昭和・平成そして令和と音楽で第一線を走り続けるバンド・ユニコーン。
解散や再結成を経て、2021年に結成35周年を迎えた彼らは、今なお衰えることないその個性を発揮したパフォーマンスを届けてくれています。
今回の記事では、そんな大ベテランバンド・ユニコーンの魅力と数々の名曲について、徹底解説していきます。
目次
ユニコーンのプロフィールは?
- 1986年に広島県にて結成、1987年デビュー
- 1993年 解散
- 2009年 再結成
- 2021年 結成35周年
ユニコーンの特徴は、全員が楽曲制作に携わり、ボーカルを担当するという点です。
さらには全員が担当以外の楽器も使いこなせるという、器用さと実力を備えたメンバーの集まりとなっています。
そんな実力者の集まったバンドだからこそ実現できる、型にはまらない独自のスタイルで数々のヒット曲を世に送り出してきました。
結成35年を迎えた今なお、ユーモアに溢れたパワフルな楽曲を生み出し、ライブツアーを積極的に行うなど、精力的に活動を続けています。
ユニコーンのメンバーは?
ここからは、実力と個性にあふれた愛すべきユニコーンのメンバーを紹介していきます。
奥田民生
- 1965年5月12日生まれ 広島県出身
- 主な担当:ギター/ボーカル
- ユニコーンでの愛称:OT
初期はユニコーンの楽曲のメインボーカルを務めていた奥田は、ルックスでも人気が高くたくさんの女性ファンがいました。
ユニコーン解散後、ソロ活動を開始し、奥田民生名義でも多くの名曲を世に送り出しています。
そのソングライティング力、パワフルさと気だるさを備えた歌声、さらに飄々とした独自のスタンスは、フジファブリックの元ボーカル・志村正彦やスキマスイッチなど、多くのアーティストに影響を与えました。
また、歌詞に現れる彼の生き方や人間性に憧れる人が多く、俳優の妻夫木聡など芸能界にも多くのファンがいます。
ユニコーンとしてはもちろん、ソロとしてもまだまだ活躍に目が離せない、日本を代表するアーティストの1人です。
- 『愛のために』『イージュー★ライダー』『さすらい』『風は西から』『And I Love Car』
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手島いさむ
- 1963年8月27日生まれ 愛知県生まれ広島県出身(公式プロフィールより)
- 主な担当:ギター
- ユニコーンでの愛称:テッシー
手島はユニコーン結成の中心人物で、バンドの名付け親でもあります。
パワフルなギタープレイや歌声が魅力的なだけでなく、『自転車泥棒』『デーゲーム』などの人気楽曲の制作を手がけるなど、非常に多彩です。
また、ユーモアあふれる性格で『手島いさむ物語』など、彼のキャラクターにフィーチャーした楽曲もいくつか制作されるほどの愛されキャラでもあります。
最近ではテーマ曲を手がけたテレビ番組『相席食堂』に準レギュラーとして度々登場しており、メインMCの千鳥からいじられたりつっこまれたりして、そのキャラクターを発揮しています。
その他、ユニコーン以外に川西・EBIとのスリーピースユニット『電大』としても活動中です。
川西幸一
- 1959年10月20日生まれ
- 主な担当:ドラム
初代ユニコーンではバンドリーダーを務めており、バンド内では最年長です。
跳ねるような軽快なドラムプレイと演奏中の豊かな表情が特徴で、ユニコーンの明るく個性的な楽曲を形作っています。
手島と共に結成の立役者となった存在でしたが、1993年には一度、方向性の違いを理由にユニコーンを脱退しています。
解散中は別のバンドでも活動していましたが、再結成に伴いユニコーンに帰ってきてくれました。一度は病気で活動を休止したこともありましたが、現在はバンドに復帰し、活動を続けています。
「肝心なときにいない」という理由でバンドリーダーの座は阿部へ譲ったものの、最年長としてユニコーンを支えている存在です。
ユニコーン以外に、手島・EBIとのスリーピースユニット『電大』としても活動しています。
ABEDON
- 1966年7月30日生まれ 山形県出身
- 主な担当:キーボード/ギター/ボーカル
- 旧芸名(本名):阿部義晴
現バンドリーダーで、音楽プロデューサーとしても幅広く活躍しています。
ユニコーン加入前からアーティストの楽曲制作やレコーディングに携わっており、実はユニコーンの1st、2ndアルバムの制作にも参加していました。
ユニコーン解散中は、ソロ活動を行いながらプロデューサー業を開始。氣志團やグループ魂、私立恵比寿中学などのプロデュースやサポートを行うなど、現在も幅広く活躍しています。
高い歌唱力とソングライティング力、プロデュース能力を持ち、ユニコーンのポテンシャルと個性を引き出した人物といっても過言ではありません。
また、ライブパフォーマンスも非常にダイナミックで、歌・ギタープレイ・キーボードのどれをとってもかっこいい演奏を見せてくれます。
EBI
- 1965年10月2日生まれ 広島県出身
- 主な担当:ベース
- 旧芸名(本名):堀内一史
