聴く者の琴線に触れる歌詞や、中毒性の高いサウンドを生み出す人気ボカロP・すりぃ。
ボカロ曲のみならず、Adoなどさまざまなアーティストへの楽曲提供、自身歌唱によるオリジナルアルバムの発表など、マルチな活動を続けています。
彼の作品がリスナーを惹きつける理由は一体何なのでしょうか?
今回は、すりぃのプロフィールやこれまでの歩み、おすすめの楽曲を詳しくご紹介します。
目次
すりぃとはどんな人物?
中毒性の高い楽曲でリスナーの心を掴む新進気鋭のボカロP
新アー写!顔面公開ダ👊👊👊 pic.twitter.com/LcW37xwkDq
— すりぃ (@iii0303_8) November 14, 2023
すりぃがボカロPとしての活動を始めたのは、2018年3月3日。
活動を開始した日付が名前の由来(すりぃ=three)になっていますが、3月3日の日付や数字そのものに強いこだわりがあるわけではなく、「楽しそう」という直感のまますりぃとして作品を作り始めたのだとか。
アニメ「けいおん!」を好きになったことでギターを始め、高校や大学では友人達とバンド活動も行っていたというすりぃ。やがてバンドを解散したタイミングで作曲の勉強を始めると、はじめは趣味として関わっていた音楽への興味がどんどん強まっていきます。
音楽を仕事にしたいと強く思うようになった彼は、2017年、23歳の時に地元・大阪から上京。
活動開始当初から楽曲や詞のセンスはリスナーに高く評価され、ニコニコ動画やYouTubeを中心に知名度を高めていきました。
すりぃの名前が広がるきっかけのひとつとなったのが、「60秒シリーズ」と呼ばれる、その名の通り60秒で終わる短い楽曲シリーズ。X(当時はTwitter)に投稿できる動画が60秒だったことや、気軽に観られる短尺の動画で自分の活動に興味をもってほしいという思いで制作を始めました。
現在、すりぃの代表作として知られている「エゴロック」「テレキャスタービーボーイ」などもはじめは「60秒シリーズ」として投稿され、後にフルサイズ(long ver.)として公開されたものが多数。
すりぃ自身のアイデアや技術はもちろん、60秒動画に寄せられたリスナーの感想なども積極的にアレンジへ取り入れられています。
Adoなどさまざまなアーティストへの楽曲提供も行う
すりぃはボカロPとしての活動以外に、アーティストやさまざまな作品への楽曲提供も行っている人物です。
高校生の頃からボカロ曲を好んで聴いたり、バンドでアニメソングをカバーしたりと音楽に親しんでいたすりぃ。もともと作曲家を志していたのもあり、リスナーやクライアントなどの意見も踏まえて作品を作るやり方が自分に向いていると語っています。
彼が生み出す音楽の魅力は、キャッチーで洗練されたサウンドと、人間の複雑な心情を描いたメッセージ性の高い歌詞。学校や会社、SNSなどに潜む闇を巧妙に表現した楽曲が多く、そのいずれもが現代人の心に刺さっています。
特にAdoへ提供した「レディメイド」はYouTubeで9000万回再生を超えており(2024年4月時点)、今なお根強い人気を誇っている楽曲です。
他にも超学生やGero、天月-あまつき-など名だたる歌い手や、人気リズムゲーム「プロジェクトセカイ」のための楽曲などを書き下ろしています。
アーティストに提供された楽曲のなかには、リスナーが想像する“すりぃっぽさ”がコード進行やフレーズ感などに散りばめられているものも多数。サウンドは軽やかで楽しげなのに対し、歌詞は重たく陰があるギャップがすりぃらしさだといえます。
悩みを抱えながらも明るく振る舞う人の心に寄り添うような歌詞も、彼の楽曲が愛される理由なのでしょう。
高い歌唱力を活かし自らライブへも出演
すりぃ LIVE TOUR 2023 “グラデーション”Blu-ray Disc発売中!https://t.co/fVgsBwDcoT
Teaser動画公開しました〜https://t.co/3hjZPh96n4 pic.twitter.com/OxMdgHRc4O
— すりぃ (@iii0303_8) April 9, 2024
すりぃは、セルフカバー動画の投稿や、自身歌唱によるオリジナルアルバムのリリースなど、ひとりのアーティストとしても活躍しています。
2023年11月には、ボカロPとしてではなく、自ら歌を吹き込んだオリジナルアルバム「グラデーション」を発表しました。タイトルの通り、それぞれの楽曲で扱っているテーマや雰囲気の違いを味わえる作品です。
ボカロPとして楽曲制作をする際は第三者の目線で物事を考えることが多かったため、すりぃ自身の心情を初めて作品という形で表現する作業に苦労したこともあったのだとか。
表面的で綺麗な言葉ではなく、彼の内面をより色濃く反映させた楽曲が詰まったこのアルバムは、これまでボカロP・すりぃとしての活動しか知らなかった人にもぜひ聴いてほしい仕上がりとなっています。
同年12月には、アルバムを携えた全国ツアー「すりぃ LIVE TOUR 2023 “グラデーション”」を開催。学生時代に路上ライブをしていた経験や高い歌唱力を活かし、会場に集ったファンを魅了しました。
ひとりのアーティストとして表に出る機会が増えて以降、彼はライブへの意欲も高めていきます。時にはライブシーンを意識し、セットリストに入れることを想定した楽曲制作にも挑戦。
ジャンルやテーマを限定せず、色彩豊かな作品を生み出し続けているすりぃ。楽曲だけでなく、彼のパーソナルな部分ごと好きになってもらえるようなパフォーマンスを心がけているそうです。
2024年には、ロックフェスへの出演やポルカドットスティングレイとの対バンも予定。インターネットの枠を越え、表現の幅を広げ続けているすりぃの今後の活躍から目が離せません。
すりぃの音楽の魅力!キャッチ―なメロディと複雑な心情を描いた歌詞
すりぃの音楽の魅力といえば、軽やかでキャッチーなメロディと歌詞のギャップ。
サウンドだけを聴くとユニークで楽しげな印象も受けますが、1曲1曲の歌詞をじっくり読み解いてみると、人間の悩み、悲しみといった心情や、現代社会に潜むさまざまな闇が巧妙に表現されているのが分かります。
例えば、すでにご紹介したアルバム「グラデーション」の収録曲でもある「花水木」は、悩んでいる時に誰かにそばにいてほしいけれど、具体的なアドバイスを求めたいわけではないというすりぃ自身の心情を綴った歌詞が印象的。
さらに同アルバムに収録されている「炎上じゃない?」は、自らの素性を隠し、ネットで意見を発信するのが当たり前になった現代社会が抱える問題に鋭く切り込んだ楽曲です。
曲ごとにテーマや雰囲気が異なる彼の作品は、まるでその時によって複雑に色を変える人間の心そのものを表しているかのようにも感じられます。
人間なら誰しもが併せ持っている陰と陽の部分や、社会との関わりの中で感じうる葛藤などが描かれている彼の楽曲に、ぜひ耳を傾けてみてください。