デビュー当初から実直な活動を続け、国民的歌手として不動の地位を築いた氷川(ひかわ)きよし。
そんな氷川は、自分らしく生きる姿を発信し始めて以来、さらに多くの支持を集めるように。
現在では演歌を大切にするのはもちろん、ポップスへの本格的な挑戦など、1つの枠にとらわれない活躍を見せています。
この記事では、氷川きよしのプロフィールや経歴を紹介。彼が放つ魅力に迫ります。
目次
氷川きよしとは?
- 誕生日:1977年9月6日
- 出身地:福岡県
- 所属事務所:長良プロダクション
氷川きよしは、端正なルックスと持ち前の歌唱力で多くのファンを抱える人気歌手。「演歌界のプリンス」として、ひと際輝く存在感を発揮しています。
茶髪にピアスの出で立ちで2000年にデビューした氷川は、演歌界に新風を巻き起こし、これまで演歌に興味のなかった若い層にまで認知されるスターとなりました。
「氷川きよし」の名付け親は、お笑い芸人のビートたけし。姓は所属レコード会社近くの「氷川神社」、名は本名の「清志」に由来。
これまでの受賞歴は華々しく、「日本レコード大賞」をはじめ、名だたる賞を多数獲得。
「NHK紅白歌合戦」には2000年の初出場以来、2020年まで21年連続で出場。2008年の「第59回NHK紅白歌合戦」では大トリを務めました。
楽曲『櫻』や『母』で作詞を務めた作詞家のなかにし礼は「現在の歌謡界の男性歌手の中で、唯一新しい歌謡曲を歌える人になれると思う」と、氷川を高く評価。
自然体の自分で歌い続ける氷川の姿は魅力的で、今後のさらなる活躍を予感させます。
氷川きよしの経歴
デビューしてから早20年の時が過ぎ、さらに輝きを放つ氷川きよし。彼が演歌の道を志し、今の自分らしく生きる姿を披露するまでの経歴をたどります。
演歌の道に進んだきっかけ
子供の頃から歌うのが好きで、歌手への憧れがあった氷川。ポップスに慣れ親しんだ当時の彼にとって、演歌は縁遠いものでした。
そんな氷川が演歌と出会ったのは、通っていた高校で毎週土曜日に開かれた「芸能塾」。
歌を学びたい学生が詰め寄せるも、講師の本間繁義(ほんましげよし)が教えるのは演歌のみだと判明。
あっという間に大半の学生が姿を消し、残ったのは女子学生2人、男子学生は氷川1人だけとなります。
その後、塾ではポップス風の演歌を歌っていた高校1年生の氷川。当初から彼の歌には際立ったものがありました。
半年以上の時が過ぎた頃、氷川は「歌手になりたい」気持ちを本間に訴え、鳥羽一郎の名曲『兄弟船』を課題曲として与えられます。
そして、本間のもとで練習に明け暮れる氷川の転機となったのは、慰問のため訪れた老人ホームでの出来事でした。
芸能塾の活動の一環であり、初舞台。ここで氷川は練習した『兄弟船』を披露。
その歌声は会場にいるお年寄りが涙するほど心を揺さぶり、この時、氷川は「演歌の力」と「歌手として舞台に立つ素晴らしさ」を知ります。
演歌漬けの高校生活
それ以降、氷川の高校生活は演歌一色となりました。
氷川の情熱はすさまじく、なんと高校生活3年間に聴いた音楽は演歌だけ!
