『うらみちお兄さん』名言・名シーン9選を紹介!【疲れ切った大人に響く漫画】

『うらみちお兄さん』名言・名シーン9選を紹介!【疲れ切った大人に響く漫画】

2021年7月よりアニメ放送が始まる久世岳(くぜ がく)さんの漫画『うらみちお兄さん』

ストレス社会で揉まれた大人たちの心の闇を代弁するかのように、子どもたちの前で裏の顔で語るうらみちお兄さん。大人なら誰もが共感してしまうお兄さんたちの言動に、励まされ元気を貰えます。

本記事では、『うらみちお兄さん』の魅力が詰まった名言・名シーンを9つ紹介。ネタバレも含みますのでご注意ください。

目次

『うらみちお兄さん』とは?

「comic POOL」で2017年より連載中の久世岳(くぜ がく)さんの漫画『うらみちお兄さん』。

子ども向け教育番組「ママンとトゥギャザー」で体操のお兄さんをしている表田裏道(おもた うらみち)を中心に、ストレス社会で働く大人たちのリアルな心情を描いたギャグ漫画です。

もともとは別の作品を連載する予定で、担当編集者と打ち合わせを進めていた久世さん。息抜きでTwitterに投稿した『うらみちお兄さん』が大反響を受けて、急きょ連載が始まりました。

MEMO

久世さん自身がちょうど仕事や人間関係でストレスを感じていた時期に、ふと思いついたのが『うらみちお兄さん』とのこと。1・2話は主に作者の精神状態がそのまま描かれているそうです。

連載が始まるとさらに人気が広まり、

  • 「第3回次にくるマンガ大賞」 Webマンガ部門 1位
  • 「WEBマンガ総選挙」インディーズ部門 1位

を獲得。

単行本の1巻が発売された際には全国の書店から発注が入り、発売前にもかかわらず重版出来となりました。2021年5月時点で累計発行部数(電子版も含む)は150万部を突破。

さらに2021年7月よりアニメ放送も始まります。アニメのキャスト陣はこちら。

表田裏道:神谷浩史
兎原跳吉:杉田智和
熊谷みつ夫:中村悠一
蛇賀池照:宮野真守
多田野詩乃:水樹奈々

あらすじ

子ども向け教育番組「ママンとトゥギャザー」で体操のお兄さんをしている表田裏道、31歳。皆から「うらみちお兄さん」と呼ばれている彼は、笑顔が爽やかな好青年です。

しかし、時々情緒不安定になって、子どもたちの前で裏の顔を見せてしまいます。

番組のプロデューサーやディレクターからの無理難題な要求、希望のない将来への不安、子どもたちからの純真無垢で真っ直ぐすぎる質問に、日々肉体も精神も削られていくうらみちお兄さん。

それでも子どもたちの素直な笑顔に癒されて、何とか毎日を乗り越えていきます。

感情を失くして本音を漏らしてしまううらみちお兄さんの言葉は、まるで会社や家庭のストレスで疲れ切った大人たちの心の声を代弁してくれているよう。こんなにもダメダメな大人でも仕事をして生きている。その姿に元気を貰えるはずです。

『うらみちお兄さん』の魅力

うらみちお兄さんの心の闇に共感!

『うらみちお兄さん』の魅力は、突然出てくるうらみちお兄さんの心の闇

体操のお兄さんとして、子どもたちの前では爽やかな姿を見せているうらみちお兄さん。しかし、時々情緒不安定になって裏のお兄さんが出てきてしまいます。

そんなお兄さんの姿に子どもたちはドン引き。けれど、大人はお兄さんの言動に共感してしまいます。

それは、会社や家庭、世の中など日常生活で感じるさまざまな不満やストレスを、うらみちお兄さんが代弁してくれているから。

彼は自身のズタボロな姿を通して、子どもたちに大人の本当の姿を見せているのです。

大人だって子どものように、情緒不安定になって泣きたくなることもあります。そんな大人たちが抱える心の闇を、うらみちお兄さんが代弁してくれているのです。

『うらみちお兄さん』大人に染みる!名言ベスト5

ここからは『うらみちお兄さん』の名言を5つ紹介します。

「諦めても終わらせてはもらえない試合だってあるんだよ…人生とかね…」(1巻1話より)

番組内でウサオくんクマオくんを呼ぶうらみちお兄さん。台本では呼びかけ3回目で登場するということになっていますが、体力的に辛いから(実際はお酒の飲み過ぎで喉がガラガラなだけ)2回目で登場しろと要求します。

