このコーナーではJ1クラブ通信簿と題して2019シーズンの各J1クラブの総評を述べていこうと思う。第5弾はサガン鳥栖と特集していく。
FWフェルナンド・トーレスをはじめMFイサーク・クエンカ、FW金崎夢生ら世界を代表する選手や日本代表経験のある選手を新たに加えて、チーム力の向上を目指した。それと同時に新たな戦術を浸透させることで降格争いから脱出し、上位進出を目指した。しかしながら、蓋を開けてみれば昨年度までの鉄壁の守備は崩壊し、攻撃陣は振るわないという誤算によって今シーズンもまた降格争いに甘んじることとなってしまった。
来シーズンこそは、さらなる戦術の浸透が期待され、降格争いからの脱出が期待されるが不安材料も多く抱えているのが現状である。そんなサガン鳥栖で来季注目される選手をはじめ、どうマネジメントしていくべきなのか、Cal-Cha編集部独自の視点から紐解いていく。
2019年12月7日に15年ぶりに横浜Fマリノスが優勝を飾り、今季のJ1が幕を閉じた。
最終節まで優勝争い、残留争いともに手に汗握る接戦、熱戦が多く展開され、Jリーグファンのみならず日本中で注目を浴びた。
なかでも、最終節の優勝争い同士の対戦カードとなった1位・横浜Fマリノスvs2位・FC東京の大一番は6万3854人を動員し、6年ぶりの最多来場者数更新も話題となった。
Cal-Cha編集部では、J1全クラブ18チームの今季の講評をはじめ、来季の注目選手や応援歌を紹介していこうと思う。
目次
サガン鳥栖
サガン鳥栖基本データ
- 創設年度:1997年
- 前身団体:鳥栖フューチャーズ
- 本拠地:駅前不動産スタジアム
- J1リーグ最高順位第5位(’12,’15)
- 天皇杯ベスト4(’14)
1997年2月4日に創設され、1999年よりJリーグへ加盟している。
ホームタウンの人口73,732人(推計人口、2018年6月1日現在)はJリーグの全55クラブ、
さらにはJリーグ百年構想クラブを加えた60クラブの中でも最も小さい。
周辺地域を含めた地域に根付いたチーム作りを軸にしており、近年では元スペイン代表F・トーレスを獲得するなど
積極的な補強をしているが無理な補強等をしないイメージが強いチームである。
また、地方クラブにありがちな降格争いに巻き込まれるケースが多いが
J1に昇格して以来2019シーズン終了時まで一度もJ2に降格していない唯一のクラブでもある。
元スペイン代表であり、今年引表明したF・トーレスをはじめ、日本代表にも召集経験のあるFW豊田陽平、金崎夢生らタレントを擁しているが彼らの年齢を考慮しても新しいエースの登場が期待されている。
今季の総評
- 第15位/18チーム中
- 勝ち点36
- 10勝6分18敗32得点53失点
昨季、サガン鳥栖は10勝11分13敗29得点34失点と失点数は全クラブのなかでも最少失点であったが、攻撃力に問題を抱えていた。
そのため、最終節まで残留争いを演じることになったサガン鳥栖は現状を打破するべく「攻撃的なサッカー」へのシフトチェンジに舵を切ろうとしていた。
ふたを開けてみれば32得点53失点と攻守ともバランスが崩れてしまった印象を受ける。
開幕戦はホームに名古屋を迎え撃つ構図になった。
昨年、ラスト5試合を無敗で乗り越えた勢いそのままに初戦白星をあげることが期待された。
ゲーム開始5分ファーストチャンスを得たのはサガン鳥栖FWフェルナンド・トーレスであったが
これは惜しくも相手GKのセーブによって防がれてしまう。
前半は両者惜しいシーンを量産する拮抗する試合運びとなる。
後半も立ち上がりはホームのサガン鳥栖が主導権を握る。
しかし立て続けのチャンスを決めきることができず、後半18分に名古屋FWジョーに先制点を決められる。
ここからは1点決めたことで勢いづいた名古屋の猛攻が始まる。
サガン鳥栖はちぐはぐな守備形成が目立ち、ホイッスルが鳴るころには0-4の大敗となってしまった。
早くも去年の課題である攻撃力のなさを露呈するとともに守備でも不安要素を感じさせる試合となってしまった。
リーグ前半戦だけで見れば5勝1分11敗であり、17試合通じての得点数は13得点というふがいない数字をたたき出してしまう。
また、降格争い同士の直接対決では
- 第8節vs松本山雅 0-1
- 第9節vs湘南ベルマーレ 0-2
- 第15節vs浦和レッズ 1-2
と負けてはいけない直接カードでことごとく負けてしまった。
