「涼宮ハルヒの憂鬱」は、谷川流によるライトノベルが原作となったTVアニメです。
2006年4月から全14話が放送され、2009年4月から新作14話を加えた全28話が放送されました。アニメ放送から10年以上たった今もなお多くの人に愛され続けています。
今回は、そんな「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズの人気楽曲を7曲厳選しました。アニメをより魅力的なものにしている楽曲の数々にご注目ください!
目次
「涼宮ハルヒの憂鬱」とは
「涼宮ハルヒの憂鬱」は、高校入学時に「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上!」と言い放つような涼宮ハルヒと、それに振り回されるSOS団のストーリーです。
SOS団とは、「世界(SEKAI)を大い(OOI)に盛り上げるための涼宮(SUZUMIYA)ハルヒの団」の略称。「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこと」を目的に涼宮ハルヒが設立したクラブです。メンバーは涼宮ハルヒ、キョン、長門有希、朝比奈みくる、古泉一樹です。
実は、涼宮ハルヒは世界を思い通りにできてしまう人物。彼女が「夏休み終わらないで」と願えば、永遠に夏休みは続きますし、「その猫、喋りなさい」と言えば、その猫は日本語を喋ります。ただ、彼女本人は自分の力に気付いていません。涼宮ハルヒを野放しにしておくと危険だと判断した組織から監視役として派遣されたのが、宇宙人である長門有希、未来人である朝比奈みくる、超能力者である古泉一樹なのです。主人公であるキョンは、SOS団の中では唯一何の変哲もない普通の人間です。
2006年放送バージョンでは時系列がランダムに放送されたことでも話題となりました。監督曰く、「原作に忠実な作品を作りつつ、原作ファンにも楽しんでほしかった」という理由から、そのような放送順になったとのこと。
2009年放送バージョンでは、時系列順に放送されたものの、追加エピソードとして放送された「エンドレスエイト」がファンをざわつかせました。なぜなら、ほぼ同じ内容のストーリーが8週連続で放送されたから。リアルタイムで視聴していたファンにとっては、終わりが見えない生き地獄だと例えられることもありました。
「涼宮ハルヒの憂鬱」人気曲7選
冒険でしょでしょ?
涼宮ハルヒ役の声優・平野綾が歌唱している「冒険でしょでしょ?」。明るいメロディーで、ワクワクとした気持ちが詰まった曲です。
涼宮ハルヒは、自由奔放で、おもしろいことのためならばなんでも犠牲にしてしまうような人物。そんな彼女が願うことは、なんでも現実になってしまいます。「ホントが嘘に変わる世界」とは、まさに涼宮ハルヒが生きている世界のことを指しているのです。
そして、「あなたを選んだ私です」「一緒に来てくださいっ」と、特別な誰か一人のために歌っているような言葉がところどころに散りばめられています。いつも無茶ばかりする涼宮ハルヒを「やれやれ」の一言で済ませ、なんだかんだそばにいてくれる主人公・キョン。そんな彼への恋心に似た特別な気持ちを歌っているのではと捉えることもできますね。
「答えはいつも私の胸に…」の一言から始まるこの曲は、「私はこれからも自分が信じる方へと突き進むからついてきなさいよ!」という涼宮ハルヒの気持ちが詰まった楽曲ではないでしょうか。
Super Driver
涼宮ハルヒ役の声優・平野綾が歌唱している「Super Driver」。疾走感に溢れ、おもしろいことに向かって突っ走る涼宮ハルヒの姿をそのまま映し出したような楽曲です。
他人の顔色を伺いながら自分の気持ちを押し込める場面は誰だってありますよね。気が進まないことでも受け入れてしまったり、場を丸く収めるために嘘をついてしまったり…。しかし、涼宮ハルヒは一切そういった忖度をしません。ダメなものはダメ!嫌なことは嫌!と自分の軸をしっかり持った彼女。「堂々と断っちゃう キミになりなよ」「くだらないやり方蹴って すべてはあたしが決める!」という言葉からは、涼宮ハルヒの真っすぐな生き方を感じ取ることができます。
ドキドキすること、夢みたいにクラクラすることに向かって進路を定め、「Super Driver 突進まかせて なんてったって前進」と、SOS団を操縦する涼宮ハルヒを色濃く映し出した一曲と言えるでしょう。
ハレ晴レユカイ
涼宮ハルヒ役の平野綾、長門有希役の茅原実里、朝比奈みくる役の後藤邑子のSOS団の女性メンバー3人が歌唱している「ハレ晴レユカイ」。アニメ内ではキャラクターによるダンスも公開され、覚えやすくかわいらしいダンスも本楽曲の人気を後押ししました。
「ワクワクしたいと願いながら過ごしてたよ かなえてくれたのは誰なの?」という歌詞は、涼宮ハルヒの想いをそのまま映し出したような言葉。ハルヒ本人は気付いていませんが、たくさんのワクワクを起こしているのは、他の誰でもなく涼宮ハルヒです。彼女が願えば世界はすぐに形を変えてしまいます。
サビ直前には、右手で頭を抱えるような振り付けがあります。これは、涼宮ハルヒの行動に振り回されながらため息をつくような主人公・キョンの姿を表現しているかのよう。イベントでは声優たちが自分のキャラクターの振り付けを踊りながらパフォーマンスすることもありました。
ハレ晴レユカイと言えば涼宮ハルヒの憂鬱!涼宮ハルヒの憂鬱と言えばハレ晴レユカイ!というような、本アニメの顔となる一曲です。
止マレ!
