日本の音楽ジャンルの一つとして、今なお根強い人気を博しているムード歌謡。最近では、レトロブームも相まって、ムード歌謡に注目する若者も。
今回紹介する純烈は、全国のスーパー銭湯や健康センターでの活動が話題を呼び、今ではNHK紅白歌合戦へ出演するほどの人気を獲得したグループです。
一体、彼らがどんな道のりを歩んできたのか、解説していきたいと思います。
目次
純烈って、どんなグループ?
純烈は、2007年に結成されたムード歌謡コーラスグループ。元戦隊俳優経験者を中心に構成されていることが特徴で「紅白歌合戦出場」と「親孝行」をグループのテーマに掲げています。
グループ結成当初は6人で活動していましたが、途中でメンバーの入れ替わりがあり、現在は4人体制になっています。
彼らの活動場所はキャバレーやスーパー銭湯で、観客と近い距離で触れ合いながら徐々に認知度を高めていきました。そして、これまでの努力が実を結び、2018年のNHK紅白歌合戦に初出場。グループが目標としてきた紅白歌合戦出場を叶えています。
しかし、彼らの道は決して平坦なものではありませんでした。
下積み時代を経て念願のデビュー
純烈の結成は2007年ですが、歌手としての経験がないメンバーが多かったこともあり、3年に渡るボイストレーニングを行った後、2010年6月23日に「涙の銀座線」で念願のCDデビューを果たしました。しかし思ったような結果が出ず、2012年にはレコード会社から契約を打ち切られる事態に…。
ただ、彼らは歌うことを諦めることはなく、老舗のキャバレーやスーパー銭湯、健康センターを回り、ステージに立ち続けたのです。
最初は観客がなかなか入らず、給料は数万円で家賃が払えない時期も…。しかし、メンバーたちは「お客さんが少なかったら、(お客さんの)顔を覚えておく。そしてその人がまた来てくれたらしめたもの」とポジティブに考え、確実にファンを増やしていきました。
初のオリコンチャート1位獲得
そんな彼らの努力が徐々に結果として表れていき、スーパー銭湯での活躍がメディアに取り上げられるようになってきました。会場にも彼らを見ようと多くの観客が集まるようになり、純烈は「スーパー銭湯アイドル」として認知されるほどに成長しています。
また、2015年には「全国縦断 にっぽん演歌の夢祭り2015」や「NHK歌謡コンサート」などのイベントにも出演したり、浅草公会堂で初の単独ライブを開催。スーパー銭湯でのステージと並行しながら、活動の場を増やしていきました。
純烈の人気はチャートにも反映され、7枚目のシングル「幸福あそび・愛をありがとう」が、オリコン演歌・歌謡曲ウィークリーチャートで初の1位を獲得。さらに8枚目のシングル「愛でしばりたい」と9枚目のシングル「プロポーズ」もオリコン1位を獲得するなど、純烈旋風が巻き起こったのです。
「プロポーズ」はポップスなども含んだ総合チャートでTOP10以内にランクインしており、2018年のゴールドディスクにも認定されています。
念願のNHK紅白歌合戦に初出場
2018年は、純烈にとって大きな転機になった年でもあります。彼らが結成当時から目標にしてきたNHK紅白歌合戦出場が、現実のものとなりました。純烈は紅白初出演に関して喜びを爆発させながらも「健康センターで歌い続けることは変わらない」と、これからの活動を約束しています。
また、紅白歌合戦への出演後は、その足で3ヶ所の健康センターを周り、ファンのために凱旋ライブを開催。この場所は下積み時代から純烈がお世話になっていた健康センターで、遅い時間にもかかわらず最初に凱旋公演を行った草加店には150人ものファンが駆けつけました。
人気の裏でメンバー脱退
紅白歌合戦への出演で、純烈の人気はますます上昇していきましたが、その熱も冷めやらない2019年1月9日に、メンバーである友井雄亮の女性問題が発覚。友井雄亮は同月11日に記者会見を開き、問題が全て事実であることを認め、純烈からの脱退と芸能界からの引退を発表したのです。
また、同月15日には純烈のメンバー全員で謝罪会見を開き、今後の活動についても言及。「解散が頭をよぎったこともあった」と話しながらも「全国の人に応援してくれたことや、紅白に出場できたお礼を言っていこうという矢先で、まだそれもできていない」と、純烈の解散はないことを自らの口で伝えました。
友井雄亮は、自分のせいで2019年の紅白歌合戦に出場できなくなったらと不安に思っていたそうですが、純烈の人気は衰えることなく、2019年は450を超えるステージを経験し、その年のNHK紅白歌合戦にも出演しています。