2020年1月にアルバム『ZOO!!』でメジャーデビューを果たし、今後のさらなる飛躍が期待されるロックバンド、ネクライトーキー。
目まぐるしく表情を変えるバンドサウンドを見事に乗りこなす舌ったらずな女性ヴォーカルが印象的で、細部まで練り込まれた楽曲のキャッチーさは破格と言えるほどです。
バンドの中心実物は、自身がヴォーカルを務めるロックバンド、コンテンポラリーな生活や石風呂(いしふろ)名義でボカロPとして活動していたギターの朝日。
彼がかねてから抱いていた「女性ヴォーカルと一緒に何かしたい」という構想を具現化したバンドがネクライトーキーなのです。
全方向に門戸を開くようなキャッチーなサウンドとは対照的に、歌詞の内容は教室のすみっこでひとりぼっちで休み時間を過ごしている陰キャの如く鬱屈したものが多く、低空飛行の青春を過ごした人に刺さりまくるフレーズがバンバン飛び出してきます。
“浮かれた大学生は死ね”という直球すぎるタイトルの楽曲では、<僕らはいつでも健全さ / 不純がどこにも入る余地がない>と歌い、青春を謳歌する学生=不純という図式を作り上げてモテない自分を擁護するなど、卑屈さ丸出しで泣けてくるほど。
しかし、そんな歌詞もヴォーカルのもっさのドリーミーでアニメチックな、それでいて時には元チャットモンチーの橋本絵莉子を思わせる凛とした声で歌われることにより、極上のポップソングの歌詞として響くのだから不思議です。
今回は、大ブレイク最有力候補との呼び声も高いネクライトーキーの魅力をご紹介していきます。
目次
ネクライトーキー
【🎮解禁③🎮】
アーティスト写真も一新!📸
色々たくさん変わりました😊 pic.twitter.com/Z3tqf61boa— ネクライトーキー (@Talkie_official) November 6, 2019
- もっさ / ヴォーカル、ギター
- 朝日(あさひ) / ギター
- 藤田(ふじた) / ベース
- カズマ・タケイ / ドラム
- 中村 郁香(なかむら あやか) / キーボード
2017年にギターの朝日を中心に結成されたネクライトーキーは、上記の5人で活動をおこなっています。
朝日、藤田、カズマ・タケイの3人は、コンテンポラリーな生活のメンバー(カズマ・タケイはサポートメンバー)としても活動しており、そこにもっさと中村 郁香が加わったラインナップとなっています。
しかし、音楽的なコンセプトはコンテンポラリーな生活の延長線上にあるものではなく、むしろ朝日ソロプロジェクトである石風呂の女性ヴォーカル版という構想の元に結成されたバンドであることが明かされています。
キーボードの中村 郁香は当初はサポートメンバーでしたが、2019年3月15日の梅田Shangri-la公演から正式メンバーとなりました。
メンバーの細かいプロフィールは公表されておらず、生年月日や出身地などについての公式データはありません。
ネクライトーキー・メンバー
もっさ / ヴォーカル、ギター
先日、はじめて自分のアンプを買いました。とても嬉しいです。これから仲良くなって、少しずつライブでも登場するようになると思うのでよろしくお願いします。Fenderさんありがとうございます。 pic.twitter.com/BdZCYKRskk
— もっさ (@higasizumu) November 13, 2019
ヴォーカルとギターを担当するもっさは、ひが名義でニコニコ動画にカバー動画を投稿していたほか、ガールズバンド・空中スコッピーのメンバーとしての活動歴があります。
石風呂名義でボカロPとして活動していた朝日のファンで、もっさが投稿した石風呂の楽曲のカバー動画を朝日が見つけたことがネクライトーキーの結成につながることとなりました。
ネクライトーキーの一部の楽曲では作詞・作曲も手掛けており、ソングライターとしてのさらなる成長が期待されています。
昔から自宅にあった三線やアコギで遊んでいたというもっさですが、ギターを本格的に弾こうと思ったきっかけはチャットモンチーに衝撃を受けたことだと語っています。
おっとりした雰囲気を持った女の子に見られがちですが、朝日が「もっさが全然言うことを聞かない…」とこぼすほど芯が強く、レコーディングではディレクターと意見が対立して激論を交わす場面もあったことが明らかとなっています。
イラストやデザインにも長けているもっさは、ネクライトーキーの作品のアートワークを手掛けるなど、音楽以外でもバンドに貢献しています。
朝日(あさひ) / ギター
