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Xなどから垣間見えるおちゃめな言動も話題に
聴けば聴くほど心に爪痕を残すような、生々しい感情をテーマにした楽曲を数多く手掛けているなきそ。しかし、多くの楽曲に漂う重苦しい雰囲気とは裏腹に、Xでの発言などから、非常におちゃめな一面も伺えます。
本人いわく、岐阜県出身の彼は、作詞の際に岐阜弁が混ざっていたら恥ずかしいので、きちんと標準語を用いて歌詞が書けているかを入念に調べたり、自動販売機のルーレットを2ヶ月の間に2回も引き当てるというような強運を発揮したりと、思わず笑ってしまうようなエピソードが盛りだくさん。
興味がある人はぜひ、なきそのXをチェックしてみてください。
なきそのおすすめ楽曲6選
なきそにとって代表曲といえる「ド屑」のほか「狂気」や「欲望」、加えて「純粋さ」などをテーマに掲げて作られた魅力的な楽曲の数々を紹介します。
ド屑 / 歌愛ユキ
なきそは一貫して、「狂気の中に光る純粋さ」を落とし込んだ歌詞を書くのに長けている印象があります。これまで世に送り出されてきた数々の名曲の中でも特に「純粋な狂気」が際立つ作品といえば、2024年9月時点で1,600万再生を突破している「ド屑」を思い浮かべるファンが多いのではないでしょうか。
ここでいう純粋な狂気とは、依存心や支配欲などの言葉に置き換えることができます。ドロドロとした感情が混ざり合い、さらに科学反応を起こして闇の底へとひた走っていくような情景の描写は、聴く者を虜にして虜にして離しません。
ところどころキャッチーなメロディーと歌愛ユキの可愛らしい歌声が、その狂気に拍車を掛けていることも楽曲が持つ魅力の1つで、唯一無二というべき世界観にもっと浸りたい人には、KADOKAWAのMF文庫Jより刊行されているノベライズ版、および一迅社より刊行されているコミック版もおすすめします。
お呪い / 花隈千冬
「おまじない」という言葉には本来、願掛けや救済といったポジティブな印象があるはずなのですが、日本語とは不思議なもので、この言葉を漢字で書けば「お呪い」となるのです。この点に目を付けて、言葉が持つ違和感や居心地の悪さを見事に表現した楽曲が、「お呪い」です。
低音の表現が豊かで、ブレス感にも魅力のある音声ソフトである「花隈千冬」を使用し、楽曲が持つ魅力をさらに引き立てています。一般的な感覚として、女性から告白を受け「なっちゃいましょう 幸せに」といわれることは幸福なことなのか、それともこれは言葉が持つ「お呪い」の力なのか。
様々なことを考えながら楽曲に耳を傾けると、ますます虜になってしまうのです。
げのげ / ロス
なきそが2021年の8月に、歌い手のロスとタッグを組んで世に送り出した楽曲です。
PVを観ると、女性が狂気に満ちた目でこちらを見つめて、「贅沢者め」と責め立ててくるような印象を受けます。もともと、女性目線の歌詞を巧みに紡いだ名曲が目立つなきそですが、この楽曲でもその力量が遺憾なく発揮されています。
サビの部分で幾度となく繰り返される「贅沢者」とは、誰に対してどういった心境で発したものなのか、楽曲の最後まで耳を傾けてそのニュアンスが腑に落ちたとき、名状しがたい狂気が見事に結実します。
まさに、これぞなきその真骨頂ともいえる楽曲の1つです。
触れたら最後 / 歌愛ユキ
「触れたら最後」は、少しインド音楽のテイストが混ざったような音作りに特徴があります。
可憐な乙女が、ママに対して「癖になっちゃった」「病みついちゃった」などとささやく歌詞が、不気味さや狂気をまとって聴く者の心に迫ります。
曲調がポップであるからこそ余計に、全体的に漂う不穏な空気にいったい何事かと戦慄するのですが、歌詞の意味を最後までなぞるとその意味がわかり、楽曲にとりつかれたような気分になります。
そして、ざわめく心の衝動を抑えられずに、何度も何度もリピートしてしまう。これぞまさに、「触れたら最後」の禁断症状といえるかもしれません。
毒して頂戴 / 初音ミク
なきそにとって、自身初のミリオンを達成した楽曲が「毒して頂戴」です。
人気の始まりは、TikTokを中心に多くの若者の心をつかんだことにありますが、ある意味ではなきその造語とも取れるタイトルの意味は、楽曲の世界に深くひたることで初めて明らかになります。
どうしても忘れられない、深く愛する人がいるとき、そして、その人の心が自分の方に向いていないのではないかと不安に駆られて感情がいつまでもループするとき、不安のループから抜け出そうともがいた挙げ句、楽曲の登場人物たちは果たしてどうなってしまうのか。
狂気と欲望に満ちた「致死量の愛」の結末を、ぜひ聴き届けてください。
花めかない / 初音ミク
ここまで紹介してきた楽曲を含めて、「誰かに伝えたいけれど、どうしても伝えられずにいる気持ちがある」という鬱屈した感情というものをテーマに掲げ、美しさと狂気を混ぜ合わせたような独自の楽曲を生み出し続けているなきそ。
最後に紹介する「花めかない」という楽曲のテーマは、「花めく」「華やかに見える」「時を得て栄える」「ときめく」という比較的ポジティブな言葉にあります。しかしそれが「花めかない」と否定されているのはいったいどういうことなのか。PVと併せて楽曲に耳を傾けると、なきその表現しようと試みたことがひしひしと伝わってきます。
なきそが手掛ける楽曲の中では比較的珍しく、全体を通して、急に曲調が暗転したり、歌唱やメロディーが意図的に途切れたりという演出がなく、終始キャッチーなメロディーが続くことも特徴です。
ただ、歌詞については、やはりこれぞなきそだと唸ってしまうような独自のテイストがあります。
ボカロPなきそ まとめ
2024年9月時点でまだ23歳という若さでありながら、若い世代の心をわしづかみにする唯一無二の楽曲を数多く発表し、すでにボカロPとしての地位を不動のものにしつつあるなきそ。
家族の影響もあって幼少期から音楽に触れる機会が多かった彼が、ボカロPになることを志し、デビューまでに積み重ねてきた試行錯誤や数々の実績を、代表曲とともに振り返っていきました。
ここまで紹介してきた楽曲のほかにも、「狂気」や「欲望」などをテーマに掲げた中毒性の高い楽曲は、ほかにもたくさんあります。
その持つ唯一無二の癖や魅力に興味がある人は、ぜひほかの楽曲にも耳を傾けてみてください。