じつはこの3人は、同じ体育大学の先輩・後輩関係でした。しかし、ウサオくんはお兄さんの要求を拒否。「後輩の俺たちにとってあなたは憧れだから、そんなことで諦めてほしくない」と説得します。

後輩からそんな風に言われたらさすがのお兄さんも心を入れ替えるのか?と期待しますが、お兄さんはそれをバッサリと切りさります。「ふっ」と不敵に笑い目が死んだお兄さんの表情に、ウサオくんは何も言い返せませんでした。

確かに人生は諦めても、そう簡単には終わらせてくれない。だからこそ、どこかで少し抜くことも大事なんじゃないかと訴えかけているように感じました。

「朝が…来てしまった……」(1巻2話より)

2話の冒頭。朝を迎え、部屋中に鳴り響く目覚まし時計を止めて起き上がるお兄さん。目覚めの第一声が「朝が…来てしまった……」です。

このセリフ、おそらく誰もが一度は言ったことがあるはず。誰だって、毎日同じように楽しい朝を迎えることはできません。たとえ前日に気持ち良く眠りに入ったとしても、朝になってしまえば「あ、もう朝なのか」と思うもの。

それでも、生きていくためには仕事をしなければいけない。夢から現実に引き戻される瞬間の悲しみが、この一言に詰まっています。

「よい子のみんなも疲れに心を蝕まれて頭がおかしくなる前に休み休み頑張るようにしようね!」(1巻3話より)

「ママンとトゥギャザー」の歌のお兄さんをしている・いけてるお兄さんが、「チンダル現象」という言葉にツボってしまい番組に出れなくなってしまいます。

子どもたちにいけてるお兄さんが出れない事情を説明している際に、サラッとうらみちお兄さんがこのセリフを言いました。

普段は闇の深い内容が多いお兄さんですが、今回に関しては珍しくなるほどと納得させられる内容。

「心や頭がおかしくなる前に休む」。世界でも働く時間が長いと言われる日本人には、ぜひ心にとどめてほしいと感じたセリフです。

「周りの人間は最後まで付き添ってはくれないんだよ。努力も苦悩も誰も一緒に抱えられないし最後はみんな等しく一人なんだからね」(2巻10話より)

番組内で工作をすることになったうらみちお兄さんたち。そこで、いけてるお兄さんのハサミが絶望的に苦手という弱点が判明してしまいます。こんな自分ではダメだと精神的に止んでしまういけてるお兄さん。

お兄さんを心配する子どもたちに、うらみちお兄さんは語りかけるのでした。「周囲がどんなに期待したって、最後までその人に付き添ってくれるわけではない。結局、最後は自分一人で乗り越えないといけないんだ」

良いことを言っているはずなのに、なぜかそう思わせないうらみちお兄さんの表情に、彼の心の闇が垣間見えるのでした。

「“信用”“信頼”築くのが大変なものほど失う時は一瞬だ。そして一度失ったものを取り戻すことはより難しい」(3巻19話より)

女の子から流行っているアニメのキャラクターを描いてほしいとお願いされた、うらみちお兄さん。絵を描くことが壊滅的に苦手なお兄さんでしたが、何とか期待に応えようと奮闘します。

しかし、完成した絵はあいかわらずのクオリティで、子どもたちからは「きもちわるい」「こわい」「ふゆかい」「ひじょうしきなレベル」と散々な感想を言われてしまいます。

このとき、うらみちお兄さんは心の中であることを呟いていました。これまで体操のお兄さんとして築いてきた「信用」や「信頼」は、たった一瞬の出来事で失えるということ。

子どもたちの期待に応えようと頑張ったお兄さんの悲しい場面ですが、お兄さんの姿を通して信用や信頼を築くためには普段から相手への感謝や敬いを忘れてはならないと考えさせられました。

MEMO

作中で出てくるさまざまなセリフはとくに誰かの思想を参考にしているわけではなく、日常生活の中で思いついたものをメモして作品に生かしているとのこと。

『うらみちお兄さん』大人たちは頑張ってる!名シーンベスト4

ここではうらみちお兄さんたちが、仕事に日々奮闘する名シーンを4つ紹介します。

女の子に「お兄さんはなんで結婚もしてなくて子どももいないの?」と聞かれたうらみちお兄さん(1巻1話より)

