ロックとクラシックを融合させた楽曲で、他のアーティストとは明らかな一線を画す「BIGMAMA(ビッグママ)」。
インディーズで長く活動していた彼らは、2018年にメジャーへと移りました。
BIGMAMAの最大の特徴は、ロックバンドでありながらバイオリンを擁すること。
「ロックとクラシック」、本来ならば相反する位置にあるジャンルの融合は、とても洗練された音を生み出すことに成功しました。
そんな唯一無二のバンド、「BIGMAMA」にスポットをあてます。
目次
BIGMAMAのヒストリー
結成
2002年、Vo.金井政人さん(当時はVo.とBa.を担当)とGt.柿沼広也さんが高校2年で同じクラスになり、出席番号順が並んでいたことから、次第に話をするようになりました。
音楽が盛んな学校だったこともあり、ライブハウスなどで音楽活動をする生徒が多くおり、二人も例外ではなく、音楽の話で意気投合します。
柿沼広也さんのバンドに、サポートメンバーとして金井政人さんが参加することになり、さらに仲を深めていきました。
同年、金井政人さんと同級生のDr.リアド偉武さんらがバンドを始めようとする中、金井政人さんと共鳴した柿沼広也さんもギタリストとして参加し、BIGMAMAを結成しました。
アメリカの人気パンクバンド・YELLOWCARD(イエローカード)のコピーバンドとしてスタートさせたBIGMAMAは、2004年にバイオリンを加えて5人体制に進化します。
インディーズデビュー
2006年7月、大学在学中にミニアルバム『short films』をリリースし、新人としては異例の約1万枚を売り上げました。
同年9月、周りが就職活動を活発にさせる中、メンバーのベースとバイオリンが脱退。
2007年、就職はせずに音楽で生きていくと決めた3人は、高校の同級生であるBa.安井英人さんと3歳年上のViolin.東出真緒さんを新メンバーに迎え、新生BIGMAMAをスタートさせます。
2007年12月、1stアルバム『Love and Leave』をリリースし、売上枚数25000枚を記録。
2008年には、ROCK IN JAPAN FESTIVAL、SUMMER SONIC、COUNTDOWN JAPANに初出演し、堂々のステージでオーディエンスを魅了しました。
2010年、コンセプトアルバム『Roclassick』をリリースし、バンドの最大の特徴である「ロックとバイオリン」の融合を改めて打ち出し、ロック界に新風を巻き起こします。
2015年2月にリリースしたアルバム『 The Vanishing Bride』をひっさげ、4月〜10月まで開催された自身最長のワンマンツアー「 The Vanishing Bride Tour 2015 ~消えた花嫁を探せ!~」を完走。
コンスタントに作品をリリースしていくと同時に、ライブ活動も精力的にこなしていき、インディーズシーンにおいて唯一無二の存在へと上りつめていきました。
2016年には、沖縄の人気バンドHYとタッグを組み、アルバム『Synchronicity』をリリースし話題に。
デビュー10周年を迎え、「BIGMAMAnniversary 2016~2017」と銘打ったマンスリー企画を開催し、さらなる飛躍の年としました。
2017年、9月にはベストアルバム『BESTMAMA』をリリースし、翌月にはBIGMAMA初の日本武道館単独公演を開催し、チケットはソールドアウトで見事に大成功を収めます。
メジャーデビュー
2018年、シングル『Strawberry Feels』をリリースし、ついにメジャーデビューを果たします。
同作は、TBS系列のドラマ「賭ケグルイ」season1の主題歌に起用され、一気に知名度を上げました。
同年10月には、アルバム『-11℃』をリリースし、2019年にかけて全国ツアーを開催。
メジャー2作目のシングル『mummy mummy』も、ドラマ「賭ケグルイ」season2の主題歌に。
同年12月、コンセプトアルバム『Roclassick〜the last〜』をリリース。
2020年5月10日、母の日にシングル『セントライト』をリリースするとともに、Dr.リアド偉武さんが脱退。
メンバーは4人となり、新たな体制で活動を開始しました。
BIGMAMAの魅力
ロックとクラシックの融合
BIGMAMAの大きな魅力といえば、やはりロックとクラシックの融合です。
バンドの紅一点、東出真緒さんが織りなすバイオリンの音色は、ロックと融合することによって不思議なくらい美しく聴こえます。
ロックバンド特有の迫力のある音の中でも、バイオリンの音は確かな存在感を放ち、何一つ違和感を感じさせません。
むしろ、なくてはならない音色の一つになっているのです。
コンセプトアルバム『Roclassick』には、数あるクラシックの名曲をBIGMAMA的に解釈し、新たに構築させた楽曲が収録されています。
