アイアンマン|「全ての始まり」最も人間らしいヒーロー徹底解説!

アイアンマン|「全ての始まり」最も人間らしいヒーロー徹底解説!

いまや世界中の映画ファンから注目されるシリーズになった、マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)

多くのヒーローを内包し、映画やドラマ、アニメの垣根を越えて展開している一大シリーズですが、すべてはたったひとりのヒーローから始まりました。

そのヒーローこそ、シリーズの中心キャラクターであるアイアンマンです。

今回の記事では、アイアンマンのキャラクターや活躍を復習するとともに、今後のMCUに与えていく影響について解説していきます。

アイアンマンとは


アイアンマンというキャラクターを一言で説明するならば、超ハイテクアーマーを身にまとった社長です。

社長でありながら、発明家であり、ヒーローでもある、多くの顔を持ったヒーローといえます。

そんなアイアンマンをゼロから理解していくためにも、まずは「なぜヒーローになったのか?」について解説します。

アイアンマン誕生のきっかけ

軍事兵器を開発していた大企業スターク・インダストリーズを経営していたトニー・スタークは、兵器を売って大金を稼いでいました。

そんな中、アフガニスタン滞在中のトニーをテロ集団テン・リングスが襲います。彼らはスターク・インダストリーズの兵器を所持しており、社長であるトニーに向かってミサイルを発射したのです。

運よく一命をとりとめたトニーでしたが、心臓にはミサイルの欠片が埋まっている状態。さらにはテン・リングスに身柄を拘束され、解放を条件に兵器開発を手伝うことを強要されます。

しかし、テロリストの言いなりになるトニーではありません。彼は兵器を組み立てていると見せかけて、脱出のためのアーマーを開発し、見事脱出に成功しました。

この経験から、トニーは兵器開発を止め、最新技術を詰めこんだアーマーの製作に没頭することになります。

その後、開発したアーマーを自ら装着し、自身を襲撃したテン・リングスを壊滅させるため、世界中でヒーロー活動を開始しました。後に宇宙全体を救うことになるスーパーヒーロー、アイアンマン誕生の瞬間です。

アイアンマンの特徴

アイアンマンは常に正しい選択をする、完全無欠のヒーローではありません。

時には失敗したり、選択を誤ったりと、絶対的な正義ではない等身大の人間として描かれています。無敵ではないがゆえの悩みや葛藤も、アイアンマンというキャラクターを形成する重要な要素です。

この点はMCUのストーリーにも活かされており、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』では、彼の選択が世界に混乱を引き起こすきっかけになります。

また、ハイテクアーマーを装備しているだけで、中身のトニー・スターク本人は特殊能力を持たない普通の人間です。

生身でも超人的な力を持つ、キャプテン・アメリカやスパイダーマンとは、強さの根本が異なります。そのため、アーマー開発に依存し、精神的にも追い詰められていく様子が描かれました。

このように、よくも悪くもアイアンマンは等身大のヒーローといえます。悪党と戦うカッコよさだけでなく、人間的な弱さも見せてくれる点が、アイアンマンの魅力です。

アーマーの進化


アイアンマンを語るうえで、欠かせないアイテムがアーク・リアクターです。

アーク・リアクターとは半永久に稼働する発電機であり、アイアンマンのアーマーを動かす原動力となっています。また、心臓に破片がめりこんだトニーを延命させていた命綱でもありました。

そんなアーク・リアクターの開発で実現したのが、アーマーです。

アーマーは「マーク1」から、「マーク85」まで開発されており、作品を追うごとに進化していきます。

例えば最初に登場した「マーク1」は長時間飛ぶこともできず、テロリストの隠れ家から逃走するのがやっとでした。

しかし、改良を重ねた「マーク3」からは耐久性が大幅に向上し、長時間の飛行が可能になりました。また、手のひらから発射するリパルサー・ビームや、戦車をも破壊する小型ミサイルといった、数々の武器を搭載しています。

その後は暴走したハルクとの戦いに特化した通称ハルクバスターや、ナノテクノロジーにより自在に武器を作り出せる「マーク50」など、進化を重ねたアーマーが登場しました。

アイアンマンの活躍を総復習


アイアンマンは、MCU第1作目から登場するヒーローでありシリーズの中心人物です。

アベンジャーズの結成にも関わっているため、彼の活躍を辿れば、シリーズの全体の流れが見えてきます。

この項目ではアイアンマンが登場した全作品を復習すると同時に、彼がシリーズに与えた影響などを解説していきます。

MCU作品のネタバレが含まれるため、まだシリーズを鑑賞していない方はご注意ください。

アイアンマン

MCUの記念すべき第1作目です。

この映画ではトニー・スタークがアイアンマンになる、ヒーロー誕生の物語が描かれています。

また、映画の最後にはヒーローチームアベンジャーズを結成しようとしている、ニック・フューリーが登場しました。

インクレディブル・ハルク

ガンマ線の実験に失敗し、緑色の大男ハルクとなったブルース・バナー博士を描いた作品です。後にアベンジャーズに参加するハルクの単独作であるため、アイアンマンの出番はほぼありません。