地元・広島で手島から加入の誘いを受け、ユニコーンのベースとして活動を始めたEBI。
どんな楽曲にも対応できる適応力の高いベースプレイが特徴で、個性がぶつかるバンドに協調性をもたらすような存在です。また、ボーカルに関しては他のメンバーにはない高くて優しい歌声が、バンドの個性をさらに引き立てる役割を果たしています。
ユニコーン解散直前にはソロデビューを果たしており、また解散中は他のバンドでの活動と並行して、フジテレビ系ドラマ『若者のすべて』に出演するなど、音楽以外にも非常に多彩な一面を持っています。
デビュー当初から、奥田とともにそのルックスの良さで非常に人気がありましたが、今でも端正な顔立ちは健在で、ライブではボーカル担当楽曲でバラの花を持ってパフォーマンスすることも。
また、ユニコーン以外に、手島・川西とのスリーピースユニット『電大』としても活動しています。
ユニコーンの歴史とは?
デビューから阿部加入まで
ユニコーンは1986年に、広島にて結成されました。
結成時、中心となったのが手島と川西。ライブハウスで目をつけたEBIと奥田を勧誘し、4人が集まります。
バンド名の由来は、当時手島が好きだったイギリスのロックバンド・T.Rex3枚目のアルバム名『UNICORN』からきています。
そして同じ年に音楽事務所が主催するオーディションを受け、見事に合格。キーボードに向井美音里を迎えた5人体制で、1987年には1stアルバム『BOOM』でデビューを果たします。
当時20代だった彼らは、今の穏やかなおじさま姿からは想像がつかないほど尖った風貌でした。
また、この頃のユニコーンの楽曲は、当時のバンドブームで主流だったビートロック調。さらに奥田がメインボーカルとしてほとんどの楽曲を歌唱するなど、現在の曲調やスタイルとは異なる形で活動していました。
そんな彼らに別の風を吹き込むことになったのが、健康上の理由で脱退した向井の代わりとして1988年に加入した、阿部だったのです。
阿部加入から解散まで
阿部加入後に発表された1stシングル『大迷惑』は、これまでとは全く異なるオーケストラ中心の楽曲。さらにその後発表された3rdアルバム『服部』は、ファンに「別のバンド?」と思わせるほど異色な作品でした。
これまで奥田やEBIのビジュアルを推していたジャケット写真は急に見知らぬおじさんの顔面となり、アルバムの1曲目はオーケストラのインスト楽曲、2曲目にはあどけない子どもに「ジゴロ」の歌を歌わせる…というやりたい放題ぶり。
今聴くと思わず笑ってしまうものの、当時のファンはかなりの衝撃だったと言います。
このように、ジャンルに捉われない、いわば「何でもあり」でユーモアを詰め込んだ音楽性が彼らの個性と魅力を引き出すこととなり、徐々に人気を博していくことになります。
そして1990年リリースの4thアルバム『ケダモノの嵐』で、初のオリコンチャート1位を記録。さらには第32回日本レコード大賞・ベストアルバム賞、アルバム大賞を受賞しました。
この『ケダモノの嵐』で人気に拍車がかかったことで、それぞれのソロ活動の需要も高まっていきます。
ユニコーンとしてはその後も4枚のアルバムをリリースし、ライブツアーなども行っていましたが、1993年、音楽性に関する意見の相違を理由に、川西が脱退を表明。
同年には川西以外の4人でシングル『すばらしい日々』をリリースしたのを最後に、ユニコーンは解散を発表しました。
解散についての正確な理由は語られていませんが、タイミング的にも川西の脱退が大きく影響したのではという考察が多く上がっています。
再結成から現在
ユニコーンの解散後、メンバーはそれぞれソロとして活躍を続け、ミュージシャンとしての実力と地位を確立していきます。
その中で「再結成」という言葉を初めに口にしたのは阿部だったそうです。
2007年年末から2008年年始にかけてのメンバー間の話し合いを経て、再結成が決定。2009年には再結成・再始動の知らせが日本中に駆け巡ることとなりました。
再結成後、初のリリースとなったシングル『WAO!』は、ユニコーンの個性がさらに爆発した1曲となっており、今後のさらなる活躍を期待させる楽曲となっていました。
その後もコンスタントにアルバムリリースやライブツアーを行い、解散前に負けず劣らずの名曲の数々を世に送り出しています。
- 『WAO!』『裸の太陽』日本コカ・コーラ「アクエリアス」CMソング
- 『あなたが太陽』資生堂アネッサCMソング
- 『Feel So Moon』日本テレビ系「宇宙兄弟」オープニングテーマ
- 『7th Ave.』朝日放送テレビ「相席食堂」テーマソング
2019年には再始動10周年、現メンバーでの初アルバム『服部』リリースから30周年、さらに川西の生誕60周年をまとめて「ユニコーン100周年」とし、アルバム『UC100V』『UC100W』のリリースや、記念全国ツアーが行われました。
唯一無二のキャラクターとパワフルな楽曲で、聴く人に笑いと元気、ときどき涙を届けてくれるユニコーン。解散と再結成を経てさらにパワーアップした彼らは、今なお幅広い世代の人々を魅了するバンドとして、最前線を走っています。
ユニコーンのおすすめ楽曲は?