カラオケ大会へも出場するようになった氷川ですが、当初は入賞さえできませんでした。
ここで負けず嫌いの性格に火が付き、カラオケ店で猛練習。結果、氷川は数々の大会で優勝や上位入賞を繰り返す有名人に。
そして、氷川にとって大きな転機が訪れます。
NHK「BS歌謡塾 あなたが一番」に出演した高校3年生の氷川は、準優勝を獲得。
後に、番組審査員の1人で、天童よしみなどの楽曲を手掛けた作曲家の水森英夫(みずもりひでお)からスカウトを受けます。
心配する母親を説得した氷川は、高校卒業を機に演歌歌手の夢を追って東京へ。
期待と不安に揺れた下積み時代
かくして水森の弟子となった氷川。当初はすぐにでもデビューできると思っていたものの、待ち受けていたのは長い下積み期間でした。
最初の1年間は発声練習のみで、歌を歌わせてもらえるようになったのは2年目から。
練習は毎週土曜日の2時間。それ以外の時間はレストランなどのアルバイトで生計を立てる日々。
期待を胸に単身上京したものの、思い通りにはいかない現実に氷川は不安を募らせていました。
当時は男性演歌歌手にとって不遇の時代。レコード会社は見つかったものの、氷川を受け入れてくれるプロダクションは中々見つかりません。
長良プロダクションとの出会い
幾つものプロダクションに断られ、ついにたどり着いたのが「長良(ながら)プロダクション」。
山川豊など男性演歌歌手を多く輩出してきたプロダクションでした。
直接事務所まで出向き、水森のギター演奏で、氷川が生歌を披露することに。
氷川は絶対にこれで決めてやるという意気込みで、三波春夫の『雪の渡り鳥』と三橋美智也の『一本刀土俵入り』を歌い上げます。
目の前で氷川の歌声を聴いた会長の長良じゅんは、即決。しかも、自ら氷川の面倒を見ると言ってくれました。
上京してから苦節3年半。晴れて氷川は演歌歌手としてのデビューをつかみ取ります。
デビューしてたちまち人気を獲得
2000年2月2日、日本コロムビア創立90周年記念アーティストとして、股旅もののシングル『箱根八里の半次郎』でデビュー。同楽曲はロングヒットとなり、100万枚を超える快挙を成し遂げました。
股旅ものとは、旅する主人公が道中で悪人を成敗する勧善懲悪ものの楽曲で、古くからある演歌。当時やっている人はほとんどおらず、氷川が歌う際には却って新しさがありました。
氷川は「第42回 日本レコード大賞」最優秀新人賞を初め、多数の賞を獲得。
デビューして10カ月後の12月31日には「第51回NHK紅白歌合戦」への初出場を果たします。
デビュー曲を初め多くの楽曲を手掛けたのは、作詞・松井由利夫、作曲・水森英夫の黄金コンビ。
2作目のシングル『大井追っかけ音次郎』、3作目のシングル『きよしのズンドコ節』など口ずさみやすい楽曲で氷川の人気を後押ししました。
1つにとどまらない活躍
2作目以降の楽曲も次々とヒットし、全国で開かれるコンサートも多くの観客を動員。氷川の快進撃は止まりません。
演歌歌手として多くのファンに受け入れられた氷川は、デビュー2年目にして現在の活動にも通ずるポップスの楽曲『きよしこの夜』(作詞・作曲:RK(河村隆一))をKIYOSHI名義で発売。その後もカバー曲を中心にポップスを発表していきます。
KIYOSHIは氷川がポップスやロックなどを歌う際の別名義。所属プロダクションで当時会長をしていた長良じゅんのすすめによって実現に至ります。
2012年と2015年には、KIYOSHIとしてポップスコンサートを開催。演歌を歌う時とは異なる新たな魅力を発揮しました。
歌手としての活動はもちろん、氷川は芝居の分野にも活躍の幅を広げています。
2002年にNHKの連続テレビ小説「まんてん」への出演で、俳優デビューを果たした氷川。