NHK-FM ミュージックライン、喋ってきました。
1/18(金)21:30〜オンエア予定だそうですね。ネクライトーキーのメンバーとして1人で喋んの久々やったからすごく緊張しました。これが緊張してる顔です。 pic.twitter.com/W9hrNQvD5Z
— 朝日 (@ishi_furo) January 9, 2019
ギターを担当する朝日は、ネクライトーキーのほぼすべての楽曲で作詞・作曲を手掛けるバンドのリーダーです。
ネクライトーキー結成以前からミュージシャンとしての活動経験があり、2009年からはロックバンド・コンテンポラリーな生活でギター/ヴォーカルを務めているほか、2010年からは「ボカロP」石風呂(いしふろ)名義でヴォーカロイドを使用した楽曲をネット上に発表しています。
コンテンポラリーな生活では本名の朝日 廉(あさひ れん)として活動しており、石風呂(いしふろ)は本名の「朝日 廉(あさひ れん)」を五十音でひと文字ずつ後ろにずらしたものです。(「ん」は省いています。)
石風呂の楽曲は、ネクライトーキーとコンテンポラリーな生活のライヴでも披露されることがあり、2019年にはネクライトーキー名義で石風呂の楽曲をセルフカバーしたミニアルバム『MEMORIES』がリリースされました。
トレードマークの髭は、朝に剃っても夕方にはまた生えてくるので面倒になり、「バンドをやっていると髭を剃らなくても怒られない」と達観したことで自然と伸ばすようになったと語っています。
「バンドマンは髭でも怒らない」と語る朝日ですが、某製菓メーカーのアルバイトに行った際は死ぬほど怒られ、「もう来ないでください」と念を押されたことがあるとか…。
藤田 / ベース
ミリオンロック死ぬほど楽しかった。ほんま最高。藤田のカッコイイ写真をいっぱい撮ってもらったので上げます。新曲どうやった? pic.twitter.com/U7pzn8kZqN
— コンポラとトーキーの藤田さん (@conpolifujita) June 1, 2019
バンドのお姉さん的存在のベーシスト藤田は、コンテンポラリーな生活では本名の藤田 彩(ふじた あや)名義で朝日と行動を共にしています。
ポルノグラフィティをきっかけに中学生の時からベースを弾くようになった藤田は、高校生になってすぐに朝日とコンテンポラリーな生活として活動を始めました。
後藤まりこが在籍したバンド・ミドリのコピーバンドでヴォーカルとギターを担当していたこともあり、ネクライトーキーの“音楽が嫌いな女の子”の中間部分では堂々たるメインヴォーカルを披露しています。
朝日の構想では、ネクライトーキーには別のベーシストを誘う予定でしたが、コンテンポラリーな生活に朝日を誘ったのが藤田だったということもあり、「今度は俺が藤田を誘おう」と思い直した朝日から加入を打診されました。
カズマ・タケイ / ドラム
ロッキン見てくれた方、ありがとうございました!
人生で初めて生バンドのライブを見たこの場所で演奏できて本当に感激でした
暑いのでお気をつけて! pic.twitter.com/PJfCQHpkYn
— カズマタケイ (@chikuika) August 3, 2019
朝日、藤田も在籍するコンテンポラリーな生活にサポートメンバーとして参加しているドラムのカズマ・タケイは、ネクライトーキーの“影のリーダー”としてバンド運営が円滑に進むように心を砕いています。
リーダーである朝日はバンド運営に関する実務面を仕切るのが不得意なため、「自分はリーダー気質ではない」としながらもカズマ・タケイが仕方なくメンバーを引っ張っているようです。
ドラムを始めたきっかけは、THE BLUE HEARTSに衝撃を受けたことで、高校の吹奏楽部に入部してから本格的に演奏するようになったと語っています。
コンテンポラリーな生活、ネクライトーキー以外の活動歴として、2016年に解散したわがままカレッジがあります。
わがままカレッジ時代はタケイカズマ名義を使用していました。
中村 郁香(なかむら あやか) / キーボード
ニート飽きたので
飛び出してきた🚃🚃カフェには入れず
もぐらコロッケグッズだけ
ゲットしてきたよ🐕中村は元気ですよっと。 pic.twitter.com/oxLZPvVX6X
— 中村郁香(むーさん) (@papaiyayaka) March 8, 2020
