1997年7月21日「硝子の少年」でデビューし、今年、デビュー25周年イヤーに突入するKinKi Kids。
デビューから42作連続初登場1位でギネス記録を持ち、今なお愛されるKinKi Kidsの歌について徹底解剖します!
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目次
2人の歌声の特徴
透明感があり溶け合う2人の声
デュオとしても非常に珍しく、2人の声は時に1人で歌っているように聞こえます。
20年以上KinKi Kidsの楽曲制作に携わっているシンガーソングライター/音楽プロデューサーの堂島孝平さんは、堂本光一さん、堂本剛さんそれぞれの声とは別に「KinKi Kidsという人格(の声)がある」と表現しています。
癖のない堂本光一さんのまっすぐな歌声と、表現力豊かな堂本剛さんの声は非常に相性が良いのでしょう。
また、声質だけでなく、お互いの呼吸が合っていることもKinKi Kidsという人格を作っていると感じられます。
2人は、レコーディングやライブの際、相手の歌をまったく聞かないそうです。
しかし、お互い、相手の歌声を聞かずとも、後から確認すると歌い方や間の取り方が合っている仕上がりに。
10代の頃から30年近い年月を共にしたからこそ出せる魅力なのかもしれませんね。
なお、あまりに2人の声が合致しすぎる時は、ミキシングや歌披露の際にわざと2人の声をずらしているそうです。
堂本剛さんに至っては、レコーディング時に、1人の時よりも声を細くすることで「2人で歌っていますよ感」を出しているそうです。
美しさとドラマティックな世界観
「硝子の少年」の言葉通り、2人の声には独特の美しい透明感があります。
この透明感に2人が持つ表現力が加わり、KinKi Kidsの曲はドラマティックな世界観でファンを魅了しています。
このドラマティックな世界観は、2021年1月に有料配信されたKinKi Kidsのコンサートの演出にも非常に表れていました。
ある場面で、オーケストラアレンジに乗せた歌と、宇宙で惑星が砕け、再生するようなイメージの映像を流す演出が行われました。
この演出がKinKi Kidsの壮大さを引き出し、ファンの間では「KinKi Kidsによる天地創造」、「宇宙の崩壊と創造の流れが神話のよう」と話題になりました。
このコンサートを含め、近年のKinKi Kidsのコンサートではオーケストラアレンジが増え、従来のJ-POPにとどまらない表現方法で、ドラマティックな世界観にファンを誘います。
KinKi Kidsのコンサートは現在Amazon Primeで配信中ですので、気になった方はぜひ見てみてください!
哀愁や憂いを帯びた声と色気
KinKi Kidsの歌声は、透明感だけではなく、色気や憂い、ともすればノスタルジックなニュアンスを含みます。
山下達郎さん、織田哲郎さんなど様々な楽曲提供者が、KinKi Kidsの声の特徴として、哀愁や憂いを挙げています。
そのため、KinKi Kidsはマイナーコードの曲が多くを占めます。
堂本光一さんもインタビューで、「もう君以外愛せない」を例に、KinKi Kidsが歌うとなぜか暗くなる、と話していらっしゃいます。
同曲は「もう君以外愛せない」といった情熱的な歌詞ですが、KinKi Kidsが歌うと、なぜか、もうこの世にはいない人を想っているように聞こえてしまうと言います。
(余談ですが、筆者も、このインタビューを見るまで、何故か事故や病気で亡くなった愛する人を想う歌だと思い込んでいました。)
合わせて、失恋ソングが多いことにも現れているように、KinKi Kidsの声には、独特の「色気」が含まれています。
THE YELLOW MONKEYの吉井和哉さんは、KinKi Kidsのノスタルジックな色気に注目し「薔薇と太陽」を制作しています。
ファン人気が高い曲も失恋ソングが多いため、色気を秘めた心の繊細さや憂いのある楽曲は、KinKi Kidsの声を活かしやすいのでしょう。
2人の声が映える曲
以上、KinKi Kidsの歌声の特徴をお伝えしてきました。
ここからは、KinKi Kidsの声の特徴を踏まえて2人の声が映える曲を大きく3タイプに分け、オススメの楽曲をご紹介します。
旋律が綺麗なバラードや荘厳な世界観を感じる近未来的な曲
KinKi Kidsは、その歌唱力の高さと哀愁、ハーモニーの美しさから、バラードが非常に映えます。
そのため、通常のベスト版の他に、バラードだけを集めたベストアルバムを発売しています
「Ballad Selection」ジャニーズエンターテイメントより2017年1月6日発売。
中でもファン人気の高い「雪白の月」は、「Snow! Snow! Snow!」通常盤のカップリング曲でありながら、ファン投票で3位になった人気曲。
中島美嘉さんの名曲「雪の華」を作った、松本良喜さん(作曲)とsatomiさん(作詞)のペアが送る冬のバラードで、堂本剛さんが表現豊かに主旋律を歌い、堂本光一さんが主旋律の上下を行き来しながらコーラスをつけ、深みを増しています。