第2期のエンディングテーマである「止マレ!」。涼宮ハルヒ役の平野綾・長門有希役の茅原実里・朝比奈みくる役の後藤邑子が歌唱しています。
この曲で注目したいのは、本楽曲の歌詞は、アニメの続編として公開された劇場版「涼宮ハルヒの消失」が意識されているのではないかということ。
やっぱり何かヘンだよ 心のキミが消えた 確かに憶えてるって言えるのかい?
もう忘れてた キミを探そう
あの出来事が キミの足あと
「涼宮ハルヒの消失」では、世界が改変され、それぞれの記憶から主人公・キョンが消えてしまいます。自分を忘れてしまったSOS団を相手に、元の世界に戻そうと一人奮闘するキョン。劇場版のキーワードになるような言葉が散りばめられた楽曲です。
「いま思えば笑えるほどだったよね」という歌詞から、様々な出来事に振り回されつつも、楽しい時間を過ごしているSOS団たちの気持ちを汲み取ることができます。タイトルに付けられた「止マレ!」という言葉は、楽しい時間よ止まってくれ!と願う気持ちなのかもしれません。
恋のミクル伝説
一度聴くと忘れられない衝撃を与えてくれる「恋のミクル伝説」。朝比奈みくる役の後藤邑子が歌唱しています。
朝比奈みくるは、「ロリで巨乳なマスコットキャラ」として涼宮ハルヒに無理やり連れてこられ、SOS団に入団した人物。突然バニーガールの衣装やメイド服を着させられたりと、涼宮ハルヒに振り回される学園生活を送っています。
本楽曲も、涼宮ハルヒの無茶ぶりにより歌うこととなりました。出だしの「ミ・ミ・ミラクル☆ミクルンルン☆」からは戸惑いと不安の気持ちがビシビシと伝わってきます。終始自信なさげに歌い、ちょうどよい程度の音痴っぷりに心地よさを感じます。
実は本楽曲にはレコーディング時の秘話があります。それは、前振りなしの一発撮りだということ。「今から曲を流します」などの合図もなく、突然BGMが流れ出し、声優の後藤邑子は慌てて歌い出したと言います。音楽が鳴り続けるので後藤邑子も歌うのを止められず、歌唱後、ブースの外を見ると、スタッフ全員が大爆笑。「これでいこう」とその音源が採用されたのです。
常にオドオドして不安そうな表情を浮かべる朝比奈みくると、前振りなしで流れ出した音楽に慌てて歌う声優・後藤邑子の戸惑いがうまくリンクして輝きを増した一曲です。
God knows…
TVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のオープニングテーマでもエンディングテーマでもなく、アニメ内で1度流れただけの楽曲「God knows…」。しかし、瞬く間に大人気の楽曲となり、アニメ放送から10年以上経った今もなおアニソンカラオケランキングで上位に君臨する一曲です。
本楽曲が流れるのは、学園祭での一幕。ステージ演奏を控えていたガールズバンド「ENOZ」のボーカルが扁桃炎で出演できなくなり、その代役として涼宮ハルヒがボーカルを務めることになりました。
全校生徒の前にバニーガールの服装で登場し、演奏を始めた涼宮ハルヒ含むENOZ。観客は呆気にとられ、ステージをただ見つめるだけでしたが、段々と音楽に引き込まれていきます。最後には大喝采が巻き起こり、ステージは大成功。いつもは自己中で身勝手な振る舞いをし、クラスメイトに煙たがられがちの涼宮ハルヒが、ENOZのメンバーに感謝され、戸惑うシーンもありました。
タイトルの「God knows…」は、「神のみぞ知る」という意味。誰かを一途に思っているヒロインが主人公になっている本楽曲ですが、世界を思い通りにできる涼宮ハルヒを神だと考えると、本アニメらしい一面が見えてきます。
歌詞の冒頭の
渇いた心で駆け抜ける ごめんね何もできなくて
