夏油傑 – 【ネタバレ有】『呪術廻戦』五条悟の元親友にして宿敵を徹底解説!

夏油傑 – 【ネタバレ有】『呪術廻戦』五条悟の元親友にして宿敵を徹底解説!

『呪術廻戦』原作情報


週刊少年ジャンプで絶好調連載中の芥見下々による漫画『呪術廻戦』

本作は宮城県仙台出身の平凡な高校生・虎杖悠仁(いたどりゆうじ)が、特級呪物に指定された両面宿儺の指を食べたことで、名だたる呪術師や呪霊との死闘に巻き込まれていくダークファンタジーバトル漫画です。

生者の辛酸・後悔・恥辱など渦巻く負の感情がもととなる現象、呪い。
その呪いが形を成した強大な呪物を巡り、数多の人々の運命が狂わされていくハードな展開は、『鬼滅の刃』『チェンソーマン』とも並びジャンプの新世代を切り開きました。

連載がスタートされたのは2018年週刊少年ジャンプ14号、単行本は既刊16巻。2021年8月時点で売り上げ5000万部を突破しています。6月4日発売の最新刊のみで既に200万部を記録しているのは快挙ですね。

『呪術廻戦』のプロトタイプとして、ジャンプGIGAに短期連載されていた『東京都立呪術高等専門学校』が挙げられます。

こちらは悠仁たちの先輩である特級呪術師・乙骨憂太(おっこつゆうた)らを中心とした前日憚で、本編に先駆けて夏油傑(げとうすぐる)が登場を果たしました。

『呪術廻戦』アニメ情報

2020年10月には『進撃の巨人』や『ゾンビランドサガ』、『BANANAFISH』『ユーリ!!! on ICE』などの名作を手がけ、クオリティの高い作画で評判なスタジオMAPPAによるアニメが放映されました。

このアニメ化をきっかけに『呪術廻戦』の人気は爆発し、2021年12月24日に劇場版公開予定の『呪術廻戦0』に繋がりました。

さて、『呪術廻戦』にて呪術高専と対立する悪役・夏油傑とはどんな人物なのでしょうか?今回は『呪術廻戦0』のラスボスでもある彼の全貌に迫っていきます。

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『呪術廻戦』最悪の呪詛師、夏油傑とは(ネタバレあり)

夏油傑の基本情報

  • 享年 27歳
  • 誕生日 2月3日
  • 等級 特級呪術師
  • 術式 呪霊操術
  • 必殺技 極ノ番「うずまき」
  • 好物 ざる蕎麦
  • 趣味 格闘技
  • ストレス 呪霊を取り込むこと
  • 一人称「私」
  • 公式イメージソング →Pia-no-jaC←『Paradiso』/Two Door Cinema Club『Come Back Home』

夏油傑は五条悟と同い年。二人は過去に呪術高専の同学年に在籍していました。

なお公式で190センチと発表されている五条とタメを張るほど高身長。184センチの七海よりやや高いとされています。

見た目は五条袈裟を羽織った黒髪長髪の成人男性。前髪を上げて露出した額には手術痕に似た縫合痕が認められます。ストレートの髪を肩までたらし、一房後ろで結わえたスタイルが独特ですね。耳に装着した大きなピアスがおしゃれです。

常に掴み所ない不敵な笑みを湛えており、全体から強キャラ感が漂います。両親は非術師、夏油のみが呪術師の才能を持っていました。

呪術高専時代の壮絶な体験がきっかけで「非術師を排し術師だけの理想の世界を作り上げる」危険思想に目覚め、盤星教を乗っ取ります。

『呪術廻戦0』では配下の呪術師を指揮して百鬼夜行を行い、五条や乙骨たちを苦しめました。
なお『呪術廻戦』本編にて真人たちと与し暗躍していたのは偽夏油。夏油の死体に史上最悪の術師・加茂憲倫が入り、動かしていた真実がのちに明かされます。

夏油傑と五条悟の関係

呪術高専最強の二人!五条悟が認める「たった一人の親友」

悠仁たちの恩師であり最強の称号を冠する特級呪術師の一人、五条悟。彼と夏油傑には無視できない因縁があります。

夏油と五条は呪術高専の同級生。五条曰く「たった一人の親友」です。

因縁の発端は2006年、夏油と五条が呪術高専2年生時に遡ります。

当時夏油と五条は「傑」「悟」と下の名前で呼び合っていました。二人で組んで任務に赴くことも多く、互いの実力を認め合い切磋琢磨していた様子がうかがえます。周囲にもほぼ同格として認知されており、強い絆が感じられますね。

