目次
エイプリル
続いて6曲目は「エイプリル」。
この曲は元々、「フライミ feat. PSYQUI」よりも先にYouTubeで公開されていましたがその後リメイクされています。
MVの表現も含めて見比べ、聴き比べてみると、この曲に込められた意図や、サウンドへのこだわりがさらに際立ってくるかもしれません。
誰かに対するラブソングのように聞こえるものの、実は人ではなく、好きになった音楽に対する楽曲なのだと菅原圭自身は語っています。
疾走感のあるメロディは、そんな思いの強さの表れのようにも聞こえます。
crash
7曲目の「crash」も、「エイプリル」と同じくリメイク版が制作されている楽曲です。
どちらのバージョンも、歌謡曲のようなレトロでシックな雰囲気のメロディが印象的ですが、リメイク版ではさらに磨きがかかっているのが感じられるのではないでしょうか。
陰のある印象が強く、それでいて耳に残るメロディは菅原圭のバランス感覚の賜物だと言えるでしょう。
リメイク版で磨きがかかっているとはいえ、オリジナルの時点ですでにその魅力は表れています。
聴き比べることで、菅原圭の作るメロディそのものの良さもぜひ感じてみてください。
この他にも、最初に発表されたものからリメイクされている楽曲として「ia」があります。
今回10曲の中には含めていませんが、こちらもオリジナル版のシンプルな構成と、リメイク後の壮大さ、それぞれの良さを味わってほしいところです。
楽曲が時を経て進化、成長していることや、歌詞とメロディに元から備わっていた魅力を感じてみてください。
くうはく
8曲目に取り上げるのは「くうはく」。
こちらは笹川真生が作詞・作曲・編曲を手掛けています。
MVの雰囲気も他の作品とはやや異なるテイスト。古い海外のアニメーションを観ているような気分になるかもしれません。
タイトルの「くうはく」は、「空白」だけではないダブルミーニングになっていることが曲を聴くとわかります。
メロディやサウンドには80年代頃のポップスのような、どこか懐かしい雰囲気も感じられます。
歌詞にも物語性があり、MVと合わせて聴くと寓話のような味わいがあります。
ここでもまた菅原圭の表現の幅の広さを感じることができるでしょう。
celeste feat. 春野
9曲目は冒頭でもご紹介した春野とのコラボ作品である「celeste」です。
歌詞の内容には切なさや物悲しさが感じられる一方で、心地よく耳に馴染むメロディと2人の歌声に、つい繰り返し聴いてしまうような楽曲です。
軽やかさや柔らかさの中に感情の揺らぎや高まりを載せて、繊細にもダイナミックにも表現できる菅原圭と春野の魅力が存分に発揮されています。
lien
最後に10曲目は、12月14日に配信リリースされたデジタルアルバム『round trip』に収録の新曲「lien」です。
柔らかなサウンドと歌声でアルバムのオープニングを華やかに彩りながら、歌詞には儚さや喪失感も滲む楽曲。
菅原圭のこれまでの楽曲と同じように、キャッチーな耳馴染みの良さと、聴き手の感情を揺さぶるような切なさ、独自の世界が共存しています。
この1曲を聴くだけでも、菅原圭の作品世界の魅力に気づかされるでしょう。
そして、「lien」を入り口としてアルバム『round trip』の収録曲や、それ以外の菅原圭の楽曲を聴けば、そこには軽やかさや柔らかさだけではない多彩なサウンド、歌詞、歌唱が織りなす世界が広がっていると感じられるのではないでしょうか。
その意味で、「lien」と、この曲に始まるアルバム『round trip』は現時点の菅原圭の集大成であり、これまで菅原圭の楽曲を聴いてきた人にとっても、ここから菅原圭に出会う人にとってもこの上ない作品となっていると言えるでしょう。
おわりに
今回はシンガーソングライター菅原圭の活動歴や楽曲を中心にご紹介してきました。
人物像について具体的には公表されていないところも多い菅原圭ですが、その作品は確実に音楽ファンの間で広がりを見せ、ますます多くの人の心を掴んできています。
楽曲も歌唱も、聴き手を惹きつける魅力を持つ人物なのは確かでしょう。
デジタルアルバムのリリースも果たした菅原圭。
今後はどんな形態で、誰とのコラボで、どんな作品を作っていくのか、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。