お洒落だけどそれだけでは終わらせない、偏屈さも兼ね備えた小粋な1作です。

さよならプリンセス / Kai

ボカロP Kaiによる楽曲。
公開日は1月29日です。

歌唱ソフトは初音ミク
ピコピコ音やキラキラと光が煌めくようなSE音が特徴的な可愛らしい楽曲となっており、MVの内容も含めキュートな印象を受ける作品となっています。

ですが反面、その歌詞をよく見ると非常に切ない内容が展開されておりただ可愛いだけの楽曲ではない事もわかります
キラキラと光輝いているように見えた楽曲の世界が一気に悲しいものに感じられたその時、本作に込められた真の魅力が顕になるといえるでしょう。

可愛さに惹かれて飛び込んだ先で見る、物悲しい雰囲気のギャップに胸打たれる1作です。

巡る日々の中に / ハヤシケイ

ボカロP ハヤシケイによる楽曲。
公開日は1月28日です。

歌唱は巡音ルカ
元は2019年に巡音ルカの10周年を記念して発売されたアルバム「巡音ルカ 10th Anniversary – Fabulous∞Melody -」に収録された1曲でしたが、今年で13周年を迎えた巡音ルカの記念として、書き下ろしMVと共にニコニコ動画・YouTubeにて公開されました。

ピアノをメインとした優しい旋律に乗せて歌われる、暖かな歌詞
「巡る日々」を題材に歌われるその歌詞は、巡る音と書いて「巡音」とつけられた巡音ルカの名前を彷彿とさせるものがあります。
ファンと共に在り続けた巡音ルカの軌跡を感じさせるに相応しい、記念ソングだといえるでしょう。

そしてそこに、イラストレーター くまおによる繊細かつ色鮮やかなイラストのMVが加えられた為、より一層楽曲の暖かさが深まる事に。
CD購入済みの人も、今回初めて本作を聴いたという人も変わらず魅了される1作として、多くのボカロファンから支持されています。

にっこり^^調査隊のテーマ / ワンダフル☆オポチュニティ!

音楽グループ ワンダフル☆オポチュニティ!(通称:ワンオポ)による楽曲。
公開日は1月19日です。
プロセカに登場する架空のユニット「ワンダーランズ×ショウタイム」(通称:ワンダショ)のイベント用ソングとして制作されました。

歌唱ソフトは鏡音リンレン
鏡音リン・レンによる愉快な掛け合いで進んでいく歌詞の内容はまるで1つの物語を見ているような楽しさがあり、テーマパークのキャスト達によって結成されたワンダショにぴったりなものとなっています。
であると同時に、人を笑顔にさせる為に活動を行うワンダショの信念にも通ずるフレーズも多く歌詞の中に散りばめられており、ワンダショファンならば好きにならざるを得ない楽曲だともいえます。

もちろん、ワンダショを知らない人でも、繰り広げられる愉快な楽曲展開には、思わず笑顔になってしまう事間違いなしの1作です!

まとめ

以上、2022年1月に公開されたボカロ曲達の紹介でした!

15曲限りの紹介ではありましたが、初めて公開された楽曲や、コンテスト用の新曲、バージョンアップして公開された楽曲など、その光景からは2022年1月が様々な形での楽曲公開が行われた月であった事が伺えますね。

なお、今月(2月)はボカロ・KAITOの誕生月ですので、KAITOの生誕を記念した楽曲が多く登場する可能性があります。第9回目となる「プロセカNEXT」も3月末まで開催中の為、各動画サイトにて続々と応募曲の公開が行われています。

一体、2月のボカロ音楽はどんな盛り上がりを見せてくれるのか。
とても楽しみですね!

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