しかし、エンドロール後にカメオ出演という形で姿をあらわしました。

ブルースとの共演こそありませんでしたが、劇中でブルースを追跡していたロス長官と対面し、アベンジャーズの存在をほのめかして映画は幕を閉じます。

アイアンマン2

『アイアンマン』1作目の出来事から半年後が舞台です。

今作ではスーツケースに収まるサイズのアーマー、「マーク5」が登場します。また、アーク・リアクターの技術を悪用したヴィラン(悪役)が出現し、「アーマーの管理をトニーひとりに任せていいのか?」といった論争が起こりました。

トニー自身もストレスに負けてしまい、パーティで泥酔して暴れたりと、前作以上に人間味あふれるキャラクターになっています。

また、今作はアベンジャーズのメンバーとなる、ブラック・ウィドウの初登場作品です。当初はスターク・インダストリーズに潜入し、トニーの行動を監視する役回りでした。

アベンジャーズ


ハルクやキャプテン・アメリカなどのヒーローたちが参加した、アベンジャーズ結成の物語です。もちろんアイアンマンもメンバー入りしています。

当初は、アイアンマンをはじめ各ヒーローの個性が強すぎたため、喧嘩ばかりだったアベンジャーズ。そんなグダグダなヒーローチームが、徐々に息を合わせていき、宇宙からやってきた脅威に対抗します。

映画のラストにはトニーが自らミサイルを抱え、宇宙にいる敵の艦隊に直接攻撃を仕掛けました。トニーの勇気ある行動により、地球に平和が戻ります。

また、今作に登場したニューヨークのスターク・タワーは、改修の後にアベンジャーズ・タワーとなりました。

アイアンマン3

『アベンジャーズ』での戦いにより、精神的に大きなストレスを抱えたトニーは、未知なる脅威に対抗するためアーマー制作に没頭していました。

そんな中、トニーに恨みを持つキリアンがあらわれ、トニーの自宅を襲撃。ふたたび大きな戦いへと巻きこまれていきます。

今作のアーマーは「マーク42」まで一気に開発が進んでおり、トニーが装着しなくとも、AI制御により自動的に戦えるようになりました。

また、遠隔で遠くのアーマーを呼び出せるシステムを開発し、利便性が向上しています。

映画の最後にはハルクこと、ブルース・バナーが登場。『アベンジャーズ』で共闘した二人ですが、お互い科学者でもあるため、悩みごとを相談する間柄になっていました。

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー

『キャプテン・アメリカ』シリーズの2作目です。

今作ではキャプテン・アメリカやブラック・ウィドウの活躍が描かれ、アイアンマンは登場しません。

しかし、劇中で乗っ取られた平和維持組織S.H.I.E.L.D.が行った、インサント計画のターゲットの中にトニーの姿がありました。

このように、些細なシーンでも同じ世界に何人ものヒーローが住んでいることを感じさせる点が、MCUの醍醐味です。

アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン


『アベンジャーズ』シリーズ第2作目であり、トニーとブルースが開発した人工知能ウルトロンとの戦いが描かれた作品です。

今作のトニーは平和維持のため、強硬的にウルトロンの開発を進めてしまいます。その結果、ウルトロンは「平和のために人間は必要ない」と考えるようになりました。

平和のために開発した人工知能が、人類の平和を脅かしてしまう、皮肉めいた展開が今作の特徴です。

また、トニーは強大なパワーを持つインフィニティ・ストーンを使い、人工知能を搭載したアンドロイドヴィジョンを開発しました。キャプテン・アメリカから猛反対されましたが、ヴィジョンの誕生は後にアベンジャーズの命運を分けることになります。

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

今作ではアイアンマン対キャプテン・アメリカの戦いが勃発します。

原因となったのはアベンジャーズの力を国連の管理下に置くソコヴィア協定です。トニーは協定に賛成しましたが、キャプテンは猛反対し、二人は対立を深めていきます。

さらに、トニーの両親を殺害した犯人が、キャプテンの親友であるバッキー・バーンズ(ウィンター・ソルジャー)であると判明。アベンジャーズを二分する戦いに発展していきます。

この作品以降、トニーとキャプテンは『アベンジャーズ/エンドゲーム』まで顔を合わせることはなく、共闘もしていません。

スパイダーマン:ホーム・カミング

MCU版『スパイダーマン』の第1作目。蜘蛛に噛まれてスーパーパワーを得た、ピーター・パーカーの戦いが描かれます。

スパイダーマンは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にて、トニーにチームの一員としてスカウトされました。そのため、一種の師弟関係が結ばれており、ピーターは「スタークさん」と呼んで慕っています。

また、今作のヴィランであるヴァルチャーは、トニーの設立した部署によって仕事を失った人物です。トニーの選択が新しい悪を生み出してしまう設定は後の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』でも使われました。