ちなみに家入硝子(いえいりしょうこ)も同級生で、二人の馬鹿騒ぎを生温かく見守る立場でした。

一方で性格や価値観の違いから喧嘩が絶えず、呪力を用いて大規模な破壊に至ることも。当時の担任だった夜蛾正道(やがまさみち)は加減を知らない問題児コンビに手を焼いていました。

呪術高専時代の夏油は本編と違い、非術師への差別感情は一切持っていません。反対に「術師として生まれた者は力を持たない非術師を守るべし」という使命感にあふれていました。

対照的に五条は傲岸不遜、唯我独尊な性格。自身の天才性から周囲を見下してはばからず、態度を改めるようにと夏油に注意されています。

「一人称『俺』はやめた方がいい 『私』最低でも『僕』にしな 年下にも怖がられにくい」

そう苦言を呈す夏油に対し、学生時代の五条はこう答えています。

「はっ やなこった」

こんな感じで夏油は五条の無礼さをフォローしていました。

五条のルックスは今とほぼ変わりませんが、夏油の方は髪を頭の高い位置で束ねて若々しい印象ですね。

五条の一人称が「僕」に代わるのは禪院甚爾(ぜんいんとうじ)亡き後に育児放棄され、義姉と二人暮らしをしていた小学生の伏黒恵(ふしぐろめぐみ)に初めて会いに行った時です。

旧友の助言を入れる心境の変化があったのでしょうね。

若気の至りの衝突こそ多いものの五条と夏油は自他ともに認める最強コンビであり、それを否定する者はいませんでした。

転機となったのはある少女の護衛任務です。

夏油傑と天内理子の関係

夏油の人生を変えた星漿体、純粋な少女の最期

天内理子(あまないりこ)は単行本8巻、第66話より登場する五条&夏油過去編のキーパーソンです。

呪術高専2年生時、五条と夏油は夜蛾から星漿体(せいしょうたい)の少女・天内理子の護衛を命じられました。

星漿体とは天元と同化できる特別な人間。

天元は日本の呪術界の要ともいえる存在で、呪術界のシステムそのものに直結しています。

両親を幼い頃に事故で亡くして天涯孤独な理子は、いずれ天元を降ろすとされ盤星教「時の器の会」の教祖に祭り上げられていました。

その実体はまだ14歳の明朗快活な女子中学生で、五条や夏油とも良好な関係を築きます。

理子の命を狙っていたのは天元との同化を阻む呪詛師集団「Q」でした。

概念上の存在である天元が人間と同化を果たし現実への干渉が可能になれば、最悪世界が滅ぼされかねません。

当初理子は星漿体の運命を受け入れていましたが、五条や夏油と沖縄旅行にでかけ、楽しい思い出が増えるのに比例して気持ちが揺らいでいきます。

実際のところ「天元様との同化は名誉な事であり恐れてはいない」というのは強がりに過ぎず、本音ではもっと生きたがっていた理子。

そんな理子に対し、単なる護衛対象以上の思い入れを持った夏油は言いました。

「私達は最強なんだ 理子ちゃんがどんな選択をしようと君の未来は私達が保障する」

実は夏油と五条は任務開始前から理子の意志を尊重することで合意しており、天元との同化を拒み、延命を望む彼女に全面協力します。

しかし運命は残酷でした。

敵は盤星教「時の器の会」内部にも潜んでおり、理子への刺客として禪院甚爾が差し向けられます。

盤星教「時の器の会」が理子の暗殺を企んだ目的は、「人間と同化したら天元の神聖さが薄れる」というものでした。彼らは信仰対象としての天元の永続の為に器の抹殺を決めたのです。

内からも外からも狙われ孤立する理子。彼女にとって夏油と五条の言葉がどれ程励みになったかは想像に難くありません。

しかし夏油の手をとろうとした瞬間、禪院甚爾によってあっさり射殺されてしまいます。甚爾は3000万円で盤星教から理子の暗殺を依頼されていたのでした。

夏油は逆上して甚爾に襲いかかるも返り討ちにされ、瀕死の状態に陥ります。

「君の未来は保障する」と約束した矢先にその少女を惨殺され、何もできず遺体を持ち去られる……この体験は夏油傑の人生をより陰惨なものとへと変えました。

夏油傑と九十九由基の関係

夏油の価値観を変革した特級呪術師

後日、盤星教の信者たちは理子の死を喜んでいました。五条はそれを見て「殺すか」と聞きますが、夏油は「意味が無い」と否定します。

この時から夏油の心は虚無に蝕まれ始めました。

盤星教の信者たちは非術師の一般人、夏油が守るべき信念を持っていた人々です。そんな彼らが同じく守るべき少女を殺したジレンマ……夏油の中で非術師への嫌悪感が膨れ上がっていきます。

