2019年またしてもジュビロ磐田は悪夢に襲われてしまった。
J2降格である。ジュビロ磐田が誇るレジェンドである名波浩を監督に招聘するも芳しい結果を残すことができずに低迷していくと、次々と監督の交代劇が始まった。
外部の騒がしさはチームの雰囲気にまで影響を与えることはスポーツをやったことなら誰しもが想像がつくだろう。
すべてのリズムが狂い、チームは復調の兆しを見せることなく、2度目のJ2降格を決めてしまった。
しかしながら、勝ち点は昨年の最下位の勝ち点よりも積みかさねており、日本サッカー全体が成長していることも暗に示す結果となった。
無念の5年ぶりのJ2での戦いが2020年は控えているが気を抜くことはできない。
レンタル移籍しているFW小川航基をはじめ将来を有望視されている選手もいるが、J2に降格したことで他クラブへ引く抜かれる可能性を考えれば、そう易々とJ2を勝ち抜き、1年でJ1に戻ることはできないと覚悟した方がよいだろう。
そんなジュビロ磐田が来季最低限の目標であるJ1復帰するためには何が必要なのか今シーズンの戦いぶりから紐解いていく。
2019年12月7日に15年ぶりに横浜Fマリノスが優勝を飾り、今季のJ1が幕を閉じた。
最終節まで優勝争い、残留争いともに手に汗握る接戦、熱戦が多く展開され、Jリーグファンのみならず日本中で注目を浴びた。
なかでも、最終節の優勝争い同士の対戦カードとなった1位・横浜Fマリノスvs2位・FC東京の大一番は6万3854人を動員し、6年ぶりの最多来場者数更新も話題となった。
Cal-Cha編集部では、J1全クラブ18チームの今季の講評をはじめ、来季の注目選手や応援歌を紹介していこうと思う。
目次
ジュビロ磐田基本データ
- 創設年度:1972年
- 前身団体:ヤマハ発動機サッカー部
- 本拠地:ヤマハスタジアム
- J1リーグ1回優勝(’02)
- 天皇杯1回優勝(’03)
- ルヴァン杯1回優勝(’10)
Jリーグ開幕当初から2000年代初頭にかけては、J1屈指の強豪クラブとして名を馳せていた。
元日本代表監督のハンス・オフトが監督に就任し、選手層を見てもオランダ代表のファネンブルグ、イタリア代表のサルヴァトーレ・スキラッチ、ブラジル代表でキャプテンを務めたドゥンガなど外国人選手を補強。
藤田俊哉や奥大介、名波浩、福西崇史ら日本代表選手を多く輩出し、クラブは黄金期というにふさわしい戦績を残していた。
しかし、時は流れ、今のサッカー少年には”ジュビロ磐田=強豪“といったイメージは皆無である。
これまでも幾度となく降格の危機に瀕することはあったが古豪たる底力を見せつけ、踏ん張ってきていた。
その踏ん張りもむなしく、今シーズン無念のJ2降格してしまうに至った。
もちろん目指すは1年でのJ1復帰であるがそのためには何が必要なのだろうか??
まずは2019シーズンを繰り返っていこう。
今季の総評
- 第18位/18チーム中
- 勝ち点31
- 8勝7分19敗29得点51失点
ジュビロ磐田ファン以外は記憶から抹消されているかもしれないが、実はジュビロ磐田は2015シーズンJ1で第2位と好成績を残している。
と言っても5年前の話ではあるが、それだけのチーム力とポテンシャルを本来ならば有するチームであるということである。
監督の交代劇や、エースFW川又堅碁の長期離脱によってシーズン得点数が29得点と1試合1得点以下と、攻撃力に問題を抱えたことが5年前からは想像できない、シーズン終了前にJ2降格が決定してしまった。
低迷した攻撃陣と歩幅を合わせるかのように守備陣も低迷を続け、通年で51失点と数字だけで見れば攻撃陣の奮起も必要だし、守備意識の徹底も必要と言わざるを得ない数字を出している。
年間通じてクリーンシート数は5試合に収まることも勝ちきれなかった理由のように感じられる。
最終節を残して降格決定してしまったこともそうだが、来季に向けて大幅の修正が必要になるだろう。
毎年、どのクラブも同じことが言えるが、サポーターは長いシーズンとはいえ開幕戦での勝利に飢えるものである。
残念ながら開幕戦からジュビロ磐田は出鼻をくじかれるところまではいかなかったものの、今季も厳しい船出となってしまう。「悪くはないが良くはない、もっとできたはずだ。」とサポーターは言う。
全員守備全員攻撃をモットーに強度の高いサッカーを展開する松本山雅をホームに迎える。
クラブの規模や歴史で考えれば、ジュビロ磐田に軍配に挙がりそうだったが、結果は1-1の痛み分け。
立ち上がりこそ簡単にゴールを許してしまったが、ゲーム内容自体は及第点であった。
しかしながら、第6節の湘南ベルマーレ戦までは勝利がなく、チームの雰囲気としてはいまいち盛り上がりに欠けていた。
この時すでにチームには嫌な雰囲気が漂っていたのかもしれない。
下位争いを演じる湘南ベルマーレ戦に勝利したことはチームが上昇気流に乗るうえではとてもいいポイントであったはずであるが、その後の
- 第7節vs清水エスパルス(H) 1-2
- 第8節vs名古屋グランパス(A) 0-1
- 第9節vsコンサドーレ札幌(H) 0-1