ユニコーンの数々の名曲の中から、これは外せない!という楽曲を紹介していきます。
『大迷惑』
ユニコーンの代名詞的楽曲で、曲の破天荒さが話題を呼び、彼らを一躍人気者にした一曲といっても過言ではないでしょう。
特にオーケストラの前で髪の毛ボサボサの奥田民生が全力で歌うMVは、ファンに大きな衝撃を与えました。
また「結婚してマイホームをローンで買ったのに、上司の命令により単身赴任を余儀なくされた男の心境」という、リアルすぎる歌詞も超個性的。
ユニコーンのその後の方向性を示した、今なお愛される楽曲です。
『すばらしい日々』
解散直前に、川西以外のメンバーによってリリースされたシングル楽曲です。
奥田民生が作詞・作曲を担当しており、当時の心境を歌ったものではないかという考察が多く寄せられています。
人生の儚さや哀愁を歌詞とメロディ、そしてバンドサウンド全体で絶妙に表現しており、聴けば聴くほど切ない気持ちになるエモーショナルな楽曲です。
特に「年を重ねるごとにこの曲の良さが分かるようになる」という意見が多く、それほど達観した世界観を20代後半で作り上げた奥田の才能が発揮されている一曲でもあります。
これからも多くの人に聴き継がれてほしい、ユニコーンの名曲の1つです。
『WAO!』
ユニコーン再始動後初のシングルとして発表された楽曲です。
解散中にそれぞれの活動の中でさらに培われた音楽性と、個性を余すことなく発揮した完成度の高さは、再始動を待ち焦がれたファンの期待を超えていきました。
メインボーカルはABEDONが務めていたというところに意表をつかれたファンも多かったものの、自由で個性的なユニコーンの更なる活躍を期待させてくれる結果となったと言えます。
彼らの長い音楽人生の、再始動にぴったりなユーモアと明るさにあふれた元気をもらえる楽曲です。
『Feel So Moon』
ユニコーン14枚目のシングル楽曲で、2012年に放送開始されたテレビアニメ『宇宙兄弟』の主題歌となった1曲です。
『宇宙兄弟』原作者たっての希望でユニコーンがタイアップを担当することとなったという経緯があります。
漫画の世界観にユニコーンなりのアプローチを加え、ユーモアを交えながらも壮大でロマンにあふれる宇宙に対する思いを表現した名曲です。
『ミレー』
2021年8月にリリースされたユニコーンの最新アルバム『ツイス島&シャウ島』に収録されている楽曲の中から、先行配信された1曲です。
1950年代のオールディーズを彷彿とさせる軽快な曲調と「上を向いて目を見開いてみれ」「やってミレー」というユニコーンお得意のダジャレ混じりの歌詞、そして気持ちのいいシャウトを決めるABEDONの歌声など、数々の魅力がぎゅっと詰め込まれています。
さらにMVは1950年代に大活躍したアーティスト、リトルリチャードの『Lucille』のオマージュではないか?と推測されるなど、仕掛けいっぱいの楽曲です。
ユニコーン まとめ
2021年で結成から35年を迎えたユニコーン。
バンドとしていろんな山を乗り越えながら、行く先を見失うことなく、今も昔も自分たちの個性を惜しみなく発揮し続ける彼らはまさに、私たちの憧れの大人たちとも言えるでしょう。
きっと彼らなら、おじいちゃんになってもかっこいいパフォーマンスを見せてくれるに違いありませんね。
これからもユニコーンの活躍に、目が離せません!
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