ヴァイオレット・エヴァーガーデン – あらすじとともに振り返る名言・名シーン

ヴァイオレット・エヴァーガーデン – あらすじとともに振り返る名言・名シーン

「愛してる」が、知りたいのです。

このセリフを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は、命令すれば戦う「心をもたないただの道具」として扱われてきた少女ヴァイオレットの、心の成長が繊細に描かれた作品です。

戦争中に離れ離れとなった上官・ギルベルト少佐が最後にこぼした言葉「愛してる」。
その意味を知るため、手紙の代筆という仕事を通して、様々な人、感情に出会っていきます。

今回は「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のあらすじとともに、名言・名シーンを振り返っていきますので、ぜひご覧ください。
※ネタバレを含みます

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」とは

著者・暁佳奈、イラスト・高瀬亜貴子の小説が原作で、2015年12月に京都アニメーションが発行する文庫レーベル「KAエスマ文庫」から発売されています。
小説は上巻・下巻・外伝・エバーアフターという全4巻で構成され、シリーズの累計発行部数が50万部を突破する人気作です。(2020年11月時点)

アニメは2018年1月~4月にかけて、全13話で放送されました。
「TRUE」が歌うOP曲「Sincerely」(シンシアリー)は、ヴァイオレットの心の声を言葉にしたような印象を受ける歌詞になっています。
アーティスト盤のCDジャケットは、茅原実里が歌うED曲「みちしるべ」のCDジャケットと対になるようデザインされており、2枚のCDを並べると封蝋(ふうろう)で繋がる一通の手紙になる仕組みです。
また、この2曲はミュージックビデオにも連動性があるので、ぜひ続けてご覧ください。

映画は次の2作品が公開されました。
・「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝ー永遠と自動手記人形ー」
2019年9月公開 Blu-ray&DVD発売日:2020年3月18日
小説「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝」に収録されているエピソードの1つ「永遠と自動手記人形」が映画化されています。
ヴァイオレットが男役でダンスパーティーに参加するシーンは、いつもとは違った美しさを感じられます。

・「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」
2020年9月公開 Blu-ray&DVD発売日:2021年10月13日
「ぴあ映画初日満足度ランキング第1位」になるなど、話題を呼んだ完全新作の劇場版です。
公開10日で動員56万人を突破したり、ロングラン上映が行なわれたり、アニメ終了から2年が経っていましたが変わらず絶大な人気ぶりでした。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン・あらすじ

南北に分かれた大陸戦争で、軍人として戦闘に参加していた少女は感情を持たず、戦う道具として生きていました。
そんな彼女を拾い、ひとりの人間として接していた上官・ギルベルト少佐は、道端に咲いていた綺麗な花の色から「ヴァイオレット」という名を彼女に与えます。

戦争が終わったら自由に生きてほしい、その名が似合う人になってほしいと願うギルベルト少佐。
一方ヴァイオレットは、感情や自分の意思を持たず、全てを命令として認識していました。

最後の作戦の途中、2人は戦場で不利な状況に陥り重傷を負います。
絶体絶命を迎えたとき、ギルベルト少佐は「自由になりなさい。心から愛してる。」と告げ、その後離れ離れに。

しかしヴァイオレットは「愛してる」の意味を理解できないでいました。

戦争は終わりを迎え、ギルベルト少佐の友人・ホッジンズの元で働くことになったヴァイオレットは、「自動手記人形」通称ドールと呼ばれる仕事に出会います。
人の思いを汲み取って気持ちを言葉に代え、手紙を代筆するその仕事は、ヴァイオレットの心を動かしました。

「自動手記人形」になれば「愛してる」がわかるかも知れない。
そう考えたヴァイオレットは、初めて自分の意思を示し、ドールの仕事がしたいと申し出るのでした。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン・名言

「言葉には裏と表があって、口に出したことがすべてじゃないのよ。」

ヴァイオレットが働ことになった場所は、ホッジンズが経営する郵便社。
そこでは手紙を届けるだけでなく、文字が書けない人や、大切な手紙を届けたい人の代わりに、ドールが代筆するサービスも行なっていました。