偉人たちが残した名曲に、最大限の敬意を払いながら生み出されるBIGMAMAの楽曲は、まるで音楽が生きているような、もしくは眠っていたのに目を覚ましたかのような、みなぎる生命力を感じます。
これほどまでに音楽に幅を持たせ、可能性を広げることに成功したバンドは、BIGMAMAのほかにいないと言っても過言ではないでしょう。
金井政人の思い描く世界観
BIGMAMAのすべての楽曲の作詞をしている金井政人さんの世界観。
BIGMAMAの魅力を生み出している根源です。
常にメッセージ性とストーリー性を持ったBIGMAMAの楽曲は、どれか一つアルバムを聴いてみれば、その深さがわかります。
なぜこの音なのか、なぜこの歌詞なのか、なぜこの曲順なのか。
単純にいい曲を作っているだけではない、それぞれの楽曲に存在意義をしっかり持たせているということが、金井政人さんの世界観の凄さです。
そして、それを可能にしているのが、互いの信頼関係。
ストーリーを紡ぐ金井政人さんは楽器隊に絶大なる信頼を寄せ、楽器隊は金井政人さんの描く世界を深く理解しているのでしょう。
この関係性なくしては、BIGMAMAの素晴らしさは生まれないのです。
BIGMAMAメンバー
金井政人(かない まさと)
BIGMAMAのフロントマンを務める金井政人さん。
ミュージシャンとして活躍する傍ら、絵本作家としての顔も持ち合わせています。
金井政人さんの歌詞は、切り口が時にとても繊細で、胸にスッと落ちてくるようです。
新型コロナウィルスが流行し、ステイホームを強いられている間、ひたすら文章を書いていたという金井政人さん。
甘いルックスも人気で、モデルを務めることもあります。
柿沼広也(かきぬま ひろや)
BIGMAMAのギターを務める柿沼広也さん。
就職活動の時にはすでに内定をもらい、バンドをやめるつもりでしたが、本気で音楽を続けたいという強い思いを抱くメンバーの気持ちを知り、思いとどまって音楽へのスイッチが入りました。
かつて、元メンバーのリアド偉武さん、ロックバンド・ TOTALFATのKubotyさん、the telephonesの長島涼平さんとともに、謎の新人バンド「megsri(めぐすり)」を結成していました。
Instagramに度々登場する飼い猫の名前は、「おむすび」ちゃんです。
安井英人(やすい ひでと)
BIGMAMAのベースを務める安井英人さん。
2007年にBIGMAMAに加入しましたが、誘われた時には即答で「やる!」と返したそうです。
ロングヘアーをなびかせながら奏でるベースは、とても安定感のある音で、BIGMAMAの土台となっています。
使用しているベースは、YAMAHA BBP35です。
東出真緒(ひがしで まお)
BIGMAMAのバイオリン&キーボードを務める東出真緒さん。
バンドの紅一点で、BIGMAMAの最大の武器と魅力であるバイオリンの美しい音色は、東出真緒さんの繊細なテクニックによるもの。
バイオリンの他にも、ハープを弾くことができるアーティスティックな女性です。
2匹の保護猫、サバ白の「ニノ」ちゃんとキジ白の「アメリ」ちゃんと暮らしています。
BIGMAMAおすすめ曲
『誰が為のレクイエム』
アルバム『Roclassick〜the last〜』に収録されているこの楽曲は、イタリアの作曲家ジュゼッペ・ヴェルディの『レクイエム「怒りの日」』を再構築したものです。
壮大な音の広がりと複雑に混ざり合う旋律が、実に美しい1曲です。
『かくれんぼ』
金井政人さんの繊細な歌詞を味わうことのできる感動の1曲です。
失恋をした女性の目線で描かれる世界は、金井政人さんにしかできない描き方です。
ファンからも多くの支持を集める代表曲の一つです。
『Swan Song』
誰もが聴いたことのある名曲、チャイコフスキーの『白鳥の湖』を原題にしています。
優雅で美しい原曲を、激しく、そしてダークに表現しています。
バイオリンが見事にロックと融合している様を、ありありと見せつけられる楽曲です。
『シンクロニシティ』
沖縄の人気バンドHYとタッグを組んだアルバム『Synchronicity』に収録されています。
出会うべくして出会った二つのバンドが、当然のように共鳴し合った1曲です。
BIGMAMAの良さ、HYの良さ、全てを味わえます。
終わりに…
2020年は、4,5月に開催予定だった Roclassick tour 2020や、8月に出演予定だった MAN WITH A MISSION presents「THE MISSION」などが相次いで中止になってしまい、BIGMAMAをはじめ多くのアーティストの生音を聴くことができない事態となってしまいました。
ファンにとっては、とてもつらい年となってしまいましたが、BIGMAMAは必ずまたファンの前に帰ってきて、エネルギッシュなステージを披露してくれることでしょう。
しかし、BIGMAMAの楽曲はライブで聴くのも最高ですが、ヘッドフォンで耳と神経を研ぎ澄まして聴いてみると、さらに素晴らしさが味わえます。
他にはない彼らだけの魅力的な音楽を、ぜひ堪能してください。