【Eve×呪術廻戦】主題歌「廻廻奇譚」の歌詞に込められた意味とは…?

「呪術廻戦(じゅじゅつかいせん)」は、作者・芥見 下々(あくたみ げげ)によって週刊少年ジャンプで連載中の漫画作品で、2020年10月からはそれを原作としたテレビアニメが放送されています。

テレビアニメ放送後からの原作の人気は凄まじく、ネット通販や書店では在庫がない状態が続いています(2020年12月現在)。あまりの人気に一部では一人一冊と、購入制限を設ける店舗もあるようです。

若者世代――特に10代や20代の女性からの人気が高く、原作・アニメ共に話題となった「鬼滅の刃(きめつのやいば)」に続く作品として注目されています。

そんな大人気作のアニメオープニング主題歌を歌うのは、2019年にデビューしたばかりのシンガーソングライター・Eve(イブ)です。デビュー前からネットを中心とした活動を行っており、当時から多くのファンを抱えていました。

今回の記事では、そんなEveが歌う主題歌「廻廻奇譚」(読み方はかいかいきたん)がどのように作品の世界観に溶け込んでいるのか、そして歌詞にはどのような意味が込められているのかを解説したいと思います。


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「呪術廻戦」はどのような作品か?

話題の作品ではありますが、まだ観たことがないという人のために呪術廻戦とはどのような作品なのかを紹介したいと思います。

呪術廻戦は週刊少年ジャンプにて2018年より連載が開始され、そのタイトルからも分かるように、呪いなどの「呪術」がテーマとなっています。このテーマを元に“呪霊”と呼ばれる具現化した呪いと、それと対抗する“呪術師”たちとの戦いを描いたのが本作品です。

そんな作品の中心人物となるのが虎杖 悠仁(いたどり ゆうじ)。高校生とは思えない常人離れした身体能力を持つ彼は、ひょんな事から呪物・両面宿儺(りょうめんすくな)の指を体内に取り込んでしまい、強大な呪いの力を得てしまいます。

その後、宿儺(※作中では宿儺と呼ばれている)の力を取り込んでしまった虎杖は、その危険性から呪術師に捕らえられてしまい死刑宣告を告げられます。しかし、呪術師である五条 悟(ごじょう さとる)の提案「すべての宿儺の指を食してから死ぬ」という条件で猶予が与えられ、虎杖は高校生としての日常から呪術師という非日常を送ることとなります。

内容としては王道パターンの一つかもしれません。主人公が不思議な力を持つというのは、漫画に限らずライトノベルなど、様々な作品で使われている展開です。ただ、面白いことに最初のストーリーで主人公がラスボスということが判明しています。

危険な力を宿してしまい、猶予はあるものの、死刑宣告が覆ったわけではありません。これがどのようにラストに繋がっていくのかというワクワク感は、読者に突き刺さる理由の一つではないでしょうか。

ちなみに作者の芥見は、死神を題材にした漫画「BLEACH(ブリーチ)」に強く影響を受けていることを語っています。実際の作品を読んでみると、背景の使い方などの細かな部分で、BLEACHの作風をリスペクトしていることが分かるかと思います。主人公の虎杖の顔がBLEACHの主人公・黒崎 一護(くろさき いちご)に似ているのはそのせいかもしれませんね。

なにはともあれ、今後の展開が非常に気になる作品です。

主題歌を歌うアーティスト「Eve」とは?

呪術廻戦(第1クール)のオープニング主題歌を歌うのはシンガーソングライターのEveです。

2019年にデビューしたばかりのアーティストですが、2009年頃からニコニコ動画などで歌い手として活動しており、デビュー前から注目を集める人物として知られています。

ライブやイベント以外での顔出しはしておらず、詳細なプロフィールも明かされていません。しかし、現在開設されている自身のYouTubeチャンネルでは登録者数が100万人を突破するなど、プロフィール非公開ながら現在最も注目されているアーティストの一人として名を連ねています。

代表曲には「ドラマツルギー」「お気に召すまま」「ナンセンス文学」などが挙げられ、今回の呪術廻戦の主題歌「廻廻奇譚」も、今後の彼の代表曲として広まることでしょう。

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アニメ主題歌「廻廻奇譚」を徹底解説!