涼宮ハルヒは、自分に自信があり身勝手な振る舞いをする人物のため、決して「ごめんね」と言うような人物ではありません。しかし、心に負荷がかかり精神的に不安定な状態となると「閉鎖空間」という別世界を作り出してしまうほどの繊細な心の持ち主。
カラカラの喉で水を求めるかのように、常に渇いた心でおもしろい出来事を求め続ける涼宮ハルヒですが、彼女のそういった気持ちが多くの人を巻き込み、時には傷つけてしまっていると知ったとき、彼女は「ごめんね」と思うのかもしれません。ただそれは、SOS団の前では決して口に出すことはないでしょう。今の自分と乖離し、物事を離れた場所から神の目線で見たときの彼女の気持ちが歌われていると捉えることができます。
サビでは、この歌の主人公となるヒロインが、より強く「あなた」を想う歌詞が描かれています。
私ついていくよ どんな辛い世界の闇の中でさえ きっとあなたは輝いて
学校では変わり者扱いされ、常にひとりぼっちだった涼宮ハルヒ。ただ、主人公・キョンだけは、彼女がどれだけ突飛な行動をとってもそばにいてくれました。アニメ内では、突っ走る涼宮ハルヒの後ろをキョンが仕方なくついていく描写がされていますが、涼宮ハルヒにとっては、どんな状況でも常に変わらずいてくれるキョンに心強さを感じる場面もあったでしょう。「私ついていくよ」は涼宮ハルヒのキョンに対する心の声なのかもしれません。
次に注目したい歌詞が2番のサビにあたるこちらの歌詞。
暗い未来だって 強くなって運命変えられるかもね
先述の通り、涼宮ハルヒは精神的に不安定な状態となると「閉鎖空間」を作り出してしまいます。「閉鎖空間」の中で「神人」と呼ばれる巨人が建物を破壊し、それを放置してしまうと、範囲が広がった「閉鎖空間」と現実世界が入れ替わり、世界が滅びてしまう可能性も。それを防ぐために、超能力者や宇宙人が涼宮ハルヒを監視しているというのが今の状況なのですが、そのことを彼女本人は全く知りません。
神の目線からこの状況を涼宮ハルヒが見た時、彼女は「自分の精神状態が安定していると、世界は平和でいられる」ということを知ります。言葉の通り、「自分が強くなれば、暗い未来の運命だって変えられる」のです。
リアルな演奏映像と涼宮ハルヒの世界観が色濃く反映され、放送から年月が経った今もなお不動の人気を誇る一曲です。
優しい忘却
TVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の続編となる劇場版「涼宮ハルヒの消失」の主題歌である「優しい忘却」。本映画のキーパーソンとなる長門有希役の声優・茅原実里が歌唱しています。
ピアノの音色が歌声を優しく包み込むような楽曲で、どこか切なさが漂う本楽曲。涼宮ハルヒを監視するために機関から送り込まれた宇宙人である長門有希ですが、物語の中で、人間らしい感情の揺れを自覚するようになります。それを長門有希自身は「エラー」だと認識し、組織は長門有希の処分を検討します。
消える世界にも わたしの場所がある
また会うまで 忘れないで
願いが叶っても 忘れないで 忘れないで
という歌詞からは常に無表情無感情の長門有希の心の叫びを感じ取ることができます。涼宮ハルヒの監視のために送り込まれた彼女でしたが、SOS団として送る日々は楽しいものだと感じていたのでしょう。別れを惜しむような言葉の数々に、目頭が熱くなります。
まとめ
「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズの人気楽曲を7曲紹介しました。作品をより魅力的にしてくれている楽曲の数々、いかがでしたでしょうか。
気になるものがあれば、この機会にぜひじっくりと聴いてみてくださいね。
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