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すりぃのおすすめ曲5選
空中分解
2018年3月、ニコニコ動画・YouTubeで公開された初投稿作品。公開当初は60秒尺の動画のみでしたが、後にアルバムにも収録されているlong ver.や、すりぃ自身によるセルフカバー動画も投稿されています。
ボカロPとして初めて発表した楽曲とは思えないクオリティと、当時珍しかった“60秒動画”という表現方法で、すりぃの作品は一躍話題に。同年6月には、ニコニコ動画での再生回数が10万回を突破し、「VOCALOID殿堂入り」タグが付けられました。
この楽曲は、お洒落なギターサウンドやコミカルな電子音など、リスナーの耳を惹きつける魅力がふんだんにつまっています。本格的に作曲技法を学んでいた彼だからこそできる楽器の使い方や、高いアレンジのセンスに思わず聴き惚れてしまうこと間違いなし。
サビに登場する「愛した傷は誰にも愛されることなく」というフレーズや、タイトルにもなっている「空中分解」が何を意味するのかなど、聴き手の想像力をかき立てる歌詞にも注目しながら聴いてみてください。
ジャンキーナイトタウンオーケストラ
2019年12月に投稿された、すりぃの代表作とも言われる楽曲です。
翌年の1月にニコニコ動画でVOCALOID殿堂入り、2021年2月にはVOCALOID伝説入り(100万回再生)を達成しました。あまりにも楽曲の完成度が高すぎるあまり、すりぃの名前にかけた「これはずりぃ」という秀逸なタグが動画に付けられたほど。
YouTubeで公開されているアニメーションMVは、2024年4月時点で2000万回以上の再生回数を記録。すりぃの楽曲にマッチした世界観や独特の色彩が魅力的で、楽曲とあわせて何度でも楽しみたい作品です。
歌詞は隠喩めいた部分も多いものの、SNSで浮き彫りになりやすい人間の攻撃性や悪意が表現されています。「自分には関係ない」と思っていながら、つい炎上や誤った情報に踊らされてしまいがちな現代人への皮肉も含んだ歌詞に、思わずドキッとしてしまう人もいるのではないでしょうか。
また、ダークな世界観の歌詞にぴったりのジャジーで怪しげな曲調も注目ポイント。クールなバンドサウンドにブラスの音色が加わった、中毒性たっぷりのメロディーに虜になってしまう1曲です。
ラヴィ
アプリゲーム「#コンパス 戦闘摂理解析システム」に登場するキャラクター、ラヴィ・シュシュマルシュのテーマソングとして書き下ろされた楽曲です。
ゲーム内に登場するラヴィは、少女のような可愛らしい外見でありながら実は男というギャップの持ち主。
そんな彼のテーマソングである「ラヴィ」では、中性的でキュートな歌声が人気のボーカロイド・鏡音レンをボーカルに用いたり、鉄琴のようなキラキラした高音を散りばめたりと、キャラクターの魅力を存分に感じられる仕掛けがあちこちに施されています。
「無駄ねほらほら」「あなたじゃ話にならん平凡」など敵を小馬鹿にして煽る様子を表現したり、子供っぽく同じワードを繰り返したりと、ラヴィの憎めない愛らしさにマッチした歌詞も魅力的。
あどけない少年らしさに溢れた鏡音レンverはもちろん、すりぃ本人によるクールで色気たっぷりのセルフカバーも必聴です。
エゴロック
2018年9月に投稿された作品。はじめは60秒尺のショート動画として公開され、その後2021年に投稿3周年としてlong ver.が公開されました。
long ver.では、3DCGを得意とする作家・Ocowaが映像を担当。ショート版の世界観をさらに押し広げるアレンジも加えられ、すりぃを代表する人気曲のひとつとして愛され続けている楽曲です。
この曲でも、思わず体を揺らしてしまうノリの良さと、ただ楽しげなだけではなく、内側に不満を抱えているような鬱屈した雰囲気とのギャップが感じられます。
すりぃ曰く、年齢を重ねるにつれて悩みが増え、子供の頃のようにやりたい事を素直にできなくなってしまった人に向けて「エゴロック」を制作したのだとか。
自分自身の弱さや他人の視線を気にして塞ぎ込んでしまいそうな時、“難しく考えず自由に生きていこう”と手を引いてくれる1曲。訳もなく落ち込んでしまった日や、とにかく元気を出したい日にも聴いてみてください。
テレキャスタービーボーイ
2019年4月に60秒尺のショート動画、翌年にはlong ver.が公開された楽曲。long ver.はYouTubeでの再生回数が4000万回以上を記録しており、イラストレーター・coalowlによる手描きMVとあわせて根強い人気を誇っています。
楽曲によってはポップでコミカルな電子音も多用するすりぃですが、この「テレキャスタービーボーイ」は生のバンドサウンドを基調としているのが特徴。洗練された鋭いギターリフや存在感たっぷりのベースなど、バンド活動をしていた経験もある彼ならではの音作りが感じられます。
そんなロックテイストなサウンドに乗せて表現されているのは、「女性(男性)らしさ」「子供(大人)らしさ」といったイメージに囚われ、本当の自分をさらけ出すことができない苦しみ。
ありのままで生きたいと願いながら、周りの環境や自分自身の中に植え付けられた「こうあらなければいけない」という固定観念を壊せずに悩んでいる様子が、歌詞やMVから伝わってきます。自分はどう生きたいのか、何が好きなのかも分からなくなってしまうような、息苦しい社会を生きる人々の心に寄り添ってくれる楽曲です。
ちなみに「テレキャスタービーボーイ」は、すりぃ自身によってノベライズもされています。この曲をすでに知っていた人も、そうでない人にも手に取ってほしい1冊です。
最後に
ボカロP、そしてひとりのアーティストとして自らの音楽を発信し続けているすりぃ。
新曲の発表やライブなどの最新情報は、公式Xアカウントやホームページなどで随時更新されています。この記事をきっかけに彼の作品にもっと触れたくなった人は、ぜひ今回紹介していない楽曲もチェックしてみてください。