今回は、2013年に社会現象を巻き起こした連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台ともなった、岩手県出身、岩手県生まれの歌手・アーティストをご紹介いたします。
邦楽シーンに多大な影響を与えたミュージシャンから注目のニューカマーまで、個性派揃いの岩手アーティストを、幅広くフィーチャーしていきたいと思います。
目次
岩手県の出身アーティスト
大滝詠一
たくさんのミュージシャンに影響を与え、今も語り継がれる伝説のフォークバンド「はっぴいえんど」の大滝詠一さんは、岩手県江刺郡梁川村(現・奥州市)のご出身です。
少年時代には、江刺や釜石にも住んでいたことがあるそうです。
小学校高学年の頃から洋楽にハマり、学生時代はほとんどの時間を音楽に費やす日々を過ごされました。
そして大学生の時、細野晴臣さんと運命の出会いを果たし、大滝詠一さん、細野晴臣さん、松本隆さん、鈴木茂さんの4人でフォークバンド「はっぴいえんど」を結成することになります。
1970年、1stアルバム「はっぴいえんど」でデビュー。
1972年末に解散しますが、活動期間わずか3年ほどの間に、『風をあつめて』『12月の雨の日』『夏なんです』など珠玉の名曲を残しました。
1975年に放送が開始されたラジオ番組「GO!GO!NIAGARA(ゴーゴーナイアガラ)」は、大滝詠一さんが自身の趣味の音楽だけをひたすら流すという内容で、当時の若きミュージシャンにとって音楽のバイブル的ラジオとなりました。
2011年3月に起きた東日本大震災の時には、母校・釜石高校の同級生に「無事がわかったので」と、サイン入りCDセットを送ったりするなど、悲痛の中でも故郷を思いやっておられました。
大森南朋さんと戸田恵梨香さんが出演されているビールのCMで起用されている、「くちびるツンと尖らせて」という歌い出しが印象的な『君は天然色』や、木村拓哉さんと松たか子さんが出演されたドラマ「Love Generation」の主題歌『幸せな結末』など、ソロ活動の中でも愛される名曲を数多く生み出しています。
ちなみに、『幸せな結末』というタイトルは、大滝詠一さんが組んでいたバンド「はっぴいえんど」から付けられたといわれています。
藤圭子
宇多田ヒカルさんのお母さまである藤圭子さんは、岩手県一関市のご出身。
浪曲師の父と三味線弾きの母の間に生まれ、地方巡業を生業とする藤さんご一家は、のちに北海道へ移ることになりました。
1969年に『新宿の女』でメジャーデビューし、美貌とは相反するしわがれた歌声で人気を博しました。
3rdシングル『圭子の夢は夜ひらく』は、オリコンチャート10週連続1位を記録し、第1回日本歌謡大賞にも輝きました。
さらに、1stアルバム『新宿の女/”演歌の星”藤圭子』でアルバムチャート1位を獲得すると、2ndアルバム『女のブルース』も1位を獲得し、この2作品で同一アーティストによる42週連続1位という、いまだ破られていない前人未到の大記録を樹立しています。
そして、たった一人の愛娘である宇多田ヒカルさんも、アルバムセールス日本歴代1位を持つアーティストとなったことは、本当に凄いとしか言いようがありません。
川島道行(Boom Boom Satellites)
1997年、1stシングル『4 A MOMENT OF SILENCE』でデビューし、日本のロック史に衝撃を与えた伝説的ロック・ユニットBoom Boom Satellites(ブンブンサテライツ)の川島道行さんは、岩手県盛岡市のご出身です。
大学時代に働いていたジャズバーで中野雅之さんと出会い、Boom Boom Satellitesを結成しました。
ロックの故郷ヨーロッパでも高い評価を得たBoom Boom Satellitesは、「ケミカル・ブラザーズ以来の衝撃」とまで言われます。
デビューして間もないうちに海外での活躍をみせ、帰国した二人は国内でも圧倒的な人気を獲得しました。
全編英語詞の楽曲が特徴ですが、それら全てを見事に歌い上げる川島道行さんのボーカルは鳥肌ものです。
2016年10月に47歳という若さで逝去されましたが、その訃報には国内外から多くの悲しみと惜しむ声が届きました。
それほど素晴らしいアーティストであり、憧れられそして愛されていました。
日食なつこ
ピアノとドラムの音だけで成立させた『水流のロック』で注目を浴びる、シンガーソングライター日食なつこさんは、岩手県花巻市のご出身です。
9歳からピアノを始め、小学校を卒業する頃にはすでに楽曲制作を行なっていた日食なつこさん。
規格外の才能を開花させ、高校生の時にはアーティスト活動を本格化させました。