“むーさん”ことキーボードの中村 郁香は、結成初期からサポートメンバーとしてネクライトーキーに参加し、2019年3月15日の梅田Shangri-la公演から晴れて正式メンバーとなっています。
大阪のポップロックバンドgugagugaに在籍していた経歴の持ち主で、ベースの藤田とボルダリング仲間だったという縁でネクライトーキーに参加することになりました。
メンバーからの信頼は厚く、サポートである中村のスケジュールが合わないライヴを「むーさんがいないなら出るのやめようか」とオファーを断ってしまったこともあるほどだと言います。
サポートとして参加した当初は、朝日が作ったフレーズをそのまま演奏するだけでしたが、次第に自由なフレージングや楽曲のアレンジなどを任されるようになり、正式メンバーへ昇格となりました。
ネクライトーキー・バンド名の由来
言葉の響きからどうしても「根暗」をイメージしてしまうネクライトーキー。
ロックという音楽からイメージする“勢い”や“荒々しさ”からは少し距離を置いた印象を受けるバンド名です。
リーダーである朝日は「トーキーメモリーズ」という名前を考えていましたが、メンバーから不評だったため、「バンド名をひとり10個考えてくること」というノルマを科し、バンド名決定ミーティングを開催することに。
朝日の懇願により「トーキー」という言葉だけは残す方向となりました。
トーキーとは、無声映画の反対で、音声のある映画のことを指す言葉で、朝日は「話者」や「話し手」というニュアンスを持たせているようです。
そして迎えたミーティング当日。
蓋を開けてみれば、バンド名をちゃんと考えてきたのはヴォーカルのもっさだけ。
彼女が考えてきたバンド名のひとつがネクライトーキーでした。
もっさが考えた造語「ネクライ」の中には、根暗、暗い、Cry、Lightといった言葉が含まれており、ポップで明るい曲調の中に根暗な部分が見え隠れする彼らの音楽を見事に表現していると言えます。
朝日は「トーキーメモリーズ」の前には「ゴーゴー・メモリーズ」というバンド名を考えており、どう考えても「メモリーズ」の方に思い入れがありそうですが、あっさりとメモリーズを諦めています。
しかし、2019年にリリースした石風呂名義の楽曲のセルフカバー作を『MEMORIES』と名付け、数年越しの救済に成功しました。
「ゴーゴー・メモリーズ」の「ゴーゴー」部分は、ツアータイトル「ゴーゴートーキーズ!」で救済されています。
ネクライトーキー・経歴
2017年3月、コンテンポラリーな生活や石風呂として音楽活動をおこなっていた朝日を中心に結成されたネクライトーキー。
「石風呂の女性ヴォーカル版バンドを結成したい」という構想を長年持っていた朝日は、結成の5年ほど前からヴォーカリストを探し続けていました。
探し始めた当初、石風呂の楽曲をカバーした動画をネット上に投稿していたもっさを見つけて連絡を取りましたが、彼女が高校生だったこともあり「人生を左右するような判断を高校生にさせるわけにはいかない」として一度は断念しています。
それから5年後、もっさのことを思いだした朝日がTwitterで彼女の近況を調べてみたところ、その日に朝日が出演するライヴに来場する予定であることが判明。
客席の中からもっさを見つけ出した朝日は、改めてバンド加入をオファーし、ついに念願だった女性ヴォーカリストとの音楽活動を開始することになります。
色々な女性ヴォーカリストの音源をチェックした朝日でしたが、その中でももっさの声が群を抜いて良かったと語っています。
アニメチックな高音が印象的なもっさですが、中音域で歌った時の柔らかく魅力的な声にほれ込んだようです。
コンテンポラリーな生活で活動を共にするベーシストの藤田、ドラマーのカズマ・タケイを正式メンバーとして迎え、ネクライトーキーは活動を開始。
キーボードの中村 郁香は、初ライヴ時からサポートメンバーとして参加しています。
ライヴ活動やデモ音源のリリースなど精力的な活動をおこなっていたネクライトーキーにとって大きな転機となったのは、2018年3月に公開された“オシャレ大作戦”でした。
デモ音源を聴いたメンバーが爆笑したほど印象的なオーケストラヒットを大胆に使用した“オシャレ大作戦”は爆発的な再生回数を記録。
2020年4月現在でその再生回数は500万回を突破しています。
音源がバズったことで全国流通盤をリリースする前にもかかわらず、評判が評判を呼び、ライヴの動員が一気に増え始めます。
追い風は留まるところを知らず、2018年12月にリリースした初の全国流通盤『ONE!』はオリコン最高29位というチャートアクションを記録。
