ヒグチアイ – 名曲「東京にて」も話題! 感情の機微を歌にする女性シンガーソングライターとは?

ヒグチアイ – 名曲「東京にて」も話題! 感情の機微を歌にする女性シンガーソングライターとは?

ヒグチアイは、ピアノを主体とした弾き語りやシンプルなバンドサウンドで歌うシンガーソングライターです。

2016年にメジャーデビュー後「FUJI ROCK FESTIVAL」「RISING SUN ROCK FESTIVAL」など大型フェスにも出演。

2020年9月にリリースしたベストアルバム『樋口愛』に収録されている渋谷を舞台にした楽曲「東京にて」が話題となりました。

「東京にて」は、2019年11月に書かれた楽曲なのですが、コロナ禍からの東京にも重なる景色がありますね。

さらに2021年4月リリースの配信シングル「縁」(ゆかり)が、テレビ東京系 ドラマ24『生きるとか死ぬとか父親とか』のエンディングテーマに選出。
男女問わず幅広い年齢層から支持されている、注目のアーティストです。

この記事では、他の女性シンガーソングライターとはひと味違うヒグチアイのプロフィールや経歴、魅力、おすすめ楽曲の解説などを行っていきます。

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ヒグチアイの本名・プロフィール

ヒグチアイ

  • 本名:樋口 愛
  • 生年月日:1989年11月28日
  • 出身地:長野県長野市(生まれは香川)
  • 血液型:O型
  • 趣味:漫画を読む、相撲観戦、舞台鑑賞

ピアノ以外にもヴァイオリン・ドラム・ギターなど、さまざまな楽器が演奏できるマルチプレイヤーです。

ヒグチアイの経歴

母親がピアノの先生をしており、2歳よりクラシックピアノを習い始めました。

クラシック畑だった彼女ですが、家で流れていた小田和正、槇原敬之などのJ-POPやシンディ・ローパーなどの洋楽に興味を持ちます。
小学生低学年の頃より、有名なポップソングの多くは「カノン」のコード進行で作られていることを理解し、友人にポップソングをマイナーコードで弾いて見せていました。

MEMO

「カノン」はヨハン・パッヘルベルの名作です。

初めてのオリジナル曲は、小学校4年生の頃に長野オリンピックがきっかけで作った「さよならオリンピック」という楽曲でした。

中学校で合唱部に入ったことがきっかけで、歌うことに気持ちが傾きます。

ピアノの練習は嫌でしたが、兄がコンクールで賞を取っている姿を見て褒められたくて続けていました。
しかし、過酷な競争世界で自分は勝てないとこの頃に挫折。
中学2年生から2年間は全くピアノを弾いていません。

高校でポップスを演奏するバンドに参加し、高校3年生で作詞・作曲を開始します。

18歳でピアノを主体とした弾き語りの形で本格的に活動を開始しました。

音楽大学の進学をきっかけに、活動の拠点を東京に移して精力的にライブ活動を行います。

2014年2月に初の全国流通盤となる1stアルバム『三十万人』、2015年3月に2ndアルバム『全員優勝』をリリース。

そして2016年にアルバム『百六十度』でメジャーデビューしました。

MEMO

インディーズで活動していた期間が9年と下積みも長かった彼女。
インディーズ志向ではなく、いつかはメジャーシーンで自分の音楽をもっと広めたいと思っていました。

ヒグチアイの魅力

ヒグチアイは力強いアルトボイスと、幼少からクラシックピアノの経験に基づいた抜群の作曲センスが魅力です。

楽曲は女性の心に寄り添う歌詞が多く、さらに喪失や絶望もごまかすことなく向き合っています。
彼女の楽曲を聴くと短編小説を読んだ後のような充実感があります。

また、SNSなどで華やかな生活を見せて憧れを抱かせるようなアーティストとは対極。
女性独自の闇や傷を描き、同じ痛みを抱いた人の気持ちに隣で寄り添ってくれるような存在です。

MEMO

フェスに出演していた彼女の歌を聴き、静かに涙を流している女性ファンの姿の横顔がとても印象的でした。

サポートメンバー

ライブやレコーディングは、弾き語りやサポートメンバーによって行われています。
サポートメンバーはさまざまな形態がありますが、その一例を紹介します。

「ヒグチアイ最強スリーピース」
刄田綴色(Dr. ex.東京事変)、山崎英明(Ba.)