2009年、「ストファイHジェネ祭り09」に東北代表として出演し、その才能が認められデビューを果たします。
音楽番組「関ジャム 完全燃焼」で、音楽プロデューサー・蔦谷好位置さんが『水流のロック』を紹介したことで、日食なつこさんのHPのサーバーがダウンしてしまう大反響を呼びました。
Twitterのフォロワーが一瞬で3000人も増えたほど、その楽曲が与えた衝撃は計り知れないものでした。
『水流のロック』は、ピアノの概念を大きく超えていくような演奏で、本来ギターやベースが奏でるはずの音をピアノで弾き、それも局面で自在に変化させるという極めて高度な楽曲です。
不協和音や拍のズレさえも音楽の一部にしてしまう、天才的音楽センスの持ち主である日食なつこさん。
そんな彼女が初めてステージに立ったのは、盛岡市にある「クラブチェンジ」。
17歳だった日食なつこさんは、大人のファンたちを相手に堂々たる演奏を見せました。
佐藤千亜妃(きのこ帝国)
東京メトロ「Find my Tokyo.日比谷 歴史と文化が色づく」のCMで、音楽プロデューサー・小林武史さんとロックバンドRIZEのドラマー・金子ノブアキさんと共に制作した楽曲『太陽に背いて』が話題となった佐藤千亜妃さんは、岩手県盛岡市のご出身です。
大学時代に結成したバンド・きのこ帝国でボーカルを務め、2015年4月に『桜が咲く前に』でメジャーデビューしました。
映画「湯を沸かすほどの熱い愛」の主題歌『愛のゆくえ』など、きのこ帝国の楽曲は多くのタイアップ曲に起用され、その度に話題を集めてきました。
2019年5月、ベースの谷口滋昭さんの脱退により「きのこ帝国」は活動停止を発表しましたが、佐藤千亜妃さんは現在ソロのアーティストとして活動する他に、映画に出演するなど女優としてもご活躍されています。
優しく透き通った歌声が印象的な佐藤千亜妃さんが、初めて人前で歌声を響かせたのは、岩手・盛岡駅の地下で行なった路上ライブ。
中学3年生の頃、友人とともに「招き猫」というデュオを組み、ゆずのカバーなどを歌っていました。
友人がギターを弾き、佐藤千亜妃さんが歌うというスタイルのデュオで、すでにオリジナル曲も披露されていたんだそうです。
SWANKY DOGS(スワンキードッグス)
結成13年目を迎えるSWANKY DOGSは、岩手県盛岡出身の3ピース・ロックバンド。
地元盛岡を活動拠点にする3人は、年間100本以上ものライブをこなし、国内フェスにも精力的に出演しています。
パンクの精神を根底を据えながら、歌ものギターロックを披露する彼らは、地元はもちろん全国各地で行うライブはソールドアウト多発の人気を誇ります。
盛岡ではお馴染みのライブハウス「クラブチェンジ」で、高校生の頃からライブを行なっていたSWANKY DOGSは、気持ちいいほどストレートなロックが魅力。
変化球の多いロックバンドが急増する中、その直球具合は清々しいほど新鮮に映ります。
SaToMansion(サトウマンション)
実の4兄弟で結成されたロックバンドSaToMansionのメンバー、佐藤幸城さん(長男)・英樹さん(次男)・和夫さん(三男)・伸之さん(四男)は、岩手県二戸市出身です。
2019年には、バンド公式YouTubeチャンネル「サトマンTube」で、武井壮さんの提言により”年内にチャンネル登録者数1万人を達成できなければ解散”というチャレンジを行い、12月25日に達成して話題になりました。
ロッテ・佐々木朗希選手が出場した、全国高校野球選手権岩手大会の番組テーマ曲に『VOICE』が起用され、二戸市大平球場で撮影したMVは地元ファンを大いに湧かせました。
世界初とも言われる実の4兄弟によるロックバンド SaToMansionは、他のバンドがやらないことにどんどん挑戦していく稀有なバンドとして、これからも何かと話題を振りまいてくれるに違いありません。
最後に…
いかがでしたでしょうか。
岩手県出身の歌手・アーティストの皆さまをご紹介してまいりました。
岩手県はかつてライブハウスなどもあまりなく、バンドや音楽活動を行うにもそう簡単にはできなかったようですが、現在ではそういう苦労をしてきた先人たちが整えてくれつつある環境の中、若いアーティストの卵たちが活発に活動できるようになりました。
そんな岩手県からは、これからもどんどん素晴らしいアーティストが誕生することでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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