2019年12月20日、嵐が記念すべきデビューシングル「A・RA・SHI」の“Reborn曲”としてYouTubeでデジタル配信をスタートした「A-RA-SHI:Reborn」。
同曲をRebornシリーズ第1弾として過去のシングル曲をリプロダクションする企画が現在進行中で、これまでに全5曲が発表されています。
2020年末をもって活動休止する嵐が、ラストイヤー目前のタイミングでこのような企画を始めた理由とは一体何なのでしょうか。
オリジナルとの比較、Reborn曲の音源やリリックビデオの考察を通してその理由に迫ると共に、Reborn曲ならではの魅力にも迫っていきたいと思います。
目次
「Reborn」とは?
Rebornという言葉には、“生まれ変わった”や“再生した”という意味があります。
今回、新曲のタイトルに“Remake(リメイク)”ではなく“Reborn”という表現を用いた背景には、オリジナル曲をあくまでアップデートという形でリプロダクションすることにより、改めて今の嵐が持つ魅力を伝えようとした意図があると考えられます。
これまでに発表されたReborn曲
「A-RA-SHI:Reborn」
Rebornシリーズ第1弾として、2019年12月20日にYouTubeで初公開。
嵐の代表曲ともいうべきデビューシングル「A・RA・SHI」をリプロダクションしたナンバーです。
オリジナル曲との比較
こちらは、オリジナル曲の公式MVです。
「A・RA・SHI」といえば、聴き手も思わずノリノリになってしまうほどのヒップホップ要素が強いダンスチューンとしてファンの間で愛され続けてきた名曲です。
オリジナル曲では、櫻井翔さんのラップパートを除いて全体的にメンバー5人の歌声のハーモニーを聴かせるような印象でしたが、Rebornされた楽曲はそのイメージをガラリと一変しました。
ソロパートが増加して“一人一人の存在の大きさ”を感じるようになっただけでなく、歌声も少年らしい元気いっぱいのイメージから落ち着いた大人の雰囲気へと変化しているところに各メンバーの成長ぶりが感じられます。
様々な舞台での活躍を通し、確立されたそれぞれの個性が歌を通して存分に発揮されているようです。
メロディーも現代的なEDMをベースにしたものへとアップデートされ、同じ曲とは思えないほどの異質感に驚かされました。
さらに、世界を意識したかのような英語歌詞への大幅な変更点も注目ポイントです。
中でも以下のような大きな変化部分が、ファンからの注目を集めています。
- 「ボクらはいつも探してる でっかい愛とか希望探してる」→「僕ら未だ まだ見てる でっかい愛とか希望探してる」(櫻井翔さんのラップパート)
- 「A・RA・SHI, A・RA・SHI for dream」→「A-RA-SHI, A-RA-SHI My dream」(サビ部分ラスト)
“ボクらはいつも探してる”から“僕ら未だ まだ見てる”への変更部分には、これまでの歩みを感じさせながらまだまだ先に進んでいこうとする嵐の強い意志が表れている印象。
“for dream”から“My dream”への変更部分には、デビュー当時は夢に向かって進んでいた嵐が今は自分たちの夢に向かって進むようになったという変化が読み取れます。
また、タイトルの「A・RA・SHI」が「A-RA-SHI」に生まれ変わった部分からも20年以上の歳月を共に過ごしたメンバーたちの繋がりが点から線へとより太いものに成長したことを感じ取れる気がしました。
Reborn曲によって、デビューしてから積み重ねてきた努力や仲間との繋がり、さらに将来的にも応援し続けてほしいというファンへの思いを表現したのではないでしょうか。
「a Day in Our Life:Reborn」
Rebornシリーズ第2弾。
2020年2月28日に配信スタートしたEP『Reborn Vol.1』の収録曲として初公開されました。
嵐がラップメインの楽曲に初挑戦したシングル「a Day in Our Life」をリプロダクションしたナンバーです。
オリジナル曲との比較
こちらは、オリジナル曲の公式音源です。
海外のヒップホップ曲を彷彿させるようなヤンチャな曲調、青春時代を描写した歌詞が見事に融合していた「a Day in Our Life」。
Rebornされた後、冒頭のBGMが流れ出した時点でキラキラした印象が伝わってくるポップスへと変貌を遂げています。
2020年6月16日から6日間にわたってJohnny’s netで配信されたジャニーズ事務所所属グループによるチャリティーライブ『Johnny’s World Happy LIVE with YOU』でDAY1に当たる16日に登場した嵐が、同ライブ中1曲目に本曲を披露したことで知名度が急上昇しているそうです。
