三部けい『僕だけがいない街』 – アニメ・ドラマ・映画で人気！ ネタバレありで徹底解説！

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三部けい『僕だけがいない街』 – アニメ・ドラマ・映画で人気！ ネタバレありで徹底解説！

三部けいがKADOKAWAヤングエースで2012年より連載スタートした『僕だけがいない街』。謎が謎を呼ぶストーリーやタイムリープサスペンスのギミックが読者の心を掴み、ドラマ化・映画化・アニメ化されるなど大ヒットしました。

過去と現在に跨いで凶行を繰り返す連続児童誘拐殺人犯の正体は誰か、驚愕の真相をあなたは見抜けましたか？

今回は『僕だけがいない街』のあらすじや登場人物、魅力をご紹介していきます。

『僕だけがいない街』メディア別情報

『僕だけがいない街』原作漫画情報

『僕だけがいない街』はヤングエース2012年7月号から2016年4月号まで連載された、三部けいによるサスペンス漫画です。

単行本は全9巻、2017年2月時点で累計発行部数は429万部突破。『このマンガがすごい！2014』オトコ編第15位、『マンガ大賞2014』第2位に輝きました。

2017年10月にはフランスのSF専門出版社「ActuSF」が選ぶ「歴史改変SF大賞」にて、グラフィック賞にノミネートされました。

これは日本の漫画としては初の快挙です。

原作者の三部けいは3月5日生まれの日本の漫画家。出身は北海道苫小牧市、現在は結婚して千葉県在住です。瓦敬助（かわら けいすけ）の別名義でも活動中です。
過去には荒木飛呂彦のチーフアシスタントを経験しており、『テスタロト』『カミヤドリ』『僕だけがいない街』には、師匠の荒木氏からコメントが寄せられました。

代表作は育児放棄や親の虐待など、家庭に問題を抱えた子供たちが絶海の孤島の秘密を暴く『鬼燈の島』、閉ざされた客船が舞台のゾンビパニック『魍魎の揺りかご』、交感能力を有した双子の片割れの消息を追跡する『夢で見たあの子のために』他。

人間の異常心理や極限状況をリアルに描いた作風に定評があり、最大のヒットとなった『僕だけがいない街』でその真価を発揮しました。

『鬼橙の島』には雛月やケンタのモデルとおぼしきキャラクターがおり、孤立した子供たちが知恵を持ち寄り大人の陰謀を暴いていくストーリー構成も似通っている点から、『僕だけがいない街』のプロトタイプではと一部で囁かれています。

また、『鬼橙の島』に登場する主人公の盲目の妹・鈴原夢の十数年後が『魍魎の揺りかご』で描かれているのにも注目してください。こちらでは女子高生になった夢と、仲間たちのサバイバルが主題となります。

三部けいのTwitterでは妻でありイラストレーターの兼処敬士（かねさだ けいし）や、子供との日常が覗けますよ。

兼処敬士のTwitterはこちら。自作料理や家庭菜園の経過報告の他、夫の作品の宣伝や告知も積極的に行っています。

『僕だけがいない街』アニメ情報

『僕だけがいない街』アニメはフジテレビ木曜24時55分から全12話、1クール放映されました。英語圏でのタイトルは『ERASED』で、「消し去られた」を意味します。

オープニングテーマはASIAN KUNG-FU GENERATION『Re:Re:』。長いイントロからどんどんテンポを上げていく、サビのライブ感が爽快です。

エンディングテーマは酸欠少女さユり『それは小さな光のような』。

さユりのハイトーンボイスが綴るセンシティブな歌詞が、『僕だけがいない街』の世界観によく合っており、哀切な余韻を醸しだします。

酸欠少女さユりは他にも「ゴールデンカムイ」「僕のヒーローアカデミア」「クズの本懐」などアニメ主題歌を多く手がけ、息の掠れ具合が繊細さを孕む独特の歌声でファンを獲得しています。

▼あわせて読みたい！

『僕だけがいない街』の舞台となった北海道苫小牧市とのコラボイベントも2020年まで開催しました。

監督の伊藤智彦氏は2020年「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」、2014年「ソードアート・オンラインII」などが代表作で、2021年「86-エイティシックス-」の絵コンテも担当しました。