星漿体・天内理子の死から一年後の2007年8月、呪術高専3年に進級した五条と夏油は別行動が増えました。

夏油の前に現れた特級術師・九十九由基は、「呪霊が存在しない世界を実現する方法」に対する私見を述べ、「すべての人間が呪術師になれば呪霊は生まれない」と結論。

それ即ち「呪術師以外の人間を皆殺しにすればいい」のです。

夏油が上記の言葉を述べると、九十九はあっさり「それが一番簡単」と肯定しました。去り際に九十九は「星漿体のことは気にしなくていい」と告げ、夏油の精神は崖っぷちに立たされます。

夏油傑と菜々子&美々子の関係

夏油が救った双子の姉妹、新しい家族

呪術高専3年時、夏油はある村で起きた呪霊騒ぎの解決を依頼されます。

しかし任務先で夏油が目にしたのは、村人たちによって檻に監禁された双子の幼女の姿でした。村人たちは呪霊騒ぎの元凶が術師の血筋の菜々子・美々子と決め付けて虐待していたのです。

作中では言及されていませんが、同じく術師だった菜々子・美々子の両親も村人の迫害が原因で命を落としたのかもしれません。

天内理子の悲劇がフラッシュバックした夏油は村人全員を虐殺。
菜々子・美々子救出後に姿を消します。

後日夏油の凶行を知った五条は驚き、彼が自らの両親まで手にかけた事実に愕然とします。

利己的な理由で弱者を弾圧する人々の愚かさや醜さに絶望した夏油は、この時より「無能な猿」と非術師を蔑む差別主義者に変貌。
盤星教の教祖として君臨し、『東京都立呪術高等専門学校』における百鬼夜行を計画します。

幼少時に夏油によって救われた菜々子・美々子は、心から彼を慕い、疑似家族のような関係を築いていました。夏油への依存ぶりは盲目的といっていいほどで命令には絶対服従です。

それは菜々子のセリフからも推測できます。

「アンタらは知らねぇだろ 地図にも載ってねー様なクソ田舎で呪術師がどういう扱い受けてるか」

「善悪?そんなんアンタらで勝手にやってろし 夏油様が言えば黒も白だし白も黒なんだよ」

「私達はあの人が見据える世界を信じてる 邪魔する奴は吊るしてやる!!」

しかし夏油は特級呪霊・折本里香の獲得に失敗、五条悟にとどめをさされます。

恩人を失ったものの、菜々子・美々子は夏油と親友だった五条を恨んではいません。ですが偽夏油となると話は別で、「夏油様の死体を弄ぶ腐れ外道」と憎んでいます。

生前の夏油の思想に深く共鳴していた菜々子・美々子にとって、偽夏油の蛮行は夏油の死に様を穢すものでしかありません。

夏油の魂を解放する為に両面宿儺に土下座で協力を乞うほどで、彼へのなみなみならぬ想いが伝わってきますね。『呪術廻戦』の渋谷事変編では偽夏油=加茂憲倫に戦いを挑み、二人そろって返り討ちにされました。

夏油と特級呪霊・真人たちの関係

外道なビジネスパートナー、偽夏油の思惑は見抜けず?

夏油傑は特級呪霊の真人・漏瑚・花御・脹相と結託し、呪いが人間を一掃して栄える新世界を作ろうとしていました。

『呪術廻戦』では彼らが飲食店で打ち合わせをする様子も描かれています。

真人たちには夏油と呼ばれていますが、この時点の夏油傑は既に死亡済み。中身は加茂憲倫、改め羂索(けんじゃく)です。羂索は古来より強大な術師の体を渡り歩いており、その中に加茂憲倫や夏油傑が含まれているのが事の真相でした。

羂索の術式は「自分の脳を他人の肉体に移植して他人の肉体を転移する」というもの。故に夏油傑本来の術式・呪霊操術も使いこなしています。

公式ファンブックにて芥見下々は「偽夏油なら真人・漏瑚を呪霊操術で支配下における」と明言しており、敵としては作中最凶の存在と目されています。

真人とは非術師を一掃する目的が共通していた事と飄々とした性格が噛み合い、表面上は円滑にコミュニケーションを進めていました。

渋谷事変にて、真人は呪霊操術によって偽夏油に取り込まれ退場します。

夏油傑が起こした百鬼夜行

『呪術廻戦』にて語られる夏油傑の悪行の双璧は百鬼夜行と渋谷事変です。

百鬼夜行とは魑魅魍魎が夜な夜な大路を行進する現象をさしますが、作中では別の意味を持ちます。

百鬼夜行とは2017年12月24日逢魔が時、呪詛師・夏油傑が傘下の術師を率いて東京・京都で引き起こした呪術テロです。

当時盤星教の教祖を隠れ蓑にしていた呪詛師・夏油傑は、東京と京都に1000体の呪霊を解放し非術師の殺戮を命じました。
呪術高専の教師と学生はこの鎮圧に駆り出されるものの、夏油の真の目的は乙骨に憑依する特級過呪怨霊・折本里香の入手でした。

