1999年から週刊少年ジャンプで連載が始まり、2014年に完結するまで人気を博し続けた漫画『NARUTO-ナルト-』。
アニメ化や映画化を経た後に2次元のキャラクターたちが原作を飛び出し、3次元の俳優によって“2.5次元”の存在として表現されるライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』シリーズも世界中で愛される作品となっています。
本記事では『NARUTO-ナルト-』の原作を読んだことのない方、2.5次元作品の初心者にも同作の魅力がたっぷり伝わるような内容をお届けしていきたいと思います!
目次
『NARUTO-ナルト-』について
世界中で大ヒットした忍者漫画
『NARUTO-ナルト-』は、1999年から2014年までの15年間に渡って週刊少年ジャンプにて連載され、全世界で累計発行部数2億部を突破した大人気漫画です。
主人公の忍者・うずまきナルトが仲間たちと共に成長し、強大な敵に立ち向かっていく姿を描いた人間味あふれる感動的なストーリーが日本国内だけでなく海外でも絶大な支持を獲得。
2002年から放送開始されたテレビアニメも大好評で、日本を含め全80か国以上で放送された後に映画化まで実施されました。
中でもフランスにおける原作漫画の人気ぶりは圧倒的であったほか、アメリカでも『NARUTO-ナルト-』の走り方を真似する「Naruto run」というイベントやコスプレ大会が開催される等、子供から大人まで多くの世代の間で高い認知度を誇ります。
また、2006年にはNEWS WEEK 日本版で“世界が尊敬する日本人100”のうちの1人にアニメキャラクターとして唯一選出される偉業を達成。
日本以外であまり馴染みのない“忍者”という存在を世界中に広めるきっかけとなりました。
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2.5次元舞台化でも話題に
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— 舞台「NARUTO-ナルト-」公式 (@naruto_stage) November 7, 2019
原作完結後の2015年には、通常の2.5次元舞台よりも大掛かりな仕掛けを用いることでより原作を忠実に再現した“ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』”として初の舞台化が決まります。
キャスト陣には2.5次元舞台俳優としてお馴染みの松岡広大さんや佐藤流司さん等、豪華な顔ぶれが勢ぞろい。
彼等の見事なキャラクターの再現度で話題を集めた同作は、国内4都市に加えてマカオ、マレーシア、シンガポールといった世界各国で上演され、大勢のファンを獲得しました。
後に再演も決定し、2017年にはシリーズの新作舞台として前作と同じキャスト等によるライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』~暁の調べ~も上演されます。
こちらも2019年に2年越しで再演され、さらにパワーアップしたキャストたちの姿が大きな注目を集めました。
「2.5次元」とは?
今日、様々なメディアで扱われることの多い“2.5次元”という言葉ですが、未だ聞き慣れない方のために本項ではその意味をご説明していきます。
3次元に2次元を再現!
2.5次元とは“平面上に存在するアニメや漫画、ゲーム等が原作の作品が私たち人間を含めて立体的な形で存在する3次元(現実世界)において俳優さんにより、忠実に原作を再現される舞台・ミュージカル等”のことを指します。
それぞれ通常の作品と区別できるように「2.5次元舞台」、「2.5次元ミュージカル」と呼ばれ、演じるキャストたちにも“2.5次元俳優”という呼称が付けられているので、もはやアニメや漫画とは全くの別物でありながらその世界観に寄り添う演劇界の新ジャンルとして確立されている印象。
元々3次元には存在しない2次元のキャラクターをこの世のものとして表現するためには、自分の個性を消し去ってそれになりきるという俳優さんたち自身の高い演技力が求められます。
2.5次元舞台の礎を築いた『テニミュ』
漫画が原作の舞台という点で“2.5次元ミュージカルの元祖”であるのは宝塚歌劇団が1974年に上演した『ベルサイユのばら』ですが、現在の2.5次元に近い形で上演されるようになったのは2003年に上演されたミュージカル『テニスの王子様』(以下、テニミュと省略)が始まりだと言われています。
テニミュとは『NARUTO』と同じく週刊少年ジャンプにて連載された『テニスの王子様』を舞台化した作品で、当初の1stシーズンを皮切りに2019年12月から翌年2月まで上演された3rdシーズンまで長年に渡って愛され続けています。