『僕だけがいない街』映画情報

映画『僕だけがいない街』は2016年に公開されました。主人公の藤沼悟を俳優の藤原竜也が、彼のバイト仲間のカメラ好き少女・片桐愛梨を女優の有村架純が演じています。最終的な興行収入は14億円でした。

漫画の結末とは大きく異なり、映画版では八代に致命傷を負わされ悟が死亡しています。

『僕だけがいない街』ドラマ情報

2017年、Netflixと関西テレビが共同制作しました。Netflixオリジナルドラマシリーズで、こちらは映画と違い完全に漫画に沿った結末を迎えます。

藤沼悟を俳優の古川雄輝が、片桐愛梨を優希美青が演じています。

『僕だけがいない街』小説情報

一肇（にのまえはじめ）が執筆した『僕だけがいない街』スピンオフノベライズ。タイトルは『僕だけがいない街 Another Record』。

逮捕後の八代が国選弁護人としてケンヤを指名し、スリリングな法廷劇を繰り広げます。巻末には三部けいと一肇の対談も収録されました。

『僕だけがいない街』のあらすじ

藤沼悟（ふじぬまさとる）は29歳の売れない漫画家。優れた画力を持ちながらもストーリーが作れない欠点を抱え、ピザ屋の宅配アルバイトで生活費を稼いでいます。

悟には「再上映（リバイバル）」と本人が呼ぶ特殊能力がありました。それは事故や事件が起きると自動的に発動し、前述の現象の要因が取り除かれるまで過去へ遡行するループ能力でした。

ある日配達中にリバイバルを使い子供を事故から救った悟は、代わりに車にはねられ入院を余儀なくされます。

悟の看病の為に上京した母・佐知子と同居をはじめて間もなく、スーパーの駐車場でまたしてもリバイバルが起きました。

その時は同行していた佐知子が不審な子連れの男に気付き、児童誘拐を未然に防ぎます。謎の男に既視感を覚えた佐知子は、過去に北海道で発生した児童誘拐殺人に彼が関与しているのではと疑いだします。

後日、悟の留守中に佐知子が何者かによって殺害。警察に犯人と間違われた悟は逃亡中にリバイバルに巻き込まれ、小学生の自分の身体に精神だけ入ってしまいます。

当時の悟のクラスには、のちに児童誘拐殺人の被害者となる雛月加代が在籍していました。佐知子の死と過去の事件を関連付けた悟は、雛月を救えれば母も助けられると信じ、行動を起こします。

『僕だけがいない街』登場人物紹介

藤沼悟（ふじぬまさとる）

声優：満島真之介/成人（代表作『にゃんぼー！』ナレーション）土屋太鳳/子供時代（代表作『アイの歌声を聴かせて』シオン）

本作の主人公。北海道苫小牧市出身、1977年3月2日生まれの29歳。

事件や事故が起きた後に過去へ戻る、リバイバル能力を持っています。事件や事故の原因を取り除き修正しない限りリバイバルはループします。

性格は厭世的な皮肉屋、イマドキの冷めた若者です。母子家庭育ちであり、佐知子に反発する場面も多く見られました。しかし本心では母を大事に思っています。

小学生の頃、同級生の雛月加代や友人の杉田広美が児童誘拐殺人の犠牲になった事、その際真犯人に繋がる証言を警察に取り合ってもらえなかった体験がトラウマとなり、人間関係に距離をおくようになりました。