なお百鬼夜行では新宿にて五条がミゲル・菜々子・美々子と交戦しています。京都の鎮圧は東京・京都校の3年勢が主に行い、1級と特級の呪霊は全て東堂葵(とうどうあおい)が討伐しました。

渋谷事変の全貌は『東京都立呪術専門高等学校』に収録されています。最終話にて夏油は五条に討たれて死亡しました。

偽夏油傑が起こした渋谷事変

渋谷事変は2018年10月31日に渋谷で発生した呪詛師・夏油傑、及び彼と共謀する呪霊たちによる呪術テロです。

百鬼夜行の時と同様に夏油傘下の複数の呪詛師も参加しています。

百鬼夜行との違いはあちらは夏油傑自身が首謀であること、こちらは偽夏油=加茂憲倫が首謀者であること。後者はただ死体を使われているだけです。また、破壊と犠牲の規模も百鬼夜行を大きく上回ります。

渋谷に最大半径約400メートルの帳が同時展開され、その中に多くの一般人が閉じ込められた状態で、偽夏油をはじめとする呪詛師や真人・漏瑚・花御・脹相ら呪霊が虐殺を繰り広げました。呪術高専側も七海健人(ななみけんと)、釘崎野薔薇(くぎさきのばら)ほか多数の死傷者を出しています。

さらには渋谷事変において両面宿儺の暴走を止められず惨禍を招いた責任を感じ、悠仁は呪術師として生きる意味を見失いかけました。

『呪術廻戦』単行本では単行本10巻~16巻に該当する長編で、最初の山場として扱われています。

夏油傑の術式・呪霊操術とは

呪霊操術とは夏油傑の生得術式です。

自分に降伏した呪霊を球状に変形させ自由自在に操るもので、口から体内に取り込み好きな時に召喚できます。この呪霊は夏油曰く「吐瀉物を拭いた雑巾の味がする」そうです。

式神使いとは違い呪霊の違いに特殊な印や呪符を介さず、2級程度の格差があれば降伏させなくても強制的に吸収が可能。
取り込める呪霊の個体数に上限はなく、百鬼夜行では京都に1000体と東京に1000体、合計2000体を解き放ちました。

現在この術式を使える術師は夏油傑しか確認されていません。六眼の五条悟と互角といわれる所以です。

夏油傑の必殺技・極ノ番『うずまき』とは

夏油の必殺技として挙げられるのが呪霊操術・極ノ番『うずまき』。

取り込んだ呪霊をひとまとめにして呪力を圧縮、敵を仕留める大技です。

『東京呪術高等専門学校』では4461体の呪霊を全て放ちました。なお伊藤潤二のホラー漫画『うずまき』がモチーフとされています。

SNSでは「パクリではないか?」と一部で炎上しました。

夏油傑の声優 櫻井孝宏の情報

[代表作]

  • 富岡義勇(『鬼滅の刃』)
  • 松野おそ松(『おそ松さん』)
  • 柩木スザク(『コードギアス 反乱のルルーシュ』)

夏油傑の声優は櫻井孝宏です。芯に強さを秘めた男性のボイスが印象的ですね。
正統派主人公を演じているイメージが強いですが、敵味方を翻弄する夏油のミステリアスな存在感も上手く表現していました。

『呪術廻戦0』では五条や乙骨を挑発するラスボスとしての立ち回りに期待です。

おわりに

以上、『呪術廻戦』にて暗躍していた最悪の呪詛師・夏油傑をご紹介しました。

生粋の悪人にあらず、呪術高専時代は五条と友情を育んでいた夏油。
作者曰く努力型の天才であり、力を持たない非術師への思いやりに溢れていた彼が、天内理子の非業の死をきっかけに道を踏み外していく過程は切ないですね。

人一倍責任感や使命感に溢れた青年だったからこそ、裏切られた反動が大きかったのかもしれません。

2021年12月24日公開の劇場版『呪術廻戦0』での暴れぶりに期待です!

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