元々は、櫻井翔さんの出演するドラマ『木更津キャッツアイ』の主題歌ということで彼の歌声が際立つようになっていました。
しかし、Rebornされた楽曲はラップパートと同じくらいの割合でメロディー部分に重きが置かれ、他の4人のメンバーたちの歌声もバランスよく響き渡るようになったのが魅力的です。
一方で櫻井さんの見せ場を残すため、4人がラップパートをハモリ等で支える構成にはグループとしての絆を感じます。
ラップパートから始まるオリジナル曲に対し、サビのメロディー部分を英語歌唱で歌い出す始まり方も特徴。
この時点でもはや何の曲を聴いているのか分からなくなるほど、効果音等のアレンジが多用されています。
ファンへのメッセージのようにも受け取れる「we will see each other again(いつかまた逢える)」と再会を約束するようなフレーズは、このタイミングだからこその感慨深いものといえるでしょう。
「One Love:Reborn」
Rebornシリーズ第3弾。
2020年2月28日に配信がスタートしたEP『Reborn Vol.1』の収録曲として初公開されました。
嵐の知名度を急上昇させた名ラブソング「One Love」をリプロダクションしたナンバーです。
オリジナル曲との比較
こちらは、オリジナル曲の公式音源です。
松本潤さんが俳優としての道を確立した大ヒットドラマ『花より男子』の劇場版主題歌として制作され、登場人物たちを祝福するかのような華やかな楽器演奏で彩られたイントロが特徴とされてきた「One Love」。
それが、Rebornされた楽曲ではよりしっとりとした雰囲気に仕上げられており、成長した嵐の大人の魅力が詰まった1曲へと生まれ変わっています。
第一印象としては冒頭に英語歌詞を持ってきているからこそ、その後に来る日本語歌詞の意味をこれまで以上に考えさせられる印象を受けました。
当初よりも大人っぽいメンバーたちの優しい歌声は、儚げなのにどこか強さを感じさせるのが不思議です。
中でもメンバー4人が確かめるように歌う「Yes I do」というフレーズの後、決定打のように響き渡る大野智さんの歌唱パートが感動的。
彼の美しい歌声の魅力が最大限まで活かされており、何度聴いても鳥肌が立ちます。
オリジナル曲では愛する人に向けたラブソングというイメージでしたが、Reborn後は永遠の愛を改めて約束してくれているような“ファンへ向けたラブソング”としても受け取れる曲だと感じました。
嵐のメンバーたちは、本曲を通して活動休止後も彼等の気持ちがファンのそばにあることを強調してくれたのではないでしょうか。
「Love so sweet:Reborn」
Rebornシリーズ第4弾。
2020年5月15日、YouTubeでの公開と共に配信もスタートしました。
松本潤さん出演ドラマ『花より男子2』の主題歌に起用され、今でも絶大な支持を集める「Love so sweet」をリプロダクションしたナンバーです。
オリジナル曲との比較
こちらは、オリジナル曲の公式MVです。
これまでご紹介してきたReborn曲同様、英語歌詞の多さが特徴の本曲。
落ち着いたバラード曲に、ポップで華やかな印象をプラスしたような仕上がりです。
イントロのフレーズは既存のものと変わりませんが、現代風の軽やかなEDMに変更されたことでよりオシャレかつ洗練された雰囲気に。
Aメロで不均一に刻まれていたビートがサビで加速し、一定のリズムを刻み出すとそれにつられて嵐の歌声が際立つ効果があるとも感じました。
まさに、今の時代ならでは技術を駆使したハイクオリティな1曲に生まれ変わったと言えるでしょう。
サビ部分の英語歌唱はかなりアップテンポですが、メンバーたちのそれについていけるほどの流れの良い発音、一つ一つの単語の発音のクリアさは大きな見どころとなっています。
オリジナル曲で松本潤さんの見せ場であった「伝えきれぬ愛しさは 花になって 街に降って」というフレーズをあえて日本語のまま残しているところにもセンスの良さを感じます。
その瞬間に歌っているメンバーのカラーを映すカラフルなリリックビデオでは、これまたメンバーごとにカラーの違う5台の車が登場。
ラストでそれらを追いかけるピンクの車はファンのことを表しており、“どこまでもついてきて欲しい”というメンバーたちの思いを描いた曲なのではないかという推測が多く見られました。
応援する立場として一定の距離感を保ちつつ、改めて彼等のことをいつまでも応援し続けたくなります。
「Face Down:Reborn」
Rebornシリーズ第5弾。