MEMO

ヒグチアイは高校生の時、東京事変のコピーバンドを組んでいたこともあり、刄田がライブメンバーになったことを喜んでいました。

「ヒグチアイ前衛的スリーピース」
ひぐちけい(Gt./Cho.)、細沼章吾a.k.a.ぬましょう(Per.)

MEMO

ひぐちけいは妹で、レコーディングにも参加。
Chelsyのサポートも行っています。

またワンマンライブはほとんどをバンド編成で行っています。

MEMO

筆者が初めて見た2018年のライブはバンド編成でしたが、「備忘録」など弾き語りの楽曲は一人で演奏している姿が印象的でした。

おすすめ楽曲解説

縁(ゆかり)

2021年4月にリリースしたドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』のエンディングテーマ曲。
この楽曲でヒグチアイのことを知った方も多いのではないでしょうか?

「父と娘」がテーマのドラマに沿った楽曲ですが、あなたとわたしの関係を描いており、恋愛や友情の歌にも感じられます。
バンドアンサンブルとストリングスアレンジで制作されたカントリー調の楽曲と、サビの澄んだファルセットで優しく歌う声は、今までの作品にない軽やかさがあります。

備忘録

メジャーデビューアルバム『百六十度』のラストに収録の、ライブでも最後の方に演奏されることが多い楽曲です。

ピアノと歌だけの演奏で
〈中学二年生の頃、変わったね、と言われていじめられてからもう10年以上経ちます〉
と自身の壮大な半生の物語が始まります。

彼女が音楽をやめたいと思った時に
〈なにも始めてない なにもやり遂げてないよな〉
と気づき、もう少し続けてみようと思った時に書いた楽曲なのだそう。

そんな今までの自分と決別する決意と共に、今までを覚えておくための備忘録なのでしょう。

ライブで「備忘録」が本編最後に演奏された時、会場の空気が一瞬で変わったのを覚えています。
どんどん熱量を帯びる演奏と歌に圧倒されました。

MEMO

『百六十度』のアルバムジャケットはマンガ家の史群アル仙が描いています。
史群のファンである彼女が公式サイトを通じて直接オファーしました。

ラジオ体操

2017年7月リリースの1stミニアルバム『猛暑ですe.p』に収録の「ラジオ体操」は、ピアノで弾き語る人生肯定歌です。

〈生きただけでもらえるハンコ よくがんばりましたって押してあげるよ〉
と、参加するとハンコがもらえる夏休みのラジオ体操に人生を例えています。

MVは1kmの道のりをノーカットで撮影された作品です。
撮影は真夏の日中、気温は37度を超えている中で4回分行われました。
走るシーンも多く、最後は本当に辛くて泣きそうだったそうです。
実際に曲の最後で息切れして辛そうな表情をしています。

MEMO

アルバムタイトル『猛暑ですe.p』の“e.p”は“えらいポップ”という意味なのだそう。

ヒグチアイ独自の活動

自主企画「HIGUCHIAI presents 好きな人の好きな人」

ヒグチアイが“好きな人”を招く自主企画シリーズを不定期開催しています。
毎回2~3組のアーティストが出演。

今までに片平里菜、Salyu、山田将司(THE BACK HORN)、mol-74、日食なつこ、NakamuraEmi、THE CHARM PARKなどが参加しています。

音楽劇で舞台に挑戦

中山優馬の主演舞台『シンフォニー音楽劇「蜜蜂と遠雷」~ひかりを聴け~』天才ピアニスト・栄伝亜夜役で出演し、オーケストラとの壮大なコラボレーションが行われました。

原作のファンではあるけど舞台に出演するか迷っている彼女にスタッフが「芝居はできなくてもいい、ピアノが弾ければ大丈夫」と言ったため承諾しましたが、実際8割が芝居だったそうです。
2021年3月~5月にかけて横浜・大阪・福岡で公演が行われました。

