長らく皮肉にも”シルバーコレクター”の異名を欲しいものにし、常に最後の勝負所で敗戦を喫していた川崎フロンターレ。
2017年悲願のJ1初優勝を果たすと、2018シーズンも盤石のゲーム運びを1年を通して完遂し2連覇をするなど、一気に優勝常連クラブへと名乗りを上げた。
今季目指すは3連覇であったが、ここにきて昔の勝負所に弱い川崎フロンターレが顔をのぞかせていた。
チーム力は申し分なかったはずである。主力選手の放出もなく、手痛い移籍もなく、チームの成熟度は高まる一方のはずであった。
しかし蓋を開けてみれば、第4位とACL出場権すら逃してしまう悔しい1年となってしまった。
なぜ、ACL出場圏内の第3位以内にすら入れなかったのか、来季復権のためにはどのようにチームマネジメントしていくべきなのか、筆者に自ら独自の視点で述べていく。
2019年12月7日に15年ぶりに横浜Fマリノスが優勝を飾り、今季のJ1が幕を閉じた。
最終節まで優勝争い、残留争いともに手に汗握る接戦、熱戦が多く展開され、Jリーグファンのみならず日本中で注目を浴びた。
なかでも、最終節の優勝争い同士の対戦カードとなった1位・横浜Fマリノスvs2位・FC東京の大一番は6万3854人を動員し、6年ぶりの最多来場者数更新も話題となった。
Cal-Cha編集部では、J1全クラブ18チームの今季の講評をはじめ、来季の注目選手や応援歌を紹介していこうと思う。
第11弾は今季J1リーグ4位の川崎フロンターレを総括していく。
目次
川崎フロンターレ基本データ
- 創設年度:1955年
- 前身団体:富士通サッカー部
- 本拠地:等々力陸上競技場
- J1リーグ2回優勝(’17,’18)
- 天皇杯2回準優勝(’16,’17)
- ルヴァン杯2回準優勝(’07,’09)
近年急速にチーム力をあげており、毎年優勝争いの一角としてJリーグを盛り上げている。
Jリーグファンからは長いこと優勝争いを演じてはいるがなかなか優勝することができないことから「シルバーコレクター」と揶揄されることもあったが、2017シーズンに悲願のJ1初優勝を飾ると、翌シーズンも圧倒的な実力で2連覇を記録した。
川崎フロンターレのサッカーと言われて皆さんは何を思い浮かべますか?
過去にはFW我那覇和樹やFW鄭大世、FW大久保嘉人らJ屈指の破壊力をもつFW陣に加えて、現在でも川崎フロンターレ一筋で活躍するミスター川崎ことMF中村憲剛らのアイディア溢れるパスサッカーで観客を沸かせてきた。
この川崎イズムともいえるパスサッカーが特徴のクラブであり、それは現在もFW小林悠やMF大島僚太、田中碧らによって系譜されている。
今季の総評
- 第4位/18チーム中
- 勝ち点60
- 16勝12分6敗57得点34失点
今季もまたJ1王者として迎えたシーズンであり、3連覇の大記録への挑戦の1年であった。
移籍によって獲得した選手が計算外の怪我に悩まされ、チームマネジメントの観点で鬼木監督の頭を悩まし続けたことは不運に見舞われたと言えよう。
しかしながら、クラブ全体として怪我人が毎年多く出てしまうことは改善する余地があるのではないかと思う。
今季は挑戦権を逃してしまったが、ACLなどの過密日程を今後こなすことを考えると、アフターケアの徹底はチームの安定感の底上げの一助になると思う。
新加入のFWレアンドロ・ダミアンはじめ多くの選手が川崎のパスサッカーに適応するのに時間がかかり、本来の実力を発揮しきれずに終わってしまったことも今季ACL出場圏内である第3位を逃した一因であると考えられる。
勝ち星の数やゴール数被ゴール数ともに上位に食い込むには十分であり、優勝に値するだけの結果もコンスタントに残してはいたと思う。
しかし、例年強さを見せていた夏に負けが先行し、終盤戦で波に乗り切れず、ときおり勝ち点の取りこぼしをしてしまった結果としての第4位という悔しい終焉を迎えたとみる。
開幕戦はホームに、下馬評では優勝争いの一角とされていた、FC東京のと負けられない一戦となった。
多摩川クラシコと称され、お互いをライバルとして認識していること、優勝候補同士の対決であること、リーグ初戦でチームに勢いが欲しいなど多くの理由から試合開始から意地と意地のぶつかり合いとなる。
川崎はMF大島僚太、中村憲剛の自由自在なパスからMF家長昭博、FW小林悠、レアンドロダミアンらがFC東京ゴールに迫るが、相手GK林、DF森重の鬼気迫るプレーを前にゴールを割ることができない。
一方で守備陣も相手のMF高萩、久保、東、FW永井、D・オリヴェイラらタレントぞろい踏みの強力攻撃陣を、DF谷口彰吾、奈良竜樹らを中心に跳ね返す。結果は0-0の痛み分けとなり、ホームの川崎としては勝利が欲しい試合ではあったが次につながる勝ち点1を得ることができた。
続く3試合もいまいち波に乗ることができずにリーグ序盤戦を終える。
- 第2節vs鹿島アントラーズ 1-1
- 第3節vs横浜Fマリノス 2-2
- 第4節vsガンバ大阪 0-1
しかし、ここから川崎フロンターレが2連覇中の底力を見え始める。
第5節以降第20節(試合日程の関係で第16節は除く)まで10勝5分28得点8失点と本調子を取り戻す。