郵便社を訪れた依頼者の話を聞き「愛してる」という言葉を引き出した看板ドール「カトレア」の仕事ぶりを見たヴァイオレットは、ドールの仕事がしたいと申し出ます。

代筆にはテープライターを使用しており、ヴァイオレットのタイピングは正確でスピードも申し分ないものでした。
しかし、ドールにとって最も重要な「依頼人の思いを汲み取ること」ができず、依頼人を激怒させてしまいます。

カトレアは「言葉には裏と表があって、口に出したことがすべてじゃないのよ。」と教えるものの、ヴァイオレットはまだ理解できない様子。

ヴァイオレットが書いた手紙には報告書のような堅苦しさがあり、言葉のチョイスや表現も、手紙と呼べるものではありません。
確かに依頼者の発した言葉の通りつづられていましたが、誰が見ても「好きだけど素直になれない」という依頼者の状況を読み取れていませんでした。

自身に感情がない状態で、これからどう成長していくのだろう、と視聴者を少し不安にさせるシーンとでした。

「良きドールとは、人が話している言葉の中から、伝えたい本当の心をすくい上げるもの。あなたは今、その一歩を踏み出したのです。」

ドールの養成講座に通うことになったヴァイオレットは、「ルクリア」という女の子と出会います。
ルクリアの兄は、戦争で両親を亡くしたことを自分のせいだと感じており、酒に逃げる毎日。
そんな兄を支えるためにもドールになりたいと入学してきたのでした。

講習を重ね、ルクリアは無事合格したものの、ヴァイオレットはやはり報告書のような手紙しか書けず、卒業は認められませんでした。

しかしそんなヴァイオレットも、ルクリアが未だ伝えられていない兄への思いを知ることで、「人の気持ちに寄り添う」ということがわかるようになります。

「任務…課題…いえ、手紙です。」

そう言ってルクリアの兄へ渡した手紙は、誰の指示でもなく、ヴァイオレット自身が書き上げた初めての「手紙」でした。

すでに不合格を言い渡された後でしたが、ルクリアの計らいで兄への手紙が評価され、ヴァイオレットも無事、養成講座を卒業することになりました。

「良きドールとは、人が話している言葉の中から、伝えたい本当の心をすくい上げるもの。あなたは今、その一歩を踏み出したのです。」
養成講座の厳しい先生が最後にかけたこの言葉は、「自動手記人形サービス、ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の誕生を表現しているようですね。

「君は死んだ娘の『いつかきっと』を叶えてくれた。ありがとう。ヴァイオレット・エヴァーガーデン。」

ルクリアとの出会いをきっかけに手紙を代筆できるようになったヴァイオレットは、その後様々な感情と出会っていきました。

複雑な恋心を抱える同僚に対して無神経な発言をしてしまった際は「『愛してる』は、とても勇気のいることなのですね」と理解を示し、
母親に捨てられたんだと言う少年に対しては、その言葉の裏に秘められた家族への思いに気づき「お母様が、とても大切だったのですね」と共感するシーンもありました。

婚姻外交の公開恋文を担当するという重要な仕事を請け負って以降、「ヴァイオレット・エヴァーガーデンというすごいドールがいる」と、その名が広く知られるようになりました。

このあたりの展開は、当初のヴァイオレットからは想像できないほど、感情や表情が豊かになっていく様子が描かれています。

ある日、ヴァイオレットは人気の劇作家・オスカーから依頼を受けます。
長らく新作を出していなかったオスカーは、子供向けの芝居を書こうとしていましたが、彼は酒におぼれる自堕落な生活を送っており、とても話を書ける状態ではありませんでした。