自分と向き合うのを避けてきたせいで漫画のテーマ性を掘り下げられず、編集に苦言を呈されています。

佐知子の悲劇をきっかけにリバイバルが発動し、1988年の北海道へ精神のみ飛ばされます。以降は将来起こり得る母親の事件を回避する為、雛月の救済に奔走しました。

漫画・アニメ・ドラマでは存命ですが、映画では死亡しました。

雛月加代（ひなづきかよ）

声優：悠木碧（代表作『ヒーリングっど♥プリキュア』花寺のどか、『幼女戦記』ターニャ・デグレチャフ、『ユリ羆嵐』百合園蜜子）

本作のダブルヒロインの一人。1977年3月2日生まれ。

悟の元クラスメイトで享年10歳。無愛想で口が悪く、女子グループから孤立していました。
DV癖のある父と離婚後、母・明美とその情夫から虐待を受けています。

激しく殴打された後酷寒の物置に肌着姿で監禁される、頭を掴まれ洗面台の氷水に突っ込まれるなど酷い扱いをされるうち、陰気な性格になっていった背景が示唆されています。

口癖は「バカなの？」。

もともとの時間軸では児童連続誘拐殺人の被害者となり、1988年3月1日に死亡しています。

リバイバルしてきた悟と友情を深め、徐々に彼の友人たちとうちとけていくものの、3月1日を無事乗り越えた矢先に失踪。明美に閉じ込められた物置から誘拐され、殺害後に遺体のみ戻された事実が判明します。

特技はリバーシとトランプ。

児童相談所に保護された後は祖母宅に引き取られ、植物人間になった悟を見舞っていました。佐知子とは疑似親子に近い良好な関係を築いています。
雛月視点の後日談では悟が初恋だった描写が出てきます。

ラストでは広美と結婚し一児をもうけています。子供の性別は原作と映画で異なり、前者は息子、後者は娘です。

片桐愛梨（かたぎりあいり）

声優：赤崎千夏（代表作『呪術廻戦』三輪霞、『食戟のソーマ』薙切アリス、『プリパラ』ファルル）

本作のダブルヒロインの一人。悟がアルバイトしているピザ屋「Oasi Pizza」で働く17歳の女子高生です。店長に好意を持たれてますが気付いていません。

快活で裏表がなくコミュニケーション力が高いです。悟にはやや苦手意識を持たれていました。趣味はカメラで将来はプロカメラマンを目指しています。

悟に命を助けられたのをきっかけに交流が始まり、特に佐知子に気に入られました。

子供時代に父が万引きを疑われ村八分に遭い母と離婚に至った経験から、人を信じることに並々ならぬこだわりを見せ、悟の最大の理解者にして味方となります。

藤沼佐知子（ふじぬまさちこ）

声優：高山みなみ（代表作『名探偵コナン』江戸川コナン、『忍たま乱太郎』乱太郎）

悟の母。北海道苫小牧市在住です。52歳とは思えないほど若作りな美人でさばさばした性格。元テレビ石狩の報道部アナウンサーで、当時地元で起きていた児童連続誘拐殺人を取材していました。

彼女の死がきっかけとなり、悟は過去に戻ります。

小林賢也（こばやしけんや）

声優：柄本佑/成人（代表作『ROAD TO EDEN』カイト）大地葉/子供時代（代表作『かげきしょうじょ!!』星野薫）

悟の同級生で友人。愛称はケンヤ。一緒に秘密基地を作っていました。クレバーでクールな優等生です。不審な言動から悟の中身が別物な事を直感するなど、非常に洞察力が優れています。

悟が真実を告白した事で全面的に彼に協力し、1988年の児童誘拐連続殺人を防ぐべく奔走。その後は父の勧めで弁護士になり、独自の人脈で事件を調べ続けます。

杉田広美（すぎたひろみ）

声優：鬼頭明里（代表作『鬼滅の刃』竈門禰豆子、『シャドーハウス』ケイト、『ウマ娘プリティーダービー』セイウンスカイ）

雛月も犠牲になった児童連続誘拐殺人、最後の犠牲者。悟の同級生で友人でもありました。女の子のように可愛らしい顔と名前に加え、気性が優しい少年でした。

2006年では雛月と結婚し一児の父となって再登場します。

八代学（やしろがく）

声優：宮本充（代表作『ザ・シンプソンズ』ヒュー・パークフィールド、『バグズ・ライフ』フリック）

1988年当時の悟たちの担任。明るく爽やかなイケメン教師ですが、その本性はサイコパスなシリアルキラー。児童連続誘拐殺人の真犯人にして、20006年に藤沼佐知子を殺した男。

コミュニケーション不全の青年を身代わりの犯人に仕立てる、捜査を攪乱する為にわざと嗜好の対象外の男児（広美）を殺すなど、隠蔽の手口は非常に狡猾巧妙。2006年時点も犯行を継続しており、目撃者の佐知子に口封じを行いました。