2020年6月25日、YouTubeでの公開と共に配信もスタートしました。
セクシーなダンスパフォーマンス、楽曲に華を添える櫻井翔さんのラップが見どころの「Face Down」をリプロダクションしたナンバーです。
オリジナル曲との比較
こちらは、オリジナル曲の公式音源です。
現時点で発表されているRebornシリーズの中で最新曲に当たる「Face Down:Reborn」
。
大野智さん主演のミステリードラマ『鍵のかかった部屋』のタイアップ曲ということで、オリジナル曲ではミステリアスな雰囲気が満載でした。
Reborn後は英語歌詞の合間に入る間奏をはじめ、J-POPらしからぬオシャレなEDM等の効果で明るくポップな雰囲気がプラスされた印象を受けます。
英語歌詞には「Take me my hand I will light up the darkness(僕の手を取って 僕が暗闇に光を灯すから)」のように聴き手を勇気づけるフレーズが多いことから、嵐がファンに向かって手を差し伸べてくれるようなイメージを抱く方が多く見られます。
聴けば聴くほど深読みしてしまい、本曲を通して嵐が伝えたかったことを追求したくなるのが面白いです。
そのように歌詞の意味に思いを馳せながら聴くと、より本曲の魅力を感じられることでしょう。
次々と色が変わっていく人のようなキャラクターが登場するリリックビデオは、視聴者ごとに様々な受け取り方が出来ると話題に。
一部オリジナルのPVが使用されている箇所には、ファンから驚きの声が上がっていました。
今後Reborn化に期待したい楽曲
この項では、個人的に今後Reborn化に期待したい楽曲をまとめていきたいと思います。
「Happiness」
喜びに溢れた歌詞で聴き手を前向きな気持ちにしてくれる応援ソング「Happiness」。
二宮和也さん、櫻井翔さん主演のドラマ『山田太郎ものがたり』の主題歌に起用されたほか、紅白歌合戦でも度々披露されており、一般的な認知度が高い曲です。
青春時代を思い起こすようなキラキラしたメロディーが魅力的。
2007年のリリース当時から10年以上もの時が過ぎ、成長したメンバーたちが今ならどんな歌い方、表現の仕方でファンに希望を与えてくれるのか気になります。
「Truth」
これまでの嵐の雰囲気を一変させたダークな曲調が特徴の「Truth」。
大野智さん主演ドラマ『魔王』の主題歌に起用された楽曲です。
主人公の胸中を表したような深い悲しみを描写した歌詞で紡がれていますが、これはどんな人間であっても心の奥底に眠り得る“闇”の部分に共通するものだと思います。
誰にとっても共感性が高く、普段はさらけ出せない心のうちを歌ってくれる本曲を当時からさらに経験を積んだメンバーたちはどのように表現してくれるでしょうか。
リリックビデオによる表現も気になるところです。
「Monster」
大野智さん主演ドラマ『怪物くん』の主題歌に起用された「Monster」
。
本曲で彼の歌唱力の高さ、リーダーシップを見せつけられたファンは多いのではないでしょうか。
嵐のダンススキルの高さを活かしたキレのいい振付も魅力で、アイドルとしての彼等の魅力が存分に発揮されているように感じます。
「僕の記憶がすべて消えても 生まれ変わったら また君を探す」というフレーズには当時切なさを覚えましたが、今このタイミングで聴き直すと“活動休止後もまた出逢えるよ”とファンに対する優しいメッセージを届けてくれているようにも受け取れます。
Reborn化されればそのように同じ歌詞でも違う形で受け取れる、より魅力的な1曲として生まれ変わることでしょう。
最後に…
以上、オリジナル曲との比較を通して新たに発表された嵐のReborn曲の魅力に迫ってきましたが、以前にも増してこれまでの過去曲に関心を抱くようになった方は多いのではないでしょうか。
いずれのReborn曲もファンに対するメッセージソングとして受け取れる一面を持ち合わせているように感じたので、活動休止ラストイヤーを目前に昔リリースした楽曲に再度注目し、生まれ変わらせる企画を始めた背景にはきっと“ファンに対する感謝”の思いが込められているのだと思います。
成長した彼等の歌声をはじめ、EDMやビートが変わるだけで同じ曲でも全く違う印象に変化するところに面白みを感じると共に改めて嵐の表現力の高さを思い知らされました。
今後もEP『Reborn Vol.1』に続き、Vol.2、Vol.3…、とシリーズが展開していくことが予想されるので、どんな楽曲が追加されていくのか期待していまししょう!
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