で敗走してしまい、勝ち点を取りこぼし続けてしまう。
1点差の壁に立ちはだかれ、なかなか勝ち点を詰めなかったシーズンとも言えよう。
その間にも他の降格争いを演じているチームは少しずつ勝ち点を重ねており、差が広がってしまう。
特にターニングポイントと思われるのが、優勝争いと降格争いのチームがだんだんと絞られ始めていたなか行われた第22節ホームでの湘南ベルマーレ戦である。
絶対に負けられない試合であったが2-3の1点差で負けてしまう。
後半戦に川崎フロンターレや横浜F・マリノス、FC東京といった当時優勝争いを演じていた強豪との試合が残っており、厳しい戦いを強いられることが予想された。
案の定結果は…
- 第26節vs川崎フロンターレ 0-2
- 第28節vs横浜F・マリノス 0-2
- 第31節vsFC東京 0-1
と燦燦たる結果に終わる。
なにが降格の要因だったのかは数字を見るからに明らかである。ではどうやって改善していけばよいのだろうか。
来季J1昇格の命運を握ると言っても過言ではない選手たちのなかでも、特に注目の選手を3人ピックアップしていこう。
イチオシ!!2020シーズンの注目選手
小川航基
- 生年月日:1997年8月8日
- ポジション:FW
- 所属:桐光学園高校→ジュビロ磐田→水戸ホーリーホック→ジュビロ磐田
桐光学園サッカー部のエースとして高校サッカー時代には、’15総体と’15選手権で最優秀選手に選出されている。
今ではU-23日本代表の主軸として活躍することが期待され、将来日本をしょって立つ次世代ストライカーとして期待が寄せられている。
今季はJ2の水戸ホーリーホックにレンタル移籍し17試合7得点の活躍を見せており、来季はその活躍が認められ、ジュビロ磐田の再建の一翼を担うことが小川のミッションとも言えよう。
2020年の東京オリンピック日本代表選出のためにもクラブで結果を残すことが第一であり、巷の噂ではオーバーエイジ枠で日本代表FW大迫勇也の召集がたびたび取り沙汰されており、よりライバル争いは激化するだろう。
今後の成長を含め、2020年注目プレーヤーの一人である。
大森晃太郎
- 生年月日:1992年4月28日
- ポジション:MF
- 所属:ガンバ大阪→FC東京→ジュビロ磐田
2018、2019シーズンをFC東京で過ごし、来季からジュビロ磐田に移籍することとなった個人的に推すプレーヤーである。
推進力のあるドリブルや個で局面を打開する技術を持っており、クラブに新しい攻撃オプションをもたらしてくれることだろう。
期待していることは今季出場数は昨季に比べて先発機会こそ減ってしまったものの29試合に出場しており、第2位のクラブ史上初記録を打ち立て、優勝争いを演じたFC東京で培った”勝者のメンタリティー“をチームに与えてくれることである。
まだ27歳と脂ののっているMF大森晃太郎の勇姿に注目である。
杉本大地
- 生年月日:1993年7月15日
- ポジション:GK
- 所属:京都サンガ→横浜F・マリノス→ジュビロ磐田
来季ジュビロ磐田には絶対的な守護神がいない状態である。そんななか、今季J1王者に輝いた横浜F・マリノスから移籍していたのが、GK杉本大地である。
横浜F・マリノスではあまり出場機会に恵まれなかったが、現在26歳であり、チーム事情的にも新たな守護神を探していることを考えれば、彼自身にとっても大きなチャンスである。A代表経験はないが、U-23をはじめ年代別の日本代表には選出されてきた実力の持ち主である。
来季、自身のステップアップのためにもクラブを後ろから支える守護神となれるのか注目である。
今からでも間に合う!!現地観戦のすすめ
今年のJリーグは手に汗握る接戦、熱戦が多く展開され、Jリーグファンのみならず日本中で注目を浴びた。
読者のなかには友達に誘われてなんとなく会場に足を運んだ人やJリーグにハマって初めて試合観戦をしに行った人もいるだろう。
そんなみなさんのために現地観戦の楽しみ方をひとつだけ紹介する。
それは…「応援歌チャント」である。
テレビでは伝わらない臨場感や高揚感を周りのサポーターと声が枯れるまで感じることができるのが現地観戦の醍醐味であると思う。
そこで今日はジュビロ磐田の応援歌これだけは押さえといて欲しい動画を参考に紹介していく。
- レッツゴー磐田(13:41~)
- みんなの歌(1:39~)
- バモ 磐田(0:00~)
- イエローサブマリン(9:16~)
- エンターテイナー(15:12~)
基本的に応援歌チャントは簡単なリズムと言葉で作られているものが多いため、初めての人でも一緒に盛り上がれるように配慮されているので安心できるのがいいところでもある。
J1クラブ通信簿シリーズを全部読んでくださっている読者なら耳にタコができているだろうが「バモ 〇〇」「エンターテイナー」の2つはド定番なのである。
ぜひ気になった人は自分でも調べてみてお気に入りの応援歌チャントを見つけてほしい。
この記事で少しでもJリーグないしはサッカーに興味を持ってくれる人が増えたら幸いである。