ミキちゃんという女の子から質問を受けたうらみちお兄さん。

「私のお父さんは29歳だけど、お兄さんは何で結婚もしてなくて子どももいないの?」

子どもって時に残酷…。31歳独身彼女なしのお兄さんにとって、この質問はかなり辛すぎる内容でした。お兄さんも思わず「勘弁してくれよ」と心の声が漏れてしまいます。

それでも何とか気持ちを立て直したお兄さん。たとえ深夜にドラマを観ながらお酒を飲んでいる独身だとしても、それが不幸せではないと答えました。

子どもたちに人の幸せは人それぞれと言いながら、まるで「俺は不幸せではない」と言い聞かせているかのように見えます。

おたよりコーナーで結婚するならどっちのお兄さんがいい?と聞かれたうたのお姉さん(1巻4話より)

おたよりコーナーでハルコちゃんという女の子から質問を受けた、うたのお姉さん

「私は大人になったらいけてるお兄さんか、うらみちお兄さんみたいな人と結婚したいです。うたのお姉さんは結婚するなら結婚するならどっちのお兄さんがいいですか?」

じつはこの質問、お姉さんに聞いてはいけない内容でした。売れないお笑い芸人と6年同棲しているお姉さん。しかし、彼氏から結婚の話は一切出てきません。32歳のお姉さんは結婚に焦りを感じていました。

そしてお姉さんは暴走。男は見た目や愛嬌で選んではいけない。そんなものは何の役にも立たないし、苦労するだけ。結婚相手はいろいろな面を見て選んでほしい。と、さりげなくお兄さんたちをダメな例として挙げて、けなしていました。

うらみちお兄さんだけでなく、うたのお姉さんの闇の深さも判明したシーンです

イヤイヤしている男の子を見つけたうらみちお兄さん(2巻10話より)

子どもたちと体操を始めようとしていたうらみちお兄さん。皆が元気いっぱい楽しんでいるなか、カズキ君という男の子だけ一人ポツンと座っていました。

どうやらあまり乗り気ではない様子。お兄さんが優しく声を掛けても、イヤイヤと首を振るだけです。

体操のお兄さんとして何か楽しいことをしてカズキ君の心を開くのか?と期待しますが、そこはうらみちお兄さん。そんなことはありませんでした。

今は子どもだから、どんなにイヤイヤとわがままを言っても許される。けれど、大人になったらそうはいかない。いずれ君にもその意味がわかる日が来るよ。と不気味な笑顔と圧で語りかけます

イヤイヤしていたカズキ君も、あまりにも怖すぎるお兄さんの表情に「あ、あそぶ…」と答えてしまうほど。

子どもに大人の世界のリアルさを伝えるお兄さんの姿に、恐怖を感じました。

クマオくんが風邪でダウン!ウサオくんが頑張るけれど…(2巻14話より)

クマオくんを演じている熊谷が風邪でダウンしてしまったある日。クマオくん抜きでの撮影が始まりますが、子どもたちはクマオくんのほうがいい!と騒ぎ出しました。

すでにその時点で、心をえぐられているウサオくん役の兎原。うらみちお兄さんに言われるがまま、クマオくんの着ぐるみを着ることに。

しかし、子どもは勘が鋭かったのです。まだ一言も話していないのに兎原の動きや佇まいだけで、何かおかしいと気づいてしまいます。

取り調べをする警察のように疑いの目を向けて「…ホントにクマオくん?」「…だれ?」と問いただします。その表情は、心の闇を語るうらみちお兄さんのよう。ホラー映像みたいで背筋がゾッとしました。

作者・久世岳の最新作『ニラメッコ』もぜひ!

久世岳さんの最新作『ニラメッコ』

ルームシェアをしている若手お笑い芸人5人が、「ただ笑わせたい」という純粋な想いで笑いを追及していく泥臭い青春ストーリーです。

個性豊かな5人の若手お笑い芸人がそれぞれの境遇や不確かな将来に悩みもがきながら、相方とともに力を合わせて上を目指していく姿に胸を打たれます。売れる保証のない職業で必死に泥臭く頑張る姿に、何か生きるヒントを貰えるはずです。

単行本1巻は2021年6月16日に発売されました。ぜひご覧ください。

まとめ

今回紹介した以外にも、『うらみちお兄さん』の名言・名シーンはたくさんあります。

うらみちお兄さんの大学時代の話や兎原と熊谷とのエピソードなど過去編も面白いので、気になった方はぜひお手に取ってみてください。

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