2003年7月には「草笛の音次郎」(名古屋・中日劇場)で初座長を務め、それ以来、舞台に立つ彼の姿は多くの観客を魅了し続けています。
多彩な活躍を見せる氷川は、子供向け番組でも歌を歌いました。
・2016年8月〜9月放送:NHKの音楽番組「みんなのうた」の『おじいちゃんちへいこう』
・2017年1月配信:「おはスタ」のテーマソング『きよしのチキチキOHAソング』(※氷川きよしwithコケッコ組として歌唱)
華麗なる変身で見せた自分らしさ
2000年のデビュー以来、求められる自分になろうと努力を続けてきた氷川。長く活動を継続する過程で、自分らしく生きることを意識するようになり、もっと色々な歌を歌いたいと思うように。
そんな時に出会ったのが、2017年10月25日に発売した楽曲『限界突破×サバイバー』。
激しいロックなサウンドが特徴で、氷川の歌唱力の高さがこれでもかと炸裂しています。
TVアニメ「ドラゴンボール超(スーパー)」のオープニング主題歌で、氷川にとって初のアニメソングとなりました。
2019年12月31日の「第70回NHK紅白歌合戦」では同楽曲を披露。
この時に視聴者を驚かせたのは、きらびやかな衣装を身にまとい、派手な化粧をした氷川の姿。
番組内で見せた振り切ったパフォーマンスは大きな話題となり、自分らしく生きる氷川を強く印象付けました。
以前からKIYOSHI名義でポップスを歌ってきた氷川ですが、2020年6月9日には「氷川きよし」として初のポップスアルバム『Papillon(パピヨン)-ボヘミアン・ラプソディ-』を発売。
生きることについて考えさせられるこのアルバムには、いきものがかりの水野良樹やGReeeeNなど名だたるアーティストの提供した、バラエティ豊かな楽曲が並びます。
同アルバム収録の楽曲『Never give up』では、氷川が初めて作詞を手掛けました。
自分らしさを解き放ち、変わり続ける氷川ですが、根本にある思いは変わりません。
インタビューで語っているように「歌に込める“心”こそが大事だという思い」を持ち、一曲一曲を大切に歌う氷川。
往年のファンは氷川の変化に驚きはしたものの、今の氷川をこれまでと変わらず応援しています。
誠実な音楽活動をしつつ、挑戦を続ける氷川の勢いは今後も止まりません。
氷川きよしの魅力
語りつくせないほどの魅力を持つ氷川きよし。ここではそんな彼の魅力を3つ紹介します。
心を揺さぶる歌唱
高校3年間や下積み時代で培った歌唱力により、デビュー当初から迫力ある歌声で聴く者の心をわしづかみにしてきた氷川。
言葉の一つ一つを大切にする伸びやかな歌唱は、歌詞に込められたメッセージを聴く者の心の奥深くまで届けます。
高音から低音まで無理なく出すことができる音域の広さ。圧倒的な力強さを持ったこぶし。
氷川が持てる力を惜しみなく注ぎ込んだ歌唱は、楽曲の良さを最大限にまで引き出しています。
高い歌唱力を誇る氷川の持ち味のなかでも、一定の高さの音を持続する綺麗なロングトーンは必聴。
高校の芸能塾で講師を務めた本間繁義は、氷川のロングトーンを絶賛しました。
デビュー以来続けるコンサート
デビュー以来、氷川は全国でコンサートを開催。
20年以上にわたり続けてきたコンサートは、2021年3月31日の岡山市民会館の公演で通算2,500回を達成しました。
また、2001年からは毎年12月にスペシャルコンサート「きよしこの夜」を開催しており、2020年で20回を数えます。
歌を歌う際には、楽曲の主人公になりきる氷川。
彼のコンサートにおいて、身にまとう衣装は要注目です。
和装や鮮やかな赤の衣装など、楽曲の世界観や物語に寄り添った姿を氷川は披露してきました。
これまでに着た衣装の数は2,000着以上!