呪術廻戦の第1クールのオープニング主題歌となったEveの「廻廻奇譚」は、放送が始まってから非常に多くの人から注目を集めています。

現在、YouTubeで公式MVが投稿されていますが、現時点での視聴数は2,000万回を突破(2020年12月現在)。Eveのファンだけでなく、その再生数の高さからアニメファンからも高い評価を得ていることがわかります。

では、なぜこれほどまでに注目されているのか。それを解明するため、Eveの主題歌「廻廻奇譚」に込められた意味や、アニメとの関連性について歌詞を交えながら解説したいと思います。

作品愛が重すぎる歌

元々原作のファンであったEveは、主題歌を担当するにあたって改めてコミックを読み直したそうです。そうして出来上がった曲ですが、本人は非常に愛が重たくなったとラジオで語っています。


読み終えて、その熱量のまま書いていたので、愛が重たくなっちゃいましたね。もうたくさんの、僕なりの『呪術廻戦』に対する想いとかを書かせていただきました。

いつもであれば、落ち着いてから曲を作るようにしていたEveですが、今回の呪術廻戦の主題歌はそうではなかったようです。

しかし、これには原作ファンとしても非常に嬉しいですね。ここまで作品を愛して主題歌を担当してくれたのですから。漫画もアニメも人気ですが、主題歌も人気である理由がうなずけるエピソードです。

“歌う”ではなく“唱える”から生まれた歌詞

主題歌「廻廻奇譚」ですが、実はEveはこの歌を“歌ってはいません”。

これはどういう意味かというと、それはEveが作品を通して“呪術”という単語に着目したからです。

その単語に着目した時、本人はこの主題歌を歌うのではなく“唱えたい”と感じたそうです。確かに冒頭のイントロからサビの手前までの曲調には上がり下がりが少なく、淡々とした呪文や呪術を唱えているようにも感じます。

しかし、この淡々とした歌い方――唱え方があるからこそ、サビの部分が強調される効果を生んでおり、歌詞だけでなく曲調からも世界観を感じることができるようになっています。

作品の世界観をわずか4行で表現

アニメの主題歌となると、本来のアーティスト寄りの歌だけでなく、作品にも寄り添った世界観にしなくてはいけません。これまで数多くのアニメソングが生まれてきましたが、アーティストによって実に様々な手法が用いられてきました。

そんな数多くあるアニメソングの一つとして、Eveは非常に短いフレーズの中で呪術廻戦の世界観を表現してくれました。それも冒頭で流れるわずか4行という短さで、作品の世界観がぎゅっと凝縮されています。実際の歌詞は下記のようになっています。

有象無象 人の成り
虚勢 心象 人外 物の怪みたいだ

虚心坦懐 命宿し
あとはぱっぱらぱな中身なき人間

https://www.youtube.com/watch?v=1tk1pqwrOys

言葉の羅列と感じるかもしれませんが、最初の2行は、あらゆる人間は嘘を語り、そして簡単に人の道を踏み外してしまう姿はまるで怪物のようで恐ろしいという意味となり、人々の憎悪や悪意から怪物が生まれていることを表しています。

続く歌詞にある“虚心坦懐(きょしんたんかい)”には、先入観やとらわれの心を持たない素直な状態のことを指しています。この虚心坦懐の反対語には“疑心暗鬼”“幽霊の正体見たり枯れ尾花”などが該当し、疑いの心で見ると、すべてが鬼に見えてしまうという意味の使い方をされます。