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー


これまでで最強の敵、サノスとの戦いを描く『アベンジャーズ』第3作目。

トニーはナノテクを搭載した「マーク48」で、地球に襲来したサノスの部下、ブラック・オーダーとの戦いに臨みました。

今作では魔術師のドクター・ストレンジや、宇宙で活躍していたガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々と共闘しています。

映画のラストでは、絶対的なパワーを持つインフィニティ・ストーンを6つ集めたサノスによって、宇宙全体の半分の生命体が消滅しました。

トニーは生き残ったものの、スパイダーマンやドクター・ストレンジが消滅し、ヒーロー人生初となる完全敗北を味わうのです。

地球に帰る手段もなかったため、サノスの娘であるネビュラと共に、宇宙をさまようことになります。

アベンジャーズ/エンドゲーム


宇宙空間でも活動できるキャプテン・マーベルの助けにより、地球に帰還したトニーでしたが、戦う気力は残っていません。久しぶりの再会となったキャプテン・アメリカとも、気まずい空気が流れます。

人類の半分が消滅してから5年後。トニーには恋人のペッパーとの間に、一人の子どもが生まれていました。そんな中、粒子の世界に囚われていたアントマンの帰還により、希望が見えてきます。

トニーはブルースと協力し、いわゆるタイムマシンを開発。『アベンジャーズ』1作目の時代にまで時を遡り、消滅した人類を救う唯一の方法である、インフィニティ・ストーンを奪還します。

今作では『アイアンマン』から始まった、トニー・スタークの物語の結末が描かれました。映画の最後でサノスに対抗するため、インフィニティ・ストーンのパワー使ったトニーは、その反動で死亡してしまうのです。

こうして、社長であり、父であり、アイアンマンでもある男の人生は幕を閉じました。

『エンドゲーム』以降のアイアンマン

『アベンジャーズ/エンドゲーム』にて死亡したトニー・スタークですが、彼の影響力は死後も続いています。

最後に『エンドゲーム』以降も続く、アイアンマンの影響力について解説していきましょう。

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

『アベンジャーズ/エンドゲーム』以降の世界を描く、『スパイダーマン』第2作目。

師匠であるトニーが亡くなったため、ピーターは喪失感に打ちひしがれていました。アイアンマンという高い壁を前に、「自分がトニーの代わりになれるのか?」といった、漠然とした悩みを抱えています。

今作は映画冒頭から、トニー不在の寂しさ、喪失感を観客にも味あわせてくれるストーリーです。

そのほかにも、トニーがピーターに遺した人工知能E.D.I.T.H.が登場しました。これはハッキングや人工衛星による攻撃を命令ひとつで実行できる、兵器ともいえるアイテムです。

また、今作のヴィランであるミステリオは、スターク・インダストリーズの社員でした。彼はピーターの持つE.D.I.T.H.を狙っており、トニーに恨みを持つ人間たちと協力し、ピーターを騙そうとします。

このように、今作は死してなお続いている、トニーの影響力が随所に感じられる作品です。

ホワット・イフ…?


『ホワット・イフ…?』はMCUの世界において、あったかもしれない「もしも」の世界を描く、アニメシリーズです。

アイアンマンがゾンビになっていたり、『アイアンマン2』の時点で死亡していたりと、さまざまな可能性を楽しむことができます。

本筋のストーリーとは関係ありませんが、アイアンマンが活躍しなかった世界線を見られる唯一の作品です。

アイアン・ハート

今作は女性版アイアンマンともいえる、リリ・ウィリアムズ(アイアン・ハート)を主人公としたドラマシリーズです。

具体的なあらすじは公表されていませんが、原作でのアイアン・ハートはトニーの遺志を継ぎ、アーマーを着て戦うヒーローでした。

MCUにはすでにトニーの弟子といえるピーター・パーカーがいます。そのため、トニーとリリの師弟関係を描くことは難しいでしょう。

しかし、トニー死後、彼が開発していたアーマーがどうなったかは明言されていません。トニーが遺したアーマーを改良し、リリが引き継ぐという展開は容易に想像できます。

最後に

アイアンマンはMCUの顔であり、シリーズを牽引してきたスーパーヒーローです。

シリーズを追っていけば、彼の魅力は外観のアーマーではなく、人間的な弱さを持った中身にあることに気がつきます。

アイアンマンは人類の脅威となるウルトロンを生み出したり、酔って暴れてしまったりと、完全無欠のヒーローではありません。

しかし、最終的には地球のため、宇宙のため、そして愛する家族のために命を投げ出し、世界を救いました。

彼の勇姿は作中世界にとどまらず、映画を観た多くのファンの心に焼き付き、世界を変えた伝説のスーパーヒーローとして語り継がれていくことでしょう。

この記事をシェアをしよう!

この記事を書いた人

この記事に関連するタグ

関連記事

新着記事