「心に何か、隠していらっしゃるのではないですか!」
オスカーの心の痛みを感じとり、そう問いかけたヴァイオレットは、一人娘のオリビアが病死したことを聞かされます。

愛している大切な人に2度と会えないという悲しみに触れ、ヴァイオレットは感情を抑えきれず涙しました。
思わずもらい泣きをした視聴者も多いシーンでしょう。

そして「オリビアに聞かせてやった物語を完成させたい」というオスカーとともに書き上げることを誓います。
ラストは、オリビアのお気に入りの傘を手にしたヴァイオレットが、湖の上を可憐に跳んでみせる有名なシーン。

「この湖を渡ってみたい、いつかきっとみせてあげるね。」
オリビアがかつて話していたことを実現して見せたヴァイオレットに対して、オスカーは感謝の念を伝えるのでした。

「君は死んだ娘の『いつかきっと』を叶えてくれた。ありがとう。ヴァイオレット・エヴァーガーデン」

「してきたことは消せない、でも、君が自動手記人形としてやってきたことも、消えないんだよ。」

数々の代筆を通して感情に出会い、触れていくことで、人の気持ちを知るヴァイオレット。
しかし同時に、自分が今までやってきたことへの自責の念に駆られていくのでした。

武器として人を殺めてきたこと、そんな自分が人を結ぶ手紙を書くことに疑問を抱き、このまま生きて行っていいのかと思い悩みます。
そんなある日、「亡くなったギルベルトも…」という言葉を聞いたヴァイオレットは大きなショックを受け、最後に生き別れた戦地へと向かいました。

「少佐、私はどうしたら、命令を、命令をください…」
開きかけた心は再び閉ざされてしまい、郵便社へ戻った後も塞ぎこんでしまいます。
そんなヴァイオレットを励ますために同僚が書いた手紙には、たくさんの暖かい言葉がつづられていました。
多くの手紙を代筆してきたヴァイオレットでしたが、もらった手紙はこれが初めてでした。

「私は…生きていていいのでしょうか」
「してきたことは消せない。でも、君が自動手記人形としてやってきたことも、消えないんだよ。」

ホッジンズは甘やかすことなく、しかし大きく背中を押す言葉をくれるのでした。
こうしてたくさんの言葉に支えられ、ヴァイオレットは新しい一歩を踏み出していきます。

「人には届けたい思いがあるのです。届かなくていい手紙なんてないのですよ。」

7日間の代筆依頼を受けたヴァイオレットは、クラーラという女性の元を訪れます。
彼女は病気で、死が近いことを悟っていました。
病と闘いながら、寝る間も惜しんでヴァイオレットとともに手紙を書きあげていきましたが、娘のアンには不安が募ります。

ヴァイオレットとクラーラの二人きりで内緒の手紙を書き始めたことに対して、アンは「手紙なんて届かなくていい!」と感情を爆発させる場面も。
母親と過ごせる時間が残り少ないことを知っていたアンは、自分よりも手紙が大事なのかと詰め寄ったのでした。

「人には届けたい思いがあるのです。届かなくていい手紙なんてないのですよ」
そう告げてなだめ、なんとか無事に書き終えることができたヴァイオレットは、郵便社に戻ると声を震わせて泣きだします。

アンに内緒で代筆していた手紙は、クラーラの死後、毎年アンの誕生日に届けられる50年分の手紙だったのです。

「届かなくていい手紙なんてないのですよ」
この言葉をアンに伝えたときのヴァイオレットの心境を思うと、涙せずにはいられません。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン・まとめ

話数を重ねるごとに、ヴァイオレットの成長に一喜一憂していくストーリーですね。
心がないのではなく、心が理解できていなかったため、躊躇なく人の命を奪うことができていたのでしょう。
軍人時代から大きく成長したヴァイオレットですが、時代背景の影響もあり、ドールになったあとも戦闘するシーンが含まれているお話もあります。
不殺を誓ったヴァイオレットの戦いが気になる方は、ぜひご視聴ください。

作中に登場したアンの孫が劇場版に登場したり、原作とアニメでは重要人物の生死にかかわる展開が違っていたり、まだまだ見どころが盛りだくさんな「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。

ここでは紹介しきれなかったエピソードもたくさんありますので、ぜひ一度ご覧ください。

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