美しいメロディで、音域が広く難しいため、本人たちも「歌わずに聴いていたい」というほどですが、この難曲を切なくしっとりと歌いこなすところに、2人の歌唱力の高さが伺えます。
また、美しさを保ちつつ、KinKi Kidsの温かみを感じられる曲が、「道は手ずから夢の花」です。
この曲は、シンガーソングライターの安藤裕子さんが作詞作曲を担当されています。
ご本人が「自分では歌いたくない」と話すほど難易度の高い曲ですが、KinKi Kidsらしさを保ちながら、前向きな気持ちにしてくれる1曲です。
近未来的な世界観を感じる曲としては、「Glorious Days〜ただ道を探している」や「Time」が挙げられます。
いずれも2人の声が溶け合う音域で作られており、「Time」については堂本光一さんが、2人の声が重なりすぎたためわざとずらした仕上がりにしてある、とお話しされています。
そのため、KinKi Kidsの人格も感じやすいのではないでしょうか。
哀愁が活かせる楽曲
哀愁を活かせるラブソングとしては、「スワンソング」や「Black Joke」(「I album-iD-」収録)、「Where is…」(「M album」収録)などが挙げられます。
また織田哲郎さんは、2人の哀愁を民族音楽と融合させ、「ボクの背中には羽根がある」を制作しています。
他にもシングル「夏模様」や「ホタル」(「N album」収録)は、懐かしさに重きをおいたノスタルジックな仕上がりになっています。
色気を感じられる癖のある曲
先ほどもご紹介した「薔薇と太陽」の他、シングル曲ではスパニッシュ風の「ビロードの闇」が挙げられます。
色気のある曲は比較的アルバム曲に多い印象があり、「Bonnie Butterfly」(「G album-24/7」収録)や「Cool Beauty」(「L album」収録)などは、大人な艶のある曲で、ファン人気の高い曲となっています。
合作曲が最強説
ここまで、提供曲についてお話しましたが、KinKi Kidsの良さを最大限に引き出す曲といえば、本人たちの合作曲が一番ではないでしょうか。
ファンのみならず人気の高い「愛のかたまり」は、堂本光一さんが作曲を、堂本剛さんが作詞を、それぞれ担当しました。
当時、発売予定の楽曲に対し、もっと自分たちらしいドラマティックな曲を作りファンを喜ばせたいという思いから、堂本光一さんが作曲し、そこに剛さんが詞を付けました。
この曲はファン人気の高さはもちろん、カップリング曲だったにも関わらずファン以外からの支持も厚くなりました。
また、ジャニーズの後輩が憧れる曲でもあり、Hey!Say!JUMP!の山田涼介さんは、音楽バラエティ番組「堂本兄弟」に出演した際に、本人たちとコラボレーションしています。
その後も最新曲の「Topaz Love」まで、節目ごとに合作が発表されています。
いずれも、堂本光一さんの描く美しく荘厳なメロディに、堂本剛さんが女性目線で深い愛を伝える詩を乗せており、ドラマティックな愛の曲になっています。
透明感のある音色を特徴とする「銀色暗号」(「Φ」収録)は、その最たる曲でしょう。
また、「Tears」(シングル「Family〜ひとつになること」収録)や「futari」(「I album-iD-」収録)など、堂本剛さんが作曲、堂本光一さんが作詞をした曲もあります。
いずれも、堂本剛さんらしいクセのある音楽に、繊細で美しい詞が乗せられており、「愛のかたまり」や「銀色暗号」とは別のKinKi Kidsらしさを映し出しています。
どちらの組み合わせでも、感情が揺らぐ繊細さと美しい世界観が合わさり、ドラマ性や、2人の声が重なりやすい音域の活用など、KinKi Kidsの声の魅力を最大限に引き出す作品となっています。
KinKi Kidsらしい楽曲が作れる秘訣は、相手を中心に据えた2人の制作スタイルにあります。
堂本剛さんは、KinKi Kidsとして世に出す曲は、自分の世界観を打ち出すよりも多くの人の共感が得られることを意識しています。
作詞においては、堂本光一さんのソロ曲に女性詞が少ないことから女性詞を多用し、堂本光一さんに歌わせたい歌詞を散りばめています。
一方の堂本光一さんも、KinKi Kidsの曲を作る際には、無意識ではあるものの、堂本剛さんに合いそうなフレーズを意識している節があると感じているそうです。
お互いのことを思い合うからこそ、ファンが喜ぶ素敵な作品が出来るのでしょうね。
最後に
以上、KinKi Kidsの歌声の魅力とおすすめの楽曲をご紹介してきました。
デビューから変わることのない、2人だけが作れる世界観と、年齢とともに増していく表現力。
これからも進化するKinKi Kidsから目が離せません。
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