この結果、徐々に遅れをとっていた優勝争いのレースについていけるようになる。
波になり、そのまま首位に躍り出るかに思われた川崎であったが、そこから急ブレーキがかかってしまう。
- 第21節vs松本山雅 0-0
- 第22節vs名古屋 0-3
- 第23節vs仙台 2-2
- 第24節vs清水 2-2
- 第25節vsセレッソ大阪 2-1
と勝ち点を積み損ねてしまう。
ACLの予選等の過密日程で選手のローテーションを行わざるを得ないチーム状況であり、怪我人に悩まされたこともあったが、勝ち点最大差12を失ったことは優勝できなかった大きな要因であると思われる。
そして、優勝の可能性の潰えた状況で迎えたホームでの首位・横浜FMとの横浜ダービーは“最低限ACL圏内確保のために負けられない川崎”vs“優勝のためにはFC東京との差を広げたい横浜FM”の構図となり、死闘が予想された。
しかし、前半8分に横浜FM・FW仲川輝人にあっさり得点を許してしまうとその後も失点を続け、1-4の大敗を喫する。
結果として、鹿島アントラーズに最終節終了時までACL圏内の第3位を明け渡す形となってしまった。
来季向けて、どのような補強を行うのかがポイントである。
前線の家長、ダミアンらはよいコンビ形成ができていたが、家長は怪我をしやすい傾向にある。
これは中盤でタクトを振る大島に関しても言えることであり、バックアップのさらなる充実が必要かもしれない。
また、今季怪我に悩まされていたものの活躍したDF奈良竜樹を狙うクラブが点在するとの報道からどこまで慰留に努めれるのかなども注目である。
イチオシ!!2020シーズンの注目選手
谷口彰吾
- 生年月日:1991年7月15日
- ポジション:DF
- 所属:大津高校→川崎フロンターレ
今季も怪我人が多く出てしまったチームのなかで、怪我なしで1年間を戦い抜いたことがまず大きく評価できるポイントである。
183cmと大柄ながら足元の技術には定評があり、川崎のパスサッカーを体現するうえでは、必要不可欠なパーツとして今年も活躍した。
来季、センターバックの相方が誰になるのかはわからないが、監督からの信頼も厚く、今シーズンも相方が2度変わるなど困難に直面することはあったが、その度に臨機応変に対応しており、柔軟性も高く買われている。来季、DF陣のリーダーとして後ろからチームを鼓舞し
どこまでチームの覇権奪取に貢献できるのか期待である。
田中碧
- 生年月日:1998年9月10日
- ポジション:MF
- 所属:川崎フロンターレユース→川崎フロンターレ
現在21歳と若手であり、東京オリンピック日本代表候補の一人でもある。
先日行われたU-23アジア選手権にも主力選手として出場した。
川崎フロンターレ内でも目覚ましい活躍を見せており、今シーズンは24試合に出場し、1得点を記録した。
特に数字で見てみると素晴らしいのが1試合当たりの敵陣でのパス回数がJ1屈指であり、MFながらインターセプト数もJ1で10本指にはいる好プレーを1年を通してこなしており、攻守でチームに欠かせない選手へと成長している。NEXT中村憲剛としてさらなる成長に注目である。
旗手怜央
- 生年月日:1997年11月21日
- ポジション:MF
- 所属:静岡学園→順天堂大学→川崎フロンターレ
2020年令和最初の高校サッカー選手権では優勝を果たした、名門・静岡学園出身の選手である。
高校の先輩であり、クラブの同僚のはMF大島僚太がいる。
順天堂大学に進学し、関東大学サッカーリーグ戦では1年生ながら9得点をあげて新人王を獲得した。
そして、2年次には全日本大学選抜や世代別代表を経験するなど大学サッカー界ではピカイチの存在である。
順調にステップアップを遂げていくと特別強化選手として、川崎フロンターレの一員となり、来季は田中碧とともに東京オリンピックでの活躍が期待される若手ホープの一人である。
今からでも間に合う!!現地観戦のすすめ
今年のJリーグは手に汗握る接戦、熱戦が多く展開され、Jリーグファンのみならず日本中で注目を浴びた。
読者のなかには友達に誘われてなんとなく会場に足を運んだ人やJリーグにハマって初めて試合観戦をしに行った人もいるだろう。
そんなみなさんのために現地観戦の楽しみ方をひとつだけ紹介する。
それは…「応援歌チャント」である。
テレビでは伝わらない臨場感や高揚感を周りのサポーターと声が枯れるまで感じることができるのが現地観戦の醍醐味であると思う。
そこで今日は川崎フロンターレの応援歌これだけは押さえといて欲しい動画を参考に紹介していく。
- FRONTALE 20000(8:16~)
- 明日も(6:58~)
- VAMO VAMOS KAWASAKI(9:39~)
- Basket Case(15:19~)
- ナンバーワン野郎(0:00~)
基本的に応援歌チャントは簡単なリズムと言葉で作られているものが多いため、
初めての人でも一緒に盛り上がれるように配慮されているので安心できるのがいいところでもある。
ぜひ気になった人は自分でも調べてみてお気に入りの応援歌チャントを見つけてほしい。
この記事で少しでもJリーグないしはサッカーに興味を持ってくれる人が増えたら幸いである。