翌年からスタートした初の全国ツアーも全日程ソールドアウトという盛況で、バンドを取り巻く環境は瞬く間に一変することに。
全国ツアーの追加公演となった2019年3月15日の梅田Shangri-la公演からキーボードの中村 郁香が正式メンバーとなり、5人編成として新たなスタートを切ったネクライトーキーは、2019年7月にミニアルバム『MEMORIES』をリリース。
ライヴでも披露されている石風呂の楽曲のセルフカバーが収録された同作は、オリコン最高18位を記録するヒットとなっています。
バンドの評判は日増しに高まり、ワンマンツアーも全日程ソールドアウト。
過去最大キャパとなった2019年9月23日のマイナビBLITZ赤坂公演のステージ上からファンに翌年のメジャーデビューを報告しました。
2020年1月29日にソニーミュージックからアルバム『ZOO!!』でついにメジャーデビューを果たしました。
同作はオリコンチャート最高17位を記録しています。
リリース元がソニーミュージックということもあり、アーティスト写真が「NINTENDO64で遊ぶメンバー」から「PlayStationで遊ぶメンバー」に変更されました。
2020年3月には、アーティストが一発撮りのパフォーマンスに挑戦するYouTubeの人気チャンネル「THE FIRST TAKE」にもっさが登場し、KANA-BOONの谷口鮪とKANA-BOONの“ないものねだり”をデュエットしています。
2021年4月には、2020年に開催された東京・日比谷野外大音楽堂、大阪・大阪城音楽堂でのライヴを収録した映像作品『ゴーゴートーキーズ! 2020 野外音楽堂編』を完全限定生産でリリースすることが決定。
さらに5月にはメジャー2ndアルバム『FREAK』のリリースも予定されており、2021年もネクライトーキーの快進撃は続きそうです。
ネクライトーキー・オススメ曲
異常なほどのキャッチーさでリスナーの耳をがっちり捕らえてしまうネクライトーキーの楽曲。
その中から厳選したオススメ曲をご紹介します。
オシャレ大作戦
ネクライトーキーにとって大出世作となった“オシャレ大作戦”は、2018年リリースのファーストアルバム『ONE!』に収録されています。
あざといほどキャッチーなイントロと大騒ぎなサビに脳髄がしびれっぱなしになるキラーチューンですが、歌詞はまったく“オシャレ”ではないほろ苦いものです。
年齢を重ねるほどにリアルに迫って来る将来への不安や現状に対する焦燥感などがゆるい言葉で綴られており、アッパーな曲調とは裏腹に少しうつむき加減になって聴いてしまう楽曲かもしれません。
ゆうな
2018年リリースのファーストアルバム『ONE!』収録曲で、ライヴバージョンがYouTubeに公開されています。
ヴォーカルのもっさがネクライトーキー加入以前から持っていた楽曲で、面と向かっては言えない父親に対する想いが歌われています。
ギターをかき鳴らしながらエモーショナルに歌うもっさの声は微妙な揺れさえも素晴らしく、彼女が特別な声を持ったヴォーカリストであることがわかるでしょう。
当のもっさは「父親には絶対聴かせたくない!」と公言しており、自宅のパソコンから検索できないように設定しているんだとか…。
北上のススメ
2020年リリースのメジャーデビュー作『ZOO!!』に収録されています。
曲調は違いますが、サカナクションの“新宝島”を連想させるような馬鹿馬鹿しいほどにポップで“ダサい”と“キャッチー”のギリギリの境目に投げ込んで来る絶妙なイントロに脱帽させられます。
明るい曲調とは裏腹に歌詞は相変わらず煮え切らない感じですが、「北へ向かえば」を連呼するサビでなんとなく解決したような雰囲気になるから不思議です。
<娯楽だって裏めくりゃあ / 人が生きてるんだぜ>という一節は、ライヴハウスの自粛が続く現在の状況を予見したものかとドキッとさせられます。(そんなはずはありませんが…)
ネクライトーキー・まとめ
陽気な楽曲に根暗な歌詞、その塩梅が絶妙すぎる新世代バンド・ネクライトーキーをご紹介してきました。
YouTubeのコメント欄には海外からの書き込みも殺到しており、この勢いは日本国内だけに留まらない雰囲気すら漂っています。
大ブレイクがすぐそこまで迫っているのは間違いありません。
2020年…いや、もしかしたら2020年代で最高のバンドになる可能性を秘めたネクライトーキーを是非チェックしてみてください。