1stシーズンの初日公演ではチケットを完売させるには程遠かったそうですが、公演を観たファンによる高評価が広まった後、最終公演では立ち見の観客が続出。
その後の2.5次元の普及に大きく貢献することとなりました。
※2020年5月に上演を予定していた3rdシーズンの締めくくりとなる「ミュージカル『テニスの王子様』コンサート Dream Live 2020」については、昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響でやむなく全公演とも中止に。
ファンにとって予想外の出来事となりましたが、それによって今後予想される4thシーズンの上演への期待により拍車がかかっているようです。
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世界から注目!ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』の魅力
本項では、いよいよ2.5次元舞台『NARUTO-ナルト-』の魅力に迫っていきたいと思います。
①最新技術「プロジェクションマッピング」をフル活用した演出
疾走感あるバトルシーンが魅力の一つとされる『NARUTO-ナルト-』を生身の人間が演じるうえで課題とされるのが、原作同様の迫力を出せるかどうか。
通常の2.5次元舞台とは異なり、「プロジェクションマッピング」等の最新技術を駆使した“ライブ・スペクタクル”である舞台『NARUTO-ナルト-』ではそれ等が見事に乗り越えられ、自然な風の流れやバトルシーンの躍動感までも生み出されています。
序盤で披露されるナルトの“多重影分身”も光で縁取られたナルトの影が暗闇の中で踊る演出により、原作を忠実に再現しているのには驚きです。
もちろん、キャストたちは最新技術を用いるのに見合った身体能力を身につけなければなりません。
うちはサスケ役を演じる佐藤流司さんによると、2015年に初演上演したライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』では彼のビジュアルに“子供感”を出すためにスポンジを大量に詰めた衣装を着用してハードな動きを演じなければならなかったそう。
トランポリンやエアリアルという空中演技の習得を目指しながら他の出演者と共に稽古まで同時進行するのは佐藤さんに大きな負担をかけ、一時は実家の母親に「今回は、ダメかも」と泣き言をこぼしてしまったことを以前トーク番組で明かしていたことがありました。
それでも初日で見せたサスケさながらの俊敏な演技には、観客から絶賛の声が続出。
他のキャストを含め、各キャラクターの特徴をよく捉えた演技で会場をナルトの世界観に浸らせました。
②歌や楽器演奏を織り交ぜたステージ
ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』~暁の調べ~から新たに登場したのが、ストーリーを歌で表現するシーン。
同作から参加したサスケの兄・うちはイタチ役の良知真次さんは、中学生時代にジャニーズJrとしてTOKIOや嵐等の名だたる先輩たちのバックダンサーを務め、その後は劇団四季に所属して多数の舞台・ミュージカルに出演した実力派です。
さらに、元宝塚家劇団の男役・大湖せしるさん、悠末ひろさんといった抜群の歌唱力を誇る新キャストが名を連ねました。
そんな彼等の加入によってミュージカル要素が強く押し出された演出面には、ステージ上での迫力ある歌唱シーンや和太鼓の生演奏といったこれまでになかった迫力ある見どころが詰まっていると話題に。
言葉だけではすぐに通り過ぎてしまう名シーンを歌や楽器演奏を織り交ぜて表現することで、より各キャラクターの胸中を感じさせる濃密なストーリーへと生まれ変わらせています。
歌唱曲にオリジナルの楽曲が使用されているのもポイントで、舞台ならではの魅力を彩る重要な要素となっているようです。
特に有名なのは、ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』のイメージソングとして制作されたFLOWの「光追いかけて」。
アニメ主題歌を手掛けたことでファンの間でも人気の高い彼等とのタッグは、発表当時大きな注目を集めました。
③本物そっくりのビジュアル
2次元の作品が実写化されるうえで必ず注目されるのが、キャラクターの再現度です。
過去の2.5次元舞台作品の中には初のビジュアル披露時から残念な配役やビジュアルへに非難が殺到し、酷い時にはコスプレ風の作品等と評される例も多数。
【完成度】舞台『NARUTO』ビジュアル公開http://t.co/ITCtHemmlB
松岡広大が演じるナルト、サスケ役の佐藤流司など4人。 pic.twitter.com/JbBNmnLwo7