目と耳で楽しませてくれる氷川のコンサートでは、自然と笑顔が溢れ、元気をもらえます。
自分らしく生きる姿
2019年11月に、氷川は公式インスタグラムを開設。「kii」や「kiina」といった名前を使い、ありのままの姿を発信しています。
性別にこだわらないファッションや、手作りの美味しそうな料理など、こだわり抜かれた投稿が特徴的。
そんな氷川の投稿は人気を集め、2021年11月時点でフォロワー数が38万人を突破しています。
また、2021年7月からはオリジナルポッドキャスト番組「氷川きよし kiiのおかえりごはん」が音楽配信サービスSpotifyにて配信スタート。
仕事から帰宅して素の「kii」となった氷川が、1人リラックスした状態で料理の腕前を披露。
料理をする際の多彩な音が食欲をそそるのはもちろん、軽妙な氷川のトークが面白く、まるで氷川の自宅に招かれたような感覚を味わえる料理番組です。
氷川は子供の頃から料理好きで、番組では心から楽しそうな氷川の様子が伝わります。
氷川きよしのおすすめ楽曲5選
演歌からポップスまで、数多くの楽曲を持つ氷川きよし。ここからは彼のおすすめ楽曲を5つ紹介します。
きよしのズンドコ節
2002年2月6日に発売した3枚目のシングル。
デビューから2作連続で歌った股旅ものとは大きく異なり、軽快なリズムに合わせて思わず踊り出したくなるような楽曲となりました。
<ズンズンズン ズンドコ>の後に、ファンが「きよし!」と合いの手を入れるのがお約束。
氷川とファンが一体になることで得られる高揚感は、本楽曲ならではでしょう。
1番と2番で「恋愛」、3番では「母への思い」を歌っています。
白雲の城
2003年2月19日に発売した5枚目のシングル。
かつて栄えた城跡に思いをはせるも、目の前の荒れ果てた光景を見た時、人の世の「むなしさ」や「はかなさ」が浮き彫りになったことを歌う楽曲です。
歌詞で描かれた情景がありありと目に浮かぶのは、氷川の表現力の成せるわざでしょう。
演歌における歌詞の良さが実感できる楽曲で、氷川の心を込めた力強い歌唱が、何度も心を揺さぶります。
碧(あお)し
2017年7月2日に配信されたシングル。
本楽曲は4人組ボーカルグループのGReeeeNが氷川に提供したもので、NHKラジオ深夜便「深夜便のうた」として2017年7月1日~9月30日にかけて流れました。
印象に残るのは、人なら誰しも経験するであろう出会いと別れを描いた言葉の数々。
そんな歌詞が、優しく温かなメロディと氷川の穏やかな歌唱によって、聴く人の胸にスッと入り込みます。
立ち止まりそうな時に、きっと前向きな力を与えてくれる楽曲です。
You are you
2021年8月24日に発売した、氷川きよしとして2枚目のポップスアルバム『You are you』収録の楽曲。
作詞を氷川、作曲を3人組音楽ユニットTM NETWORKの木根尚登(きねなおと)が担当しました。
<あなたはかけがえのない あなた>という歌詞は、自分らしく生きる氷川が発信するからこそ説得力を持って胸に響きます。
包み込むような優しさを持った氷川の歌声が、一人一人にそっと寄り添い、全てを肯定してくれる名曲です。
Happy!
2021年9月14日に発売した37枚目のシングルで、天海祐希(あまみゆうき)主演の映画「老後の資金がありません!」(2021年10月30日公開)の主題歌。
氷川にとって映画主題歌は今作が初!
特筆すべきは、氷川のとにかく明るい歌声と前向きな歌詞。
サンバ調のリズムが心地よく、聴いているだけで心が弾むような気持ちになっていきます。
聴き終わった後に楽しく幸せな気持ちになれる楽曲です。
最後に
年を重ねるにつれて新たな魅力を増していく氷川きよし。
1つのジャンルにとらわれない活躍で、自身の歌を届ける彼の姿は生き生きとしています。
今後も彼は多くの人を魅了し続け、元気を与えてくれる存在として第一線を走り続けることでしょう。