「攻撃的なサッカー」を目指す過程とは言え、守備陣攻撃陣ともに問題が浮き彫りになった状況で後半戦に折り返すことになる。
その後もクリーンシートはほぼなく、無失点に抑えられたのは
- 第17節vs川崎F 0-0
- 第31節vs松本山雅 1-0
- 第32節vs名古屋グランパス 0-0
のみである。
湘南ベルマーレが最終節で降格確定の松本山雅に後半ATに同点弾を決められたことで幸い、
降格圏を脱出できたものの自力で降格圏を脱出することはできずに今季も終えることになった。
来季に向けて、攻撃力の強化を図り続けることは必須である。
今季でFWトーレスが引退表明をしており、FW豊田も高齢というには早いかもしれないが新しいエースの登場が急がれることは火を見るより明らかである。
編集者イチオシ!!2020シーズンの注目選手
原輝綺
- 生年月日:1998年7月30日
- ポジション:DF
- 所属:市立船橋高校→アルビレックス新潟→サガン鳥栖
高校サッカー激戦区・千葉県の名門である市立船橋高校出身であり、高校同期にはのちにガンバ大阪MF高宇洋などがいる。
2020年は東京オリンピックが開催されることもあり、
U-22代表に選出されるためにもしっかりとした結果を出すことが求められる。
今季もシーズンを通して先発で出場し続けており、タックル成功率は85%越えと安定感は見せているが、
空中戦での勝率は50%以下とDFとしては物足りない数字となっている。
来季、これらの課題を克服し、ライバルである浦和DF橋岡や湘南DF杉岡らとの競争に勝てるのか注目である。
原川力
- 生年月日:1993年8月18日
- ポジション:MF
- 所属:京都サンガ→サガン鳥栖→川崎F→サガン鳥栖
京都サンガでJリーグデビューを果たし、多くのクラブを経由してステップアップをしてきた苦労人でもある。
また、ブラジル五輪サッカー日本代表の主軸としても活躍していたことを考えると
将来は日本を代表するようなMFのひとりになることが渇望されていた。
しかし、チーム事情もあるが守備重視のチームでは得点に絡むことがあまりできず、結果を十分に残せていない印象である。
チームは継続して「攻撃的なサッカー」へのシフトチェンジを掲げており、原川はその方針のキーパーソンである。
来季、彼を中心にチームの変革が上手くいくのか注目である。
金森健志
- 生年月日:1994年4月4日
- ポジション:MF
- 所属:アビスパ福岡→鹿島アントラーズ→サガン鳥栖
Jリーグ序盤戦はサブに回る機会が多く、あまり出場する時間もなかったが
第9節以降はコンスタントに先発で出場機会を得ることができていた。
しかしながら、得点数はたった1点と期待されていたような結果を残すことができていない。
現状の得点源であるFW豊田らとの世代交代を考えても、
サガン鳥栖のこれからの攻撃陣を引っ張っていく立場が求められる選手であることを考えると
来季の飛躍が重要である。
今からでも間に合う!!現地観戦のすすめ
今年のJリーグは手に汗握る接戦、熱戦が多く展開され、Jリーグファンのみならず日本中で注目を浴びた。
読者のなかには友達に誘われてなんとなく会場に足を運んだ人やJリーグにハマって初めて試合観戦をしに行った人もいるだろう。
そんなみなさんのために現地観戦の楽しみ方をひとつだけ紹介する。
それは…「応援歌チャント」である。
テレビでは伝わらない臨場感や高揚感を周りのサポーターと声が枯れるまで感じることができるのが現地観戦の醍醐味であると思う。
そこで今日はサガン鳥栖の応援歌これだけは押さえといて欲しい動画を参考に紹介していく。
- Minority(9:23~)
- Vamos! Vamos! SaganTosu(17:16~)
- カーニバル(0:00~)
- 熱い歌声で(10:56~)
- CHANCE(16:48~)
基本的に応援歌チャントは簡単なリズムと言葉で作られているものが多いため、
初めての人でも一緒に盛り上がれるように配慮されているので安心できるのがいいところでもあります。
「Vamos! Vamos! SaganTosu」はFC東京などでも使われている有名のチャントであり、
そのリズムの軽快さはスタジアムに盛り上がりを与えます。
個人的には「CHANCE」の手拍子が迫力があり、是非皆さんにも見てもらいたい応援歌チャントのひとつです。
ぜひ気になった人は自分でも調べてみてお気に入りの応援歌チャントを見つけてほしい。
この記事で少しでもJリーグないしはサッカーに興味を持ってくれる人が増えたら幸いです。