— ライブドアニュース (@livedoornews) December 20, 2014
しかし、ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』の場合はキャストたちの見た目に配慮した選出方法、衣装やメイクのフル活用によって限りなく原作に近い形に仕上げることを重視しており、いずれのキャラクターも原作に寄り添ったハイクオリティな完成度でファンを驚かせています。
演技力の高さはもちろん、第一印象でどれだけファンに違和感を覚えさせないかは作品の売れ行きに深く繋がってくると思いますし、途中からの追加キャストたちのビジュアルも手抜き感のないところに制作陣の2.5次元に対する理解や熱意を感じます。
④キャラクターとの距離感
登場人物たちとの距離感の近さも2.5次元ならではの醍醐味です。
好きなキャラクターが平面上の2次元を飛び出し、自分と同じ空間に存在することをありありと感じられるのは原作にはなかった大きな魅力。
ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』では、芝居が終わった後にキャストたちが客席に降りてきてハイタッチをしてくれる瞬間があり、それを目当ての一つに観劇しに来るお客さんも多いといいます。
触れ合いが出来るのは座席の位置にもよりますが、そのような時間を取り入れてくれるキャスト・制作陣の心遣いは素晴らしいです。
⑤原作を知らなくても楽しめる公演内容
初演の後、続編よりも前に“再演”という形で上演されるライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』だからこそ、キャストたちは再び同じ作品を演じることの理由を追求するようにしているそうです。
原作を深く知らないまま初演を観劇した際にはストーリーがよく分からなかったという意見が目立ちますが、再演を観た後にその部分を完全に理解できたという声が多数。
2公演は併せて観ることにより、原作ですら感じ得なかった新たな印象を与えてくれます。
それはきっと、「前回の仕上がりと超えるものを目指そう」という演者の熱い思いから完成した再演の内容は同じであって全くの別物へと生まれ変わっているからでしょう。
キャラクターのセリフだけでは読み取れない繊細な感情までも分かるシーンが圧倒的に増加するので、原作ファンも作品への理解を深めるためにどちらも観劇するのがおすすめです。
観れば観るほど、漫画やアニメだけでは気付かなかった新たな発見があって面白いと思います。
⑥ファン層の広さ
ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』の舞台会場には若い女性だけでなく子供や男性、年配の方まで幅広い世代のファンが見られます。
国外での公演時には現地のファンを中心に会場を埋め尽くすほどの観客が集結したといい、中には推しキャラクターの衣装を身に纏ったコスプレイヤーの姿まで見受けられたことを主演の松岡広大さんが過去のインタビューで話していました。
それだけ大勢からのナルト愛を受け止め、期待以上のものをお返ししたいという気持ちでキャストたちは日々精進しているそうです。
世界中のファンと演じる側の人間、互いの作品愛によってライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』は舞台を重ねるごとにより原作の完成度へと近づいていくのでしょう。
日本以上に盛り上がりを見せる海外公演の舞台がさらに拡大されればこれまで原作を読んだことのない方にも2.5次元舞台を通してその魅力が広まり、世界中でナルトの輪が広がり続けていくように思います。
ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』 予習方法
『NARUTO-ナルト-』の原作を読んだことのない方には、今後ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』シリーズの再演もしくは続編の上演が決定した際、初見でも出来るだけ楽しめるように上のダイジェスト動画を視聴しておくことをおすすめします。
プロジェクションマッピングを取り入れたシーン、キャストの歌唱まで同作の魅力が詰まった動画なので、ステージの雰囲気を事前に掴んでおくことが可能です。
最後に…
以上、原作や2.5次元初心者の方にもライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』の魅力が伝わるような内容をたっぷりお伝えしました。
これまでの公演はいずれも国内外で大反響を呼び、現在再演や続編が期待されている同作。
さらにパワーアップしたステージを今後も期待していましょう!