毎日向き合うべき仕事に対する不安や葛藤という現実的な側面と、超自然的な怪異と闘う魔法少女という、現実と虚構を巧みに組み合わせて描く斬新な発想で高い評価を得ているアニメ「株式会社マジルミエ」。
多くの人を惹きつける作品の魅力はどこにあるのか、アニメの世界観とマッチした主題歌とともに解説していきます。
目次
アニメ「株式会社マジルミエ」とは?
✡┊✧・゚•.お仕事×魔法少女+:。:✧┊🪄
💼📝『株式会社 #マジルミエ』🖊💻
☆★━━━━━━━━━━━━━━━━★☆2⃣0⃣2⃣4⃣年にTVアニメ化決定🎉
TVアニメ化を記念して
スーツ姿の主人公・桜木カナと魔法少女姿の越谷仁美が描かれたティザービジュアルを公開https://t.co/cnBEvPPFd9 pic.twitter.com/B68kRfJPoI— 株式会社マジルミエ【公式】 (@MagilumiereLtd) November 28, 2023
この作品のジャンルは、いわゆる「魔法少女もの」のファンタジーなのですが、多数ある既存作品との大きな違いは、物語の主要な舞台が異世界ではなく、あくまで現実の世界での出来事を描いているという点にあります。
魔法を超常現象として登場させるのではなく、専門知識を身に付けた「魔法エンジニア」が適正に管理する科学技術のようなものとして登場させ、その魔法を駆使して、人類を脅かす怪異、つまり自然災害の一種と闘う魔法少女たちの活躍を描いています。
「魔法少女といえば、現実と隔離された異世界で様々な敵と闘うもの」という固定観念を斬新な発想で打ち破った作品です。
作品概要
「株式会社マジルミエ」はもともと、原作を岩田雪花、作画を青木裕が担当している漫画作品です。2021年10月からWebマンガサイト「少年ジャンプ+」で連載が開始され、2024年10月時点で、単行本が14巻まで刊行されています。
KADOKAWAグループが運営する一般読者参加型の漫画賞「次にくるマンガ大賞」において、2022年にはWebマンガ部門で第3位に選ばれるなど多くの読者から高い評価を受け、熱烈な応援の声に後押しされる形で、2023年11月にはアニメ化が発表されました。
アニメ「株式会社マジルミエ」は、2024年10月より日本テレビ系列を中心に放送中で、さらにAmazon Prime Videoをはじめ様々なストリーミングサービスで配信されています。
また、アニメに連動するラジオ番組「株式会社マジルミエ ラジオ広報部」も、文化放送インターネットラジオ「超!A&G+」にて放送中。(アーカイブ配信はYouTubeのアニメ「株式会社マジルミエ」公式チャンネルにて配信)ヒロイン・桜木カナ役のファイルーズあいがパーソナリティーを務めるこちらの番組も見逃せません。
あらすじ・登場人物
すでに紹介したとおり、アニメ「株式会社マジルミエ」の舞台は現代の日本です。
ヒロインの大学生・桜木カナは、誰かの役に立ちたいという目標を持って就職活動に臨んでいましたが、大企業を中心に志望していたこともあり、いわゆる「お祈りメール」をもらうばかりの苦しい日々が続きます。
ある日、桜木カナは終活のために赴いたとある企業で「怪異」と呼ばれる自然災害に巻き込まれてしまいますが、企業からのSOSを受けて駆けつけたヤンキー気質の魔法少女・越谷仁美に窮地を救われ、突発的な事情から、予想外に強大な怪異と闘う越谷をサポートすることになりました。
驚異的な記憶力や冷静な判断力を持つ桜木カナの力もあって怪異を退治することに成功。そうした縁もあり、魔法少女としての素質を見出された桜木カナは、SOSの声を受けて迅速に魔法少女を派遣するベンチャー企業・株式会社マジルミエに、新卒として入社を果たします。
この世界における魔法少女とは、子供の頃に誰もが一度は憧れるという現実の職業。人命を預かる魔法少女としての重い責任や、仕事に対する期待や不安を胸に抱きながら、桜木カナは社会人としての第一歩を踏み出しました。
アニメ「株式会社マジルミエ」の魅力
特に若い世代にとって切実かつ身近な問題である「就活」というテーマと、現実からかけ離れた「魔法少女」というキャラクターを融合させたことに、この作品の斬新さと魅力があります。
ファンタジックな存在である魔法少女と現実世界を組み合わせるための手法として、魔法をいかに現実のものとして表現するかという工夫がなされていることもポイント。
その工夫の例として、本作に登場する魔法の要素は現実世界にある科学に近いもので、専門知識を持つ魔法エンジニアがそれぞれの魔法少女に合わせてコスチュームや魔法を開発、あるいは調整するという設定があります。
魔法少女が飛行手段として用いる「ホーキ」はジェット噴射によって高速で飛行し、さながらUSBメモリのようなガジェットを用いて怪異を討伐します。魔法少女にとって怪異との戦いは日常的な「業務」であり、作中で飛び交う専門用語からは、異世界チックな雰囲気をあまり感じません。
就職活動ではみじめな失敗続きで、自分に自信が持てない桜木カナが、越谷仁美をはじめとする個性的なキャラクターと出会い、奇想天外な体験を通して「自分には何ができるのか」あるいは「自分はそもそも何がしたいのか」という大切なことを見つけていく筋書きは、多くの人の感情移入を誘います。
将来のビジョンが最初から明確に描けている人はなかなかいないうえに、たとえ夢や目標が明確に描けている場合でも、描いた目標までまったく苦労をせずたどり着ける人など皆無です。
どんな目標を達成するにせよ地道な努力が不可欠で、一見すると無駄な努力に思えることでも、後から振り返って考えれば無駄ではなかったと思えることも多々あるという普遍的かつ大切なことを、この物語は教えてくれます。