リアル脱出ゲーム?体験型企画展

2020年12月にデビュー5周年を記念して、体験型企画展「新しい答えをつくろうよ」をAmerica-Bashi Galleryで開催しました。

この企画展では、写真や秘蔵映像の上映、ピアノ演奏を堪能できるJUKE BOX、愛機や手書きの大型作品展示などが行われました。
会場ではキーワードを見つけて答案用紙を埋めると、メッセージとタイムカプセルがもらえるという、ヒグチアイ本人が大好きなリアル脱出ゲームを元に考えた企画です。

楽曲提供

カランコエ・モノディ feat. ヒグチアイ/草野華余子

シンガーソングライターの草野華余子が2021年1月にリリースした1stフルアルバム『Life is like a rolling stone』に収録の「カランコエ・モノディ feat. ヒグチアイ」に共作詞・ピアノ・コーラスで参加しています。

花のように儚い青春の一瞬を大切にしたいとの想いが伝わる楽曲です。

MEMO

草野華余子は「鬼滅の刃」LiSAが歌う主題歌「紅蓮華」の作曲者で有名です。

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春花火/わーすた

5人組の女性アイドルグループわーすたが2021年3月リリースした「春花火」に歌詞を提供しています。

「君に幸あれ」と旅立ちを応援する楽曲になっています。

MEMO

「春花火」の作曲は草野華余子
前出「カランコエ・モノディ feat. ヒグチアイ」で共作詞を行っています。

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3曲連続新曲リリース

2021年9月より「働く女性」をテーマにした3部作を毎月配信リリース。
3部作の中で最初にリリースされた2曲は、一般からキャストを募集してMVを制作しています。

悲しい歌がある理由

3ヶ月連続新曲リリース第一弾「悲しい歌がある理由」

MVでは28歳求人広告代理店勤務の女性の1日を描いています。

鍵盤の弾き語りで一発録りされた本作は、衝撃的な歌詞が多いヒグチアイ作品の中でも特にインパクトがあります。

〈悲しい歌はあなたを傷つける〉
なのに、なぜ悲しい歌があるのでしょうか?
サビを最後まで聴くとその理由がわかります。

距離

3ヶ月連続新曲リリース第二弾「距離」

MVでは22歳理系大学院研究員の女性の1日を描いています。

長距離恋愛の曲で、物理的な距離があることで感じてしまうエピソードが描かれています。

弾き語りから始まり、パーカッシブなリズムとピアノがシンプルに楽曲を彩ります。

すれ違うことも、それでも想い合うことも
〈いいんだよ それでいいんだよ きっといいんだよ〉
と肯定するサビでは、ストリングスとバンドサウンドが加わり音像が広がっていきます。

MEMO

MVの女性が研究員だったのは、ヒグチアイが19歳の時に遠距離恋愛をしていた相手が、大学でカラスの研究をしていたことと関係があるのではないでしょうか。

やめるなら今

3ヶ月連続新曲リリース第三弾「やめるなら今」

本作のMVでは32歳お笑い芸人としてヒグチアイと同い年のピン芸人吉住が登場しています。

連続リリース最後の楽曲もまた衝撃的なタイトルです。

そもそもヒグチアイは人前が苦手で、未だに音楽をやめたいとよく思ってしまい、やめたい自分とやめたいのをなだめている自分が同時に存在しているのだそう。

楽曲では、不安や恐れを
〈恐れていいんだよ 怖がっていいよ〉
と優しく肯定しています。

最後まで聴くことで、コロナ禍でいろんな変化を余儀なくされた人、もうやめようかと迷っている人を励ます応援歌になっていることがわかります。

MEMO

MVに出演した吉住は、この楽曲は自分に当て書きされたのかと思うくらい心に染みたそうです。

ヒグチアイ・まとめ

この記事では、ヒグチアイの紹介を行ってきました。

力強いアルトボイスと抜群の作曲センスが魅力的なシンガーソングライターである彼女の魅力が伝わったのではないでしょうか。

さまざまな活動を行ってきた彼女のこれからの活躍も楽しみです。

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