これらのことから残りの2行には“疑うことを知らない中身のない人間”のことを指しており、呪術廻戦の世界観では非術師に該当するでしょう。

物の怪の本質と同時に人の愚かさをこの短さで丁寧に描写しており、作品の世界観にも非常に寄り添った描写となっています。

虎杖悠仁の変化を表したフレーズ

本作の主題歌には作品の世界観だけでなく、主人公の虎杖悠仁についての出来事を端的に表現しているフレーズも描かれています。

寄せる期待 不平等な人生
才能もない 大乗 非日常が

https://www.youtube.com/watch?v=1tk1pqwrOys

他人からの期待は、寄せられる人にとって時に枷となってしまうことがあります。運動神経がずば抜けている以外はごく普通の高校生だった虎杖。祖父からは“手の届く範囲で救える人を救え”と、常々言い渡されていました。しかし、突然の祖父の死に、その言葉は大きな重圧となってしまいます。

死は誰しもやってくるものです。虎杖も平静を取り繕っていても、それは簡単に受け入れられるものではありません。時には“不平等”“理不尽”と感じてしまうこともあるでしょう。そんな虎杖がある日、呪われた力を取り込んでしまったことで、日常が非日常へと移り変わってしまいます。

ちなみに“大乗”という単語がありますが、これは“すべての人間の平等な救済と成仏を説き、それが仏の真の教えの道であるとする”という仏教の流派の一つです。“大乗仏教”という単語が正確ですが、これに込められた意味は虎杖のこれからの生き様についての指針となります。

有象無象の人のなり、自分の手が届く範囲で、人々を平等に救わなくてはいけない。祖父の遺言の“救える人を救え”は、奇妙なことに呪われた力を得ることで実行することができるようになりました。

呪いの力「両面宿儺」

非日常へと足を踏み入れた虎杖の様子について描かれた歌詞ですが、それに続くのは、非日常の原因でもある両面宿儺について歌われているように思えます。

怨親平等に没個性
辿る記憶 僕に
居場所などないから

https://www.youtube.com/watch?v=1tk1pqwrOys

“怨親平等(おんしんびょうどう)”も仏教用語の一つですが、これには“恨み敵対した者も親しい人も同じように扱うこと”という意味があります。強大な力は敵だけでなく、時に味方にも牙を剥くということの現れかもしれません。

また、力を手にしてしまったことで間接的に他者を傷つけてしまった虎杖は、奪ってしまった命を数えながら“帰る場所はない”と感じているのではないでしょうか。

何度も“廻る”戦いの日々

サビの疾走感は、特別な力を得て以降の戦いの日々を描いているかのように思えます。サビ冒頭の“闇を祓って”という同じ言葉の繰り返しには、敵と何度も何度も刃交える描写が強調されているのもいいですね。

闇を祓って 闇を祓って
夜の帳が下りたら合図だ
相対して 廻る環状戦
戯言などは 吐き捨ていけと

まだ止めないで まだ止めないで
誰よりも聡く在る 街に生まれしこの正体を
今はただ呪い呪われた僕の未来を創造して
走って 転んで 消えない痛み抱いては
世界が待ってる この一瞬を

https://www.youtube.com/watch?v=1tk1pqwrOys

サビ後半ではそんな戦いの日々での葛藤と、その先にある未来を望んでいる描写がされています。“走って 転んで”と、七転八起のように倒れる度に立ち上がる様は、大きな障害を前に抗う姿を感じさせますね。

“世界が待っている この一瞬を”という最後の締めのフレーズでは倒置法が用いられており、未来に対する平和をより印象づけるものとなっています。

廻廻奇譚・まとめ

Eveの主題歌「廻廻奇譚」は、作品の世界観に非常に寄り添った内容のものでした。ところどころ難解なフレーズなどが用いられていますが、それがより作品の不可解な世界を表現しているのも非常に魅力的です。

ところどころに仏教用語などを用いており、Eve本人が語っていた“歌う”ではなく“唱えたい”という想いが強く歌詞に表れているのだと思います。

今回はオープニング主題歌だけの解説・紹介でしたが、気になる方はぜひ歌詞の全文を調べてみてください。Eve本人曰く、他にも原作ファンであれば気づくフレーズなどが隠されているようです。

この機会に呪術廻戦に限らず、自分が好きなアニメの主題歌について調べてみると、こういった意図があるのか、と面白い発見があるかもしれません。

それではここまでご覧いただきありがとうございます。

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