心理学に造詣が深く、他人をコントロールする術に長けています。

幼少期は名家に生まれるも、兄のDVにより虚無的な性格に。

兄に脅され物置に女の子を連れ込む手伝いをしていたある日、手違いで被害者が死亡。隠蔽工作を施します。

これがきっかけで「他者をコントロールする快楽」に目覚めた学は兄を殺害、生と死のはざまで人があがく姿に愉悦を見出すモンスターに変貌します。

同級生の女子に増え過ぎたハムスターを譲られた際は、溺死した仲間の上に辛うじて立っていた一匹をスパイスと名付け、偏執的に溺愛しました。

人間の頭の上に蜘蛛の糸を見ている描写がありますが、幻覚か現実かは明らかにされていません。

『僕だけがいない街』ラストは？映画・アニメ・漫画の違いを解説

『僕だけがいない街』映画ラストで悟は死亡、雛月の子供の性別は女

映画『僕だけがいない街』は主人公死亡のバッドエンドです。映画公開時はまだ原作が完結しておらず、オリジナルのラストを用意するしかなかったにしても、大胆な改変は賛否両論を招きました。

映画版ではリバイバルによる過去改変が影響をもたらし、2006年時点の佐知子と雛月は生存していました。この時間軸の悟は漫画家として成功を掴み、ピザ屋でバイトしてない為愛梨と接点がありません。弁護士となったケンヤは引き続き児童連続殺人の真相を追っていました。

悟と再会した八代は殺人の動機を告白。

悟は八代が新たな犠牲者を生むのを阻止すべく掴みかかり、首をナイフ切り付けられました。

結果、八代は逮捕。
さらに十年後、悟の死を悼んで佐知子とケンヤ、娘を連れた雛月が集合。プロカメラマンとなった愛梨が、悟の遺作となった漫画『僕だけがいない街』を読了した所で終わります。

『僕だけがいない街』アニメ11話からは八代の心情にフォーカス

アニメ『僕だけがいない街』は11話まで原作準拠のストーリーです。しかし原作未完な為、三部けいから聞いた展開をベースにオリジナルアレンジを加えました。

原作において八代と悟が対峙する最終局面はキャンプ場ですが、アニメでは病院の屋上に変更。

悟は植物人間の自分にとどめをささなかった理由を「俺はあなたの生き甲斐で希望だから殺せなかった」と看破。八代は唯一自分の本性を見抜き、真相に迫った悟を宿敵と認め、異常な執着を抱いていたのです。

悟は八代から生き甲斐を奪うために屋上から身投げ。

好敵手に先立たれた八代は激しく動揺し後追いを企てるものの、悟は予め用意していたクッションのおかげで無事でした。

2010年、漫画家になった悟は散歩中に愛梨と邂逅します。

八代と悟の関係性にフォーカスしてるので、二人が好きな方はアニメから入るのもいいかもしれません。

『僕だけがいない街』漫画ラスト、伏線が回収された綺麗な大団円

漫画『僕だけがいない街』終盤では、悟と同じ病院にいた小学生・久美がキーパーソンとなります。八代は久美を次のターゲットに決め、悟はそれを止めるべくキャンプに参加。

キャンプ場の吊り橋の上で八代と対決し、彼が用意した爆弾で吹き飛ばされそうになりますが、間一髪八代もろとも池にダイブ。

真犯人が逮捕された事で久美や雛月、佐知子の日常は守られ、悟は最後のリバイバルが起きた場所で愛梨と再会を果たします。

アニメでは一部割愛された八代の過去もよくわかり、最も綺麗にまとまっている印象でした。Netflixのドラマは原作に沿って進行します。

おわりに

以上、『僕だけがいない街』のあらすじや登場人物、魅力をネタバレ解説しました。メディアミックスが著しいことからも、本作の完成度の高さが伝わるのではないでしょうか。

まだご覧になってない方はぜひ『僕だけがいない街』の世界に飛び込んでください。

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この記事を書いた人

まさみ

都内在住ライター。漫画・アニメ・小説・海外ドラマ・映画好き。趣味は読書とYouTubeとネトフリ視聴、好きな作家は恩田陸・浅田次郎・平山夢明・東山明良・古川日出男。BL小説書いてます。

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